SCP-2065-JP
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クレジット

タイトル: SCP-2065-JP - 死体石鹸で綺麗さっぱりと!
著者: CrabButter_12 CrabButter_12
作成年: 2025

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その他

オブジェクトクラス最強決定戦
Euclidチーム功一級勲章

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アイテム番号: SCP-2065-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2065-JPの完全な実行手順に関する知識は失われており、痕跡部門による"死体石鹸"に関する文献の調査及び形式部門による再現実験が行われています。SCP-2065-JP-1は劣化防止処置を施した上でサイト-81TRの異常物品収容ロッカーに保管されます。

財団フロント企業"死体石鹸製品社"(Soap from Corpses Products, Inc)はSCP-2065-JPの隠蔽及び民間によるSCP-2065-JPの研究・再現を防止するために、"死体石鹸"及びSCP-2065-JPに関する偽情報の流布、及びその手順に則った"死体石鹸"の製造を行っています。

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SCP-2065-JP-1

説明: SCP-2065-JPは人間の死体を石鹸(以下:SCP-2065-JP-1)に変換する異常なプロセスです。先述の通りSCP-2065-JPの完全な実行手順に関する知識・記録は現存していませんが、収集された資料から以下に記す事柄は事実であることが有力視されています。

  • 非異常の物品・手順のみで構成されている。
  • 過程に宗教的な儀式が含まれる。
  • 専門的な知識や技術を必要とせず、当時の一般家庭でも実行可能な手順である。
  • 軟石鹸の製造法との類似点が存在する。

これらの情報からSCP-2065-JPの実行は比較的容易であり、一般社会にも再現可能であると推測されています。しかしながら現在まで再現実験には成功しておらず、発見されているSCP-2065-JPの実行手順に重大な欠落がある可能性が指摘されています。一部の文献資料はSCP-2065-JP-1製造の過程を「急速に進行する死蝋への変化」と表現しています。

SCP-2065-JP-1はSCP-2065-JPを実行することで生成されると推測されるカリウム石鹸であり、現在まで63個の実例が回収されています。SCP-2065-JP-1は中世に普及していた軟石鹸と同様、脂肪酸カリウムやグリセリンから構成されていますが、特筆すべき点として脂肪は人間由来と思われるものが使用されていること、内部に人間の骨・皮膚・髪などの体組織が圧縮されたような物質が存在することが挙げられます。また、通常カリウム石鹸は液状・ジェル状となりますが、SCP-2065-JP-1は未知の作用によって固形石鹸に類似する外形・状態を維持しています。SCP-2065-JPは通常の石鹸と比較して劣化に対する高い耐性を持ちますが、この作用は経年劣化を完全に阻害するほど強力ではありません。

SCP-2065-JP-1は通常の石鹸と同様に使用した際に以下に記す性質を発現させます。これらの作用による人体への有害な影響は発生しないことが確認されています。

  • 通常の石鹸の12~37倍に相当する強力な殺菌・洗浄作用。
  • 接触した体組織への保湿と肌荒れの防止作用。
  • 使用者に対しての幸福感・向精神効果。

補遺1: 歴史記録上のSCP-2065-JP

SCP-2065-JPに関する文献記録及びSCP-2065-JP-1(以下:SCP-2065-JP史跡群)は主にヨーロッパ・地中海沿岸で発見されています。SCP-2065-JP史跡群は他の文献・史跡と比べ以下の特徴が見られます。

  • SCP-2065-JPの実行手段に関する記録の欠如
  • SCP-2065-JPを実行する民族・人物に関する記録の欠如
  • 時代の推移に伴う史跡群発見個所の移動
  • 近世後半での史跡群発見の途絶

文献資料はどの時代においてもSCP-2065-JPが常に特定の民族・文化・社会に所属する人物(以下:SCP-2065-JP-A)によって実行されていたことを示しています。

以下はSCP-2065-JP史跡群の特徴を年代ごとにまとめたものです。

古代から中世前期 (~ 1000 A.D.)

