クレジット
タイトル: SCP-3434-JP-J - 靴の角度
著者: yanyan1 yanyan1
作成年: 2024
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SCP-3434-JP-Jのおおよその配置。
アイテム番号: SCP-3434-JP‐J
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3434-JP‐Jの影響を受けた人間を発見した場合は対象を確保し、要監視対象として収容してください。
現行の報告書を閲覧した職員はSCP-3434-JP‐Jの研究に関連する業務を終了した後に記憶処理処置を受け、本報告書に明記されているオブジェクトに関する記憶を抹消してください。
説明: SCP-3434-JP‐Jは特定の靴の配置により発生する認識災害です。現在、財団はSCP-3434-JP‐Jによる影響を受けたと思われる人間12名を収容しており、経過観察も含めて研究が継続されています。
SCP-3434-JP‐Jが発生した場合、それを視認した人間はその靴およびそれに付随する状況や環境に対して激しい感情の変化や性的興奮を覚えます。その後、恒常的にそれらの症状を発症し続ける状態へと移行し、特に靴の配置や角度に強い執着心を抱くようになります。これらの影響は主に男性に対して顕著に発生しますが、時折女性にも影響を及ぼします。
現在、担当研究班の調査によりSCP-3434-JP‐Jの効果を最大限に発現させる角度の特定が完了しています。なお、一部の重篤な症状を発症した人間の現状などから今後の再現実験は一部凍結されています。
前述した異常性は視認した人間すべてに発現するわけではなく、一部の人間には一切症状が現れない事が判明しています。しかし、異常性に暴露した人間が通常の人間と接触しかつSCP-3434-JP‐Jに関する対話や解説を行った場合、症状が現れなかった人間にも同様の異常性が発現する事象が確認されています。(この事象を切っ掛けにSCP-3434-JP‐Jの伝播性が発覚したため、オブジェクトクラスの改訂が行われました。)
SCP-3434-JP‐Jの影響は記憶処理を用いることで改善できます。しかし、暴露経験のある人間を記憶処理後に再度SCP-3434-JP‐Jの影響下に置いた場合、以前と同様にSCP-3434-JP‐Jの影響を受ける事象が確認されています。このことから、SCP-3434-JP‐Jの影響に起因する要素はSCP-3434-JP‐J自体ではなく影響を受ける人間が保有する特定の知識や記憶であると予想されています。現在、担当研究班はその記憶や知識の特定を行っています。
以下はSCP-3434-JP‐Jを発症した人物へ行った簡易調書の抜粋です。
SCP-3434-JP‐Jを発症した人間の発言の抜粋
田中 ██氏: 何と言うか......エロいなって
エージェント・牧野: そこにある物だけを見るんじゃないんですよ。そこから派生する物語を見てるんですよ
D-362: こう、あるだろ。黄金比と言うか、丁度いいと言うか。それなんだよ
██博士: 多分スカート丈は長い。けど、脛辺りから膝の少し下ぐらいが丁度いい
飯尾 ██氏: この画角がね、大事なんですよ。そこが安定すると、あの幸薄そうな子が見えてくるんです
坂田 ██氏: 癖っ毛長髪ボサ髪幸薄眼鏡っ娘。異論は認めない
田島 ██氏: わかる
中野 ██氏: わかる
田中 ██氏: いや、眼鏡はいらなくね?
坂田 ██氏: は?
田島 ██氏: は?
中野 ██氏: は?
補遺: SCP-3434-JP‐Jの影響を受けた人間は異常性の原因となっている靴に関連して架空の人物の想起を多々行います。なお、これらの影響は現状では何ら問題は無いと判断されていますが、現実性が虚弱な地点での集団想起を行った場合、SCP-3434-JP‐Jに付随する人物の顕現が発生するのではと危惧されています。
その為、財団は定期的にSCP-3434-JP‐Jの影響下にある人間が想起する人物に一定の相違点を発生させるように操作しており、特定の人物像への想像の発展を阻止しています。
万が一SCP-3434-JP‐Jの影響が広範囲に及びかつ不特定多数の人間が特定の人物を想起した場合、SCP-3434-JP‐J異常性発生下であるという特殊条件下においてどの様な実体が顕現するのかは未だ想定されていません。
発見経緯: SCP-3434-JP‐Jはインターネット上の匿名スレッド内での言及を切っ掛けに発見されました。当初、該当スレッド上ではスレッドを作成した特定個人がSCP-3434-JP‐Jについて言及しており、最初期こそ第三者からの賛同は得られていない状況でかつスレッド上でも嘲笑の対象として認識されていました。しかし、該当人物がSCP-3434-JP‐Jが発生している画像を添付したことで暴露者が続出。その時点でSCP-3434-JP‐Jの影響受けた人物は14名に昇り、各人物が画像の拡散を開始しました。
その直後、ネットミームの監視を行っていた職員がその拡散力と影響の度合いから対象をネット上の異常発生事案としてマークしました。結果、現在の収容体制を確立したうえでSCP-3434-JP‐Jの影響を受けた人間全員の収容を完了しました。
