SCP-3700
評価: +19
sasidome.png

SCP-3700影響領域の描画。

アイテム番号: SCP-3700

オブジェクトクラス: Hiemal

特別収容プロトコル: 財団海上部隊デルタ-7 ("北の嵐")は現在、北海のオークニー諸島、シェトランド諸島及びフェロー諸島を取り囲む直径800 kmの領域の巡視を担当しています。アメリカ軍より購入した2隻の改装済み戦艦が部隊に割り当てられています。13隻の駆逐艦、5隻の巡洋艦、15艇の支援艇は当該艦船に随伴します。デルタ-7は中心の事前に定められた原点として知られる地点から、螺旋を描くように外向きに移動して巡視するように命令されています。この形状はデルタ-7がSCP-3700-1と遭遇するか、指定された800 kmの領域の端部に到達した後、原点に戻り手順を再開するまで維持されます。

SCP-3700の実深度に関する情報はあらゆる公的文書及び科学出版物から撤回されます。SCP-3700-1と遭遇した場合、デルタ-7は同実体がSCP-3700-2に遭遇するか、同実体が消失するまで同実体に随伴します。SCP-3700-1には32器の大型ドノヴァン・ホロプロジェクターが埋め込まれており、同実体にザトウクジラの小群の外観を付与します。デルタ-7は必要であれば武力によりSCP-3700-1による全諸島への直接接近を中止させる許可が与えられています。デルタ-7の存在に対する疑問は国際平和維持軍間の海軍演習として説明されます。イギリス王立海軍の上層部にはデルタ-7の存在と目的が伝達されています。

SCP-3700-1がいかなる地点であれSCP-3700-2と遭遇した場合、デルタ-7にはプロトコル "ウィンター・メイルストロム"の実施許可が与えられます。

プロトコル・ウィンター・メイルストロム

SCP-3700-1の存在下でSCP-3700-2に遭遇した場合、デルタ-7は直ちに以下の行動を取ることになっています。

  • 駆逐艦は錨をベースにした銛をSCP-3700-2の頭部皮下に展開し、1箇所で固定する。
  • 駆逐艦は200 mの距離で環状に移動し、L-キャノンと標準兵装により実体と交戦すると共に、錨を最大限牽引し、実体がいかなる方向へも確実に正対出来ないようにする。
  • 巡洋艦はクラス3 L-キャノンと標準兵装を使用し、SCP-3700-2の注意を駆逐艦及び戦艦の双方から逸らす。巡洋艦は300 mの距離で環状に蛇行し交戦しなければならない。
  • 戦艦はクラス4 L-キャノンを使用して、400 m離れた実体の両側180度の角度から一体的に間断なく弾幕を張る。両艦船はそれぞれの弾幕が他方と同時に発射されるよう調整しなければならない。
  • 全艦船は実体のどちらかが他方を制圧するまでこのプロトコルに従うものとする。

通常兵器及びL-キャノンは、SCP-3700-2に対して限定的な損傷を与えることのみが可能であるため、デルタ-7は他方の実体が存在しない場合、SCP-3700-2と交戦するべきではありません。SCP-3700-1によるSCP-3700-2の制圧が不可能だと判明した場合、もしくはデルタ-7が実体に遭遇する前にSCP-3700-1がSCP-3700-2に遭遇した場合、プロトコル "騒然"が実行されます。

プロトコル・騒然

以下の手順はSCP-3700-2の適切な収容が失敗した場合に直ちに実行されます。

  • 影響領域800 kmからの海軍及び民間船舶の避難。
  • 6カ月以上の期間にわたる、諸島への通商・フェリー航路の経路変更。
  • SCP-3700-2に対する継続的な航空・海上偵察及び交戦。
  • SCP-3456の活動に対するモニタリングの強化。これはSCP-3700-2による実例の吐出と、変化する危険な気象パターンの結果による。
  • SCP-3700-1の再出現に対する継続的な監視。
  • 地上を基礎とする水上防御の開始。

