アイテム番号: SCP-365-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-365-JPは防腐処理を施し真空性のファイルに閉じこまれ、低危険度物品収容ロッカーに収容されます。監視カメラによる24時間体制の監視と録画を徹底し、出現した文章は全て報告書にまとめられます。
SCP-365-JP-1、およびSCP-365-JP-2が発生した場合、文章に合致する地点を割り出したのち周囲5km圏内に可能な限り交通規制と情報規制を行います。その後機動部隊に-8("地域猫")による該当区画の調査を行い、状況に即した事態収束手段の実施後、カバーストーリーを流布します。
SCP-365-JP-3が発生した場合、該当の職員の身柄を確保し、機動部隊に-9("モータルオフィサー") による警護体制を敷きます。不測のインシデント発生を防ぐため、事態の収束が確認されるまで該当職員はあらゆる業務を中止し、オブジェクト収容施設から可能な限り遠方への避難が最優先となります。
財団は未収容のSCP-365-JPに関する情報を収集し、要注意団体、要注意人物による保持が確認された場合は機動部隊も-9("都の狩人")により制圧とオブジェクトの回収、場合によっては破壊します。
現場の職員が財団の収容下に入らないと判断したSCP-365-JPは、本人の判断で破壊することを許可する。この世の本当のことを知っているのは財団だけでよい。 -日本支部理事 稲妻
説明: SCP-365-JPは紀元前一世紀後半に作成されたとされるパピルス片です。財団はSCP-365-JPを2点確保していますが、どちらも著しい経年劣化により推定30%以上が損壊しています。
SCP-365-JPには日本列島で近日中に発生する異常現象を抽象的に予言する文章が出現します。その内容は多様ですが、およそ4種類に分類できることからSCP-365-JP-1からSCP-365-JP-4に分類されています。また予言文の文末には腐敗したカトリック教会を批判したプロテスタント改革派が提唱した文言「五つのソラ」のうちの一つが併記されています。
SCP-365-JP-1は異常なエントロピー変動による異常現象を予言します。主に物品の出現などが伴います。財団はこれまでに788件のSCP-365-JP-1を確認しています。その異常発生範囲は非常に広大であり、財団のエアロゾル記憶処理剤の散布を含む事態隠蔽工作の許容回数を大幅に超えているため、主にカバーストーリーによる異常現象の偽装工作が行われています。文末には「恵みのみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-1文章と予言された異常現象のデータはアーカイブ[365-JP-1_Log.of.E.E/8142176]を参照してください。
SCP-365-JP-2はその時点では作成されていないSCPオブジェクト、AOアイテムに関する報告書を予言します。財団はこれまでに███件のSCP-365-JP-2を確認しています。経年劣化による損壊により収容手順の項目はほぼ全てのケースにおいて解読不能です。財団がSCP-365-JP-2の情報をもとにSCPオブジェクトの所在の調査と回収を試みた場合、その多くのケースで同じくオブジェクトの回収や破壊を目的とした要注意団体との接触、交戦する自体に陥ります。時に財団は完全に後手に回ることもあり、場合によっては確保が失敗に終わります。文末には「聖書のみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-2文章と予言されたオブジェクトの報告書一覧はアーカイブ[365-JP-2_S.C.P.O/8240]を参照してください。
SCP-365-JP-3は財団におけるセキュリティクリアランス4以上の職員の事故死を予言します。財団はこれまでに27件のSCP-365-JP-3を確認しています。病的疾患などのケースは確認されておらず、SCPオブジェクトの収容違反インシデントを含む全てのケースにおいて、突発的かつ予測不能の事故により被害者の8割が死亡、残る2割も重篤な障害を負う結果となります。文末には「キリストのみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-3文章と死亡した職員名簿はアーカイブ[365-JP-3_D.of.M.List/19553]を参照してください
SCP-365-JP-4がなにを予言しているかは依然として不明のままです。財団はこれまでに███████件のSCP-365-JP-4を確認しています。出現する文面の統計から「神聖な」「栄光の」「破滅」「傲慢」「封印」「解放」などの単語が頻出しており、他のケースに比べて圧倒的に神話的、宗教的アプローチが必要であると考えられています。文末には「神の栄光のみ」の文章が記載されています。
発生日時: 1989年09月01日
予言文: 南を睨む竜の顎は桜火と糞煙に満ちるだろう
