Horoscomaton.
発見時のSCP-227-FR
アイテム番号: SCP-227-FR
オブジェクトクラス: Safe
脅威レベル: 緑 ●くろまる
特別収容プロトコル: SCP-227-FRは、サイト-キビアンの収容保管庫-03に収容してください。SCP-227-FRの影響が被験者へ完全に浸透するまでに必要な時間(決定的同調に達するまでの4週間と、その後プロトコル227-Tの下設定された無期限の実験継続期間)を考慮し、実験に使用されたDクラス職員は月例解雇が免除されます。研究員が実験を行えるように、旧1フラン硬貨のストックを用意してください。
説明: SCP-227-FRは、部分的に変更が加えられた、Photomatonブランドの自動証明写真機と類似した機械への指定です。寸法は3.10 x 2.20 x 0.50 mで、黒と紺で塗装されています。
SCP-227-FRの正面には2つの開口部があり、1つは「星占い」を開始するためにフラン硬貨を挿入するためのもので、もう1つは「星占い」終了時にメッセージ入りの紙片が出てくる小さな取出し口です。
SCP-227-FRは、上部に「HOROSCO-MATON」(原文ママ)と書かれた看板と、以下の文章が書かれたポスターが備え付けられています。
天体は
あなたにどのような未来をもたらすのだろうか?
心の問題? 出世の望み? 革新的な Horoscomaton®で、あなたの未来がどのようなものか見てみましょう !
あなた方の運命が数千光年離れた場所で融合した水素分子の回転によって決定されていると考えられる以上、あなたが自身の人生をどのように導くことになっているのか、その情報をより正確に知るため、全ての運命を導き出すこの機械を使わずにいる理由などあるだろうか?
SCP-227-FRの内部は白く塗装されており、天井にハロゲンランプがついています。また、高さ調整が可能な白い椅子、入口に黒のベルベットカーテン、そして椅子に面した壁には、テレビ画面が嵌め込まれています。
SCP-227-FRには電源プラグが備え付けられているものの、SCP-227-FRを起動させるために電源プラグを差す必要はないと思われる点に留意してください。
人間(以下「被験者」と指定)が1フラン硬貨を投入した後、機体内に座ると、画面が自動的に点き、メッセージが表示されます。メッセージは被験者に対し、画面上に手を置き5まで数えるよう要求します。これは「手相評価」を機械に読み取らせるために行われているとみられます。この「手相評価」は、SCP-227-FRが予言の計算に必要な、被験者の基本情報を得るために必要とされるものとみられています。
被験者が上記の動作を実行すると、画面にロード画面が一時的に表示され、その後、被験者に関する正確な情報をいくつか含んだ資料を公開します。この情報は常に正確であり、以下のものが含まれます。
- 被験者の生まれた時刻と生年月日
- 被験者の出生地の地理座標
- 被験者の星座
- 被験者の先祖
- 被験者の利き手(左利き、右利き、両利き)
- 秘密(財団が利用するには重要度が余りにも低すぎるもの)
その後、画面は表示された情報について「はい」か「いいえ」かで、口頭で確認するよう被験者に要求します。機体には音声受信機は無いものの、返答は常に考慮されているものとみられます。被験者が画面上の情報を確認するとすぐに、予言の記載された紙片が出力される、機体の外側に設置された取出し口の方へと案内されます。一度被験者が外へ出ると、画面は自動的に消え、紙片が生成されます。
1枚目に生成される紙片は、被験者の過去についての曖昧でありふれた情報を提供します。被験者は、失望や軽い驚きや怒りを感じ、全ての場合において強い不快感を覚えるとともに、悪戯/詐欺の被害にあったとみなします。しかしながら、被験者はSCP-227-FRに曝露したその週のうちに、機械が正常に機能していたかどうか、あるいは自身の結果が以前と同じであるかどうかを確かめたいという理由で、再び機体を試用したいという強い欲望を覚えます。これが依存段階の始まりになります。
依存段階は約25日間にわたります。被験者がSCP-227-FRの試用を繰り返す度に、与えられる情報はより正確に、より現在に近い過去に関するものになっていきます。被験者の依存度合は試行に伴ってより増大していき、この段階の終わりには1日に何度も試用を行うようになります。
依存段階は、過去ではなく現在のことを機械が予言する「決定的同調」によって終了します。決定的同調は試用の21日目から28日目の間に発生します。配信されるメッセージは以下のまま変化しません。
あなたは今、この紙を見ている
