SCP-2419
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ユニットC(1963年頃)。

アイテム番号: SCP-2419

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: フェンスによる半径15kmの円形境界線がSCP-2419の周辺に確立されています。この境界は機動部隊ベータ-7("マズ帽子店")によって私有地として維持されます。

1日1回、機動部隊ベータ-7は財団の技術者たちをユニットCへ同伴し、6基ある焼却炉のうち1基の保守点検を行います。各焼却炉が1週間に1回は整備されるようにするため、彼らは交代制スケジュールに従わなければいけません。この点検中を除き、全ての炉は常時点火状態で稼働させ続けます。補強された鋼鉄製ハッチが各焼却炉の3ヶ所にある排気シュートの上に溶接されています。これらのハッチはボルト留めして、施錠状態に保ちます。

ユニットCの焼却炉の外部で発見されたSCP-2419-A個体は、コンクリートに沈め、無期限収容地点へ輸送します。

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ユニットA、B、Cのモデル。

説明: SCP-2419は、アメリカ合衆国コロラド州サマー・スプリングスから北に75kmの場所に位置する製油所および廃棄物処理施設です。当施設は1954年、有害な廃棄物(主に医療廃棄物)の焼却と長期保管を目的として財団に建設されました。施設が1975年に幾つかの異常性を示し始めた後、制御下の避難が行われました。

施設は3ヶ所のユニットに分かれています。ユニットAは地層処分による異常廃棄物の長期保管を受け持っていました。ユニットBは送られてきた廃棄物を受け取り、処理していました。ユニットCは非異常性の廃棄物を焼却処分していました。

SCP-2419-A個体は、ユニットCの焼却炉内部に発生するヒト型実体を指します。SCP-2419-A個体は異常な再生能力を有しており、死亡することがありません。個体は典型的には排気シュート経由で焼却炉からの脱出を試みますが、各焼却炉の熱は個体の進行を早期に食い止めるのに十分な効果があります。

SCP-2419-A個体は意思疎通を行わず、自己防衛本能が欠如しています。個体群はお互いには関心を抱いていないように思われる一方で、個体以外のあらゆる知性体に激しい敵意を示します。

補遺2419.1: 発見

事案ログ


事案#: 2419-001
発生日時: 1975年05月21日


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焼却炉のシュートのうち1本を登る、完全焼却寸前のSCP-2419-A個体。

ユニットCを稼働させていた労働者らが、焼却炉6基全ての灰溜めから叫び声が聞こえると報告した。短い調査の後、サイト管理官は4号焼却炉の燃焼装置の火を落とすよう命じた。

数十体の深刻な燃焼被害を受けた実体が即座に焼却炉の排気シュートから出現し始めた。実体群は財団職員を灰溜めに引きずり落とそうと試みた。

サイト管理官は直ちに現地機動部隊チームに対し、全ての敵対的実体を終了するよう命じた。実体群が再生能力を持つと断定されると、サイト管理官は機動部隊チームに、高圧蒸気噴射器を使って実体群をシュートへ押し戻すように命じた。全ての炉の燃焼装置が再点火され、4号焼却炉はそれ以上の問題なく稼働を再開した。

事案発生中に、機動部隊チームは実体群のうち5体を鎮圧・捕獲した。これらの実体は更なる研究のため、サイト外部へ移送されている。

音声ログ


日付: 1976年07月21日
対象者: SCP-2419-A個体 (SCP-2419-A-5)
質問者: ウォーレン博士
注記: SCP-2419-A個体は概して敵意を示すことから、インタビューは通気孔の空いたガラス壁を挟み、武装警備員1名の監視下で実施された。


[記録開始]

ウォーレン: おはよう、五号。

(柔らかい裂くような音。)

ウォーレン: なぁ、そうして腕の肉を千切り続けていたらいつまでたっても治らんぞ。

(柔らかい裂く音が続く。)

ウォーレン: 君が話せることは分かっているんだ。君が笑っているのを記録してある。

(柔らかい裂く音が続く。)

ウォーレン: なぜ私たちと話そうとはしないのかね?

