暫定サイト-3034
アイテム番号: SCP-3034
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 3名の財団職員が現地に留まり、少なくとも1名がSCP-3034の発生に備えて無線周波数帯を監視します。全職員はロシア語で少なくともC1認定を取得している必要があります。無線機器は週ごとに診断チェックを行い、全ての機器が動作状態にあることを確認します。職員は月単位で外部と配置換えされます。
もしSCP-3034発生が検出された場合は常に、職員は即時ロシア語で"все хорошо (万事順調)"の応答メッセージを同じチャンネルに送ります。現地との通信が途絶した場合、機動部隊イプシロン-3("サンタの小さな助手")がエリアの調査および確保のために動員されます。
如何なる状況でも現地の無線機器を"все хорошо (万事順調)"のフレーズ送信以外の目的で使用することは認められません。如何なる状況でもSCP-3034との意思疎通を試みるべきではありません(添付の事案報告書を参照)。
如何なる状況でも現地に子供を入場させることは認められません。
説明: SCP-3034は繰り返し発生している起源不明の異常な無線放送です。今日まで、送信はサイト-753の約2 4km圏内でのみ確認されています(添付の事案報告書を参照)。SCP-3034の送信元を三角測量で特定する試みは失敗しています。1964年以来、この放送は627回以上発生しています。発生間隔は明らかに不特定です — 最短間隔は2週間、最長間隔は6ヶ月でした。
全てのSCP-3034発生は同一の形式に沿っています。まず合成された音楽的な"発信音"が約10秒間演奏され、続いてSCP-3034-A(ロシア国籍の思春期の女性と推定)の声が聞こえます。SCP-3034-Aは直ちにロシア語で200から逆に数を数え始めます(更新・2015年05月17日: 添付の事案報告書を参照)。このカウントダウン中にサイト-753が同チャンネルに対して"все хорошо"を放送すると、SCP-3034-Aは速やかにカウントを停止します。放送の最初と同じ発信音が再び流れ、放送は終了します。
SCP-3034-Aが話している時、SCP-3034の背景音には顕著な音声の歪みが発生します。
[フレーム]
この歪みを分析する試みは進行中です(添付の音声分析を参照)。
実験により、SCP-3034は録音した"все хорошо"には反応を返さないことが示されています。そのため、職員をサイト-753に常駐させることが必須です。
補遺3034.1: 添付資料
回収報告
日付: 1964年02月02日
回収主導者: ロバート・マルサス司令官
対象: SCP-3034
我々はまず、GRU-Pの離反エージェントから得た情報でこの施設について知った。伝えられるところではロシアと提携する乱数放送局だが、初期報告は異常な活動が発生している可能性が高いことを示した。
私は、私自身、直属の部下5名、そしてエージェント ブラウニング(一部のロシア方言に堪能であるため抜擢)から成るチームを結成した。適切な準備が整い次第、我々は調査を開始した。現地に居住者はいないと確認された。証拠からは、我々が到着する1週間前の退避措置が強く示唆される。基地内には整備の行き届いた無線機器数点、ディーゼル発電機(到着時は稼働中)、部分的に焼けた多数の記録、20冊以上の日誌(全てロシア語)があった。これらの日誌は基地が放送を受信した日時を記録している。最も古いエントリは1947年だ。
デスクに2つのフレーズが彫られているのを発見した。エージェント ブラウニングはこれらをロシア語から翻訳した。
終えさせるな
万事順調と彼女に伝えろ
2日目の07:30頃、自動警報が鳴り始めた。我々は後ほど、この警報は放送を検出すると起動するのだと突き止めた。無線のスピーカーが起動すると、若い女性がロシア語で話す声が聞こえた。エージェント ブラウニングはこの女性が数字を逆に数えており、既に'76'に達していると我々に伝えた。
短い議論の後、デスクの指示に従うのが最も慎重な行動だと決まった。エージェント ブラウニングは提供されたフレーズ("все хорошо"、つまり"万事順調")で放送を中断した。声は止まった。発信音が流れ、放送は終了した。
私はエージェント ブラウニングと部下2人を現地に残してきた。彼らには3週間生活するのに十分な燃料と食糧がある。この異常存在の正確な性質が特定できるまでは、絶えず監視を行うことを勧告させて頂く。
音声記録
注記: 以下の音声は、現地で発見された、部分的に焼けている磁気テープから回収されました。全ての対話はロシア語から翻訳されています。
[記録開始。]
[紙をめくる音。]
声1: こんな事は終わりにしよう。
声2: 貴方は国家の資産を盗もうと試みましたね、セルゲイ。何故そんな事が上手くいくと思ったのですか?
