アイテム番号: SCP-3048-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3048-JPはサイト-81-109の標準物品収容ロッカー内に収容されます。SCP-3048-JPを用いた実験の実施には担当職員3名からの許可が必要になります。SCP-3048-JP-1の活動を抑制するため、SCP-3048-JPを保管する収容ロッカー内は常に監視・観測されます。
説明: SCP-3048-JPは異常な性質を有した"おもちゃリサイクルBOX"です。SCP-3048-JPを構成する素材や製造・流通経路に異常な点はありません。財団による回収以前のSCP-3048-JPは██県██市のマクドナルドの店舗内に設置されており、非異常の店舗内サービス・システムとして機能していました。
SCP-3048-JPの内部空間は異常に拡張されています。また、内部は"ハッピーセット"に付属していたとされるプラスチック製玩具によって満たされています。これらのプラスチック製玩具(SCP-3048-JP-1に指定)は一見すると実体を有しているように見えますが、実際は非実体的な存在であることが明らかになっています。そのため、SCP-3048-JP-1と接触する、SCP-3048-JP-1をSCP-3048-JP外へ排出するといった試みは全て失敗に終わっています。
SCP-3048-JPの開口部から内部を覗き込んだ場合、覗き込んだ人物(対象と表記)は即座にレム睡眠状態へと移行します。結果として、対象の頭部はSCP-3048-JP内部に収められることとなります。睡眠状態は、対象の頭部がSCP-3048-JP外部に排出されるまで持続します。多くの場合において対象は行動不能状態となるため、対象が単独で睡眠状態から脱することはなく、基本的には外部からの干渉を経て覚醒します。
覚醒した対象は共通して"子供部屋の夢"を見たと報告します。詳細については補遺3048-JP.1を参照してください。
補遺3048-JP.1: "子供部屋の夢"についての証言
2026年05月14日、"子供部屋の夢"に関する情報収集を目的として、SCP-3048-JPを利用した実験が実施されました。実験はDクラス職員数名にSCP-3048-JPの内部を覗き込ませ、一定時間が経過すると同時に覚醒させる方法で行われました。
以下は、実験後に行われたインタビュー記録の一部抜粋です。
インタビュー記録3048-JP.1
対象: D-3048-1
インタビュアー: 工藤博士
<記録開始>
インタビュアー: あなたが見たという"子供部屋の夢"について教えてください。
対象: わかりました。
対象: 気が付いたら、どこかわからない部屋にいたんです。なんとなく子供部屋っていうのはわかったんですけど、部屋の主とか、それがどこにあるとかはわかりませんでした。
インタビュアー: 続けてください。
対象: 自分は部屋の中をいろいろ見て回ろうとしたんですけど、その意思に反して身体は動きませんでした。よく見てみると自分は人形になっていたんです。
インタビュアー: 人形ですか。どんな外見だったかはわかりますか?
対象: 長い金髪と、白い服。あとはドレスみたいなスカートを履いていました。両手を上げた状態で固定されていて、少し腕が痺れるような感覚がありました。
対象: 持ち主のことはわかりませんでしたが、自分がかつて何かの付録としてこの部屋にやってきたことと、持ち主の遊び相手として大切に扱われていたことはわかりました。そういえばどこに行くにも持ち歩かれていたなあ、なんて存在しない記憶を懐かしく思っていました。
インタビュアー: なるほど。
対象: それで、自分は床から少し離れたところに立っていました。周りは開けていて、横を見ても何もありませんでした。当時は何が何だかわからなかったのですが、今思い返すと、棚か机のようなものの上にいたんだと思います。
インタビュアー: なるほど。ところで、あなたは夢の中で何をしていたのですか?
対象: ずっと、棚の上から部屋を眺めていました。
インタビュアー: 部屋の様相について話すことはできますか?
対象: できます。ただ、夢なので曖昧だったり変なところもあるかもしれません。
対象: 部屋の中は静かで、異様に綺麗でした。一言でいえば、生活感がありませんでした。
インタビュアー: 何か、他の実体はいましたか?
対象: いいえ。部屋にいるのは自分だけでした。生き物の気配なんて一つもなかったです。この世界には自分しかいないと錯覚してしまうかのような、そんな不思議な雰囲気でした。
インタビュアー: 他に気になったことなどはありましたか?
対象: そうですね。強いて言うなら、やけにほこりっぽかったということでしょうか。
対象: 部屋はきれいで整っているのに、棚や机の上にはほこりが積もっていました。備え付けられているベッドやクローゼットも使われたような跡はなかったです。なんとなく、しばらく使われていないからこその綺麗さなんだなあって理解しました。
インタビュアー: 子供のいなくなった子供部屋、ですか。
対象: はい。きっとこの部屋の持ち主は成長して、新しい自分の居場所を見つけたんじゃないかと思います。そして、それを理解すると同時に感じたのは、自分はもう要らなくて、どこかに捨てられてしまったんだという寂寞だけでした。
<記録終了>
終了報告書: D-3048-1は記憶処理の後に他業務へと再割り当てされました。
補遺3048-JP.2: SCP-3048-JP-1に関する追加情報
2026年07月23日、サイト-81-109で行われた標準物品収容ロッカーの整備作業中、SCP-3048-JPを保管している収容ロッカーの感圧センサーに微細な変化が見られました。当初この反応は整備中の状況の変化によるエラーだと考えられていましたが、収容ロッカー内の監視カメラと動体検知センサーをオフにした場合にのみ反応が発生する事が確認されました。
感圧センサーの反応から、SCP-3048-JP-1は非観測・撮影環境において自律活動を行っているものと推測されています。複数の位置パターンで行われた調査の結果から、SCP-3048-JP-1はSCP-3048-JPの開口部を目指してパーツを動かしているものとされています。
これらの自律活動の兆候はSCP-3048-JPの下部28cm地点で最も活発に観測されており、感圧センサーの反応は当地点から下降または上昇するにつれて徐々に減衰する結果を示しました。また、現在までに反応が観測された最大到達高度は42cm地点です。
SCP-3048-JP-1がSCP-3048-JPの開口部に到達した例は確認されていません。