回収されたSCP-3846-JP-A群
アイテム番号: SCP-3846-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-3846-JP影響者の早期発見のため、全国のペットボトルキャップ回収活動を実施している全ての小学校が調査対象として指定されます。
集められたペットボトルキャップは全て分析の対象となります。ペットボトルキャップの表面から一定量の皮膚や血液が検出された生徒にはSCP-3846-JPの影響を確認した後、クラスE記憶処理により影響の除去が行われます。
追記: 2026年、SCP-3846-JPの影響除去作業から見落とさた影響者を探し出す全国的な調査が計画されています。詳細は補遺2を参照してください。
説明: SCP-3846-JPは軽度な傷口を負った際、流血の代わりに様々な種類のペットボトル飲料のキャップが出現する現象です(以下、出現するペットボトルキャップをSCP-3846-JP-Aと記載)。SCP-3846-JPはペットボトルキャップ回収活動を実施している全ての小学校に生徒に発生する可能性があると考えられており、発見から現在に至るまでに100名以上の生徒に影響が確認されています。
これまでに影響が確認された対象は、以下のような共通項が確認されます。
- ペットボトルキャップ回収活動に対し「人の為になる事をしている」といった前向きな認識を有している
- 他者との衝突を滅多に起こさない
- 飲み込みの遅さなど学習面で不利な面が見られる
- 何事も完璧にこなそうとし、自分のミスを自覚した際には激しい自己嫌悪に陥る
- これらの現状に対しストレスを抱いている
結果として、対象は精神的に追い込まれている状態にあります。
対象の多くはSCP-3846-JP-Aに対し、学校で行われているペットボトルキャップ回収活動の影響から肯定的な印象を抱いています。また、対象はその精神状態から頻繁に自傷行為に及ぶ傾向にあります。自傷行為によって流血が発生せず、傷口が皮膚が多少捲れた程度の外見にしか発展しない事から、これらの自傷行為は次第にエスカレートしていく傾向が見られます。
SCP-3846-JP-AはSCP-3846-JPの影響者から発生した1点を除き既存のペットボトルに付属するキャップと完全に同一であり、構成される成分での判別は不可能です。この事からSCP-3846-JP-Aの判別は発生時に付着した変化しきっていない皮膚や微量の血液からの推測に限定されます。多くのSCP-3846-JP影響者はSCP-3846-JP-Aをペットボトルキャップ回収へと提出し、非常に高い貢献度を示します。
ペットボトルキャップ回収活動の終了後、全ての対象は人の為になる事を尋ねられた際に自身の価値観に付属して「ペットボトルキャップを集める」事を絶対的な善行として挙げました。これは対象が「ペットボトルキャップ回収活動はリサイクルによって浮いた利益が還元されポリオワクチンに回される事で成り立っているため、ペットボトルキャップの収集自体は直接的な支援に繋がっている訳ではない」という背景を理解していたとしてもポジティブな印象は依然として継続し、対象はペットボトルキャップを集める事に対してそれ以上のメリットを説明する事ができませんでした。
回収活動の終了に伴い、ペットボトルキャップ収集の意義を失った対象は多くの場合で一定の期間心身に異常をきたし、多数のSCP-3846-JP-Aを発生させる自傷行為を繰り返します。これらの対象は最終的に「ペットボトルキャップを飲み込む事で自分の価値が証明される」といった価値観を有するようになり、精神状態の改善が見られるようになります。
SCP-3846-JPの影響は一度対象に対しペットボトルキャップ回収活動に関連する情報のクラスE記憶処理を行う事で除去が可能であり、対象が再びペットボトルキャップ回収活動を知った場合でも再発する事例は確認されていません。
現行プロトコルではこの段階で全SCP-3846-JP影響者に対し完全な影響除去を試みていますが、SCP-3846-JPの影響範囲、SCP-3846-JP-Aの判別方法が存在しない事、SCP-3846-JPに断定可能な外見的異常が見られない事などから影響者の特定は困難であるほか、発生が確認され始めた直後は異常性の全容が未知数であり対処法が確立されていなかった事から、これまでに██名の影響者が影響の除去作業から見落とされているとの憶測が立てられています。この事から収容体勢の見直しが計画されています。
補遺: 2018年、現行プロトコルで除去作業から見落とされてたSCP-3846-JP影響者の多くが再発見され、更なる調査が実施されました。
影響者らはペットボトルキャップ回収活動の終了以降、対象は通常の社会的活動に付随して清掃ボランティア活動への積極的な参加、ペットボトル飲料の継続的な購入等のペットボトルキャップ収集を継続しており、数年間に渡ってペットボトルキャップを常飲していました。
現在まで、SCP-3846-JP影響者がペットボトルキャップを飲み込む事による健康的被害は確認されないものの、数年間継続してペットボトルキャップを常飲していた対象の胃腸からは10個程のペットボトルキャップが常在している事が確認されており、骨を構成する成分の一部が高密度ポリエチレンに代替され始める等の身体的影響が現れ始めていました。
補遺2: 2026年8月7日、未発見のSCP-3846-JP影響者らが[編集済]再生工場の敷地内へと無許可で侵入し、集団自殺を実行するインシデントが発生しました。
実行者らは30代で構成され、SCP-3846-JPが発見された最初期の影響者であると推測されます。実行者らは各々が自主的に致命傷を負った後、傷口を中心に皮膚を除いた全身の体組織が連鎖的にSCP-3846-JP-Aへと置換され始めました。
SCP-3846-JP-Aは口腔や肛門などの人体における開口部から外部へと溢れ出し、実行者らは肢体を使い、体外へと溢れ出したSCP-3846-JP-Aをかき集める・拾い上げる・体内へと収めるといった反応を示しました。不法侵入に駆け付けたセキュリティ警備員によるこれらの活動の意図を突き止める試みは対象の脳組織や舌・喉といった発声器官がSCP-3846-JP-Aへと置換されているために成果を上げませんでした。致命傷を負ってから平均して780秒後、実行者らの身体は同質量のSCP-3846-JP-Aへと完全に置換されました。
SCP-3846-JPとの関連性を受け出動した機動部隊ぼ-6("ドリンカー")が現場に到着した際、現場からはSCP-3846-JP-Aの他に一枚の不明な文書が発見されました。以下は文書に書かれた文言です。
15年間に渡るペットボトルキャップ募金ありがとうございます!
おかげさまで1723人の命が救われました!
次回の回収日は3月16日を予定しています。