SCP-3700-1の身体状態が悪化しているため、5年毎に2度、SCP-3700-2にSCP-3700-1を制圧させた場合にもたらされる潜在的損傷に関する調査が進行中です。地元のGOC部隊への協力要請は、GOCの要求への検討を経て保留となっています。

説明: SCP-3700はフェロー諸島、オークニー諸島及びシェトランド諸島を取り囲む、直径800 kmの北海に位置する環状領域です。SCP-3700は異常な水深を有し、海底は海面から約5 km下に位置しています。これに対し、北海の他地域における平均深度は250-300 mです。SCP-3700は幅広くかつ多様な、数多くの異常事象の影響下にあります。これは2つの実体間の儀式的相互接触に起因します。実体はSCP‐3700‐1及びSCP‐3700‐2と指定されています。SCP‐3700で活性化する影響は、各儀式中にどちらの実体が他方の制圧に成功したかに完全に依存します。すべての儀式は2つの決まった日付を除きランダムな期間で発生します。SCP-3700-1とSCP-3700-2は常に、その年の春分と秋分に一致する日付で相互接触します。

SCP‐3700‐1は体長6 kmの節足動物です。緑の色素を持ち、頭部に沿って青・黄・ピンク・赤色が混ざった模様が刻まれており、女性の顔の模写を形成しています。6本の把持に適した脚が前端上に位置する腹部の細長い三日月形の体節に付属し、8本の脚が長さ約4 kmに及ぶ円筒形の体節に付属しています。実体はオレンジの色素を持つ4つの複眼を有し、それらは三日月形の前面に位置する茎状部に付属しています。SCP‐3700‐1の甲皮は重度の損傷を受けており、大量の傷痕や亀裂、柔らかい組織を露出する小さな穴を伴っています。

実体はそのサイズ以外にも複数の異常能力を有し、多くはSCP-3700-2を制圧するために使用されます。SCP-3700-1はその棍棒に類似した付属器をモンハナシャコと同様な方法で使用することが可能で、打撃とその結果生じるキャビテーション気泡の双方によりダイナマイト数トンを超える力を生み出します。SCP-3700-1の2つの眼は、集束ガンマ線流を投射することができます。実体は暴風雨やその他の異常な気象現象を一掃/消散することが可能であり、同時に100 m以内に到達するあらゆる陸地の侵食速度を増加させることができます。そのサイズにもかかわらず、SCP‐3700‐1は100 km/hを超える速度に達することが可能であり、一定時間内にSCP‐3700‐2を発見できない場合、完全に消失する能力を示しました。

SCP‐3700‐1の性質は温厚で、未発達な知性の兆候を示します。デルタ-7が随伴した場合、実体は財団艦船の存在を無視するか、問題が生じた船舶を危険から離れるように押し動かすことにより、何らかの原始的な形の援助を提供します。実体は、実体が出現する長さ800 kmの領域を螺旋状に移動し、中心から端部に向かって移動します。発見とそれに続く収容プロトコルの実施以来、実体の動作は非常に緩慢になっており、質量の度重なる顕著な減少を被り、SCP-3700-2を制圧する能力が非常に弱まっています。

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オークニー島の先住民によるSCP-3700-2の芸術的描写。

SCP-3700-2は異常なActinopterygiiの一種であり、外観は体の中央部を取り囲む13の付属肢を除けば、Eurypharynx pelecanoidesによく類似しています。これらの付属肢はタコの触腕に類似しており、吸盤を備え、不使用時は実体の胴体に収納されます。実体は現在、体長32 kmで、体長の大部分は鋭利な先端を持つ鞭に類似した尾であり、実体の上端から下端までの最大の横幅は約1 kmです。各触腕の長さは約60 mであると推定され、口部は開いた際、深さが3 kmに達すると推定されています。SCP-3700-2は黒の色素並びに生物発光を有し、白・紫・赤の発光するラインを持ち、それらはその胴体の両側に男性の顔の模写を形成しています。