(柔らかい裂く音が続く。)

ウォーレン: 君の考えを変えるために何かこちらでできる事はあるか?

(柔らかい裂く音が続く。)

ウォーレン: いいかね... ある物を持ってきたんだ。

(柔らかい裂く音が止まる。)

ウォーレン: 写真だよ。君の家族のね。昔の — 君の名前がジョンだった頃、君がDクラスになる前の物だ。覚えているかね...?

(沈黙。)

ウォーレン: 君には妻がいた。2人の息子が。まだ赤ん坊の女の子が。

(沈黙。)

ウォーレン: (優しく) 覚えているかね、ジョン?

警備員: 近付き過ぎないように—

ウォーレン: 大丈夫。彼も思い出し始めたようだ。ジョン? 覚えているかね?

(沈黙。)

ウォーレン: (優しく) ジョン? これは君の—

(物がひび割れる音。)

ウォーレン: 何を—

(ガラスの割れる音。)

警備員: 畜生! この—

ウォーレン: (叫び)

(迅速な、湿った穿刺音が繰り返される。)

ウォーレン: (ゴボゴボという音)

対象者: (笑い)

(銃声。)

[記録終了]


注記: インタビュー中、SCP-2419-A-5は自身の左腕に開放骨折を負わせた。対象者は橈骨の尖った先端でガラス壁を破った後、同じく骨を用いてウォーレン博士の両目および顔面を幾度となく刺突し、致命傷を負わせた。

メモ


日付: 1978年02月19日
FROM: ジェニングス博士
TO: ブレンウィック博士


君の要請を受けて、我々が拘留している5体の実体についての6ヶ月評価を終えた。

ここに来る前、私は刑務所の精神科医だった。出会った全ての人々には苦痛と悲哀に満ちた物語があった。ある時は、それらの物語は彼らを苦しめた苦痛に関するものだった — またある時には彼らが及ぼした苦痛に関するものでもあった。状況によって引き裂かれてはいても、そこにいる皆に美しい魂があったのだと感じた日もある — 彼らのうち何人かが為した所業を知り、彼らがそのために収監され苦しんでいるのを心のどこかで喜んだ日もある。

しかし毎日の終わりに、私はいつも自分にこう言い聞かせた — 彼らは皆、人だ。彼らは皆、人間なのだと。彼らは皆、他の皆と同じように尊厳を持ち、尊重され、愛されるに値すると。

例外は無い。

ジェレミア、私がこんな大層な話をしたのは、今から言う事を軽く取ってはもらいたくないからだ。あいつらは人間じゃない。人の形をした怪物だ。奴らは精神病の定義云々の範疇を遥かに超えている。奴らがやる事は何もかも、痛め付け、傷付け、殺すための行為だ。私は奴らに同情を寄せ得たかもしれないが、それは同情するだけの価値があってこその話だ。

穴に放り込んでコンクリートで埋めろ。それよりもっと良いのは、発見された焼却炉の中に戻してやる事だ。

奴らは気に掛けもしないだろう。

- ダニエル・ジェニングス博士

補遺2419.2: 歴史

音声ログ


日付: 1961年05月09日
対象者: ウェスト博士
注記: 以下のログは、ユニットBに新たに到着した研究者に向けた、ウェスト博士のオリエンテーション・スピーチの録音である。


[記録開始]

ウェスト: (咳払い) さて、君たちの中に信心深い者は? いるか? いない? 宜しい。良いね、実に良い。神様に思うところは無いが、私がこれから話す事柄は、あー、敬虔な人たちとは必ずしも馬の合う内容ではないのでね。ハッ。

(沈黙。紙を捲る音。)

ウェスト: よし、それでは。君たちも気付いているだろうが、ユニットBの受け持ちは到着したDクラスの遺体の取り扱いだ — ユニットAまたはユニットCへ送る前に、それらが異常性を帯びているか否かを判断し、ちょっとした、あー、いわゆる"前処理"を施す。今日はここの部分を軽く話すとしようか。スライドを頼むよ。