現在、要収容対象として財団職員を含んだ12名を限定して収容し、その他の人物に関してはBクラス記憶処理を適用したうえで解放しています。ですが、SCP-3434-JP‐Jの拡散力を考慮しネット上での監視体制は継続されています。
実験記録: 以下は元SCP-3434-JP‐J主任研究員である██博士が所持していた研究レポートの抜粋です。
現在、██博士は要収容対象として財団の監視下で収容されており、本人の意向により記憶処理処置も延期され定期実験の被検体として起用されています。
なお、██博士の処遇は彼の残した実験記録によりSCP-3434-JP‐Jの影響範囲などの特定が可能になった功績やその献身性を考慮し、一定範囲内までの自由行動が許可されています。
現状、対象資料を閲覧した職員はSCP-3434-JP‐Jの影響拡大防止の為、職務遂行後に記憶処理処置を受ける事が義務付けられています。
CASE001
実験001
音声ログ: 通常の靴の配置ではSCP-3434-JP-Jの発生は見られない。この状態を起点とし、徐々に対象物の配置角度を変更していく。なお、この実験に際しては私自身を一種の被検対象とする事で主観的な側面での分析も視野に入れた実証実験として扱う物とする。私自身がこの異常性に暴露する事でより精巧な精神影響の分析が可能になるだろう。以上。
CASE002
実験002
音声ログ: 特定の角度以外の配置を行ったとしてもSCP-3434-JP‐Jの発生を思わせる様な事象は実感できない。ただ靴がズレて置いてあるなということ以外の感想は得られなかった。しかし、過去SCP-3434-JP‐Jの影響を受けた被験者の様子を見てきたが見た目上は何ら変化は見られなかったものの根底にある物事への認識の乖離が窺えた。少なくもとその様な印象を受けた。これは、第三者の立場にふんぞり返っているままでは到底特定できない事柄だろう。犠牲無くして発展は有り得ない。次の実験で、改めてSCP-3434-JP‐Jを発生させる配置での視認を試みる。私がどんな有様になったとしても、これが私の次に続く者の道しるべになる事を祈っている。以上。
CASE003
実験003
音声ログ: ......え、これ......。まじ? ......は? マジじゃん。......え、やっば。ちょっ......え? いや、待ってよ〜ええぇ〜? だーめだってこれ......え〜?
CASE004
実験004
音声ログ: いや、靴の配置を左右入れ替えて再度実験してみたけどさ......。まあ、これじゃない感はあるよね。てか......まじで色々頭ん中に浮かぶんだけど。いやさ? そこまでさ? ふくらはぎとか太ももとかは太くなくても良い派だったけどさ。ここまでぶっ刺さることある? それともこの靴だけっていう情報がそうさせるの? 見えないものを見ようとして的な? だからこそ、その人の性癖に刺さるって事? いや、それにしたってエロいじゃん〜。まじぶっささんだけどーしんどいわ〜。
CASE005
実験005
音声ログ: えっど!! いや、えっっっっっど!! いや、アマゾンで衝動的に買っちゃった俺も悪いけどさあ! これは反則だろう!! えぐいわ〜! え? これ他の靴でやったらどうなんの!? まじでどうなんの!?
CASE006
実験006
音声ログ: かまととぶってんじゃねえぞビッチが。█すぞ。
CASE007
実験007
音声ログ: [無言]まあ、分からなくはない。いや、どっちだ......? 俺は、扉を開きかけてるか?
CASE008
実験008
音声ログ:あああああああ、これはあああああああ!! 行けるかあああ??? いやあああ、男装の麗人......!! いや、それだと作り過ぎてるし......!! ぐああああああ!! 俺はホモじゃなああああい!!
CASE009
実験009
音声ログ: あー、やっぱこれだわ。この中性的な感じ。良いわ〜。俺だけの子だわ〜。靴下履かせて〜。
追記: 以下の記録は収容中の██博士が新たに追加したレポート記録の抜粋です。検閲の結果、文章内には何ら異常性は認められませんでした。
SCP-3434-JP‐Jの異常性を誘発させる原因は人間の有する知識、記憶、そして創造性に依存している。現に、SCP-3434-JP‐Jの影響下に置かれた人間はSCP-3434-JP‐Jの記憶を抹消したとしても再びSCP-3434-JP‐Jへと帰結する。私の実験はその影響の範囲、そして我々人類という存在がいかに想像と想起の世界で生きているのかを証明した。もし完全にSCP-3434-JP‐Jを排斥しようと試みるのならば、私達は人類の持つ創造性を捨て去らねばならない。我々は常に、己の中に見出した何かを見つめながら生きている。現実など、所詮は視神経が受け取った信号を脳が再現しているに過ぎない。いついかなる時も、我々はそこには無い何かを想起し生み出し続けているのだ。
だからこそ、私は今後、新たなSCP-3434-JP‐Jが出現すると予想している。私にはその確信がある。ジーンズの展示に使う下半身だけのマネキンてエロくね? ‐██博士