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アイテム番号: SCP-3553
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 発見された全てのSCP-3553実例は財団が押収します。全てのSCP-3553実例を包括的に発見することは不可能であるため、現時点で存在するSCP-3553-A個体の数は不明です。全てのSCP-3553-A個体は財団の拘留下に置かれます。
SCP-3553-A個体をSCP-3553-B事象から保護する試みは、これまでのところ成功していません。これらの試みは、SCP-3553実例が提示するSCP-3553-B事象の期間中、SCP-3553-A個体の継続的な監視と肉体的接触を確実に保つことを重視しています。研究者たちは現在、スクラントン現実錨の運用など、SCP-3553-B事象のより高度な防止手段を調査しています。
説明: SCP-3553はアメリカ合衆国とイギリスで配布される厚紙製の牛乳パックに影響する反復的な現象です。現在までに合計9個のSCP-3553実例が発見されています。
SCP-3553は16歳未満の児童1名の失踪に関する書面のメッセージとして、通常1枚の写真が添えられた状態で現れます。このメッセージは児童の名前、年齢、外見、失踪した場所や日時などの詳細事項を提示します。失踪日時は常に数年先の未来です。文体や表現方式は1980年代から1990年代にかけて行われた牛乳パック呼び掛け運動にやや類似しますが、幾つかの違いがあり、電話番号の欠如が大きな特徴です。これまでの失踪は全て、牛乳パック呼び掛け運動、または類似の活動が行われたアメリカ及びイギリス国内で発生しています。
メッセージが言及する全ての児童は実在します。これらの児童を以下でSCP-3553-A個体とします。言及された全ての失踪事件は指定日時に必ず発生します。これらの失踪を以下でSCP-3553-B事象とします。SCP-3553-B事象を観察する試みは事実上不可能だと証明されています。あらゆる観察の試みは観察者の視界が何らかの形で遮られる結果となっていますが、財団職員は2016年08月19日 2017年07月08日時点で2件 3件のSCP-3553-B事象にしか立ち会っていません。
SCP-3553-A個体は時折、失踪の直前に、SCP-3553-B事象を予知しているかのような素振りを見せます。
SCP-3553は1991年09月05日、ペンシルベニア州スクラントンの地元スーパーマーケットで買い物をしていた財団職員が、偶然SCP-3553実例と遭遇した際に初めて発見されました。これに加えて、少なくとも1人のSCP-3553-A個体が財団職員の子供だったという事実から、SCP-3553の作成者は財団の存在を認知していると考えられます。発見された最古のSCP-3553実例は、牛乳パック呼び掛け運動が開始されるかなり前の1970年代半ばに製造された物と思われます。
以下は既知の全てのSCP-3553実例とそれらの詳細のリストです。リストは各SCP-3553実例の推定出現年代順に並べられています。
SCP-3553-A個体: ジョナサン・ブラウン。誕生日: 1965年05月19日。
SCP-3553の出現日時: 1970年代初頭-半ば。1992年11月12日発見。
SCP-3553の文章: ジョナサン・ブラウンは1978年04月04日に失踪しました。彼は12歳、身長5フィート4インチ、茶色の髪と青い目です。ワシントン週[原文ママ]の██████森に入る姿が最後に目撃されました。もし情報をお持ちでしたら、私たちに連絡してください。
SCP-3553-B事象の詳細: 1978年04月04日、ジョナサン・ブラウンは短い散歩のために外出した。彼は5分後、██████森に入るのを隣人のヒラリー・コックスに目撃されたのを最後に失踪している。
1999年、ブラウンの着ていたジャンパーが██████森で発見された。これ以外の痕跡は回収されていない。
SCP-3553-A個体: サリー・カートライト。誕生日: 1979年01月29日。
SCP-3553の出現日時: 1980年頃。1994年01月08日発見。
SCP-3553の文章: サリー・カートライトは青い目、金髪、6歳で、失踪しています。彼女は7日前にウスターシャーのキャッスルモートン・コモンで姿を消しました。絵を描くのが好きな女の子です。どんな情報でもお持ちの方は私たちにすぐ連絡してください。