SCP-3700-2は気象状況の急激な変化、特にカテゴリー5のハリケーンを超える暴風雨を引き起こすことができます。実体は尻尾と胴体をつなぐ部分を、見た限りでは関節は存在しませんが、間接のように曲げることができ、頭部を一方向に向けたまま、胴体の下部を回転させることができます。これによりSCP-3700-2は渦潮/大渦巻きを生成し、150 m以内の船を自身の方へと引き寄せ、その場で触腕がその組成にかかわらず前述の物体を掴み、引き裂きます。実体はその食道から高エネルギー音波と青い火炎流を放つことができ、近距離の標的を即座に殺害することが可能です。

SCP-3700-2は、原点に出現する前述の春秋分を除いて、接触相手の螺旋経路に沿ったランダムな位置で出現します。SCP-3700-2は他の物体/生物もしくはSCP-3700-1と遭遇しない限りは潜水を続け、最初に出現してから約15日後に消失します。実体は自身に接近するあらゆる全ての生物に明白に敵意を示します。しかしながら、SCP-3700-2はSCP-3700-1との相互接触を除く全ての場合において、形式化した捕食行動に戻ります。実体は通常兵器では制圧不可能で、異常兵器では中程度の損傷を被るのみです。したがってSCP-3700-1のみがこれを完全に制圧することが可能です。SCP‐3700‐2のより注目すべき異常特性のいくつかは、SCP‐3456実例を吐出する能力を含め、過去10年間に発現し、それに伴い接触相手は弱体化してきています。

SCP-3700-1と2の間の相互接触は、各実体が一時的に相手の殺害もしくは制圧を試みる長期に及ぶ闘争から成ります。分点日における相互接触は常に800 km区域の中心で発生します。分点日から直近の相互接触は、通常短く、ランダムな場所で発生します。前回の相互接触における勝者は速やかに他方の実体を殺害します。歴史的には現在のプロトコルの実施以前は、前回制圧した側は次の分点日までの間に相手に打倒されていました。この結果が2度の6カ月周期であり、SCP-3700-1は一方の周期で優位に立ち、SCP-3700-2は他方の周期で優位に立ちます。現在の収容プロトコルの実施以降、SCP-3700-1は財団の援助により、SCP-3700-2を春秋分において64回連続で制圧しています。

一方の実体が他方の打倒に成功すると、800 km圏に多数の異なる地質学的及び気象学的変化が引き起こされます。これらを以下に記述します。

  • SCP-3700-1がSCP-3700-2を制圧した場合
    • 800 km圏外の領域における気象状況に関わらず、暴風雨や悪天候は即座に解消される。
    • 地域の海洋・島嶼動物相の再生産率は3倍に増加し、作物収量は6カ月の期間にわたり2倍となる。ある種の動物プランクトンの過剰繁殖により意図せずデッドゾーンが形成されるため、海洋動物相の慎重な間引きを開始しなければならない。
    • それぞれの諸島における海岸の浸食速度が標準的な割合から5倍に増加する。
  • SCP-3700-2がSCP-3700-1を制圧した場合
    • 気象状況が危険域に至る。カテゴリー1からカテゴリー5ハリケーンの強さまでに及ぶ連続的な暴風雨が800 km圏の至る所で発生する。気温は急速に変動し、暴風雨前線の絶え間ない変化により変動は0°Cを大きく下回るところから28°Cを大きく上回るところまでに及ぶ。このような天候は建物の損傷もしくは完全な破壊、並びに人命の損失を引き起こす可能性があり、結果としてSCP-3456が出現する可能性がある。
    • 海上移動は、暴風雨による高潮と高波により不可能ではないものの困難になる。消耗品、食料、輸送は、飛行機で手配するか、暴風雨での航行に特化した船舶に乗船しなければならない。
    • 海洋食料源は極端な天候により当該領域から追いやられ、家畜は多くの場合、低体温や病気により死亡する。作物収量は強風、土壌の過飽和、日照不足により大幅に減少する。
    • SCP-3700-2は消失しない。実体は活発に圏内を巡回し、明らかにSCP-3456を吐出するために諸島に接近すると判明しており、同様に、実体が発生させる過酷な天候下で航行が可能な、無警戒な民間船舶を捕食することも判明している。