古代におけるSCP-2065-JP史跡群の殆どは地中海沿岸で発見されています。この時代ではSCP-2065-JPの文献資料は僅かであり、発見された史跡群の殆どはSCP-2065-JP-1となっています。文献資料の内容はSCP-2065-JP-Aに対する侮蔑的な内容が多数を占め、SCP-2065-JPに関する有意義な情報は殆ど得られていません。

中世前期に突入するとSCP-2065-JP史跡群の発見数は大幅に減少しています。この時代では文献資料はSCP-2065-JPに対して客観的、もしくは好意的な視点から分析している物が多数となっており、SCP-2065-JPの再現実験は大部分がこの時代の資料に基づいて行われてます。これらの特徴はイスラム教が主流の地域でのみ見られており、非イスラム圏では古代と同様の傾向を示しています。

中世後期から近世 (1000 A.D.~ 1500 A.D.)

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中世で発見されるSCP-2065-JP史跡群の一例

中世後期に入るとSCP-2065-JP史跡群の発見場所が地中海沿岸からヨーロッパに移動し、それ以降も時代の推移と共に史跡群発見場所がヨーロッパ東部へと徐々に移動していることが認められています。文献資料の内容もより先鋭的、侮辱的な内容が古代と比べてもより強まります。これらの特徴は特にキリスト教が主流の領域で見られます。以下に文献資料内で多く見られる主張を記します。

  • SCP-2065-JPは使用する死体の年齢が低いほど高品質なSCP-2065-JP-1を作成できるため、SCP-2065-JP-Aはキリスト教徒の赤子を誘拐・殺害しSCP-2065-JPに使用している
  • SCP-2065-JPを実行した後には毒物が生成され、SCP-2065-JP-Aはそれを井戸等の公共財に投入している
  • SCP-2065-JP-AはSCP-2065-JP-1を高級石鹸と偽って販売している
  • 死体がSCP-2065-JP-1となると最後の審判の際に復活することが不可能となる為、SCP-2065-JP-Aたちはキリスト教徒をSCP-2065-JP-1にすることを目論んでいる

十字軍時代や宗教改革期になるとこれらの傾向はより過激なものとなり、同時期に史跡群の発見場所が移動します。この事からSCP-2065-JP-Aはキリスト教とは異なる宗教を信仰しており、その結果十字軍期に迫害が強まったと推測されています。史跡群発見場所の移動は最終的にポーランド及びロシアで停止し、これ以降資料軍の発見数が大幅に減少します。

近世以降〜 (1500 A.D.~)

近世以降ではSCP-2065-JP史跡群の発見数は大幅に減少しており、近代以降に作成されたSCP-2065-JP-1は現在まで発見されていません。しかし文献資料は少数ながら発見されており、SCP-2065-JPの存在は伝承として存続していたと推測されています。また、北米大陸にて開拓初期に作成されたと推測されているSCP-2065-JP-1が発見されています。これ以降北米大陸でSCP-2065-JP史跡群が発見されていないことから、SCP-2065-JP-Aに属する開拓者の移住と同時にSCP-2065-JPも伝来したもの、早期に衰退したものであると考えられています。

この時代から、「死体から高品質の石鹸が製造できる」という内容の、いわゆる"死体石鹸"の風説が欧州を中心に流布され始めます。この風説には直接的なSCP-2065-JPに関する言及・情報は含まれませんが、多数の類似点が確認されており、SCP-2065-JPに関する風説が改変・婉曲された結果生じた物であると推測されます。当時SCP-2065-JP-1は失伝した技術による産物所謂「オーパーツ」として認知されており、その希少性から貴族や資産家の間で秘密裏に取引されていたことが複数の資料から裏付けられています。また、奴隷や先住民を使用してSCP-2065-JPの再発見を試みていたと思われる形跡が東南アジア、ラテンアメリカ等の旧植民地地域で発見されています。19世紀以降これらの形跡は減少し、20世紀以降には[編集済]を除いて確認されていません。これは残存するSCP-2065-JP-1の減少、及び奴隷や先住民に関する倫理的問題の提起など複数の要因が影響していると思われます。