(カチッという音。)

ウェスト: さて、君たちは皆—

(カチッ。)

ウェスト: 失礼、スライドが違う — スライドが—

(カチッ。)

ウェスト: これだな。さて、君たちは皆、人間の脳には精通しているはずだな? これがそうだ。そしてまた、人間の脳が財団に対してどれほど多くの難題を突き付けているかにも詳しいだろう。

(カチッ。)

ウェスト: それを制御するため、私たちは記憶処理薬を使う。しかし記憶処理薬は、あー、記憶処理薬は難しい。あれが何処から来ているのかをはっきり知っている者は誰もいないが、相当額の費用が掛かっていることは誰もがよく知っている。その上あれは、あー、あまり良くない。ハンマーを使って棘を抜こうとするようなものだ。

(短い笑い。)

(カチッ。)

ウェスト: もし代案があると言ったらどうする? 目と鼻の先にずっとあった記憶処理薬の一種。より安く、安全で、負の副作用はごく僅か — そして遥かに正確だ。

(カチッ。)

(呟き声。)

ウェスト: この画像の刺激的な、あー、刺激的な性質が不穏過ぎなければ良いんだがね。ハッ。しかしここにいるのは皆科学者だからな。

(カチッ。)

ウェスト: 人間の脳は、あー、人間の脳というものは — 比較的よく保存されている限り — 後に一定の残渣を残すという事が明らかになった。私たちが抽出し、あー、精製できる物を。

(カチッ。)

ウェスト: この残渣は、十分新鮮な死体の精神から"煮立たせる"ことが可能だ。記憶の"蒸留"だと考えてほしい — 私たちの最も幸福な記憶のだ。私たちが慰めを最も必要とする時、それをもたらしてくれる人生のあらゆる部分 — 私たちを優しく親切にする要素。

(カチッ。)

ウェスト: ここに映っているのが、後に残っている物だ。"煮沸"のプロセスは非常に重要だ、さもないとこの役に立たない付着物を一緒に抽出してしまう。

(カチッ。)

ウェスト: さて、これらの精製された蒸留物の全てを一緒に結合させて均質化することにより、あー — うん、ある物質ができる。それを適切に処理して、標的催眠療法と組み合わせれば...

(カチッ。)

ウェスト: ...正確な記憶、特定の記憶を除去できるという訳だな。私たちはその記憶とこの、言わば"幸せスープ"を入れ替える — 彼らの精神はスープを使って新しく、快適な偽の記憶を作り上げる — ギャップを埋める。

(カチッ。)

ウェスト: 要するにこうだ — 例え死んでも、Dクラスは私たちを支援する — 世界を支援し続ける。

(カチッ。)

ウェスト: さて、君たち全員、質問が沢山あるだろうから喜んで受け付けよう。一度に一つずつで頼むよ。

[記録終了]


メモ


日付: 1974年09月12日
FROM: ウェスト博士
TO: ハモンド博士


ジム:

私は一人の研究者、同僚、友人として君をただ尊敬している。だから、消えて失せろと言う時の私が一体どういう事を言いたいのか分かってほしい。

私を通さずに上層部とこの件を話したがる君のしつこさには飽き飽きしている。プロセスが死体を異常物に変えることは無い。先月の事案はまぐれあたりだ — テリーは間違いなく、蒸留プロセスを始める前に死体が異常であることに気付き損ねたんだろう。彼は杜撰だった(安らかに眠りたまえ)、それだけの事だ。

皆は面と向かってこれを伝えるのを怖がっているので、私から直に言わせてもらう。去年になって宗教に"目覚めて"以来、君はますます一緒に仕事をするのが耐え難い人物になってきている。

百歩譲って君が正しいとしよう — だからどうした? 彼らは死んでいるんだ、ジム。遺灰の山に"十分幸せな"考えが残っていたかどうかなんて心配しなくとも、この地上にいる私たちには問題が山積みなんだ。