分類: SCP-365-JP-1
地域: 鹿児島県桜島近辺
確認された現象: およそ二千羽のヤンバルクイナ(学名:Gallirallus okinawae)が出現。40分間市街地上空を群れで飛行した後、桜島火口に侵入した。すべての個体が溶岩により死亡したと推測される。
発生日時: 19██/██/██
予言文: 船も家も土塊では成り立たないのに、どうして橋だけ無事で居られると思うのか
分類: SCP-365-JP-3
対象となった職員: 土橋博士
確認された現象: SCP-1001-JP研究中のインシデントにより死亡。
備考: SCP-365-JP-3が確認された最初の事例のため、当時は収容プロトコルが未整備であった。土橋博士が従事していた研究による何らかのインシデント発生の可能性は予てより指摘されていたが、SCP-365-JP-3は土橋博士が死亡する前日に発生しており、予言を裏付ける結果となった。
発生日時: 1993年12月21日
予言文: 北と西とに翼を開く巨鳥の背の泥中の死の名残に稲妻が落つ
分類: SCP-365-JP-1
発生地域: 新潟県見附市
確認された現象: 該当する地域にて落雷が発生、衝撃により家屋の倒壊が発生し地下の地層が露出した。地下には泥質の土壌が存在し、さらに内部から50名分の人骨が発見された。DNAからは一致する人物の情報は確認されなかった。
備考: 家主の山羽氏は無事だったが、財団が現場を封鎖する前に人骨を目撃した後行方不明となっている。1997/██/██、山羽孝樹をPoI-9332に指定。
発生日時: 2015/██/██
予言文:
説明: 水を張ると底に描かれた魚介類が立体化するビニールプール。出てきた魚たちは絵に戻らないが、プールの水を抜いて乾燥させると再び絵柄が浮かび上がる。
回収日: [損壊部につき解読不可]
回収場所: [損壊部につき解読不可]
現状: [損壊部につき解読不可]
████████████████████████████████ -塚原博士分類: SCP-365-JP-2
該当地域: 京都府██市
備考: アイテムの回収時にマナによる慈善財団のエージェントと遭遇。このことよりマナによる慈善財団もSCP-365-JPと同様のオブジェクトを保有していると推測される。現在AOアイテムとして収容中。
発生日時: 2017年05月26日
予言文: █████████の血はひどく甘いが、いずれ緋く渋いものになる
分類: SCP-365-JP-1
発生地域: ███████
確認された現象: 該当する住宅街に存在した清涼飲料が赤ワインに変異した。カバーストーリー「商品流通トラブル」「愉快犯によるすり替え」を適用。
備考: SCP-525-JPに関連すると推測されるSNSアカウントにより情報が拡散された。該当アカウントの凍結とカバーストーリー「悪質なデマ」を適用。
現在は削除された投稿のスクリーンショット
SCP-365-JPは1966年に神奈川県綾瀬市、1981年に神奈川県横須賀市で回収されました。どちらも小規模の地殻変動により地中から露出したものを一般人に発見されています。そのほかにも1980年に鹿児島県坊津市、1989年に長崎県長崎市、岩手県西磐井郡、1999年に北海道札幌市からも出土していますが、それらは全て財団が存在を捕捉する以前に要注意団体、要注意人物によって回収されたことが確認されています。財団は収容外にあるSCP-365-JPの回収を急ぐとともに、敵対勢力によりそれが困難な場合は破壊を優先とするプロトコルを制定しました。現在財団が確認している収容外のSCP-365-JPの数は12点、GOCを始めとする外的要因により破壊された例は8件、財団が破壊した例は3件です。
補遺: SCP-365-JPが作成されたとされる紀元前一世紀は日本における弥生時代であり、縄文から文化変異したきっかけとして渡来人の存在が有力視されている時代です。またアラビア半島から出土した死海文書の作成時期とも重なる点から、日本およびキリスト教史、特にカトリックおよびバチカンに多大な影響を及ぼす可能性が認められており、研究は慎重を期して行われています。
キリスト教のみでなく、このオブジェクトは財団の存在価値を著しく脅かす。SCP-365-JPをKeterクラスオブジェクトとし、最大限の努力を持ってこれを封じ込めるべし。 日本支部理事 -稲妻
何を言うか。
下関でペリーが、厚木ではマッカーサーが財団を持ち込んだ。ザビエルも出島でもマルコポーロもクラークもそうした。そのさらにずっとずっとずっと前からも。だがいつの世も日本は外を拒みながら甘い蜜だけは啜ろうとする。自分だけ助かろうとしておきながら、安全が確保された時だけ他者を助けてやろうなどと傲慢になる。日本における財団の活躍ぶりは陳腐だ。世界を守ろうという信念が欺瞞に満ちている。君たちの信念は義ではない。
補遺2: 現在までに「五つのソラ」の最後の文言「信仰のみ」に関連する予言文の出現は確認されていません。
語るに及ばず。三大理念への献身のみが世界を救う。 ‐日本支部理事 鳳林