SCP-2118
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SCP-2118

アイテム番号: SCP-2118

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2118は、今の所は通常の人間と同じ様な環境での収容がされています。通常の行動は、独房に取り付けられている監視カメラで観察され、█歳と同じ程度の食料が支給されます。
独房には、2つの縫いぐるみ(シャチと象)が置かれます。

SCP-2118には、1日に1回、9時から17時の間の1時間のみ屋外への外出が許可されています。その際は子供を持ったことがなく、アメリカ手話に精通している少なくとも1人の係員の随行が必要です。また、SCP-2118との会話は、承認された実験以外で許可されることはありません。

説明: SCP-2118は█歳の人間の女性で、橙の髪と明るい灰色の両目をしています。右頬には9cmの長さの傷があり、それは開小括弧の形をしています。SCP-2118は、それは数年前に知らない人につけられた傷だと主張しますが、それ以上の詳しい説明を嫌がります。

SCP-2118とのコミュニケーションは、主にアメリカ手話を通して行われ、時折筆談も用います。その反面、首尾一貫した会話能力をも有します。

その生涯のある時期に子を亡くした親に曝露された時、SCP-2118の特異性は現れます。これらの事例において、彼女は自身の声とは一致しない声で話し始め、その声は前述の故人である子供(以後、SCP-2118-01とします)の年齢や性別を反映しています。SCP-2118は、話す内容や声色、及びそれらが親に精神的苦痛をもたらすことに気付いており、話し続けながら様々な謝罪や場を宥めるためのありきたりな手話表現を行います。試験によって、SCP-2118-01は思春期前に18歳未満で死亡していたであろうことが示されました。(更なる試験では、この年齢は生物学的年齢ではなく、法定年齢であることが示されています。よって、SCP-2118-01は『子供』と定義されます)

SCP-2118が模倣する言葉は決まって、SCP-2118-01が最期に発した言葉もしくは声に一致しています。現時点では、SCP-2118がどの様にして溺死、窒息、喉に水疱ができた際の声色を正確に模倣しているかは分かっていません。注目すべきは、SCP-2118-01の死が暴力的な類のものであった場合でも、声を模倣中のSCP-2118は申し訳なさそうな表情を浮かべたままであるということです。

インタビュー 2118-01:

回答者: SCP-2118、ダンバー博士(通訳)

質問者: ラヴォア博士、ウー博士

付記: ラヴォア博士、ウー博士(SCP-2118の最初の研究者)からの最初のインタビュー。SCP-2118からの手話による全ての声明は、[]で表される。

<記録開始>

ラヴォア博士: おはよう、SCP-2118。

SCP-2118: [それはわたしのなまえじゃないよ。わたしは████だよ。]

ラヴォア博士: 今、あなたはSCP-2118なの。あなたは、今いる場所について理解しているのかしら?

SCP-2118: [どこかのけんきゅうじょ。]

ラヴォア博士: そうね。じゃあ、あなたが何故ここにいるのかは?

SCP-2118: [なにか、わるいことをした。]

ラヴォア博士: 何故、そう思うの?

SCP-2118: [わたしがはなすと、みんなおこりだすの。これは、はんどばっぐでわたしをなぐったおんなのひとがいいつけたせい?ごめんなさい、おうちにかえっていい?]

ウー博士: 話を進めてくれ。

ラヴォア博士: 分かったわ。SCP-2118、今はここがあなたの家よ。私たちは、あなたと話した人が怒り出す理由を研究するためにいるの。

SCP-2118: [それは、わたしのこえがあのひとたちのあかちゃんみたいにきこえるからよ]

ラヴォア博士: えっ?

SCP-2118: [ママがいってたの。わたしがはなすとき、わたしのこえはあのひとたちのあかちゃんみたいになるって。そして、それはあのひとたちをかなしませて、おこらせるって。ごめんなさい。そうさせるつもりはないのに。]

ラヴォア博士: SCP―

SCP-2118: [わたしは、いちど、くちをせっちゃくしたわ。だけど、くちがひらくのはとめられなくて、わたしはびょういんにいかなきゃいけなかったの。ねぇ、あなたたちはせっちゃくざい、とくべつなせっちゃくざいをもってない?]

ラヴォア博士: 私たちは、あなたの口を接着剤で閉じるようなことをするつもりは無いわ。

SCP-2118: [おこらせちゃった?ごめんなさい。わたしとはなすのをやめないで。]

ウー博士: ここで止めていいかね?

<録音終了>

インタビュー 2118-09:

回答者: SCP-2118,██████(通訳)

質問者: ラヴォア博士、ウー博士

前書: D-3498(自身の妻と3歳の娘を、第二級謀殺に指定されている方法で殺害した、27歳の白人男性)を用いてのインタビュー。SCP-2118の手話による供述は、[]により表される。

<記録開始>

<D-3498が室内に入る。座ると同時に、SCP-2118はぶるぶると震え始める。35秒間、SCP-2118は喋らない>

ラヴォア博士: SCP-2118?あなたは―

SCP-2118: [ごめんなさい、こうなってしまうともうとめられないの。]

<突然、SCP-2118は、恐らくSCP-2118-01のものと思われる甲高い悲鳴(121dB)をあげる。そして、これが5秒続く。>

SCP-2118: おとうさん!おとうさん、たすけて!おとうさん!

D-3498: おい、何だこりゃ?