声1: 彼女は国家資産じゃない。彼女には名前がある。
声2: 貴方の目的は何だったのですか? アメリカへの亡命ですか? 私たちの些細な研究プロジェクトの事を彼らに伝えようとしたのですか?
声1: お前は俺を知ってるよな。俺が名誉と功績でもって仕えてきたことは承知のはずだ。俺は決して—
声2: 彼らは金銭を約束したのですか? それとも避難所ですか? 貴方はその後で彼女に何が起こると思っていたのですか? 彼女を自分の娘として育てるつもりだったのですか?
声1: 間違ってる。お前もこんな事は間違ってると分かってるだろう。お前は扱えっこない力に干渉してる—
声2: では貴方は、アメリカ人は自分たちが扱おうとしている力を理解していると考えているのですか? 例の"原子爆弾"が何を引き起こすかうすうす分かっているとでも?
声1: こいつは原爆とは比べ物にもならないんだぞ。それに向こうは少女を犠牲に捧げたりしない。
声2: 数百万、或いは数十億を救うための一つの犠牲です—
声1: 仮にアメリカ人がこんな"お伽噺"が存在すると信じたらどうする。俺たちがそれの使用に踏み切るぐらい人でなしだと考えたらどうするんだ。
声2: 考えたら、見せつけてやるまでです。ほんの少しね。広島で彼らが武力をデモンストレーションしたように、私たち—
[乱闘の音、続けて叫び声。]
声2: 落ち着いたと見て宜しいですか?
声1: (パニックを起こしている) こんな事は止してくれ。悪夢だ。お前だって俺と同じように感じているだろう。暗闇の中で叫ぶ声。それをあれは求めているんだ、ヴァスロフ。それこそがあれそのものだ。こんな物を扱える訳がない — 俺たちがついに収容できた物に、お前は生贄を捧げようって言うのか—
声2: 彼らがそうせざるを得ない状況に私たちを追い込むのならば。
声1: 頼む — どうかお願いだ、やめてくれ —
[記録終了]
日付: 2012年09月12日
FROM: スクールキル博士 <noitadnuof.pcs|llikluhcsb#noitadnuof.pcs|llikluhcsb>
TO: エマーソン博士 <noitadnuof.pcs|nosremer#noitadnuof.pcs|nosremer>
件名: SCP-3034の音声分析
この信号をもう半世紀にわたって聞き続けている。その間、我々はSCP-3034の発見以来全ての事例を録音してきた(一番最初は例外だ: この事例の詳細は添付の作戦報告書を参照)。録音は600以上に上る。
我々は思いつく限り全ての研究手段を取ってきた。信号の追跡は不可能だし、司令部は — かなり合理的ではあるが — 我々から対象に向けた意思疎通を行わせたがっていない。だから君に連絡を取った。
私は徹底的な音声分析を望んでいる、君ならばこの録音の声についてもっと詳しく教えてくれるだろう。他の乱数放送局の録音との相互参照などしてみてくれ。もしくは方言や訛りを基に地理的な場所を教えてほしい — 推測される年齢でもいい。とにかく何でも構わない。
そうでもしないと、私にはもうアイデアが無い。分かっているのは、幼い少女がゼロに向かってカウントダウンする録音を誰かが放送しているという事だけだ — 我々は皆、彼女が秒読みを終えたら何が発生するか知るのを大いに恐れている。
私はこれが手の込んだイタズラの類では無いんじゃないかと思い始めているんだ。
日付: 2012年09月15日
FROM: エマーソン博士 <noitadnuof.pcs|nosremer#noitadnuof.pcs|nosremer>
TO: スクールキル博士 <noitadnuof.pcs|llikluhcsb#noitadnuof.pcs|llikluhcsb>
件名: RE: SCP-3034の音声分析
この放送は録音ではありません。
口調・声の高低・フレーズの差異で、SCP-3034の各事例が新規のものであることは明白です。それぞれのカウントダウンは音声的に見て唯一無二です。何者かがこの少女に何度も何度も繰り返し、数百回にわたってカウントダウンをさせたか... もしくは、彼女自身が50年以上信号を放送し続けているか。
