アイテム番号: SCP-23:59:59-JP-J
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-23:59:59-JP-Jは現在時点で明確に収容されていません。SCP-23:59:59-JP-Jの影響に置かれた対象者には「そろそろ期限がマズいんじゃないの?」「委員がキレるよ?」「時計がずれてたら悲惨だよ」などの声かけを行い早急な影響下からの離脱を行ってください。「SCP-23:59:59-JP-Jの影響を受けたから提出が直前になった」などの虚偽申告が発覚した場合は特別委員による査問の上、然るべき処罰が下されることに注意してください。
説明: SCP-23:59:59-JP-Jは何らかの投稿、提出期限を有する人物(以下、対象)に対し、不定期に発生する心理現象です。
SCP-23:59:59-JP-J影響下に置かれた対象は、不明な原理により、自身の認識している期限の直前まで投稿、提出を怠る心理状態に置かれます。この状態に置かれた対象は自身の危機的状況に対する警戒心が減退し、期限直前にもかかわらず各種趣味への逃避、必要のない家事、SNSへの軽率な投稿等を繰り返すようになります。これにより対象は多くの場合期限の直前に投稿、提出を行う傾向にあります。その結果として対象の確認、特別措置の実施などが行われるため、関連する複数の団体、個人へ負荷をかける結果となり、最悪の場合期限を超過することによる参加条件の喪失を招きます。
SCP-23:59:59-JP-Jの影響は非常に軽微であり、適切なスケジュール管理、他者からの呼びかけ、該当期限に対する諦めなどを行うことで影響下から脱することは可能です。その一方で短期間に複数回影響下に置かれる、フラッシュバックを引き起こす、他者からの呼びかけに応答せずより影響が強固になる例も確認されており、何らかの提出機関においては専門委員による定期的な呼びかけが推奨されています。
SCP-23:59:59-JP-Jの特性により、対象は夏休み最終日の義務教育対象者、課題レポート提出日の大学生、創作サイトにおける各種コンテスト時など多岐に渡ります。これによる経済的機会損失は約██億になると試算され、調査が行われています。
以下はSCP-23:59:59-JP-J対象者へのインタビューログです。また、このインタビューでは各個人のプライバシーを保護するため匿名で行われたことに留意してください。
音声記録23:59:59-JP-J-01 - 日付 20██/██/██
インタビュアー: H博士
対象者: K氏(プリチャード大学3回生。SCP-23:59:59-JP-Jの影響により学部棟へ疾走しているところを発見。レポート提出後確保)
«再生開始»
[事実確認のため省略]
H博士: では改めて確認しますが、Kさんは何故、そんな直前になって課題レポートの提出に?
K氏: なんで、と言われると完全なスケジュール配分ミスです。ほんとは前日までに全部やる予定だったんですけど、ついつい配信やショート動画を見てしまって......
H博士: なるほど、趣味に誘惑されてしまったと
K氏: それに、なんかこう、根拠のない自信が出てきて、「私は天才だからまあ、4000字のレポートくらい1時間あれば余裕余裕。先行研究もちゃんと集めてるし」とか思っちゃって
H博士: 実際には?
K氏: 5時間かかりました......
H博士: [溜息]
K氏: で、でも間に合ったじゃないですか!
H博士: そのために対応した職員のことは考えましたか? もちろん相手も仕事ですからいやな顔はされなかったとは思いますが
K氏: は、はい、それは、もう、すいません......
«再生停止»
補遺: 後続調査によりK氏の提出したレポートは"否"であることが確認されました。
一部のSCP-23:59:59-JP-J影響下で作成された文章等は、時間的制約に対する焦りなどから、ケアレスミスや形式の不備などが確認される傾向にあります。
音声記録23:59:59-JP-J-02 - 日付 20██/██/██
インタビュアー: A.海
対象者: A.京(主にカバーストーリーを担当するエージェント。カバーストーリー提出直前にサイトが混み合っていたため提出できなかったと総務課に泣きついているところを確保)
«再生開始»
[事実確認のため省略]
A.海: えーっと、じゃあ改めて。なんで提出できなかったの
A.京: いや、ホントは提出できてたんですよ。余裕もって出そうとしたのにサイトが混み合ってアップロードが遅れちゃってできなかったんです。だから僕のせいじゃないんですよ
A.海: 余裕ってどれくらい?