しかし"死体石鹸"の風説自体は残存しており、活字印刷や電信技術の発展と共に一般社会にも浸透が進みました。19██年の財団発足時点で当時の記憶処理技術では"死体石鹸"に関する知識・記録の完全な隠蔽・捏造は困難となっており、次善策として"死体石鹸"に関する一般社会からの認識を捏造、SCP-2065-JPの再現の防止を目的として先述の財団フロント企業"死体石鹸製品社"(Soap from Corpses Products, Inc)が設立されました。当フロントによるプロトコルの遂行により、現在の"死体石鹸"に関する風説はSCP-2065-JP及びSCP-2065-JP史跡群に繋がり得る情報を可能な限り排除されており、一般社会からは完全に非異常の文化であると認知されています。

補遺2: 資料2065-JP-09

以下はポーランド共和国マウォポルスカ県にて発見されたSCP-2065-JPに関する文献資料です。年代は14世紀頃と推測されており、内容から民間人の手記であると思われます。

今日、母の葬式を行った。いや、あれを葬式といっていいのだろうか。昨日まで私の母だったものは、今や白く滑らかな塊となって机の上に置かれている。どういうわけかは知らないが、これで瘴気を防ぐことができるらしい。

彼らが"石鹸葬"と呼んだこの儀式は、彼らの祖先がローマの帝国から逃れている時に偶然見つけた物なのだそうだ。死体からできたこの石を手に塗るだけで驚くほど病による死者が減ったらしい。各地を放浪している間の彼らにとってこの儀式は重宝されたと言い伝えられている。

しかし、その過程がおぞましかったがために、この儀式は彼らを迫害する根拠とされた。あるものは彼らがこの石を高値で売りさばいていると言い、あるものはこの石に攫われたキリスト教徒の赤子が使われていると声高に叫んだ。このことを憂いた「賢者」と呼ばれる彼らの祖先の一人は、この儀式に2つのまじないをかけたそうだ。

一つはこの儀式を使うものについて書き記せないようにするまじない。
もう一つは彼ら以外にはこの儀式の手順を正しく覚えられなくするまじないを。

最初はそんなことあるはずがないと思っていたが、いざ書こうとするとそれが真実であるとよく分かる。彼らが何人であることを書こうとすると不思議と手が止まり、今となってはどうやってあの儀式が進んだのか覚えていない。このまじないにより儀式の風説は広がりにくくなり、迫害を防ぐのに大きく役立ったそうだ。彼らは口伝えでこの儀式を受け継いでいったらしい。

この石は現在欧州に蔓延る瘴気ですら防ぐことができる。彼らが我々にも石を分け与えてくれたおかげで、ポーランドでは瘴気が殆ど見られない。なぜこんな親切なことをしてくれたのかと聞いてみたところ、"我々を保護してくれた恩返し"とだけ返ってきた。

それと、彼らがこの儀式を使ってきた理由はもう一つあるそうだ。彼らは家族の墓を建てても、迫害によってその地を離れる可能性がある上に、墓荒らしの危険もあったそうだ。家族を石に変えてしまえばその危険は殆ど無くなるし、何より傍にいてくれる感覚があるそうだ。

それは私も実感している。かつて母だったこの石を持っていると、本来感じないはずの、母の温もりを感じるのだ。きっと姿が変わっても、母は傍にいて、病から私を守ってくれている。そう思わせてくれるのだ。

この資料の内容を基に痕跡部門によるポーランド周辺の調査が実施され、内容が類似するSCP-2065-JPに関する文献資料、及びSCP-2065-JP-1が多数発見されました。殆どは14世紀~15世紀を起源とするものですが、近世以降を起源とする史跡群も一部発見されています。

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ぺストの感染拡大の推移。緑の領域は感染が殆ど拡大しなかった地域であり、ポーランドの領域とほぼ一致している。

