アイテム番号: SCP-248-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-248-JP-1はサイト-8017の収容ロッカーに保管されています。SCP-248-JP-2はポリタンクに詰めた状態でサイト-8181内の冷蔵庫に収容されています。冷凍庫の室温は摂氏-15°Cを維持、凍結した状態を保ってください。
説明: ×ばつ印のイラストが描かれています。SCP-248-JP-1の容量は4438MBで、133分間映像を再生することが可能ですが、再生時間は32:14程度で大幅な空き容量があります。DVDの映像内容は、白無地の空間に人間のシルエットだけが撮影され、3名の人物が身振り手振りで発言を行います(詳細は「アンチマヨネーゼ!」-音声ログを参照)。
SCP-248-JP-1を人間が視聴し、マヨネーズを摂取するとSCP-248-JP-2へ変化することが判明しています。Dクラスを使った実験により、音声のみの視聴は活性化の影響はありませんが、無音状態の視聴でもSCP-248-JP-2へ変化することが判明しています。
途中視聴・中断した場合でも活性化の影響を受けることが判明しており、SCP-248-JP-2へ変化した人間はこれまで元に戻った例はありません。なお、SCP-248-JP-1の影響は半永久的に持続することが推測されており、一般的にマヨネーズは食品に使用されている傾向が多いため、SCP-248-JP-1がテレビやインターネット上で公開された場合、オブジェクトによる被害は深刻なものであると想定されています。
SCP-248-JP-2はマヨネーズへ変化した人間です。SCP-248-JP-1の視聴後、マヨネーズを摂食した瞬間、視聴者の肉体は重力に関係なく50cmほど浮上、直径約3mの円を描き、高速で回転します。回転は2時間かけて行なわれ、視聴者はSCP-248-JP-2の実例となります。
SCP-248-JP-2の成分と見た目は摂取したマヨネーズに依存し、総量は視聴者の体重と同量分のマヨネーズが生成されます。SCP-248-JP-2には発話能力があり、Dクラス職員を用いた実験では、変化する前の意識や記憶を保有しており、SCP-248-JP-2をそれぞれ個別に分離した場合、分割した分だけ視聴者の人格が存在し個別に記憶や意識を有していることが判明しました。
SCP-248-JP-2は他者が摂食しても肉体的な害はありませんが、消化サイクル中、便となって排出するまでの間、視聴者の声が体内から発せられます。この時摂食者の体内に存在するSCP-248-JP-2は、主に精神的な消化される苦痛を摂食者に訴えます。SCP-248-JP-2は摂食による消化以外に消費する方法はありません。詳細はSCP-248-JP-実験ログ-1を参照してください。
SCP-248-JP-1の内容をDクラス職員による情報を元に、ジェスチャーと音声を文章化し、一部抜粋したものです。
00:03〜 [役者Aがお辞儀をした後、発言をする。]
役者A: 全くマヨネーズというものは糖分がないことだけはせめての救いなのだろう。それ以外の救いは原料に酢があり、夏場でも常温で放置できることぐらいだ。酢、卵、油それぞれ三個体嫌いではないのに三つ巴になった瞬間、三位一体の嫌悪感! 半固形であることが災いしてか、様々な食材に使用され過ぎている! お好み焼き! たこ焼き! マヨネーズが嫌いにも関わらずセルフサービスの如くかけられるあの液体! おぞましいことだ! 味覚が馬鹿になる! 油をそのまま飲んだ方が健康的だ。一言でも嫌いといえば怪訝な顔をされる! 好きで当たり前、嫌いがイレギュラーの如き扱いだ! だが! 言わせてもらおう! 少数ながらにあの卵色を嫌悪している存在がいることを!
15:43〜 [役者Aがおよそ15分間罵倒を続けたところで、役者Bが登場する。]
役者B: わしの子供の頃はマヨネーズなんて食べ物はなかったよ。だが今はどうだ。唐揚げにマヨネーズをつけて食べるどころか、マヨネーズに唐揚げをつけるという現象が一部の熱狂者が行なっている有様だ。わしもな、本格的にマヨネーズが嫌いだと証明するために世界中のマヨネーズを吟味した。ウズラ味、トマト味、明太子......全総額はどれほどかわからんが、嫌いであることに違いはない。うっ......!
[役者Bが倒れる。役者Aが近寄り声をかける。]
役者A: おじいさん! おじいさん!
役者B: ああ、とうとうお迎えが。最後に頼みがある若いの...最後の晩餐にクソ憎たらしいクソ赤キャップのクソ悪魔のクソマヨネーズを持ってきてくれ......。
役者A: じいさん、わかった!
[役者Aはあらかじめ用意されていたマヨネーズを役者Bに渡す。役者Bは震える手でキャップを空け、一気に吸い込んだ。]
役者A: じいさん何やってんだ、こんな、こんな...!
