SCP-3337-JP
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クレジット

タイトル: SCP-3337-JP -七つの子
著者: ©︎miyageubusuna miyageubusuna
作成年: 2024


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SCP-3337-JP

アイテム番号: SCP-3337-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3337-JP関連事象に対する一連の収容作業は完遂宣言がなされています。財団が把握する全てのSCP-3337-JP-A及び-Bは社会生活に復帰しており、関係者に混乱は見られません。

より詳細な収容記録はを参照してください。

SCP-3337-JPはスピーカーを取り外して無力化された状態を維持し、対象の周囲10m2の範囲の侵入防止措置が継続されます。

説明: SCP-3337-JPは千葉県船橋市に所在する、起源不明の屋外拡声装置です。対象は旧式の屋外拡声子局と似た外観をとりますが、無線放送を傍受する機能を有していません。

SCP-3337-JPは毎年9月、船橋市の防災行政無線を模した放送を行います。放送の頻度は不定期ですが、全ての発生事例は日没の1時間程度前の時刻に観測されています。


音声ファイル/3337-JP(汚染除去済):

[フレーム]


SCP-3337-JPによる放送は影響範囲内の人物にクラスII-タイプFに分類される認識阻害特性を付与し、後述するSCP-3337-JP-Aの「入れ替わり」を受容させます。推定される最大影響範囲は半径およそ300mです。

SCP-3337-JP-Aは放送を聞いた人物のうち、初期症状として夕暮れ症候群に類似した行動をとる曝露者への指定です。

この精神影響は自宅内で放送を聞いた人物に対しても有効であり、SCP-3337-JP-Aは「早く家に帰らなければならない」という焦燥感に駆られ、屋外を徘徊したのち影響範囲内の住居に侵入を試みます。

SCP-3337-JP-Aが住居に侵入した場合、対象と当該住居の元の居住者1名(SCP-3337-JP-Bと仮指定)との「入れ替わり」が発生します。この際、SCP-3337-JP-A及び-Bは、不明な機序によって互いの記憶を一定程度引き継いでいると考えられ、各世帯での従来の役割をそのまま果たすかたちで新たな家族に受容されます。

SCP-3337-JPは警察機構に潜入してたエージェントが不審な通報を傍受した事案を受け、発見されました。

以下は初期調査記録の抜粋です。

音声ログ3337-JP-AC1

対象: 和泉みく氏

<記録開始(2022年9月15日)>

はい、ずいぶん久しぶりの帰省でした。

高校を出てから私は関西の食品メーカーで働くことになって、しばらくしてコロナ禍になりました。

父とは折り合いが良くなかったし、母はとっくに離婚して絶縁していたので、実家からは足が遠ざかっていたんです。

それで、コロナを言い訳にして帰らない年が続いて、そのうち当時の彼氏と色々あったことも影響して、結局その日は3年ぶりの帰省になりました。

父が駅まで迎えに来てくれるって言うので待っていたら、しばらくして「駅の反対側にいる」ってLINEが来てて。

いつもこっちの出口なのに、なんて不満もそこそこにして歩いて行くと、ロータリーに父の車が止まっているのが見えました。車の前に横並びで、父、祖母、それから歳の離れた弟のりく。皆、遠巻きに手を振ってくれていました。

りく、しばらく見ないうちに背が伸びたな、とか、ばあちゃん相変わらず変な柄のシャツ着てるなとか、ちょっと懐かしい気持ちになりながら近づいて行ったんです。そしたら並んで手を振ってたのは私の家族そっくりの、全然知らない人たちでした。

<記録終了>

終了報告書: 本事案を受け、当該事象はURA-3337-JPと暫定的に指定され、現地に調査員が派遣されました。

周辺住民への聞き取りの結果、調査初期段階で現在のSCP-3337-JPが発見されています。

対象の認識阻害特性を鑑み、サイト管理者より推定影響範囲の住宅の全戸調査が提言され、これが実施されました。


全戸調査の結果、複数名の住民が本来所属していた世帯と異なる家庭内で生活していたことが判明しました。

また、前述した精神影響及び入れ替わりは、SCP-3337-JP-Aあるいは-Bのどちらかの社会生活に著しい支障が発生したタイミングで解消される事が分かっています。このことからSCP-3337-JP-Aによる入れ替わりは通常、曝露後すぐに解消されるものと推察されます。この場合も認識阻害特性は有効であり、当人や関係者が激しいパニックを起こした事例は確認されていません。

一方、COVID-19による外出自粛等の複合的な要因により、SCP-3337-JP-Aのうち外部との関係性が希薄な構成員を中心に、入れ替わりが長期化していた例が見られました。

以下は全戸調査が実施された際の最終報告書の抜粋です。なお、異常性の特性上SCP-3337-JP-Aと-Bは正確に区別されていない可能性があります。

収容報告書3337-JP-N1

No. -A-1 -B-1
名前 岩木陽介 高山圭一
年齢 14歳 15歳
性別 男性 男性
役割 息子 息子

曝露後の推定経過年数: 7年

特記事項: SCP-3337-JP-A-1及び-B-1は小学校時代より不登校状態が継続していました。


収容報告書3337-JP-A-N2

No. -A-2 -B-2
名前 佐倉夏華 横江ゆず
年齢 2歳 2歳
性別 女性 女性
役割

曝露後の推定経過年数: 2年

特記事項: SCP-3337-JP-A-2及び-B-2がどのようにして入れ替わったかは不明。


収容報告書3337-JP-N3

No. -A-3 -B-3
名前 水野亜沙美 杉山ももか
年齢 31歳 29歳
性別 女性 女性
役割

曝露後の推定経過年数: 2年

特記事項: SCP-3337-JP-A-3は-B-3の夫との間に女児を妊娠、出産していました。女児は財団保有の養育施設にて保護。


収容報告書3337-JP-N4

No. -A-4 -B-4
名前 西沢修斗 五藤稼頭央
年齢 1歳 92歳
性別 男性 男性
役割 曾祖父 息子

曝露後の推定経過年数: 1年

特記事項: 西沢夫妻はSCP-3337-JP-B-4を実子として養育していました。-B-4は要介護4の認知症患者であり、言語障害により発語が見られない状態でした。SCP-3337-JP-A-4及び-B-4がどのようにして入れ替わったかは不明。


収容報告書3337-JP-N5

No. -A-5 -A-6 -B-5 -B-6
名前 永嶋賢二 永嶋美奈 大沢恭吾 大沢奈緒美
年齢 29歳 37歳 33歳 34歳
性別 男性 女性 男性 女性
役割 父親 母親 父親 母親

曝露後の推定経過年数: 1年

特記事項: SCP-3337-JP-A-5/-A-6[永嶋夫妻]は実子への虐待行為で警察機構が介入していた経歴が見られました。

SCP-3337-JP-B-5/-B-6[大沢夫妻]については温和な人柄であったとの情報が収集されましたが、入れ替わり後は永嶋夫妻の実子に暴力を行使していた痕跡が確認されています。両夫妻は影響範囲内の同じ職場に勤務していました。

収容報告書3337-JP-N6

No. -A-7 -A-8 -B-7 -B-8
名前 香川正彦 秋山栄枝 和泉礼司 和泉玉江
年齢 56歳 82歳 55歳 79歳
性別 男性 女性 男性 女性
役割 父親 祖母 父親 祖母
No. -A-9 -A-10 -B-9 -B-10
名前 崎田明子 谷瀬宗次 和泉みく 和泉りく
年齢 22歳 14歳 22歳 13歳
性別 女性 男性 女性 男性
役割 息子 息子

曝露後の推定経過年数: 1〜5年

特記事項: 家族構成員全員が入れ替わっていた事例。

うち、最も長期の入れ替わりが見られたのはSCP-3337-JP-A-9/-B-9であり、-A-9は[和泉みく]氏として県外で社会生活を送っていました。両者には記憶処理を施したのち、社会復帰プログラムが実施されましたが、-A-9については従前の引きこもり状態に戻っています。


収容報告書3337-JP-N7

No. -A-11 -A-12 -B-11 -B-12
名前 鈴木正英 森本成実 N/A N/A
年齢 35歳 34歳 N/A N/A
性別 男性 女性 N/A N/A
役割 父親 母親 N/A N/A
No. -A-13 -A-14 -B-13 -B-14
名前 安藤利香 不明 N/A N/A
年齢 5歳 不明 N/A N/A
性別 女性 男性 N/A N/A
役割 息子 N/A N/A

曝露後の推定経過年数: 4〜7年

特記事項: 異常性検証の過程で、最終的に元の居住者が不明な住居が1件確認されました。

当該住居に過去7年間、入居者が存在した公的記録はありません。

なお、財団が接触した時点でSCP-3337-JP-A-11〜14は住居内で生活していた記憶のほとんどを忘失しており、詳細な調査は現在打ち切られています。当事例で入れ替わりが発生しなかった要因は不明ですが、特筆すべき点としてSCP-3337-JP-A-11〜13の家族は彼らを赤の他人であると認識していました。

追記: SCP-3337-JP-A-14は小学校低学年程度の年齢であると推察される、身元不明の男子児童です。学校教育を受けていないことに起因する学習の遅れがありますが、そのほかの異状は見られません。対象は個人を特定する情報を有しておらず、周辺住民との血縁関係は確認されませんでした。なお、SCP-3337-JP-A-11〜13は対象について共通して、「かわいかった」とのみ証言しています。

対象は現在、財団保有の養育施設に保護されており、変わらない見守りが続けられています。

Footnotes
. タイプF認識阻害は他者との関係性を曖昧にする特性を有します。記憶処理剤の投与により、曝露者への影響を取り除くことが可能です。
. 認知症患者に見られる症状。夕方から夜間にかけて焦燥感や攻撃性が増すほか、徘徊、せん妄などの症状が悪化する。典型的な症例として、患者は現在の居住地に関わらず「自宅に帰らなくてはならない」という観念に駆られる。
. 父、母、息子、娘、兄、妹などの家族を構成する要素。
. 専門的技能を要求される労働や、影響範囲外の人物との接触、また学校などの人間関係が複雑な環境への参画がこれに該当します。
. 父親が同業者、子が引きこもり状態であったこと等の複合的要因により、入れ替わりが長期化したものと考えられます。
. 住居は賃貸住宅として登録されており、物件の所有者によって生活インフラの供給が維持されていました。
ページリビジョン: 3, 最終更新: 14 Sep 2024 14:38
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