SCP-2118: おとうさん!おとうさん![ごめんなさい、ごめんなさい、こんなことするつもりはないの、ごめんなさい。]

<D-3498は目に見えて苦しみ、立ち去ろうとする。SCP-2118-01の声は止まり、呼吸を求めて喉を鷲掴みしたことと一致するゴボゴボとした唸り声と物理的な喉の陥没に切り替わった。D-3498は拘束に抗おうとしたものの敵わず、SCP-2118に向き直る。>

D-3498: 黙れ、クズ!クズが!それはオマエの声じゃないだろう!

<D-3498はSCP-2118に向かい、自身の拘束を解くことに専念する。エージェントS█████とエージェントM█████が呼ばれ、D-3498は終了処分のために移された>

ウー博士: ありがとう、SCP-2118。間もなく部屋に戻れるだろう。

SCP-2118: ママ?

<SCP-2118の声は、およそ8歳ほどの若い少年の声に変わっていた。エージェントM█████はエージェントS█████の手伝いを止め、SCP-2118に凝視される。>

SCP-2118: さむいよ、ママ。むねがいたい。ゆびもいたいよ。[どうして?]

ラヴォア博士: 誰の声なのか教えてくれる?

<SCP-2118は口頭でも手振りでも答えず、エージェントM█████をじっと見つめる>

SCP-2118: すごくさむいよ、ママ。どこにいるの?どこにいったの?ママ![どうしてそんなことをしたの?]

ウー博士: 退出しなさい、今すぐに。

<音声記録には、小規模な揉み合い、SCP-2118の泣き声(25dB)、ドアがバタンと閉まる音が記録されていた。>

<記録終了>

後書: エージェントM█████は、警察による捜査を受けている間エージェントの任を解かれる。 -ウー博士

インタビュー 2118-12:

回答者: SCP-2118

質問者: アンセルマン研究員

前書: SCP-2118とアンセルマン研究員の間で公式の許可なく行われたインタビューであり、ビデオにて撮影された記録も残っている。アンセルマンはこのSCP担当に割り当てられていない。すべての手話による供述は、[]にて表される。

<録音開始>

<23時45分、動く物体を感知して起動する防犯カメラ72は、アンセルマン研究員がSCP-2118収容セル前面のガラス窓に接近している様子を検出した。アンセルマン研究員はSCP-2118が眠っているのを一瞬伺った後、ガラス窓をコツコツ叩き始めた。SCP-2118は96秒間眠ったままだったが、アンセルマン研究員がガラス窓をノックし始めた際に覚醒した。>

アンセルマン研究員: SCP-2118?SCP-2118。起きろ。

<SCP-2118は震え始め、SCP-2118-01へのアプローチを示す。32秒後、思春期以前の男性のような声で話し始めた。>

SCP-2118: おとうさん?[なんでわたしにこんなことをさせるの?]

アンセルマン研究員: デューイか?

SCP-2118: こわいよ、パパ。

アンセルマン研究員: 心配するな、デューイ。お前は今、SCP-2118の声として顕れている。彼女はな―

SCP-2118: ぼくたち、しんじゃったらどうなるの?

アンセルマン研究員: 何だって?

<SCP-2118は目に見えて苦しみ、怒ったようになった:彼女の手話も同様に、その動作は滑らかでなくなり、落ち着かないものになった。>

SCP-2118: いや、ぼくはしってるんだ。でも、パパにはほかにかんがえがあるかもしれないとおもって。パパはおしごとなんかがとくべつだから。[かれとほんとうにはなせるとおもっていたの?]

アンセルマン研究員: デューイ、お前は逝ってしまったんだ。死んだ後どうなるのか知っているはず...。

SCP-2118: いいんだよ、パパ。ほんとうに。あいしてるよ。[あのこはしんだ。かれらはみんなしんでしまった。あなたのためにかれになるなんて、わたしにはできない。わたしはだれにもなれないの。]

<アンセルマン研究員は跪き、泣き叫び始めた。彼の眼は床を向いている。SCP-2118はガラスに近づき、彼を見据えた。>

アンセルマン研究員: ごめんな。私が、もっと早く助けてやれれば。

SCP-2118: [わたし、こんなのいや!こんなの!]おとうさん?おとうさん、ぼく―

<防犯カメラ03は起動され、SCP-2118収容セルがある廊下に繋がる北西のドアを映した。ウー博士が中へ入り、アンセルマン研究員とSCP-2118が話しているのを見つけると、動きを止め、その様子をじっと見つめた。その間、SCP-2118は喘ぎ、呼吸を求めてもがく声色を模倣し始める。しかしその表情は怒っているというよりも、悲しげだった。58秒後、それが弱まり、静まってもなお、彼女はアンセルマン研究員をじっと見つめていた。>

SCP-2118: [わたしは、あなたをたすけられない。]

<アンセルマン研究員は3.5分ほどそこに留まっていたが、その後に彼は立ち上がり、カメラ72の視界からカメラ03の視界へと移動した。SCP-2118は、そのまま佇んでいた。>

ウー博士: 来い、アンセルマン。分かっているな?

アンセルマン研究員: ええ。申し訳ありません。

<ウー博士はアンセルマン研究員に付き添い、退出した。SCP-2118はアンセルマン研究員が立っていた場所をじっと見つめながら、ガラス窓に額を押し付けた。5分間動作する対象が見られなかった後、カメラは撮影を終了した。>

<記録終了>

ページリビジョン: 9, 最終更新: 10 Mar 2022 08:15
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