クレジット
SCP-2391-JPの搭乗していた自動車
アイテム番号: SCP-2391-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-2391-JPはNeutralizedに指定されており、それぞれ規定の生物死体廃棄手順に従い、検査の後に収容担当サイト-81-109にて処分されました。
説明: SCP-2391-JPは北海道占冠村の鬼峠で発見された自動車に全身不随の状態で乗り合わせていた人物らの総称です。SCP-2391-JPには木部純一(SCP-2391-JP-1)と浦田誠(SCP-2391-JP-2)及び纐纈いろは(SCP-2391-JP-3)の計3名が乗車していました。助手席には七輪が設置されており、練炭の燃焼した痕跡が存在していました。
SCP-2391-JPの身体は異常な硬直を示しており、心臓の拍動や呼吸などの生命活動も確認されませんでした。例外として眼球のみを動かすことが可能でしたが、瞬きは観察されず、常に目を開いている状態で硬直していました。また質問に対し眼球の動きを利用し簡単な返答ができたため、SCP-2391-JPは意識を有していると判断されていました。また、SCP-2391-JPは座席部に不明な方法によって固定されており、車外へと運び出すことが不可能でした。このため財団はSCP-2391-JPを自動車ごと付近のサイト-81-101へと運搬し、収容体制を確立しました。
発見当時、SCP-2391-JPは以下の状態にありました。
- SCP-2391-JP-1は運転席に座っており、右手をドアハンドルに添えています。両足ともブレーキ・アクセルペダルから外れており、左手の指先が座席に接地しています。
- SCP-2391-JP-2は後部座席の右手側に座っていました。右手はドアハンドルを掴んでおり、その状況から外部への脱出を試みていた可能性が示唆されています。
- SCP-2391-JP-3は後部座席の左手側に座っていました。左手でスマートフォンを保持しており、右手はそれに添えられる形で固定されています。スマートフォンは自然放電によりバッテリーが尽きており起動できませんでした。状況から推察するに、電話もしくはメールなどの手段で外部との連絡を図っていたものと思われます。
SCP-2391-JPの顔面の筋肉は強ばった状態で固定されています。この様子は「驚いたような表情」と形容可能です。また、SCP-2391-JPの身体の内、下半身は動作の痕跡を見せていません。車内の物品はわずかに散乱しています。
眼球の運動を利用して行われた聞き取りにより、SCP-2391-JPが自殺志願者の集合であること、発見の6日前に自殺を図ったこと、身体が硬直したのは自殺を図った直後からであること、身体の硬直は足先から始まり、その後急速に全身が固定化されたことが明らかになりました。
なお、現在はSCP-2391-JPに自殺の意思がないこと、硬直からの解放と救助を求めていることが確認されています。また、発見当時は不安定的であった精神状態も改善の兆候を示しています。
補遺2391-JP.1: 無力化
収容までの様相や状況からSCP-2391-JPには異常な破壊耐性が存在する可能性が予測されていたため、収容から2日後に有破壊耐性物品に対する通常耐久試験(耐圧力・耐切断・耐酸塩基試験)が行われました。
耐久試験開始直後、SCP-2391-JP-3の硬直と座席への固定が突如として解除され、全身の筋肉を大きく動かし身体が跳ね上がったのちに一酸化炭素中毒様の症状を呈して死亡しました。これに続き、SCP-2391-JP-2かSCP-2391-JP-1の順に同様の状態を経て死亡しました。
その場で急遽執り行われた検死および解剖の結果、SCP-2391-JPの死因が高血圧に由来する心筋梗塞であることが明らかになっています。これは停止していた拍動が再開したために血管及び心臓に負荷がかかったためであると推測されています。
現在のところ、過去の類似例を参考として推測された無力化原因の有力候補は「特定感情の増幅(当例は"死への恐怖")」です。特定感情の増幅による異常性の変質・無力化例は多数存在していることから、本事案もそういった理由によって引き起こされたものであると推測されています。
当時の状況の推測として、耐久試験を最初に実行されたSCP-2391-JP-3が死への恐怖を強く感じたことにより硬直が解除され死亡し、それを認識したSCP-2391-JP-2が続いて死亡し、バックミラーからその両者の死亡する様子を視認したSCP-2391-JP-1が同様に死亡したものと考えられています。本事案をもとに、知的生命体への耐久試験方法の見直しと改定が行われました。
本事案後にSCP-2391-JPはNeutralizedに分類されました。