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アイテム番号: SCP-3185
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 収容プロトコル89B ("NOFREEBOOKS") に従って、アメリカ合衆国郵便公社 (USPS) に潜入中の財団エージェントは現在、カリフォルニア州ロサンゼルス郡、ベンチュラ郡、オレンジ郡にある全ての主要なUSPS支局を管理しています。アメリカレコード協会 (RIAA) 及びアメリカ映画協会 (MPAA) に雇用されている給与所得者宛の郵便物、並びにカリフォルニア州南部に位置するアメリカの主要な映画会社のCEOや取締役宛の郵便物は、財団エージェントによって検査されます。SCP-3185に関連する全ての郵便物は流通から除去され、研究目的で押収されます。
地域02C (カリフォルニア州南西部・南部) 管理官の裁量次第で、対照試験のために少数のSCP-3185実例が配送・監視される場合があります。
説明: SCP-3185は"パブリックドメイン保護サービス"の名称で知られる団体もしくは実体に関連する現象です。SCP-3185は、その時点でカリフォルニア州南部に在住し、上述した収容プロトコルに記載されている組織のいずれか1つの雇用下にあり、影響を受け得る地位に就いている人物に宛てたビジネスレターの形式を取ります。この書状 (差出人住所無し) は、受取人と現在の雇用主の繋がりを簡潔に批判した後、受取人がパブリックドメインの代理人として"徴募"されたと述べます。手紙は誰でも開封可能ですが、受取人が読んでその内容を理解するまで、主要な異常性が発現するまでのカウントダウンは始まりません (SCP-3185活性化条件パラメータの詳細については補足ログ3185/Aを参照) 。
パブリックドメイン保護サービス
からのメッセージ
2011年9月14日
アーノルド・フー
イグレシア通り235番地
カリフォルニア州ベンチュラ 93005前略、フー様
我々は貴方が現在、反パブリック活動を一貫して繰り返し行っていることが知られる組織で、重要な地位に就いていることを把握しております。パブリックドメインの代理人として、我々は、貴方が自分自身の目標に向けて利己的に行動し、貴方を雇用している組織が貴方がたや我々の文化に永続的損害を及ぼしていることに気付いていない、もしくはそれを気に留めていないことをここに批難します。
著作権修正法典の悔悛条項に従い、貴方はこれよりパブリックドメイン保護サービスの代理人として徴募され、1921年度 BOOK-クラス 回収任務へと派遣されます。貴方の任務はこの書状を開封してから約12時間後に開始します。何かを持参しようとしないでください。貴方の私物は任務中は押収され、完了時に返却されます。
貴方の回収目標は以下の通りです。
セント・アンドリュースの幽霊譚 第4版、W・T・リンスキル 著
任務から帰還次第、当該のBOOK-クラス パブリックドメイン・オブジェクトを下記住所へ郵送してください。
プロジェクト・グーテンベルク文芸アーカイブ財団
ノース1500ウェスト 809番地
ユタ州ソルトレイクシティ 84116我々は貴方が悔悛することを祈りつつ、貴方が配属任務を完了できるように密に監視しております。
書状の内容を理解した時点から、SCP-3185の主要効果が発現し始めます。書状を読んだ12時間後、対象はその時点での所在地から即座に消失し、時間を遡って"配属任務"の書籍が出版された翌年の元日に転送されたことに気付きます (例: 1921年度の任務の場合、対象が転送されるのは1922年1月1日) 。転送後の対象はその時代から見て適切な衣服を着ていますが、同時代の通貨や身元の証明情報などは与えられません。
回収対象となる書籍の題材に識別可能なパターンは無いものの、時間移動は一定の"臨界"ルールに従います — 対象は1876年まで遡って転送される場合がありますが、1923年1月1日以降に転送された事例はありません。SCP-3185の研究者たちは、2018年現在のアメリカ合衆国で、1923年以前に出版された全ての書籍がパブリックドメインになっていることから、この臨界値の日付にはアメリカ合衆国の著作権法との繋がりがあるという仮説を立てています。対象が転送される場所は、配属任務の書籍が出版された都市と同一です (このため、ニューヨークはSCP-3185の影響を最も多く受けます) 。
対象は現地時間で24時間以内に、合法的な手段で問題の書籍を入手する必要があります。この期間中に書籍を店舗や人物から盗んだ場合、任務は失敗と見做されます。対象は転送時に通貨を全く所持していないため、書籍を購入できるだけの金額を1日以内に合法的に得る手段を見つけなければなりません。書籍を入手すると、対象は消失して現在に帰還します。その後、対象は書状で指定された文芸作品の保全活動を行う財団に宛ててその書籍を送る義務があります。現在、郵送先として最も一般的に指定される財団はプロジェクト・グーテンベルクです。書籍が郵送されると、SCP-3185の異常性は停止します。記録された対象はいずれも2回以上影響を受けていません。
対象が24時間以内に書籍を入手できなかったか、書籍を窃取・損傷したか、もしくは48時間以内に指定の文芸作品財団に書籍を郵送できなかった場合、対象は消失し、回収不可能になります。
補遺 3185.A: 2019年1月1日を以て、アメリカ合衆国では1923年に出版された全ての書籍がパブリックドメインとなり、1923〜1977年までの出版物の著作権有効期限は2073年まで続きます。研究者は現在、SCP-3185の"臨界"日付はパブリックドメインに合わせて更新され、対象は1923年以降にも転送されるようになると仮定しています。本文書は対象が1924年への転送を経験した時点で更新される予定です。
補遺 3185.B: 2004年10月14日、アメリカ映画協会が採用するレーティングシステムの考案者であり、著名な著作権保護ロビイストとしても知られるジャック・ヴァレンティ (1921-2007) 宛のSCP-3185実例が、財団エージェントによって回収されました。この書状は全57ページで、通常の3185実例よりも一際詳細に綴られていました。
- 書状の最初の10ページはヴァレンティの経歴や道徳的品性への攻撃に費やされており、彼を"アメリカ史における最大の反パブリック脅威"と呼んでいます。
- ヴァレンティは1922年度"CULTURE-クラス"回収任務に徴募されており、書状では任務期間は6ヶ月とされています。
- ヴァレンティは任務期間中に最低100点の書籍や無声映画を回収するように求められており、他の3185対象者とは違って、出発時の資金とヴァレンティ名義のアパートの部屋を与えられるとされています。
- 書状では、ヴァレンティが監視下に置かれ、"その経歴に鑑みて通常の反パブリック徴募員よりも高い基準が課される"ことが頻繁に強調されています。
問題の書状は受け取られることなく、収容プロトコルに従って研究目的で流通から除去されました。2007年に死去するまでの間に、ヴァレンティが別なSCP-3185実例を受け取ったことは確認されていません。