事案2001-19██-1の静止画像
アイテム番号: SCP-2001
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団が現在実行可能なSCP-2001の収容手段あるいは防止策は存在しません。その代わりとして、いくつかの代替手段が確立されています。NASAあるいはその他の宇宙関係団体に属していないガンマ型及びベータ型個体を監視し、必要に応じて拘留する必要があります。宇宙関係団体に就業、加入している人物がガンマ型もしくはベータ型感染の兆候を示す場合、その人物は解任され、記憶処理剤を投与されなければなりません。20██/10/21より、アルファ型の症状を発症している全ての人物はセクター██の██棟にて留置されます。アルファ型個体が天文学・宇宙航行関連の機器に接触することは一切認められません。SCP-2001スクリーニング義務検査は財団の全職員に適用されます。
補遺 19██/4/22: 事案2001-19██-Aに照らして、SCP-2001の症状を示す財団職員は直ちに解任されます。事案報告2001-19██-A(要クリアランス:レベル4以上)を参照して下さい。
説明: SCP-2001は、人間の4つの睡眠段階中の3つの段階において発生する神経振動の異常な活動です。3つの段階のいずれかにおいて、扁桃体は10〜15分の間自発的に高活性状態に入ります。SCP-2001活性状態の終了時、対象はSCP-2001が発生した際の睡眠段階に応じて、3つの反応状態(アルファ、ガンマ、ベータに指定されます。)のいずれかに調整されます。
SCP-2001発症の偏りはいかなる人種、信条、性別にも見られません。遺伝的異常はSCP-2001とまったく関連していません。SCP-2001の分光分析は、その活動が神経内のものではない可能性を示唆しています。;それどころか外部要因に由来している可能性があります。SCP-2001、特にアルファ型に関する特記すべき事実として、近年、天文学者や宇宙飛行士、その他の宇宙に関わる人々の比率的に大規模な集団への感染が広まりつつあります。
SCP-2001感染には3つの反応型があると見られています。:
ガンマ: ノンレム(NREM,Non-Rapid Eye Movement/急速眼球運動を伴わない)睡眠の第2段階中にSCP-2001が発生する対象は、ガンマ型個体に指定されています。ガンマ型個体は宇宙旅行の話題への非難的な態度を除いて通常集団との見分けがほとんどつきません。ガンマ型個体は会話で宇宙や宇宙探査について話し合うことへの激しい嫌悪を示し、有人宇宙探査の研究・開発に関係するありとあらゆる組織を避けます。現在、全人口の█%がSCP-2001のガンマ型症状の影響下にあるものと推定されます。
ベータ: ノンレム睡眠の第3段階中にSCP-2001が発生する対象は、ベータ型個体に指定されています。ベータ型個体は宇宙探査への明確な反対姿勢を特徴とします。ベータ型個体は会話において宇宙探査の重大性と安全性を非難し、"極めて危険"あるいは"無益"といった言葉を引き合いに出します。また、ベータ型個体によく見られる傾向として、人間が宇宙へ行ったことに関する精巧な陰謀論の構築が挙げられます。ポピュラーな宇宙関連の陰謀論の推定██%は、[編集済]を含む1人以上のベータ型保因者に直結しています。上記の個人がSCP財団もしくはその傘下組織とまったく交流を持っていなかったという事実は注目に値します。
アルファ: レム睡眠のいずれかの段階において発生するSCP-2001は、アルファ型個体を生じさせます。アルファ型個体はあらゆる形態の宇宙飛行を積極的に中止、妨害しようとします。アルファ型感染の症状を呈する人物は、宇宙研究・宇宙飛行に関係する個人、中心施設、活動に対して、危害を加えるかそうでなければ妨害を試みます。アルファ陽性の財団研究員が事案2001-19██-A(要クリアランス:レベル4以上)に直接関与しました。
文書SCP-2001-01
日付: 19██/04/22
場所: NASA指揮系統下の第12出先施設、座標██/██/██
