SCP-2730-JP
評価: +16

クレジット

タイトル: SCP-2730-JP - ボツ
著者: ©︎YaKUYaMoSiO YaKUYaMoSiO
作成年: 2020

評価: +16
評価: +16

アイテム番号: SCP-2730-JP

オブジェクトクラス: Keter Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-2730-JPは、2008年03月07日以降一切確認されていないため現在はNeutralized指定されています。以前の特別収容プロトコルについてはアーカイブを参照してください。

現在もSCP-2730-JP-Aの消失先特定のための調査は続けられています。調査は打ち切られました。

説明: SCP-2730-JPは2008年03月07日に広島県及び山口県にて発生した17件の住宅火災です。各火災は発生順に1から17までの識別番号が与えられています。各火災の詳細な記録については別紙を参照してください。

17件の火災全てにおいて、以下に示す一連の事象(以下、救出イベントと呼称)が発生していたことが判明しています。

1.火災が発生している住宅の住民の1人が住宅内部にまだ1人(以下、この残っている住民をSCP-2730-JP-Aと呼称)残っていることに気づく。
2.何人かの消防士がSCP-2730-JP-Aの救助に向かう。
3.消防士が住宅内部からSCP-2730-JP-Aを救出する。

SCP-2730-JP-Aの救助に向かった消防士は後に火傷が原因となって死亡しています。生じた火傷の深さは、通常の火災ではまず生じることでは無いと考えられる程度のものであり,このことからも何らかの異常存在の関与が疑われています。

救出イベントの最も特異である点として、イベント終了後、一定時間を経てSCP-2730-JP-A及びSCP-2730-JP-Aに関するあらゆる情報が消失するという点が挙げられます。これは住民票等の文書の他、SCP-2730-JP-Aが映った映像媒体及び写真、関係があった人物の記憶にまで影響は及びます。唯一の例外は各火災に関係していた人物の記憶ですが、これらの消失に伴い、情報の不整合等が露見していないことから、同時に大規模な現実改変が発生していたとみなされています。

SCP-2730-JPは発見当初、その発生したと推測される現実改変の規模によりKeter指定されていましたが、2008年03月07日以降一切発生が確認されなかったため、現在はNeutralized指定されています。

以下は、SCP-2730-JPの存在を財団が認知した時点で唯一生存していた、SCP-2730-JP-Aの救出に向かった消防士に対するインタビュー記録の書き起こしです。

対象: 青田 ██氏
インタビュアー: エージェント・██
付記: 青田氏はSCP-2730-JP-4発生時に救助に向かった消防士であり、意識不明の重体だったが、2008年03月09日に意識が回復したため急遽インタビューが行われた。インタビューを円滑に進めるため、青田氏には警察による聞き取り調査だと説明している。

<録音開始>
[重要度が低いので省略]

エージェント・██: では、インタビューを開始します。

青田氏: [荒い呼吸]よろしくお願いします。

エージェント・██: では、まず突入時の状況等について教えていただけますか?

青田氏: [5秒ほど沈黙]突入時。申し訳ないのですが、いつもよりも火事の状況がひどかったので内部の様子を確認する余裕はありませんでした。[荒い呼吸]一秒を争う事態だったので。[10秒ほど沈黙]

エージェント・██: そうですか。では、私見で構わないので、何か火災の状況が酷かった理由につい心当たり等はありますか?

青田氏: 心当たり、ですか。[5秒ほど沈黙]おそらくですが、住民の方が火事に気付くのが遅かったからだと思います。住居の構造上の問題で。あとは、心当たり、██君がまだ中にいることが分かったのが遅かったのも[荒い呼吸]原因の1つかなと思います。

エージェント・██: 遅かった?

青田氏: ぇ。[10秒ほど沈黙]最初に██君がいないことに気づいたのが、██君のお母さんなのですが、[荒い呼吸]██君の弟が救助されていたから██君も救助されていたと思い込んでいたようで。[荒い呼吸]あと、軽いパニック状態になっていたのも遅れた原因であると思います。やはり、パニックになってしまう方は多くて。

エージェント・██: なるほど。救助されていた時に、何か気づいたことなどはありますか?どんな些細なことでもよいので。

青田氏: [荒い呼吸]気づいたこと、さっきも申し上げたように、私1人で救助に向かってあまり余裕のない状況だったので、周囲の状況とかは覚えてないですね。[5秒沈黙]

エージェント・██: 1人で?