A.京: え、......それはですね
[約30秒間A.京の目が泳ぐ]
A.海: どれくらい?
A.京: ......1分前です
A.海: [溜息]
A.京: い、いや、でもですよ? ホントは2時間前にできてたんです! なんでそんなことになったかっていうと、そこから新しいアイデアが出てきたんですよ! あのオブジェクトに対する完全なカバーストーリー! 絶対これなら採用されるってのが! だからもうできる限り全力で
A.海: でも提出の30分前にXでポストしてるよね。えっと、「元々の毛利元就、毛利元々なり」
A.京: あっ。い、いや、それは息抜きで......。えっと、あの......、次はないようにします
«再生停止»
補遺1: 後続調査によりA.京の提出したカバーストーリーは不採用になりました
補遺2: 20██/██/██、A.京が再度SCP-23:59:59-JP-J影響下に置かれていたことが確認されました。その際提出したカバーストーリーも不採用であったことが確認されています。
一部のSCP-23:59:59-JP-J影響下で作成された文章等は、時間的制約に対する焦りなどから、創造性や論理性が低下し、否定的な評価を受ける傾向にあります。
音声記録23:59:59-JP-J-03 - 日付 20██/██/██
インタビュアー: █████████████研究員
対象者: ██████████氏(怪奇創作サイトに投稿するアマチュア創作者。サイト内のコンテストに投稿していたところを財団botに発見され確保。これまで8回SCP-23:59:59-JP-J影響下に置かれている)
«再生開始»
[事実確認のため省略]
█████████████研究員: 改めてお伺いしますが、何故直前に投稿を行うのですか?
██████████氏: それは決まってますよ、話題性のためです
█████████████研究員: 話題性?
██████████氏: 何でもね、最初と最後は話題になるんです。私の参加するサイトはね、毎回100近い投稿があるんですよ? それを順番に見る場合、真ん中から見る人はほとんどいない。人気順か日付順だ。なら、見られる可能性が高くなる時間を狙うのは当然でしょう。どれだけ面白いものを書いても見られないなら話になりませんしね
█████████████研究員: その論理でいけば最初に投稿すればよいのでは?
██████████氏: それができれば苦労はしませんがね。私は大器晩成型で、ギリギリまでアイデアを練るんです。だからまあ、仕方のないことなんですよ
█████████████研究員: それを計数するスタッフなどに悪い気持ちは持たないのですか?
██████████氏: 悪いとは思いますよ。でもアイデアが浮かんじゃったんだから仕方がないじゃないですか。もういいですか? 昨日投稿した評価を確認したいんです。昨日投稿したらすぐ寝ちゃって、充電忘れてスマホの電源も切れててまだ確認できてないんですよ。そんな状況で突然連れてこられるんだもの
█████████████研究員: 構いませんが......
[█████████████研究員の端末から着信音が響く]
█████████████研究員: すいません、......はい、......あら、......それはまあ
[█████████████研究員が通話を切る]
█████████████研究員: えーっと、██████████さん
██████████氏: はい?
█████████████研究員: 投稿したコンテストの〆切はいつでしたか?
██████████氏: 昨日の23:59:59ですけど。間違いなく時計を見て投稿しましたからね
█████████████研究員: タイムスタンプを確認しましたがあなたの投稿は今日の00:00:00になっているようです
[約30秒間の沈黙]
██████████氏: ────ぽぺ?
█████████████研究員: そのため、参加基準を満たさず、失格扱いになっています
[約30秒間の沈黙]
██████████氏: ────────ほわわっ?
█████████████研究員: おそらく時計がずれていたものかと。......その、ご愁傷様です。おつかれさまでした
«再生停止»
補遺: 後続調査の結果、██████████氏の投稿した作品はコンテストに参加していた場合、優秀賞を取っていたことが確認されています。