決定的同調以降、SCP-227-FR被験者の依存症は恒久的に不治になると考えられており、被験者は少なくとも1日に1度SCP-227-FRを試用したいという病的な欲求を持つようになります。これは予言段階の始まりを示すものです。
予言段階以降、SCP-227-FRは、被験者の未来に関する真の予言を生成し始めます。これは、数時間後の非常に近い未来に関する極めて正確な予言から始まり、より遠い未来かつより一般的な予言へと進んでいきます。
これらの予言は常に正しいものです。残念なことに、予言はDクラスに関する個人的なものであり、あまりにも無益で曖昧なもので、財団へ興味深いデータを提供するものではありません。
依存によって引き起こされる障害に鑑み、研究員や軍事職員がSCP-227-FRを使用する試みは全て禁止されています。自身の利益のためにSCP-227-FRの使用を試みる違反者は全員降格となります。
アイテム番号: SCP-227-FR
オブジェクトクラス: Euclid
脅威レベル: 黄 ●くろまる 橙 ●くろまる
特別収容プロトコル: 実験の被験者となったDクラスは全て実験後に終了しなければなりません。変化の後期段階に入ったDクラスは個別の収容房に収容してください。形態学と心理学の専門家で構成された医療チームが、各試用の後に被験者の健康状態を検査する必要があります。警備担当は、被験者の攻撃あるいは逃亡全てを阻止するため、警備員を最低6名置き、警備体制の強化を行ってください。
予言段階: SCP-227-FRは予言段階において、被験者の将来を予言していません。SCP-227-FRは被験者の将来を決定し、被験者はこの予言に従っています。SCP-227-FRの行う予言は、予め定められた行動パターンを被験者が次第に取り入れていくことによって、被験者の行動をより限定していくことになります。SCP-227-FRへ曝露した期間が長いほど、行動は過激になり、被験者の精神的な健康は不可逆的に悪化していくことになります。
予言段階の10〜15日後、SCP-227-FRの影響は物理的な変化を伴います。この変化は初めほとんど目立ちませんが、回数を重ねるごとに被験者の身体の形態は徐々に顕著に変化し、そして危険度が増大していきます。身体的、精神的な変化が発現し始めた時から、被験者をSCP-227-FR-2と呼びます。
SCP-227-FRの影響をより正確に例示するため、実験記録の一例を以下に示します。記録の全ては、アーカイブ部門で利用可能です。
実験記録 #25 :
被験者: D-8992
生年月日: 1976年08月18日
26回目: 昨日、決定的同調が完了した。被験者は良好な状態にある。SCP-227-FRは、被験者が部屋を出る際に足の親指をぶつけると予言した。当然ながら、その予言は正しかったことが確認されている。28回目: 普段は内向的であるD-8992が協調性を見せ始めている。SCP-227-FRは「今週は家を出なくても、いつもより社交的になる」と予言していた。
35回目: 現在、D-8992は非常に外交的だ。2名の警備員が被験者と過度に親しくなり、客観性を失い始めていた。そのため、担当変更をしなければならなくなった。
40回目: 女性職員が、少なくともD-8992と関わることを一時的に禁止する。D-8992はここが自身の家であり、我々がその客人であると信じこんでいるようだ。被験者と研究職員間のコミュニケーションも同様に厳しく削減することを要求する。被験者の体毛が異常に増加している様子がみられる。現在、D-8992はSCP-227-FR-2へ移行をしている。
54回目: SCP-227-FR-2は職員に対しますます攻撃的になっている。加えて非常に高慢になっている。食事は現在全て肉食のものとなり、爪のサイズは2.6cmに達している。背骨は変形し、筋組織や敏捷性が極度に発達している。SCP-227-FR-2が話をすることを阻止するため、猿轡を噛ませることを要求する。職員への影響が非常に大きいと思われ、事実私もその影響を受けているためだ。
56回目: [データ削除済み]。SCP-227-FR-2を終了した。
実験記録 #38 :
被験者: D-2256
生年月日: 1972年10月24日
24回目: 昨日、決定的同調が完了した。D-2256の依存具合は、とりわけ顕著であるようにみえる。SCP-227-FRは被験者に「自分より良い武装を行っている人物に対し苛立ちを覚える」と予言した。必然的に、D-2256は警備員に対して敵対的になった。被験者には適切な処置を行った。29回目: SCP-227-FRはD-2256へ「あなたを利用しようとしている、周囲の悪意ある人物に用心する」ように助言した。これによって被験者のパラノイアは著しく増大し、今では精神的な安定がほとんどない状態だ。