過去の報告は1500年代以降、SCP-3700-1に地元の漁師が定期的に遭遇していたことを示しています。しかしながら、口頭伝承や当該領域における既知の伝承に基づけば、SCP-3700-1はいくつかの近隣の[データ削除済]の建設期間に存在したと見られ、その接触相手は、そのような活動における多数の目標のひとつであったようです。SCP-3700-2の報告もまた、地元の伝承に一致しています。しかしながら、実体に言及する目撃例は20世紀半ばまで記録されていませんでした。

インシデントログ I-3700-039:
以下のインシデントログには、2017年3月20日に発生した、SCP-3700-1とSCP-3700-2間の相互接触を記録したコンポジット映像と音声の記録転写が含まれます。説明及び事象は、搭載されたCCTVカメラと部隊艦船間の音声通信ログを使用し構築されました。留意すべき点として、この事象の性質は新たなものであり、既定の収容プロトコル及び説明は本事象を反映するように改訂されていません。これは、事象の結果に関する確実性が明らかに不足していること、並びに当該事象に関して過去の先行事例が存在しないことによります。

インシデントログ I-3700-039

序言: デルタ-7は3月20日、00:00時頃に「原点」に到着し、プロトコル「ウィンター・メイルストロム」の準備を開始した。SCPSマイザー及びSCPSテランは交戦に参加した改装済み戦艦であり、マイザーは部隊の旗艦として任務に就いた。2隻の駆逐艦は交戦中に軽微な損傷を負い、SCPSストロンゼー・ビーストは完全なエンジン故障を含む深刻な損傷を負ったことで、この領域から曳航されなければならなかった。数隻の船舶は当インシデント後に人員の喪失を報告しており、喪失の大部分は異常な大時化、もしくはSCP-3456の出現によるものであった。交戦時の通信では終始、SCP-3700-1及びSCP-3700-2をそれぞれホーマー、アンジーと呼称している。

ログ開始

[17:32:37、デルタ-7が投錨した地点から600 mの海域で約3分間に渡る強烈な光線の放出が始まり、やがてSCP-3700-1が出現した。]

SCPSマイザー: "こちらマイザーから全艦船へ、ホーマーが出現した、繰り返す、ホーマーが出現した。"

[デルタ-7は海底から抜錨し、SCP-3700-1に向けて航進を開始する。デルタ-7が距離を縮めると、実体は円を描くようにゆっくりと動き始める。実体は約5分後にデルタ-7を視界に捉えると、自身の2本の鋏を空に上げ、デルタ-7の存在に気付いているように見える。実体は口部の周囲にある付属肢から低いゴロゴロという音を出しつつ、鋏で何度もカチッと音を立てる。]

[デルタ-7は編隊を組み、原点付近でSCP-3700-1を約30分間何事もなく護送する。18:02:08頃、気象状況が変化し始める。ハリケーンで見られるような黒い大型の壁雲が数秒で形成され、風は目に見えて速度を増し、波は大荒れとなる。]

[SCP-3700-1は鋏を上げると、それを円運動させ、自身とデルタ-7の上空の雲に小さな穴を作る。SCP-3700-1は約30秒後にこの行動を停止すると記録されている。その触角は垂れ下がり、この試みによって目に見えて多大な労力を費やしたことが観察される。穴は当インシデントの間、残存する。]

[デルタ-7とSCP-3700-1の前方600 mで海が泡立ち、泡を吹き始め、やがてSCP-3700-2が海面下から浮上する。頭部は真上を向いている。実体は触手の先端が目視可能となるまで浮上し、停止する。実体はその胴体を曲げ、頭を水平にする。実体の口部が開いて顎が外れ、複数の鋸歯状の歯列を露わにすると、やがて実体は唸り声を上げ、青い火炎流を放つ。SCP-3700-1はこの時点で海面下に潜行する。]