君を他のサイトへ転任させることにした。逆らうべきではないと強く勧告する。

- ウェスト博士

メモ


日付: 1974年09月13日
FROM: ハモンド博士
TO: ケリンガー博士


貴方はいつも私にとても親切でしたね。ありがとうございました。

昨日、私はD-263175の死体を処理しました。妻を殺害して死刑判決を受けた男です。私は、彼が病院のベッドで死にかけている妹の手を握って過ごした6時間を蒸発させました。息子が最初の数歩を踏み出した時に感じた誇らしさの高まりを蒸発させました。彼の母親が見せたことのある全ての優しさを蒸発させました — 彼女の冷酷さと虐待しか残らなくなるまで。

私はあらゆる喜びの瞬間を取り去りました — そして、絶え間ない悲惨と苦痛と怒りに満ちている人生を後に残しました。

財団がDクラス職員を犯罪者層から徴用している理由が分かりますか、ショーン? 誰も私たちを止めないからです。誰も気にしない。刑務所は取るに足らない人間が集められる場です。犯罪者とはそういう者たちであろうと貴方が想像するような怪物しか残らなくなるまで、彼らの人間らしさが剃り落とされる場です。しかし、どれだけ私たちがそうしようと取り組んでも、そこにはいつも僅かばかりの謙虚さが残っていました — 私たちには手の届かない欠片が、彼らには残されていました。

今までは、です。私たちは成し遂げました。D-263175は遂に人々が思い描く怪物に成り果てました。私は彼の人間性を、最後の名残までも焼き捨てました。今、私は彼の死体をユニットCへ運び、残りを焼き捨てようとしています。

残された物が燃えてくれるよう神に祈ります。

もうここにはいられません。申し訳ありません。貴方もまだ可能なうちに出ていくことを奨めます。

- ハモンド博士


FROM: オペレーター リチャード・マドックス <noitadnuof.pcs|xoddamr#noitadnuof.pcs|xoddamr>
TO: サイト管理官ブラウニング <noitadnuof.pcs|gninworbb#noitadnuof.pcs|gninworbb>
SUBJECT: ユニットC焼却炉


例の素敵な鋼鉄ハッチだけでは不十分だ。

いいか。いい加減ここでカッサンドラよろしく不吉な予言をするのも疲れてきたが、状況は芳しくない。石油バーナーを燃料ガスに切り替えた頃から、奴らが限界質量に達することは殆ど無くなった。何かあるとすれば技術者がミスを犯すか — 或いはバーナーが点いていない時間が少々長過ぎる場合だ。

ああ、焼却炉には大きな穴がある。ああ、もし十分そこを熱くしておけば、人間の脂肪は燃焼してあんたの仕事を半分まで終わらせてくれるだろう。だがそんなのは、肉が煙突を詰まらせるのに十分な量まで成長したら何にもならない。もしそんな事態になれば排ガスは出ていかなくなる — よほど運が良くない限り、酸素の入る余地無しでバーナーを稼働させ続けることは不可能だ。俺たちはそんな風にして焼却炉を6基全て失う羽目になる。

で、それはいつ起こるか? 奴らはいずれ帰ってくるぞ。

一人残らず。

焼却記録を改めさせてもらった。五号焼却炉だけでも3000人以上のDクラスの死体を処分している。合計すると、奴らは1万体はいることになる — あっという間だ。全員、再生能力がある。全員、あらゆる幸せな記憶が蒸発させられている。全員、20年分の新しい記憶、それも概ね俺たちから火炙りにされた記憶を持っている。

俺は財団で15年以上働いてきた。数多くのDクラスが数多くの惨い死に様を晒すのを見届けてきた — だから、人が恐怖や苦痛の叫びを上げているのがどんな風に聞こえるか多少は分かっているつもりだ。

SCP-2419の連中は恐怖や苦痛で叫んではいないんだよ、ブライアン。

そもそも叫んですらいない。

奴らは笑っている。


ページリビジョン: 6, 最終更新: 21 Feb 2024 12:28
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