もっとあります。私たちは背景音の歪みを分析しました。速度は落ちていますが、これはまた別の、複数の声のようです。SCP-3034-Aと同じように、これらの声も発生ごとに特異な音声です。残念ながら、歪みはあまりにも弱すぎて言っている内容が理解できません。しかし、放送の長さと歪みの強さには相関性があるようです — 放送が長くなるほどに歪みは大きくなっています。皮肉な話ですが、問題は私たちの収容が上手く行きすぎている点です。財団職員が速やかに派遣されるので、録音された放送はどれも30秒以上持続していません。もっと長い放送があればより多くのデータを推定できるかもしれません。
信号が30秒以上続くことを看過することを推奨します。これが何かを正確に判断できるようになるのはその後でしょう。
日付: 2012年09月16日
FROM: スクールキル博士 <noitadnuof.pcs|llikluhcsb#noitadnuof.pcs|llikluhcsb>
TO: エマーソン博士 <noitadnuof.pcs|nosremer#noitadnuof.pcs|nosremer>
件名: RE: RE: SCP-3034の音声分析
勧告を承認した。財団職員は以降5回分のSCP-3034放送を"50"になるまで放置するように指示されている。上手くいけば、これで歪みを分析し、何が起こっているか把握するのに十分有用なデータが手に入るだろう。
入手でき次第ファイルを送る。
日付: 2013年01月19日
FROM: エマーソン博士 <noitadnuof.pcs|nosremer#noitadnuof.pcs|nosremer>
TO: スクールキル博士 <noitadnuof.pcs|llikluhcsb#noitadnuof.pcs|llikluhcsb>
件名: SCP-3034
貴方から届いたファイルの5本中3本の分析を終えました。
ただ叫んでいます。何千人もの子供たちが、叫んでいます。
前回の推奨は取り消します。貴方の部下には、SCP-3034が発生したら即座に終了信号で応じるよう伝えてください。
日付: 2013年01月19日
FROM: スクールキル博士 <noitadnuof.pcs|llikluhcsb#noitadnuof.pcs|llikluhcsb>
TO: エマーソン博士 <noitadnuof.pcs|nosremer#noitadnuof.pcs|nosremer>
対象: RE: RE: SCP-3034の音声分析
了解。
事案報告書
事案#: 3034-201
発生日時: 2015年05月17日
SCP-3034に割り当てられた財団研究員(ウリエル・ウィリス博士)が無線機器を不正使用して非公式の実験を行いました。SCP-3034の発生中、彼女はSCP-3034-Aとの意思疎通を確立しようと試みました。
SCP-3034-Aは秒読みを停止しました。約5秒後、現地で極めて強力な放送が検出されました。この信号は高音域の"金切り声"で構成されており、現地にいた全ての職員に激しい苦痛、眩暈、方向感覚喪失を引き起こしました。叫び声が25秒間続いた時点で、ウィリス博士は暫定サイト-3034の無線機器で適切なフレーズ("все хорошо")を送信し、放送は直ちに終了しました。
続く24時間に、研究者たちは世界各地の児童失踪事件が大幅に増大したことに着目しました。これらの事件の大半において、失踪は25秒間の放送と一致する時刻に起こっていました。SCP-3034に関連していると考えられる事案は全て未解決のままです。
ウィリス博士の懲戒処分は未だ審査中です。特別収容プロトコルは、事前に定められたパラメータの範囲外にあるSCP-3034との相互作用を実行しないことの重要性を反映して更新されました。
SCP-3034に関する全ての実験は追って通知があるまで中断されます。
事案報告書
事案#: 3034-202
発生日時: 2015年06月04日
SCP-3034の発生が検出されました。現地の職員は適切な信号送出で応答し、SCP-3034は停止しました。しかしながら、2つの明確な相違点が注目されました。
- SCP-3034の音声の歪みは顕著に大きくなっていました.
- SCP-3034-Aは秒読みを199から開始しました。