役者B: 慌てるな、若いの。今際の際でわかったことがある。やはり......マヨネーズは、まずい......。
役者A: じいさん......。
[動かなくなった役者Bを役者Cが画面上に連れ出した後、役者Cが画面に現れる。]
役者C: 絶望、しているのかい?
役者A: あんたは、誰......いや、そんなことはどうでもいい。俺は今、たった今同志を失ったんだ。
役者C: ......人は死ぬ定めだ。ところで、きみはパンが好きだったね?
役者A: ああ。好きだ。照り焼きバーガー、焼きそばパン、カツサンド、好きだったさ。だけどな、お惣菜パンは、今はマヨネーズの温床さ。成分表確認しても、「オリジナルソース」「オリジナルドレッシング」という言葉に騙される。ただのマヨネーズじゃないか! 半カロリー? だから何だ、俺はその液体を避けたいだけなのに!
役者C: 君には悪いけど......最近じゃカレーパンにもマヨネーズの存在が確認されていることを知っているかい?
役者A: うそ......だ、あの聖域が!? うそつくんじゃねえ! 信じられるか!
役者C: 悪いけど事実さ。それだけじゃないよ、マヨネーズにはね、砂糖との相性の良さも確認されている。極一部に限定されるが砂糖を塗して食していることすらある。ケーキやクッキーのバター代わりに使用されてさえもいるんだ。今じゃゲテモノだろうが、そのうちメロンパンも侵食されるかもしれない。きみが唯一安心して食べられるパンはもう......あれしかないのさ。分かるよね?
役者A: ......あんパン......。
20:23〜 タコ焼きやお好み焼きならマヨネーズが許せると言っている奴らは、マジにわか! [マヨネーズに対する罵倒が32:14まで繰り返される。]
ログ終了
SCP-248-JP-実験ログ-1: SCP-248-JP-1の影響を受けてSCP-248-JP-2に変質したDクラス(D-27)を人体による効果を調査するため、D-40に摂食させ、消化プロセスに伴い断続的に記録を行いました。D-40は生野菜(キャベツ・ブロッコリー)にSCP-248-JP-2を付着させ摂食及び消費しました。
初期通過部位: 咥内〜胃にかけて
D-40: ......いただきます。
[D-40の咀嚼に合わせて咥内から歪んだD-27の音声が聞こえる。]
D-27: うわぁもうやめてくれやめてくれほんっとうやめてくれ、歯がギロチンのように落ちる唾液が食道がわかるみえる体中まとわりつくにくにくにくが! ああああ!胃液が俺の身体が伸びる伸びる!わかれておれがふえる!くっついておれがもどる!こまかくなって!オレがおれおぁぁぁあああああああ!ああ!にくのかべがあるにくのかべがある!にくのかべ![中略]
中期通過部位: 胃〜小腸にかけて
D-27: おれがなにをしたなにをしたんだよただひとをころしただけじゃないかなぜこんなめにおれがあっているんだせまいせまいせまいせまいよせまいくらいくらいくらいこわいもうやめてやめてやめてくれよぉ!おれのまわりにあるおおきな蛇みたいなけっかんがどくどく脈打つ!人肌の温度でたすけてくれええ![中略]
[専門医の見解では数時間でD-27は閉所及び暗所恐怖症を発症したものと考察されている。]
後期通過部位: 小腸から大腸にかけて
D-27: めのまえがにくより柔らかいものにつつまれているおれをつつんでいるこわいこわいこわいよ、こわいよおおお! おれがとおったところからえきたいがごろごろせまってくるいやだいやだいやだあれは糞だ!たすけてくれたすけてくれ![中略]
[D-40は体調不良による下痢の症状が確認された。体調不良の原因はSCP-248-JP-2の摂食によるストレスだと推測されている。]
末期通過部位: 大腸から排出にかけて
D-27: とけるとけるとける!とけるとける!おれがのびるおれがのびる動く速いかべがおれをおしのけるはやくなるうごきがはやくなる酸が降りかかるで、出出出でででで...で、出とととと――
[D-27の音声はここで途切れた。D-40の肛門から便が排出されたことが原因だと判明。D-40の排出物を回収し、検分した結果便には何の異常は発見されなかった。排出物からD-27の音声が確認されないことから、消滅或いは死亡したものだと、『仮定』された。]
実験終了
実験終了-事件1-SCP-248-JP: 実験終了後、収容違反が発覚しました。実験で使用したSCP-248-JP-2(D-27)が一滴ほど机に付着しており、それを拭ったティッシュを焼却炉へ、SCP-248-JP-2(D-27)がおよそ2g付着している食器を洗浄し、それぞれ処分しました。後に焼却炉の煙からSCP-248-JP-2(D-27)と推測される声が空中を霧散し、洗浄処分されたSCP-248-JP-2(D-27)は下水中に廃棄され、双方は現在、世界中を循環しているものと考えられています。現在SCP-248-JP-2(D-27)の回収を実施していますが、成功していません。