SCPSマイザー: "全艦船へ、アンジーを発見した。エンゲージ、'ウィンター・メイルストロム'。"

[デルタ-7はSCP-3700-1が潜水した場所から外側に散開する。全13隻の駆逐艦がそれぞれの位置に到達し、銛を発射する。銛は実体の頭に埋め込まれる。SCP-3700-2は2度目の声を上げ、興奮状態になると同時に下部の体を回転させ始め、その基部に特徴的な渦潮を発生させる。巡洋艦は所定の位置に到達し、L-キャノン及び通常兵器の砲門を開き、SCP-3700-2の注意を引き付ける。駆逐艦は最高速度で移動を開始し、銛のケーブルを強く張り、実体の頭部を連続する360度の輪で牽引する。戦艦は指定された位置に到達し、キャノンで攻撃する。]

SCPSマイザー: "弾幕射撃用意。3...2...1.....撃て!"

[戦艦からの最初の片舷弾幕斉射はSCP-3700-2に弾着し、実体は叫び声を上げる。SCP-3700-2は唸り声を発し始め、SCP-3456個体を海中に吐出。個体は水生の解剖学的特徴を欠いているにもかかわらず、50 km/hを超え駆逐艦の列に向かって移動する。]

SCPSセルキー: "水中にケンタウロス!当艦に向かって直進しています!"

SCPSマイザー: "セルキー、標的をケンタウロス・ナンバー1に変更、全兵装で交戦しろ。"

[SCP-3456個体は、兵装の標的変更が可能となる前にSCPSセルキーとの距離を縮める。]

SCPSセルキー: "近すぎます!'"

[セルキーは個体により短時間海面から持ち上げられ、手すりや兵装にしがみつく乗組員に向かって個体が接近しているのが見える。SCP-3700-2はこの行動によって短期間解放され、自身の向きの変更が可能となり青い火炎流を放出する。火炎流はSCPSストロンゼー・ビーストに命中する。]

[打撃音が響く。同時にセルキーは解放され、SCP-3456実体は叫びを上げる。SCP-3700-1が浮上し、棍棒に類似した付属肢で個体を1回、2回、3回と攻撃し、それぞれ大きな打撃音をもたらす。SCP-3456個体は3回目の攻撃で半分に引き裂かれ、そのヒト胴体を空中に放り出し、SCPSマイザーの直上を越え落下する。セルキーは全速で帰還しケーブルを最大限張り、SCP-3700-2をその方向から引き離す。ストロンゼー・ビーストは火炎流により中程度の損傷を負い、エンジンルーム付近では明らかに煙が上がっている。]

[SCP-3700-1が海中に投げ出された数人のセルキー乗組員を持ち上げているのが見える。そして彼らを無事に別の通過する駆逐艦の船上に置く。実体は尾部を下に丸めて三日月形の体節だけを海上に見せたまま、SCP-3700-2の方へ向きを変える。SCP-3700-1は渦潮の端部に向かって移動し、2つの目が光を発し始める。SCP-3700-2はL-キャノンの弾幕による中程度の損傷の兆候を見せ始めている。複数のSCP-3456個体が周辺海面に見えるが、小型支援艇により遠ざけられている。]

SCPSマイザー: "致命的一撃に備えろ!"

[SCP-3700-1は集束ガンマ線流を複数回放出し、SCP-3700-2にいくつか大きな穴を開ける。SCP-3700-2は叫び、激しくのた打ち始める。その動きにより駆逐艦のすべての銛のケーブルが切断され、その場にいる全艦船を後方に押しやる複数の大波が作り出される。実体の棘を持つ尾がSCP-3700-1の下から蛇行し、SCP-3700-1の体中央部を刺し貫き、海面から引き上げる。SCP-3700-1は棍棒に類似した付属肢で尾を打撃し、何度も脱出を試みるが、やがてすべての動きが停止する。SCP-3700-2が実体を投げ飛ばし、実体はデルタ-7の先の海面下に落下。再浮上しない。]

SCPSマイザー: "ホーマー活動停止、ホーマー活動停止。全艦はプロトコル・騒然実施のために合流し、再編成を行う。"

[デルタ-7の全艦船が回頭し、SCP-3700-2の逆方向へと移動を開始する。SCPSストロンゼー・ビーストは目に見えて減速し、音を立てて煙を出し、やがて完全に停止する。SCP-3700-2は渦潮の拡大を開始する。SCP-3700-2はのた打つことをやめ、海上は著しい時化となる。SCP-3700-2は大声を発し、逃走する艦船の方へ向きを変え、ストロンゼー・ビーストに気付く。]

SCPSマイザー: "ストロンゼー・ビースト、直ちに離脱しろ!"

ストロンゼー・ビースト: "動けません!エンジンが撃たれました!"

[ストロンゼー・ビーストは渦潮に巻き込まれ、SCP-3700-2に向けて漂流する。触腕が海面下から上昇し、損傷した艦船に巻きつく。SCP-3700-2が口を開け、駆逐艦を飲み込む前段階に入る。SCP-3700-2の顎が閉まり始めたその時、SCP-3700-1が海面下から跳躍し、ストロンゼー・ビーストを掴んでいた触腕を辛くも攻撃して切断する。そして、艦船を弱い力で押すことを試み、損傷した駆逐艦を渦潮の端部のすぐ外へと送り出す。]

[SCP-3700-2は以前とは異なる声を発し、顎でSCP-3700-1の頭部を圧迫する。複数の輝く閃光が見え、SCP-3700-2は苦痛に叫び、のた打ち、その下半分が回転を止める。その触腕が波の下から上昇すると、SCP-3700-1の脚を腹部から引き剥がし始める。SCP-3700-2の触腕は動きを止め、鈍い衝撃音が急速に連続して聞こえる。SCP-3700-2の下顎は切断され、SCP-3700-1は海中へと落下。SCP-3700-2はのたうち始めるが、その動きは弱まり、海中のSCP-3700-1に最後の火炎流を放つ。デルタ-7は反対方向への航進を止め、辛抱強く勝者の兆候を待つ。しかしながら、5分経過後も両実体ともに動きは見られない。]

[デルタ-7は戦闘地点に向かって戻る。そこでは活動もしくは生存している実体は発見されない。デルタ-7が両実体の位置に到達した直後に、両者は溶解し、1つの円形物体がストロンゼー・ビーストに乗艦していた複数の乗組員によって発見される。それはSCP-3700-1がいた海面下に沈んでいた。この時、壁雲は標準的な積乱雲に消散していたが、海面の気象は時化のままであった。]

SCPSマイザー: "こちらデルタ-7から司令部へ。"

司令部: "聞こえている、デルタ-7。"

SCPSマイザー: "少々問題が発生した。"

司令部: "続けてくれ、デルタ-7。"

SCPSマイザー: "SCP-3700-1及び2が双方とも活動を停止した。"

[10秒間の無線沈黙。]

司令部: "繰り返してくれ、デルタ-7。"

SCPSマイザー: "SCP-3700-1及び2が双方とも活動を停止した。"

司令部: "待機せよ。"

[約3分間の無線沈黙。]

司令部: "両実体による影響は健在か?デルタ-7。"

SCPSマイザー: "ネガティブだ、司令部。"

司令部: "両実体の痕跡はないか?デルタ-7。"

SCPSマイザー: "同じくネガティブ。"

司令部: [気がかりな様子で]"アノマリーは無力化したようだ。デルタ-7は、復旧作業後に報告のため帰投せよ。"

SCPSマイザー: "了解した、司令部。"

[復旧作業開始に伴い、約5分間の無線沈黙が発生する。ストロンゼー・ビーストはタグボートに繋がれる。]

SCPSマイザー: "司令部、我々は異常なレベルのガンマ線と深度3 kmにおけるソナー反応を感知している。探査目的での潜水艇配備許可を要求する。"

[約1分間の無線沈黙が経過する、司令部が決定を検討したことが記録されている。]