注記: 事案時において、M███████下級研究員はその精神的健康に一抹の不安要素も抱えていませんでした。彼は狂気に陥ってはいませんでした。何らかの精神コントロール下にあった訳でもありませんでした。彼はSCP-2001のアルファ型保因者だった、それがすべてです。 — █████博士
以下の事案はSCP-████の調査任務を課された財団の有人シャトル、SCPS███████の打ち上げ中に発生した。財団監督員である乗組員は、安全な離陸の確保と異常現象の報告のために乗り合わせていた。M███████下級研究員は状態値の観測を担当していた。
12:37:22 S███主任研究員がSCPS███████の離陸準備が順調にいっていることを報告する。
12:37:30 M███████下級研究員は"機体が酷く揺れ動く"ようになったと報告した。
12:38:00 SCPS███████の離陸に成功。
12:38:31 M███████下級研究員は周囲のスタッフへ意味不明な内容を叫び始める。
12:38:44 M███████下級研究員はコントロールパッドに類似する未知の人工物(現在、SCP-████に指定されている)を生成する。
12:38:48 M███████下級研究員は未知の人工物を操作し始める。SCPS███████は複数のシステム障害を報告する。
12:39:00 ███████博士によって未知の人工物が取り上げられる。SCPS███████は電力の全損失を報告する。
12:39:13 SCPS███████との通信が途絶する。SCPS███████の船殻が分解し始める。
見物人や報道陣には、GPS衛星打ち上げ時の燃料漏れの結果として生じた爆発であると説明されました。財団所属ではない目撃者に対しては記憶処理剤が投与されました。
上記の出来事とM███████下級研究員のSCP-2001死後診断を受け、収容手順はSCP-2001-アルファ保因者の厳格な封じ込めを行うよう改訂されました。終了報告を含む完全な文書は[編集済]で閲覧することが可能です。
文書 SCP-2001-09
19██/4/21:
私、H█████ M███████は、心身ともに全く健全であるということをまず始めに述べておきたいと思います。潔白を証明するためのあらゆるテストに我が身を差し出す用意も出来ています。
私はSCP-2001の答えを得ました。
つい昨日、アルファ型感染のDクラスへのインタビュー中、私は逆に問い掛けられ、私の思考は僅かな間その質問に止められました。私がインタビューしていた女性は、財団が正しいと承知しているのかと私に尋ねました。私は何も言えませんでした、確信を持てなかったのです。それから彼女は私に尋ねました、もし私たちが正しかったらどうする?と。"私たち"とは、2001保因者のことを指しているものと私は決めて掛かりました。私はしばらくの間何も言わず、その後に彼女は語りました。彼女はしばらく前に見ていた夢について話しました。彼女が言うには、何者かが彼女に語りかけ、外宇宙がいかに危険な場所であるかを教えてくれたらしいのです。それは彼女に、星間宇宙を徘徊する獣、現実構造さえも喰らうフラクタル存在、[データ抹消済]を見せ、我々の住処はそれらとは遠く隔てられているのだということを示しました。彼女は怯えていました。
夢の終わり、彼女が目覚める際に、それは自身が何であるかを彼女に教えてくれたそうです。
それとは、宇宙のすべてです。
宇宙は私たちのことを気遣っています。我々は活気ある、生動する生命形態であり、宇宙は我々を愛し、大切に思っています。彼女は私に、知的生命が他の惑星に発生する可能性について知ってるかと尋ね、それから彼女は1分半に渡り、その確率の低さについて滔々と語りました。この時、私は一切喋ることができませんでした。私は思考を巡らせ始めました。感染の人口統計について、症状について、[データ抹消済]について、そして不意に、全てが繋がったのです。彼女が話したいくつかの事柄は私の脳内に嵌り込み、それらすべてが同じものへと組み上がっていきました。もし我々がそこに行けば、深刻な危機に瀕するという事実に。我々はそこに行くことはできません。我々には行けない
SCP-2001の背後には理由があり、それは同僚たちが考えるような恐ろしいものでは決してありません。宇宙は私たちの保護を望んでいます。そこには人類を一掃し、この次元から消し去ってしまうであろうモノたちが存在しています。私たちという存在は、我々の母、我々の宿主、我々の住まう宇宙にとってあまりにも希少であり、彼女が私たちを守るためSCP-2001は発生するのです。
私が明日行うことは感染によるものではありません。狂気によるものでもありません。真に純然たる知識にただただ基づく行いです。お分かりでしょう、私は真実に辿り着きました。そしてそれは、今まで私が夢想してきた何にも増して美しい。
補遺 19██/4/30: SCP-2001の潜在的ミーム特性に関する研究は現在進行中です。
█████へ
研究チームと私はたったいま、SCP-2001に関する想定以上の不安要素を発見してしまった。
M███████の日記発見の際、我々の疑念はかき立てられた。まず、事案当日に至るまでの書き込みはそれまでの日記とはまるで語調が異なっていた。彼はページの隅から隅まで宇宙について喚き散らしていた。その有り様はちょうど彼の脳内をページに吐き出したかのようだった。次に、彼の実行した手段によって5人の財団宇宙飛行士の命が絶たれた訳だが、これは彼が今までに行ってきたであろう行動とは違う。2001-アルファ型について我々が言及し損ねていた要素がある。有人宇宙飛行を妨げようとする個体は、彼らの道徳的な理由付けの枠外にある行動を企てない。これが意味する所は、2001-アルファ型は思ったよりかは安全であるということだ — 断言はできないがね。
知っての通り、M███████が確かにSCP-2001保因者であったことを我々は疑いの余地なく証明した。彼の見せたあらゆる症状はアルファ型のそれと完全に合致している、その最後の行動を除いては。よって、我々はそれを研究した。より具体的には、我々は事案の前日に彼が会話したDクラスを調査した。彼女の収容房に被験者たちを送り、彼らと会話をするように求めたのだ。数人の例外を除いて、彼女はほとんどの人々にちょうど同じようなことを喋った。特定の被験者に話し掛けた際、彼女は2、3の明白なフレーズを交えたご高説を浴びせ掛けた。そして、それらのフレーズに反応した人物は、事案当日のM███████と同様の振る舞いをし始めるということが分かった。
これらの知見から我々が知った事実を、君もそろそろ察していることと思う。
どうやら、我々がこれまでに遭遇してきた3タイプとは異なる機能を果たす第4のタイプとでも言うべき亜種が存在している。我々はそれをアルファ-プライムと呼んでいる。それは、アルファ型に罹患した特定人物によるいくつかの"トリガー・フレーズ"の使用を介して伝播されるミーム変種だ。聞き手がこれらのフレーズに反応した場合、アルファ-プライムの症状が進行する。宇宙探査に対する保因者の態度に関しては、通常のアルファ型より特に強い影響力がある訳ではない。しかし、それは宿主の道徳"規範"を無視するという付加効果を有している。我々の営む有人宇宙飛行を妨げるために、アルファ-プライム保因者が起こすであろう行動がどの程度の規模にまで及ぶのか、正確には分からない。おそらくこの新種の最も憂慮すべき要素はそこにある。我々はそれについてほとんど何も知らないのだ。
標準アルファ型の道徳的制約に関する調査結果も含め、この情報は公式の2001文書とは別に保持されるべきだというのが私と大半の研究チームメンバーの見解だ。どれほど多くの人々がアルファ影響下にある同僚の言葉に屈服してきたのか我々には分からないし、財団職員の間に恐怖とパラノイアを蔓延させたくはない。反社会病質誘導ミーム変種に関するワードが拡散している場合、財団の組織内部で何が起こり得るのか見当もつかない。率直に言えば、我々は知りたくない。
SCP-2001の標準検査は今までどおり全サイトで実施される。引き続きアルファ型を駆り集め、彼らを私の元に送り届けるよう、各MTFに知らせてくれ。いずれにせよ、我々は対抗ミームを開発しなければならんな。
確保、収容、保護
—レベル4研究主任、██████ ████