資料内で言及されている「瘴気」は14世紀に発生したぺスト(黒死病)のパンデミックを指しているものと思われます。実際にポーランド周辺では不明な理由によりぺストの感染拡大は殆ど発生していませんでした。ポーランド周辺でSCP-2065-JP及びSCP-2065-JP-1が積極的に使用されていたと仮定すると、その殺菌作用と汚染された死体の速やかな除去によりぺストの感染は最小限に抑えられたと推測されています。

実行手順、実行者に関する記録の欠如は、「賢者」と呼称される人物によって「まじない」としてSCP-2065-JPに部分的な反ミームもしくはそれに類する情報伝達阻害効果が付与されたことによるものであると推測されます。これが事実である場合、SCP-2065-JP史跡群を調査することでSCP-2065-JP実行手順を復元することは不可能であると推測されるため、調査方針をSCP-2065-JPの完全な知識を有する人物の捜索へと変更することが検討されています。

また、SCP-2065-JP-Aについては

  • ローマの帝国から逃れたという言及
  • 各地で迫害されていたという記録
  • アメリカ大陸でSCP-2065-JP-1が発見されている事実
  • 民族移動の経路・年代とSCP-2065-JP史跡群の発見場所・年代の一致
  • 14世紀周辺にポーランドで保護されたという言及

これらの情報と合致するユダヤ人、もしくはユダヤ系の人物であったという説が有力視されています。詳細な調査記録及び考察については文書SCP-2065-JP-3を参照してください。

補遺3: "S-Aktion"についての記録

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発見されたコンテナの一つ。

×ばつ5mほどの大きさの鋼鉄製コンテナが計8個発見されました。コンテナの側面には"S-Aktion"と記載されており、コンテナの状態から製造されたのは1940年代であると推測されます。コンテナ内部は圧力と劣化により結合したと思われる大量のSCP-2065-JP-1で満たされており、その質量は100万〜600万個分のSCP-2065-JP-1に相当します。"S-Aktion"についてはナチス政権下のドイツ国の資料内で言及が見られますが、直接的な内容について記された資料は未発見であるか破棄されており、詳細は現在まで判明していません。しかし関連する文章の内容から「敗戦時の戦後処理への対応」「戦争犯罪の隠蔽」が目的であると推測されています。

存命の元ナチス親衛隊高官等の関係者に対するインタビューが実施されましたが、「存在自体は認知していたが詳細は知らない」「高度な情報統制が敷かれており、誰が計画に関与していたかも分からない」等の情報しか得られませんでした。これほど大量のSCP-2065-JP-1を少人数で製造するのは困難であると思われるため、機密保持のため当時のSCP-2065-JP実行者は計画の終了直後に殺害されている可能性が指摘されています。

ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の死者・行方不明者数と発見された遺体の数の大幅な不一致、及び当時流布されていた人間石鹸伝説との関連が調査されています。


脚注
. 痕跡部門は財団による観測以前に消失した異常存在について、過去の文献・記録・証言等の痕跡からその全容を調査し財団のアーカイブに保存することを目的とした部門です。異常存在の消失にはオブジェクト自体の性質の他、しばしば広範に知られている重大な事件及び事故の関与が確認されています。
. 中世に普及していた、動物性脂肪と木灰から作られるカリウム石鹸の一種。現在普及しているナトリウム石鹸、その一種である固形石鹸より融点が低く、殆どが液状・ジェル状である。動物由来の悪臭が発生しない固形石鹸が広まるにつれ衰退した。
. 遺伝情報からSCP-2065-JP-1の素材となった人物を特定する試みには現在まで成功していません。
. これらの影響はセロトニンが分泌されている際に生じる「日常的な幸福感」に類似する感覚であるとの証言が得られています。
. ポーランド周辺でのぺストの感染拡大については「アルコールを用いた消毒によるものである」という偽情報が流布されました。
. この人物に関してはネオ-サーキシズムのグループ「ヴェイルシュテット」違法な医療行為を行っているユダヤ系サーキックのコミュニティの資料で複数回言及されており、当該団体に対する調査が行われています。
. ドイツ語で「S計画」。
ページリビジョン: 16, 最終更新: 27 Jul 2025 03:33
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