司令部: "要求は拒否する。報告のために帰投せよ。"

[デルタ-7は先の戦闘現場から回頭し、停泊場の方へと航進し始める。]

[記録の次の5分間、ガンマ線レベルは上昇し続けた。海面の荒波は目に見えて悪化し、数隻の小型艦船が大波で揺れているのが見える。複数の艦船のCCTVカメラは海面の荒波の急激な停止と、デルタ-7の位置から300 mの海面下における4つの大きな黄色の球体の出現を記録する。球体は約2分間存続し、その間に領域内での著しい地震活動が報告され、その後球体は消失する。司令部はこの時点でオブジェクトの存在に気付いたが、デルタ-7には通知されない。]

[これらの物体の消失に続いて、デルタ-7は部隊の直下5 kmで新しいソナー反応を検出する。最初の測定値はある種の金属構造を示していた。]

SCPSマイザー: "司令部、我々は前者の反応信号を失い、もはやガンマ線は検出されなくなった。我々は新たな反応を発見した。深度5 km、巨大で金属製だ。"

司令部: "待機せよ、デルタ-7。"

[司令部は約3分間さらなる措置を議論する。]

司令部: "デルタ-7、探査目的での潜水艇配備許可を与える。注意せよ。SCP-3700-2出現の際は探索チームは失われたと見做され君たちは帰投せねばならない。"

SCPSマイザー: "了解だ、司令部。"

ログ終了

Footnotes
. 艦船にはそれぞれ、海洋水の取り込み並びに集束放電弾の発射が可能な9門のクラス4 L-キャノンが追加導入されています。
. 各々クラス2もしくはクラス3 L-キャノンがカテゴリー5ハリケーンと同等の激しい暴風雨の天候に耐えるための安定化装置に平行して装備されています。
. "ドノヴァン・プロジェクター: 次世代視覚隠蔽"を参照して下さい。
. 主に気象及び地質条件の突発的変化です。
. 再び相互接触するまでの期間は最短2週間、最長6カ月でした。
. homarus gammarus(訳注:ヨーロッパロブスター )に類似しています。
. 4本は先端が鋏であり、残りの2本の先端は棍棒に類似した付属肢となっています。
. 下側の2つの眼は動いているとは見受けられないことから、当初は退化していると考えられていましたが、 SCP‐3700‐2との初期の相互接触によりそれらの真の機能が明らかになりました。
. 訳注:液体が一定の流速を超えた際に、局部的に静圧が蒸気圧未満に低下し発生する気泡。消滅する瞬間に衝撃圧が発生する。
. 正確な測定は、実体がSCP-3700-2以外には非敵対的であるため、定量化不可能であると証明されています。
. 前述の春秋分を除き、約15日後までに出現します。
. 原点として知られています。この場所は3つの諸島すべてから等距離にあり、様々な異なる時代の多数の難破船が存在します。
. 同様な測定が1932年に最初に記録された際は全長16 kmでした。
. 条鰭綱。
. 訳注:フクロウナギ。
. 1945年に実体が最初に出現した際に記録された当初の体長は300 m未満でした。
. 発光源であると推定されています。
. デルタ-7は実体の口部で複数のシロナガスクジラの小群が消滅するところを目撃しています。
. これが発生する理由については多数の理論が現在探究されています。しかしながら地球全体の気候パターンの変化が、SCP-3700-1が過去64回の春秋分周期で優勢であることと併せて、重要な役割を果たしているようです。
. 現在の生理学的研究は、これが相手の肉体的疲労によるものであることを示していると見られます。
. 通常、その期間は北半球における春と夏で一致しています。
. 冬と秋で一致しています。
. 訳注:無酸素・低酸素の水域。海洋生物の死滅を招く。
. 財団職員は浸食速度を鈍化させ、島の緩衝となる消失した砂浜を回復するために、大量の土砂の持ち込みを余儀なくされている。
ページリビジョン: 11, 最終更新: 21 Feb 2024 12:33
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