青田氏: えぇ。住居に侵入できるところが1つしかなく、非常に狭かったので。[荒い呼吸]後、刑事さんなのでご存じだと思いますが、あの日、火事が区域内で何件も起きて[5秒ほど沈黙]割り当てられる人員の数も少なかったのも理由です。今、あの時の状況を考えれば、私1人で行ったことはたぶん最善でした。

エージェント・██: なるほど。

青田氏: [10秒ほど沈黙]もう1つだけ理由があります。[荒い呼吸]照れくさい話ですが、あの時、██君のお母さんが泣いているのを見て、私が行かなきゃ、私が助けなければ、と思ったんです。私以外誰もいなかったんです。危険な状況であることは分かってました。下手すれば死んでもおかしくない、というのも分かっていました。でも、私が行くしかないとあの時思ったんです。

エージェント・██: とても立派なことだと思いますよ。

青田氏: ありがとうございます。██君の救助はほんとに、ほんとに大変でしたが[5秒ほど沈黙]██君を救助したときに、防火服越しでしたが火の温度とは違う、生きている人の温度、温もりを感じました。たぶん、私はこのために[荒い呼吸]生きてきたんだと思います。[青田氏が激しく咳き込む]

[傍で待機していた医者からこれ以上のインタビューは危険だと判断されたためインタビューは中断]

<録音終了>
追記: 青田氏はこの2時間後に症状の急激な悪化により死亡しました。

終了報告書: 青田氏の証言と他の火災の関係者の証言により、他の16件についても同様の事例が発生していたと推測される。これらに類似した事例は発生すること自体、極めて稀であり、やはり何らかの異常が発生していたとみるべきだろう。SCP-2730-JP-Aに関しても調査を行いたかったが、出来なかったのは非常に痛い。 -██博士

2009年06月10日に要注意団体"白騒放送"の分局への突入調査が行われました。突入時点で内部に人員は残っておらず、大量の文書及び異常物品があるのみでした。以下は、その突入捜査時に発見された、SCP-2730-JPと関係があると推測される文書と異常物品の概要です。また、下記の文書の付近で、SCP-2730-JP-4の様子を撮影したものにテロップ等が加えられた映像が保存されているビデオテープが発見されました。

企画案-26

2008年01月02日


初めに: 本企画案は『ザ・ヒーローズ』にて使用される映像の候補の一つである。このページではその概要等に軽く触れ、以降のページにおいてそれらの詳細を述べる(ページ構成については2ページ参照)。

概要: 「命の尊さ」を題材に一本の映像を通して消防士の命を賭した救出劇を描く。

ターゲット層: 幅広い年齢層。

撮影方法: 「命の尊さ」を視聴者の心に刻み込むためにも、我々のモットーである「良い画を撮る」の実践は不可欠であろう。そのためには、多くの方々の協力及び機材の使用が必要となる。まず、撮影にあたっては臨場感を出すために市街で人々が生活している住宅を燃やし、実際の住民の方々及び消防士の方々に協力していただく。この時、消防士の方々には演技などではなく実際に死んでいただく。これは「画」としての良さのほか、映像に深みを持たせることにもつながる。遂行のために燃焼を促進する機材-650を用いる。機材-650は火事の迫力を高めるため、演出としての側面も期待できる。尚、非常に不本意ではあるが予算と安全性の観点から、救助される人間の役として処置-816を施した機材-687を用いる。



-1-

説明: 未知の金属を含む、アルミニウムを主成分とした粉末███g。従来の助燃剤に比べ著しく高い効果を示す。
回収日: 2009年06月10日
回収日: 白騒放送██分局

説明: 燃焼の痕跡が認められる17体のマネキン人形。一定の範囲内に存在する人間に対して精神影響及び自身を人間のように見せる認識災害を持つ。
回収日: 2009年06月10日
回収場所:白騒放送██分局
補足: 前述の精神影響及び認識災害は回収されて以降弱まっており、2010年頃には完全に消失するとみられている。

分局内で発見された、背に「2008年4月14日放送3」と書かれた紙が貼ってあるビデオテープを再生したところ「ザ・ヒーローズ」と題された番組が保存されていました。番組の内容は以前に発見された「ザ・ヒーローズ企画書」に沿ったものでしたが、SCP-2730-JPに関連する映像は含まれていませんでした。

Footnotes
. 多くの場合、複合的な要因によって気づくのが遅れていました。
. 最低で1人、最高で3人でした。
. SCP-2730-JP-4におけるSCP-2730-JP-Aの名前。
. 死因は火傷が原因となった臓器不全であり非異常性のものでした。
. 何らかの番組名だと推測されます。
. 分局内で発見された他の文書より、認識災害を一時的に施す技術であると推測されています。
. 別紙を参照してください。
ページリビジョン: 4, 最終更新: 10 Jan 2021 18:47
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。
ページを編集するにはこのボタンをクリックしてください。
セクションごとの編集を切り替えるにはこのボタンをクリックしてください(ページにセクションが設定されている必要があります)。有効になった場合はセクションに"編集"ボタンが設置されます。
ページのソース全体を編集せずに、コンテンツを追加します。
このページが過去にどのように変化したかを調べることができます。
このページについて話をしたいときは、これを使うのが一番簡単な方法です。
このページに添付されたファイルの閲覧や管理を行うことができます。
サイトの管理についての便利なツール。
このページの名前(それに伴いURLやページのカテゴリも)を変更します。
編集せずにこのページのソースコードを閲覧します。
親ページを設定/閲覧できます(パンくずリストの作成やサイトの構造化に用いられます)
管理者にページの違反を通知する。
何か思い通りにいかないことがありますか? 何ができるか調べましょう。
Wikidot.comのシステム概要とヘルプセクションです。
Wikidot 利用規約 ― 何ができるか、何をすべきでないか etc.
Wikidot.com プライバシーポリシー

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /