アイテム番号: SCP-████
代替指定: 非標準指定"TYRFING"
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: "TYRFING"感染性を有する情報の物理的な複写が常に保存されます。当該複写は、他の"TYRFING"感染源が全て失われた場合にのみ、電子的な複製を作成する目的で用いられます。
"TYRFING"感染性の情報が含まれた電子ファイルは、他のファイルを含まない外部記憶装置に保存され、利用は"TYRFING"関連職務に割り当てられた職員に限定されます。元のファイルの読み込み及び閲覧は禁止されます。実験対象は、実験中にのみファイルのコピーに曝露させられます。
"+TYRFING"対象とのコミュニケーションは、"TYRFING"感染情報を自動的に判別するように開発された専用メッセージプログラムを通じてのみ行われます。制限の回避を試みた職員は厳正に処罰されます。
"-TYRFING"後の再配置時の混乱を最小限に抑える為、"TYRFING"関連職務に任命された職員に対して番号指定は開示されず、代替指定を用いて異常について言及する必要があります。
説明: 非標準指定"TYRFING"は情報アレルゲン性を有する情報依存概念です。"TYRFING"の存在は特定の媒体に依存しません。情報の観測・保存が可能なあらゆる手段により、"TYRFING"の観測・保存が可能です。"TYRFING"情報を明確に有する個人及び情報は、異常性質に感染したと見做され、以降"+TYRFING"と呼称されます。
知性を有する"+TYRFING"宿主は、"TYRFING"を他の既知の概念と比較することを強制されます。比較は時に突発的あるいは非合理なものですが、二つの概念を結びつけるまたは比較する要素が必ず含まれます。感染初期の段階では、"TYRFING"は強力な記憶補強的性質を示すことが実験により確認されています。"+TYRFING"対象は"TYRFING"及び比較された全ての概念に関する詳細な情報を想起することが可能であり、この効果は財団の有するあらゆる記憶処理手段による阻害を退けます。宿主は"TYRFING"を拡散することへの異常な欲求を覚え、非感染者と思われる人間に対して情報を伝達することを試みます。
知性を有する"+TYRFING"宿主が、他の人間を"TYRFING"感染させることに成功したと信じるに至った場合、異常性質は第二段階へ移行します。ここで、他者の感染に成功したか否かは無関係です。宿主が"TYRFING"の曝露に成功したと信じた時点で第二段階の性質が発現します。第二段階"TYRFING"並びに関連付けられた全ての概念は、宿主("-TYRFING"に指定)に対してのみ反ミーム的性質を示します。宿主はこれらの概念についての情報を想起することが不可能となります。"TYRFING"のミーム的性質は、財団が開発したあらゆる記憶補強処置による阻害を退けました。
失われた概念を直接的/非直接的に認識させる情報に"-TYRFING"対象が曝露した場合、永続的な認識改変により伝達が妨げられます。対象はあらゆる視覚・聴覚・触覚媒体に反応を示しません。
"TYRFING"の効果は生物に、また動的な対象にさえ限定されません。ダミーAICプログラムは"-TYRFING"生物対象と同様の被感染特性と、類似した反ミーム障害を示します。
非生命の情報記憶媒体も"TYRFING"の反ミーム作用であると推測される影響を受けます。当該媒体を経由して人間が"TYRFING"に感染した場合、媒体に含まれる一切の関連情報("TYRFING"感染を受けていない情報も含む)が視覚情報ならば判読不能に、音声情報ならば理解不能な形へ直ちに変化します。デジタル情報は修復不可能な破損を受けますが、依然として記憶領域を占有します。"TYRFING"の影響を受けていない人間が"-TYRFING"視覚文書を読むことを試みた場合、文章の存在を認識することは可能ですが、意味を見出すことは出来ません。同様に、録音された発声の存在を認識することは可能でもその内容を理解することは出来ません。
初期収容は、サイト██における"TYRFING"の流行の後に成されました。サイトに配置されていた職員の過半数は、無秩序な物体や概念の認識能力の欠如を経験しました。失われた概念が職員毎に異なったことから、感染性認識災害の存在が認知され、サイトは職員によって閉鎖されました。初期収容担当の職員が第二異常効果の影響を受けるまでに、推測された異常性に関する非感染性の文書の作成並びに"TYRFING"感染性文書の隔離が達成されました。
実験記録████:補遺1: 事案記録████-01
2018年04月10日に計画されたDクラスを用いた実験において、3名の研究員が"TYRFING"に感染しました。研究者及び実験者間での"TYRFING"感染の試みを自動的に検出する自動編集システムは実験の前日にアップデートされていました。このアップデートによりスタックオーバーフローが発生し、プログラムの停止を招きました。
"+TYRFING"状態において、████████ ██████次席研究員は不明な電話番号に向けて不確定のテキストメッセージを送信しました。██████次席研究員が"TYRFING"の第二性質を示したことから、当該テキストメッセージは"TYRFING"感染情報を含んでいたと考えられています。反ミーム的異常性質により、これらの行為に関する██████次席研究員への尋問は不可能であり、同様に受け取り人の電話番号は回収されませんでした。当行為があらかじめ意図されたものであったか、異常による欲求に追従したものであったかは調査が進行中です。
補遺2:
事案████-01に関与した職員3名の進行中の監視により、"TYRFING"の遺伝的特性が新たに判明しました。2018年04月10日以後に生まれた███ ███研究員の全子息は研究員と同様の認識改変を受けていることが確認されました。具体的に、対象は梨の存在を認識・学習することが出来ませんでした。一方、子を対象とした実験では、"TYRFING"被感染特性は残存しており、追加的な認識改変の可能性が示されました。
現在のところ、"TYRFING"との相関を示す異常性遺伝マーカーの存在は確認されていません。潜在"TYRFING"マーカーの同定は高優先度の研究タスクに指定されています。