クレジット
アイテム番号: SCP-2187-JP
SCP-2187-JP実体
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2187-JPは、出現の正確な予想が困難であるため未収容です。ただし出現傾向の性質上、目撃者は少数であることが多いため事後処理を行うことで一般社会への情報流出は十分に防ぐことが可能です。新たなSCP-2187-JPの出現が確認された場合、機動部隊及び回収班を現場に派遣してSCP-2187-JPの回収と周辺地域の復旧、目撃者の記憶処理を行なってください。回収したSCP-2187-JPは、サイト-81██に併設された低危険度車両収容ガレージに個体ごとに識別番号を振られた状態で収容されます。
説明: ×ばつ150cmほどのプラスチック製の寸詰まりにデフォルメされた自動車玩具に酷似した実体です。大まかに車体とエンジン部の2パーツで構成されており、車体の材質はFRP製で、未知の企業ロゴが確認されることと大きさ以外に異常な点は見られず現代化学で十分に再現可能なものです。エンジン部はタイヤ直結型のプルバック式ゼンマイに構造が酷似していますが未確認の素材が使用されており異常な出力での動作が可能です。エンジン毎に個体差がありますがSCP-2187-JPは約200~300km/hでの走行が可能です、ただしエンジン部のゼンマイを捲く際にも出力に比例した力を必要とするため動作の再現は困難です。
SCP-2187-JPは、日本国内の範囲に不定期な間隔で深夜帯の高速道路などの交通量の少なく直線距離の長い道路に出現します。また出現の数分前からその地点では通常より交通量が減少することから、なんらかの異常効果が働いていると考えられています。その性質から出現の予測は困難ですが事後処理を迅速に行うことで情報流出を防ぐことが可能です。出現したSCP-2187-JPはほとんどの場合、猛スピードで暴走し障害物や側壁に衝突して行動不能になります。
初期出現記録: 最初の出現は1978年9月9日の午前2時ごろ、東京都葛飾区の国道6号線付近に出現したSCP-2187-JP-1は約200km/hでおよそ300mを走行した後、道沿いの電柱に衝突して停止しました。その後警察関係者から財団へ情報提供があり事態を把握、周辺地域を閉鎖し事故処理の後に目撃者██名に事情聴取と記憶処理を行ない事態を収束しました。
補遺: SCP-2187-JPの発生が初めて確認された事例です。この時SCP-2187-JP-1は異常なゼンマイを持つ巨大なチョロQとしてAnomalousアイテムに登録されていました。以降も出現が確認され続けたことでオブジェクトクラスが再分類され、SCP-2187-JP研究チームが発足されました。
Anomalousアイテム分類時のSCP-2187-JP-1
説明: 巨大なチョロQ、ゼンマイを捲くことで約200km/hで走行可能
回収日: 1978年09月09日
回収場所: 東京都葛飾区の国道6号線付近
現状: 車体は完全に破損、低危険度収容倉庫にて収容
追記: これ、ゼンマイ捲くのに重機が必要なんですけど -富山研究員
SCP-2187-JP-2以降の出現記録: 最初の出現の1978年から1986年までは2ヶ月に1件程度の間隔での出現が確認され、いずれも交通量の少ない場所や時間帯でのみ出現が確認されました。SCP-2187-JP-50前後の出現あたりから出現頻度が増加し始め、1987年あたりから出現頻度が大幅に増加したためオブジェクトクラスの再分類が検討されましたが出現の条件は変わらなかったため評価は保留されました。その後1990年をピークに出現頻度は減少し1990年代後半以降には年に1度前後にまで減少しました。
2004年までのSCP-2187-JP出現頻度の推移(以降横ばい)
SCP-2187-JPには個体差があり車体タイプや塗装に差異が確認され、その内いくつかは改造が施されている個体が存在します。またその出現時期により改造の傾向が変化しています。以下は改造内容の抜粋です。
1978年-1983年の改造内容抜粋改造内容 | |
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電飾の配線 | ヘッドライトの点灯が可能。電球のスイッチを切り替えるのに80kg以上の力が必要。 |
円盤の装着 | 直径150cmの銅製の円盤を後部に装着し、円盤を錘にして前輪を持ち上げウィリー状態で走行した。 |
車体への記述 | 油性塗料を用いた記述、「たかし」と読むことができる。 |
車体への塗装 | ████に酷似した、未知のキャラクターのアクリル塗装。 |
初期収容からしばらくの間は未改造のものが多く、確認されたSCP-2187-JPのほとんどは未改造のものでした。改造されているものは約2割程度であり、それも速く走ることに直接関係しない軽微な改造が大半でした。
1984年-1987年の改造内容抜粋改造内容 | |
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エンジンの置換 | 300km/hを超える速度で走行する個体が増える、エンジン部にはウルトラダッシュゼンマイやプラズマダッシュゼンマイなどの記載があった。 |