36回目: D-2256はますます取り乱し、衝動的な攻撃も現れてきた。真皮の変質によって、D-2256の皮膚は極度に乾燥状態になっている。彼を直接SCP-227-FR-2として分類するように要求する。
39回目: D-2256の身体は現在、部分的に茶色のしみで覆われている。組織は解析のために研究所へ輸送した。担当職員も萎縮しているようだ。SCP-227-FR-2は制御が困難になっている。SCP-227-FR-2の攻撃性と興奮状態が、SCP-227-FR-2が持つ欠点の大部分を補っている。
45回目: SCP-227-FR-2は、実験開始時に2名の警備員へ重傷を負わせた。中手骨の変化および骨盤部分の異常な歪曲が始まっている点に留意するべし。同様に、異常な毒性物質が彼の便から発見されている。解析が進行中。実験は一時的に延期されている。
47回目: [データ削除済み]。SCP-227-FR-2を終了した。
実験記録 #44:
被験者: D-6317
生年月日: 1981年09月12日21回目: 昨日、決定的同調が完了した。SCP-227-FRはD-6317が昼食時にグラスを落とすと予言した。予言は正しいことが確認されている。この動作は意図的なものではなく、メッセージの影響を受けているのだろう。
29回目: SCP-227-FRは「あなたの批評が他人を前に進める助けとなる」と予言した。D-6317はこの予言に従い、実験中に我々の行動に対し逐一批評することに取り憑かれているようだ。
34回目: D-6317は徐々に大人しくなり、常に何もないところと焦点が合い、どこか上の空な状態だ。これにより事態は楽になった。現時点では、身体的な変化は全く見られない。強迫性障害の初期症状が出ていた上に、あの批評の嵐が続いていた。それが無い状態になるのならば、この大人しい状態というのは少なくともメリットではあると思える。
40回目: D-6317は夜に脱獄を試みたようだ。いや、実を言うと、脱獄してしまったんだ。この映像記録によってわかったことは、実験で確認できた通り、D-6317は平均を大きく上回る記憶力と観察能力を伴った、驚くべき同時性と精密さを持つということだ。もっとも、D-6317は5時間足らずで依存症の影響で戻ってきたのだが。警戒を強めることを推奨する。身体チェックによって、D-6317にあった傷跡、とりわけ顎の下と右太腿にあるものが消失していることが分かった。SCP-227-FR-2へ移行する。
46回目: SCP-227-FR-2は尿に問題が示され、研究所での調査が進行中だ。それを除けば、SCP-227-FR-2は奇妙なほど静かで、外部刺激に対してより鈍感になっているとみえる。SCP-227-FR-2の視力は大いに向上している。強迫性障害により、SCP-227-FR-2は実験室29-Bの床にある汚れを気にしている。通路の反対側にあるそれを、だ。
49回目: SCP-227-FR-2の生殖器官全般が萎縮している。SCP-227-FR-2はどうやら痛みを感じていないようだ。肉体的な傷跡も全て消えたとみえる。実験により、怪我をしても数時間以内に元に戻ることが証明された。
50回目: [データ削除済み]。SCP-227-FR-2を終了。
事案 227-01: 19██/██/██、機体の構造のスキャニングが如何なる結果も齎さなかったことを受けて、機体の内部構造の理解のため、機械の分解に着手するべく工学部門技術課(DI&ST)へSCP-227-FRを提供することを決定しました。ジルアール主任技師が、機械後方に付いているパネルを外し始めたところ、直径2cm(サイズは衝突後に計測)の小惑星が収容保管庫-03の屋根を貫通し、[データ削除済み]。
その後、SCP-227-FRは通常の予言とは異なるメッセージを生成しました。内容は以下の通りです。
理をわきまえよ。天体、未来そして死は一体のものである。謎の奥へ踏み入っても、この手品を台無しにするだけである。無知を嫌悪し、運命をあるがままに受け入れよ。避けられぬことなのだ。機体を愚か者共の元へ戻したまえ。
進行中のSCP-227-FR内部機構を把握するための研究は全て、サイト管理官の命令で中断されました。
サイト管理官からの注意: 研究員たちの予想とは異なり、SCP-227-FRの影響範囲はSCP-227-FRを試用した被験者の精神という枠内をはるかに超える、と当該インシデントによって証明された。仮にこの......文字通り「天文学的」なインシデントが、SCP-227-FR-2によって負傷させられた14人のエージェントに加わっていたならば、SCP-227-FRは想像以上の脅威になったと思われる。脅威レベルの引き上げと、各種実験の無期限凍結を命じます。キビアンにはあの雑種のクソ野郎どもに対応し、空が頭上に落ちてくるのを防ぐための設備なんてものは無いんだ!