制御環境下でヒト卵細胞を攻撃するSCP-2869-S
アイテム番号: SCP-2869
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2869実例群は石材を敷き詰めた直径20m・高さ3mの円筒形の大型収容チャンバーに留めてください。SCP-2869の収容チャンバー入り口には武装警備員2名を配置し、収容チャンバーの壁は標準のコンクリート層と厚さ2cmの鋼板の2層で構成してください。SCP-2869実例が激昂ないし攻撃的状態にある場合、最低3名以上、追加の武装警備員により当該実例をサイドチャンバーに押し遣って隔離してください。当該チャンバーに入室する職員には完全密封性ハザードスーツの着用が義務付けられます。
SCP-2869-Sの生成を促進するため、SCP-2869の収容チャンバー内部に非塩素系フィルタープールが1面敷設されています。
SCP-2869実例群またはSCP-2869-Sに接触した場合、職員はハザードスーツと衣服の全てを脱いだ後に2段階式除染チャンバーへの入室が義務付けられ、除染処理と化学スクリーニングを受けた後に退出が許可されます。
実験に起因するか安全対策の不備に起因するかを問わず、SCP-2869-Sにより懐胎した職員はサイト-12の分娩室に移送され、SCP-2869実例の新生個体を出産するまで常時監視下に置かれます。影響を受けた対象を監視する医療職員にはレベル2のセキュリティクリアランスが要求されます。
説明: SCP-2869は6本の脚を持つ異常動物の種の1つであり、2つの体節から構成されています。筋肉により構成される尾部は大きく、野外で一般的に見られる芋虫を彷彿とさせる外観を呈しています。両側面に沿って肋骨様の突起が複数存在しており、これにより体重を支えている様子が見受けられます。尾部には鉤爪状の脚が4本、尾部先端には1対のスピナレットが存在し、尾部の前面からは物を把持できる細長い脚が2本伸びています。
SCP-2869の第二体節は頭部と両腕を備えたヒト典型的な胴部で構成されています。雌性乳房組織も完全に形成されており、通気孔に類似する複数の穴が脊柱に沿って存在しており、それらを介して呼吸をします。この体節は柔軟な灰色の皮膚を持ち、頭部はヒトの頭部と幾許の相似性を示しています。この頭部は小型の眼を4つ、下顎部を1つ持っています。顎部には比較的鋭利かつ高密度の歯が生えており、これは硬質の鉱物を摂食する際に利用されます。
SCP-2869の舌は24cmの長さまで伸び、寄生性の精子様生命体 (SCP-2869-Sに指定) を含む厚い粘膜で覆われています。また同様に、SCP-2869の外皮も当該の粘膜で薄く覆われています。外皮に寄生するSCP-2869-Sは職員にとって十分危険と見做せる数量であり、湿っているないし濡れている環境ではSCP-2869-Sの生成が特に促進されます。ヒトを寄生先とする大抵の場合において、その生体の表皮組織にSCP-2869は自身の粘膜を接触させます。その状態から、宿主生物の膀胱・大腸・子宮に向かってSCP-2869-Sが潜行していきます。懐胎期間として宿主生物内で2〜3週間が経過すると、1〜3体のSCP-2869-SがSCP-2869幼生個体へ成長し、出産に至ります。当該実例群が出産されるのに前駆して化学的陶酔状態が誘導されるため、宿主生物は痛みを伴わない出産が可能です。
SCP-2869-Sを身に宿した被験体は、親個体であるSCP-2869に可能な限り近接することへの強い欲求を呈します。これ以降、SCP-2869-Sを懐胎したヒト被験体に対して、SCP-2869は強い縄張り行動を示すようになります。
SCP-2869実例において、頭部先端から尾部先端までの全長は3.5m、直立した時の全高は2mとなるのが平均的です。自身より小型の実例群の捕食を繰り返すことで、SCP-2869の新生実例群は数週間かけて持続可能なサイズの成熟個体まで成長します。この時点でSCP-2869には永久歯が生えるようになり、食性も肉食から硬質鉱物食へと変化します。
補遺2869-1: 生物学的逸脱
複数回の実験を経た研究員により、宿主となる生物種に対応する生物学的な構造・行動の逸脱がSCP-2869仔個体に存在することが観察されています。以下は種々の宿主生物と出産されたSCP-2869実例群の行動的・生物学的逸脱の観察報告です。
- ニワトリ (Fowl) ポーリッシュ種 - メス
- 胸部・後背部・腕部・腹頂部に分厚い羽毛が生え揃ったSCP-2869実例が出産された。眼は頭蓋前面ではなく側面に発生しており、このために立体視の機能を失っている。他の逸脱個体よりも著しく低い知能を呈する。解剖の結果、多数の鳥類で確認される食道と同等の機能を持つ2つ目の胃が新たに形成されていることが判明した。
- アメリカンブル (American Bull) 家畜種 - オス
- 頭頂周りに "角" が散在し、骨状の幅広の王冠と、頭頂部に密な隆起を有するように見えるSCP-2869が出産された。移動に用いられる脚部にはウシに似た蹄が見られる。SCP-2869の胸部乳房は母乳の生産が十分可能な程に発育し、腕部は細長く他のSCP-2869逸脱個体と比較して著しく筋肉質だった。当該実例は、ヒトの非メス個体および他のSCP-2869個体に対して過剰な縄張り行動を示す。
- ムラサキハマガニ (Purple Shore Crab) - メス
- 可動性を有する複数の硬化した脚部と甲殻が付属した幅広の腹部を有するSCP-2869実例が出産された。SCP-2869の頸部にはひだ状の外鰓が存在する。SCP-2869の前腕は太く、キチン質の外殻で覆われており、指は頑強な鉤爪と癒合している。他の逸脱個体よりも著しく低い知能を呈する。SCP-2869-Sを含む体液を最長10m先まで噴射することが可能であり、これにより高い感染力を呈する。
- ヒト (Human) - メス
- 柔らかい皮膚とヒトの顔面を持ったSCP-2869実例が出産された。SCP-2869の頭部からは毛髪が生えており、親個体であるDクラス職員ならびに標準的なヒトとの遺伝的類似性を呈している。ヒトの表皮を思わせるような柔らかくて白い皮膚でSCP-2869の腹部が構成されている。SCP-2869は典型的な東ドイツ人女性の相貌的特徴を有しており、ヒト生殖細胞で見られるものと同様に、宿主の遺伝情報がSCP-2869に含まれることが確認される。当該実例は標準的なヒトと極めて近い知性を呈するが、倫理的な境界線を理解することを困難としている。当該実例はSCP-2869-Dと呼称され、独自の研究向けに別の収容室に移送されている。
- ボールニシキヘビ (Ball Python) - メス
- 可動する脚部およびに細長い下体節を持たないSCP-2869が出産される。SCP-2869の腹部下面はざらざらとした鱗で覆われており、白色の斑点がある暗褐色の皮膚が腹部から首元まで続いている。前歯は欠損しており、両臼歯は小さな鉤状に変化している。SCP-2869は威嚇に対して攻撃的行動を示す。