車体の切除 | 車体の窓にあたる部分などが切除されるようになる、軽量化のための肉抜き行為と思われる。 |
タイヤの置換 | ゴム以外の素材タイヤが使用された個体があった。スポンジ製のタイヤに置換されたものもあったが、出現直後にタイヤが千切れ行動不能になったと思われる。 |
出現頻度が増えたと同時に速度を求めたと思われる改造が多く見られ始め、改造が施されたSCP-2187-JPの割合も7割以上に増加しました。また一度に複数のSCP-2187-JPが同時に出現し、競い合うように並走する事例も確認されています。以上のことから事故の規模と頻度が増加し収容難度が上昇する結果になりました。
1988年-1993年の改造内容抜粋改造内容 | |
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エンジンの置換・車体の切除 | 1984年-1987年の改造内容と同様だが、より過剰な改造が施される個体が増えた。 |
ハンドルと前輪の連動した可動・運転手の搭乗 | ハンドルで前輪の操作が可能になり、それを操作する人間が座席に接着されるようになる。ある程度の操作が可能になったため行動不能になるまでの走行距離が大幅に延びたが、ブレーキもなく猛スピードで走行するうえ通常の車に比べ操作性が悪いためか事故以外での停止は確認されていない。 |
ほぼ全てのSCP-2187-JPになんらかの改造が施されており、運転手として人間を使用するようになりました。また搭乗しているこの運転手たちは全て過去に行方不明になっていた人物であることが判明しています。ただしSCP-2187-JPの車体がプラスチック製であるため耐久性が低く、事故時に生存はほぼ不可能であるため事情聴取の試みは失敗しています。
特記事例: 3件の特記事例があります。
特記事例 事例SCP-2187-JP-173は1989年12月23日の午前3時ごろ、宮城県富谷市の国道4号線付近で出現したSCP-2187-JP-173は、約300km/hで約2200mを走行したのちガードレールに衝突し停止しました。搭乗していた金山 良治氏もこのときに死亡しており、彼も過去の行方不明者のひとりでした。また、このとき現場付近の森林地帯にSCP-2187-JPの関連物と思われるアイテムが回収されています。
回収物品-1 ×ばつ180cmほどの巨大な紙箱の残骸。表面にSCP-2187-JP-173の写真と、超チョロQ qkn-10と明記されている。裏面には同名の玩具と同じ遊び方の記載が確認できる。
回収物品-2 ×ばつ2970cmの紙の残骸、「ホビー用こびと」や「小人の取扱方法」、「異世界からやってきた小さなヒーロー!」等の記載が確認でき、玩具の取り扱い説明書であるように見える。
特記事例: 事例SCP-2187-JP-257にて運転手の生存が確認されました。1993年05月07日の午前4時ごろ、茨城県下館市の国道50号線付近で出現したSCP-2187-JP-257は約300km/hで23kmを走行したのちゼンマイ切れで停止しました。当時搭乗していた田宮 秀佳氏は行方不明になるまでタクシーの運転手として30年勤務しており高い運転技術により無事故での停止を達成したと考えられます。しかし、回収時の田宮氏は錯乱状態にありほとんど意思疎通ができないまま数十分後に死亡しました。
SCP-2187-JP-257の改造内容: エンジンの置換。ハンドルと前輪の連動可動。車体ボディの60%分のプラスチックが肉抜き加工により切除。田宮氏の70%分の体組織は未知の肉抜き加工により運転に必要な最低限の要素を残し切除されており、長期の生存は望めない状態でした。また、田宮氏の残った右の足裏にはSCP-2187-JPと同様の企業ロゴが確認されました。
特記事例 事例SCP-2187-JP-314は1996年12月01日の午前2時ごろ、栃木県宇都宮市の国道4号線付近で出現したSCP-2187-JP-314は、約400km/hで約800mを走行したのち街路樹に衝突し爆発しました。爆発の原因は車内に積載されていた巨大な爆発物によるものであるものの、その取り付けは極めて粗雑なものでした。現場には6体の行方不明者のものと思われる人間の死体が発見されましたが、事後処理でSCP-2187-JP-314の進路上に6名が三角形状に並べられた状態から轢死または爆発の影響により死亡していたことが判明しました。
改造内容 | |
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なし | 1994年以降、改造頻度・出現頻度共に減少。 |
以前までの改造は段々と減少を続け1998年以降にはほとんどのSCP-2187-JPが無改造のものになりました。出現頻度も年間0~2件程度までに減少し、以降現在まで変化は見られません。
追記: 20██年ごろから日本国内にて高速回転する2つの巨大な構造物が突如出現し衝突を繰り返す事例が発生しています。構造物の形は様々であり独楽、逆さまのピラミッド、寿司、昆虫の模型、国際展示場などが確認されています。これらにはSCP-2187-JPと同じ企業ロゴが確認できるため、現在関連を調査中です。