SCP-3553-B事象の詳細: 1985年08月07日、サリー・カートライトは両親と共にキャッスルモートン・コモンを歩いていた。サリーは突然動揺した様子になり、両親の前を走り始めた。両親はこの時、サリーが走りながら、絵を描くのによく使っていたノートに何かを書き込んでいたと報告している。サリーは小さな坂を駆け下りながら、一瞬だけ両親の視界を離れた。両親が追い付いた時、サリーは見つからず、衣服、ノート、鉛筆だけが残されていた。ノートの最後のページに"みんなか[原文ママ]したでゆめをみてる"と書き込まれていた。
SCP-3553-A個体: ジョアンナ・スミス。誕生日: 1986年12月08日。
SCP-3553の出現日時: 1991年09月05日頃に発見。
SCP-3553の文章: 情報ヲオ持チノアラユル方々ヘノオ願イデス。ジョアンナ・スミスは1996年12月12日、サイト-109の標準ヒト型生物収容室から姿を消しました。彼女は10歳、身長4フィート1インチ、茶色の髪に緑色の目です。詩を書くのが好きで、晴れた日が好きな子です。
SCP-3553-B事象の詳細: ジョアンナ・スミスは速やかに財団の拘留下に置かれた。彼女は尋問され、SCP-3553の知識を全く持たないと判明した。彼女はサイト-109の標準ヒト型生物収容室18に収容された。失踪時(1996年12月12日の14:43)、彼女は収容室内にいる様子を財団エージェント2名から監視されていたが、停電で照明と監視カメラ映像が消え、警備員の視界を遮った。5秒後、電気が復旧した時点でSCP-3553-B事象は既に発生していた。
警備員の1人 - エージェント ミュリンズ - は後日、ジョアンナ・スミスが停電の直前に"暗いのは好きじゃない"と発言するのを聞いたと報告した。
SCP-3553-A個体: アリ・カーン。この児童は発見、特定されなかった。
SCP-3553の出現日時: 1994年06月15日頃。
SCP-3553の文章: 失踪。至急連絡シテクダサイ。アリ・カーンは1999年08月07日に母親の子宮から拉致されました。情報が切望されています。アナタガ何カヲゴ存知ナノデアレバ、私タチニ連絡シテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: 不明。
SCP-3553-A個体: マイク・カジンスキー。誕生日: 1993年10月20日。
SCP-3553の出現日時: 2000年頃。2006年01月20日発見。
SCP-3553の文章: 至急助ケテクダサイ。マイク・カジンスキーは2004年05月17日、ニューヨーク市5番街のウィルソンズ・キャンディストアを立ち去る様子が最後に目撃されました。彼は身長4フィート4インチ、金髪と緑色の目で、一人きりで怯えています。彼がいる場所は闇です。ドウカ私タチニ連絡シテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: マイク・カジンスキーは、"ウィルソンズ・キャンディストア"経営者のジェームズ・ウィルソンから、店舗を立ち去る様子を目撃されたのが最後の姿である。これ以降、彼もその所持品も発見されていない。
SCP-3553-A個体: ジェイコブ・モントーク。誕生日: 1994年06月17日。
SCP-3553の出現日時: 2003年03月01日頃。2016年07月24日発見。
SCP-3553の文章: 彼ヲ安全ナ場所ニ連レ戻シテクダサイ。ジェイコブ・モントークは叔母さんから心配されています。彼は2008年05月25日に失踪しました。彼は14歳、身長5フィート6インチ、明るい茶色の髪に緑がかった灰色の目です。非常に語彙の多い作家で、心から家に帰りたいと思っています。そこはとても寒いです。ドウカ彼ヲ出シテクダサイ出シテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: 2008年05月25日、ジェイコブ・モントークは学校から徒歩で家に向かったものの、帰宅しなかった。彼の衣服と所持品は同日、乱れていない状態で、オークの木の下に放置されているのが発見された。モントークが緊張した素振りで周囲を見回す姿が、50m離れた場所の監視カメラに捉えられていた点が注目されている。
SCP-3553-A個体: ジェーン・ファーマー。誕生日: 2010年07月09日。
SCP-3553の出現日時: 2007年08月07日頃。
