クレジット
領域2883-JP。
アイテム番号: SCP-2883-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 過過疎を名分とした公共サービスの停止等の働きにより、領域-2883内部の山村における住民の退去は完了しています。
民間人による領域-2883-JPへの立ち入りはカバーストーリー「地盤の軟化による崩落の恐れ」により防止され、職員についても原則的に内部への侵入は推奨されません。領域2883-JPにおけるアキヴァ放射の減衰が確認された場合、生命維持に必要量の備品を携行したDクラス職員が1名領域2883-JP内部に投入されます。
説明: SCP-2883-JPは、██県██に存在する中規模の山林地帯(領域2883-JPに指定)において一定の周期の元発生する異常現象です。
領域2883-JPの全域においては、一定量のアキヴァ放射が検出されます。アキヴァ放射の検出量は基本的に安定していますが、約10年に1度程の間隔で周期的な減衰を発生させます。減衰事象の進行に伴いアキヴァ放射の検出量が安定期のおよそ8割程度まで減少した時点で、SCP-2883-JPの一連のプロセスが開始されます。
SCP-2883-JPは、領域2883-JP内部に存在する成人した人物1名を対象に取り、以下に示すような段階的進行を見せます。
(以降、参考のためSCP-2883-JP対象となったDクラス職員より転送された画像が添付されます)
第1段階
領域2883-JP侵入から2日後に撮影された画像。野道から木の葉や石が全て除去されている。
対象は漠然とした被視感を体験すると共に、愛玩動物や家畜を除く動物に遭遇しないようになります。加えて対象が通過を試みた道路や野道からは、予め木の葉やゴミ、小石などの異物が除去されるようになります。
前述の被視感について、多くの対象は敵意の存在を感知せず、主に纏わりつかれるような感覚を報告します。被視感の要因として仮定される観察者、並びに通路から異物の除去を行っている実体は現在まで観測されていません。
第2段階
領域2883-JP侵入から6日後に撮影された画像。放棄された民家にて睡眠を行っていたDクラス職員の枕元に出現していた。
対象の周囲に、不定期に木の実や山菜、キノコなどの植物が纏まって出現するようになります。対象がこれらの内いずれかを摂食、あるいは携行した場合、同じ種類の植物の出現割合が増加する傾向にあります。
上述のような肯定的な反応が植物の出現傾向に影響を与える一方、対象による出現した植物に対する拒絶反応は当該事象に対していかなる変化をももたらす事はありません。
第3段階
領域2883-JP侵入から10日後に撮影された画像。当時SCP-2883-JP対象であったDクラス職員の髪の毛、かさぶた、排泄物が落ち葉に包まれている。(心理的負担を考慮しモザイク加工済)
対象により残されたあらゆる物質(典型的には脱落した皮膚や体毛、排泄物、ゴミなど)が対象の移動後に消失するようになります。
消失したこれらの物質は、領域2883-JP内部に存在する比較的大きな岩石の上に、木の葉や木の実、花弁などを装飾的に伴った状態で発見される事があります。対象が物質群の発見後これに対し何らかのアクションを行った場合、植物の出現事象の活発化が誘発されます。
なお、領域2883-JPからの脱出及びSCP-2883-JP影響からの離脱を試みる場合、当段階が最後の機会となります。
第4段階
領域2883-JP侵入から13日後に撮影された画像。領域2883-JPにおける南南西方向最外縁部にて確認された。
領域2883-JPの最外縁部に存在する樹木に対して激しい裂傷が発生し、これらの樹木が領域2883-JPと外部の明確な境界線として作用します。
当段階において対象が領域2883-JPの外部に移動した場合、時間の経過と共に対象の存在の希薄化が進行します。この影響は対象が領域2883-JP内部に戻る事で解除されますが、外部における滞在を継続した場合、平均して約2日後対象の肉体は完全に消失します。
第5段階
領域侵入から18日後に撮影された画像。対象の歩行していた山道にて確認された鳥の死体。(心理的負担を考慮しモザイク加工済)
対象の周囲に鳥や魚、小動物などの死体が頻繁に出現するようになります。これらの死体にはいずれも外傷が存在せず、死因は不明です。
当段階において対象は、三大欲求を完全に喪失します。そのため対象は以降食事、睡眠等を行わなくなりますが、これによる健康被害は発生しません。
第6段階
領域侵入から22日目に撮影された画像。対象の移動進路が撮影されている。
対象は「領域2883-JP内において最も標高の高い山頂へ向かえ」という旨の幻聴を体験し、現在まで確認されている全ての事例においてこれに従っています。この際対象は領域2883-JP内の地理情報を正確に把握していないにも関わらず、直感的に目的地である山頂への道筋を理解します。
上記の幻聴に従った事について、対象は「必要とされたため」という以上の理由を説明する事が出来ません。山頂に近づくにつれて、対象は被視感の徐々な増大を報告します。
第7段階
山頂に到達すると同時に、対象は瞬間的に消失します。消失事象が発生するのは対象の肉体のみであるため、GPS機器等による追跡の試みを行う事は不可能です。
対象の消失とほぼ同時に、領域2883-JPの外縁部におけるいずれかの地点にミイラ化した人間の死体が1体出現します。この死体のDNA情報は、前回のSCP-2883-JPにてSCP-2883-JP対象となり消失した人物のものと一致します。
対象の消失からおよそ半日程で、領域2883-JP全域におけるアキヴァ放射の検出量は安定期と同程度まで上昇します。これをもってSCP-2883-JPは終了し、領域2883-JPは安定期に移行します。
領域2883-JP内部にて発見された祠の一例(画像中央)
領域2883-JP内部においては、鎌倉期に作成されたと推測される複数の祠が確認されています。これらの多くは風化が著しく進行しており、その殆どに長期間手入れをされた痕跡が存在しませんでした。これらの祠群が放棄された理由としては、主に領域2883-JP及びその周辺地域における過度な過疎化の進行が原因であると推測されています。
収容時点で、これらの祠からは既にアキヴァ放射は検出されませんでした。