SCP-3553の文章: 赤チャンノじぇーんハ家ニ帰リタガッテイマス。ジェーン・ファーマーは2012年08月21日の午後3時に財団の拘留下から失踪しました。彼女のお母さんもお父さんも切実に心配しています。助ケテクダサイ - 彼女は茶色の髪に緑色の目で、闇を耐えられないほど怖れています。ドウカ夢ヲ止メテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: ジェーン・ファーマーとその近親者は、彼女の生後間もなく財団の拘留下に置かれた。2012年08月21日、ファーマーはサイト-44の屋外実験施設9に移送され、エージェント10名と監視カメラ映像の観察下に置かれた。15:04、カメラ映像が途絶し、現場にいた全てのエージェントは近くにある実験施設Dの窓から突然放射された激しい閃光で一瞬だけ視力を喪失した。この閃光はSCP-███の実験で引き起こされていた。この一瞬の観察中断の間に、SCP-3553-B事象は発生していた。
ファーマーには多数の記録・追跡装置が外科的に埋め込まれていたが、これらはファーマーと共に消失しなかった。
SCP-3553-A個体: ロバート・フェンチャーチ。誕生日: 2006年02月26日。
SCP-3553の出現日時: 2001年08月18日頃。2015年04月09日発見。
SCP-3553の文章: 私タチノ息子ヲ見マセンデシタカ? ロバート・フェンチャーチは2017年07月08日の02:04にサイト-1010で最後に目撃されました。彼は茶色の目をしています。彼の母親、サイト-1010のフェンチャーチ博士は彼をとても心配しています。ロバートは優しい子なので、お母さんに自分は大丈夫だと、生きていると、怖いけど平気だと知らせたいのです。ドウカ彼ヲ引キ戻シテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: 未発生; 日付は未来である。ロバート・フェンチャーチは財団の拘留下に置かれた。 詳細は下記の補遺1を参照のこと。
SCP-3553-A個体: アンナ・シンガー。誕生日: 2003年09月01日。
SCP-3553の出現日時: 2013年06月05日頃。
SCP-3553の文章: 彼女ヲ闇カラ連レ戻シテクダサイ。アンナ・シンガーは身長5フィート3インチ、茶色の髪に青い目です。彼女は馬に乗るのが好きで、闇の中でとても寒がっています。彼女は両親に戻ってきてほしいのです。どうして彼女の下には両親が戻ってこないのですか。彼女は2018年09月08日の大規模収容違反の最中に失踪しました。そして今、彼女は闇の中で夢を見ています。もし彼女の行方について何らかの情報をお持ちであれば、ドウカコノ通リデス助ケテクダサイ彼女ヲ連レ戻シテクダサイ。
SCP-3553-B事象の詳細: 未発生; 日付は未来である。アンナ・シンガーは財団の拘留下に置かれた。差し迫ったSCP-3553-B事象を防止するための収容プロトコルは今後実施されない。研究が進行中である。
対象: SCP-3553-A-8.
日付と時刻: 2017年07月08日の02:03、SCP-3553実例によって予告されているSCP-3553-A-8の失踪予定時刻。
配置: SCP-3553-A-8はサイト-1010の安全実験施設に配置された。12個の投光照明が直接SCP-3553-A-8に向けられ、それぞれが独立した電源に接続された。15名の財団職員がSCP-3553-A-8を観察していた。フェンチャーチ博士とジョーンズ博士がSCP-3553-A-8の腕と手を掴んでいた。幾つかの蝋燭と鏡がSCP-3553-A-8の周囲に配置された。SCP-3553-A-8の精神的ストレスを和らげるために、彼はこれが"悪魔"を追い払うための宗教儀式だと伝えられていた。数基の活性化したスクラントン現実錨がSCP-3553-A-8の周囲に配置された。フォンセカ博士が研究主任を務め、10ヶ所のカメラ映像を通して事象を監視していた。
SCP-3553-A-8の母親であるフェンチャーチ博士は、実験中のSCP-3553-A-8との交流を要請していた。要請はフォンセカ博士によって承認された。
過去の実験結果を基に、この実験が成功する可能性は低いと見做されていた。
<記録開始>
フォンセカ博士: OK、ロバート、私たちからはあなたがちゃんと見えてますよ。お母さんとジョーンズ博士が身体を掴んでいてくれます。気分は大丈夫ですか?
SCP-3553-A-8: は- はい、ありがとうございます、おばさん。
フォンセカ博士: 言ったでしょう、マリアで構いません。OK、T-2分。頑張って、ロバート。
特に会話無く1分が経過する。
SCP-3553-A-8: ねぇ、ママ?
フェンチャーチ博士: なぁに、ロバート?
SCP-3553-A-8: これ- これで僕は大丈夫だと思う? 何だか... ずっと何かが起こりそうな気がしてるんだ。
フェンチャーチ博士: あ-
フェンチャーチ博士は一瞬身を強張らせ、目に見えて緊張した様子になる。
フェンチャーチ博士: ま- 全く何も関係ないわ、ロバート。ここにあなたを傷付ける物は無い。ここでは誰もが友達よ。あなたは完璧にあ- 安全なの。
SCP-3553-A-8: ただちょっと僕、あの、誰かが話してるのを聞いたんだ-
フォンセカ博士: 何もあなたの身には起きません、ロバート。起こるはずがないんです。私たちがしっかり対策を整えました。ですから、もう少し辛抱してくださいね?
SCP-3553-A-8: ...怖いよ、ママ。
ジョーンズ博士: 大丈夫だよ、ロバート君。問題ないんだ。周りをご覧。こんな所で悪魔が君を襲いに来るものか。光が私たち全員を照らしている。何も君には近寄れない。
フェンチャーチ博士: 心配しないでいいのよ。私が一緒だから。大丈夫。
SCP-3553-A-8: ...分かった。
ジョーンズ博士: T-30秒だ、フォンセカ博士。
フォンセカ博士: ありがとう。さぁ、ロバート、男の子らしく胸を張りなさい!
SCP-3553-A-8が静かに泣き始める。
SCP-3553-A-8: マリア?
フォンセカ博士: 何ですか、ロバート?
SCP-3553-A-8: 僕はあの牛乳パックが何か分かると思う。
フェンチャーチ博士: え- えっ? ロバート? どういう意味?
SCP-3553-A-8: みんなは... 他の子たちは、お家の夢を見てる... みんなただ僕らに警告しようとしてるだけなんだ...
フェンチャーチ博士: ロバート、やめて! どうやってあれの事を知ったの?
フォンセカ博士: 家の夢を見ている? どういう意味ですか、SC- ロバート?
SCP-3553-A-8は4秒間沈黙する。
フォンセカ博士: ロバート? 大丈夫ですか?
フェンチャーチ博士: い- 良い子ね、大丈夫よ、すぐに何もかも平気になるわ...
SCP-3553-A-8: マ- ママ、愛してるよ。これはママのせいじゃないからね?
フォンセカ博士: ロバート、そんな必要は- あの、何か他に言いたいことがあれば-
SCP-3553-A-8: ママがママだったせいじゃない、ママは悪くない... 親はみんなそうなんだ。親は心配なんだ。そしてこれが後に来るものなんだ。
フェンチャーチ博士: な- 何?
SCP-3553-A-8: どうか- どうか暗闇を怖がらな-
この時点で停電が発生し、全ての映像・音声リンクが途絶すると共に、投光照明が消えた。10秒後に電力が復旧した時点で、SCP-3553-A-8は既に消失しており、現場の職員らは激しく苦悩していた。全ての蝋燭は消えており、スクラントン現実錨は完全に焼けていたことが判明した。混乱の中で、SCP-3553-A-8の消失を観察できた者はいなかった。
ジョーンズ博士は停電に際し、恐らくは一瞬の動揺によって、SCP-3553-A-8の手を離していた。しかし、フェンチャーチ博士は手を繋いだままだった。彼女は後ほど、SCP-3553-A-8が2-3秒かけて"下方に引きずり込まれる"のを感じたと報告した。
<記録終了>
注記: 当該事案に続き、フォンセカ博士とフェンチャーチ博士は別なプロジェクトへの異動を要請した。これらの要請は承認されている。