SCP-1994-JP
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SCP-1994-JPの頭部

アイテム番号: SCP-1994-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1994-JPの完全な収容は現時点では出来ていません。██████一帯の住宅地にはクラスB記憶補強薬を投与した人員を個別に配置し、SCP-1994-JPの出現に備えます。SCP-1994-JPの出現が確認された場合は手順・キスケに従った対応を行い、その後出現が確認された地域全体へと航空機によってエアロゾル化させたクラスA記憶処理薬の散布を行ってください。

説明: SCP-1994-JPはイギリス、ウェールズの██████一帯に出現するヒト型実体です。身長は約140cmほどであり、直径約50cmほどの頭部はセイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)製のジャック・オー・ランタンに類似しています。頭部の内側には炎のように見える未知の光源が存在しています。SCP-1994-JPは黒い三角帽子と全身を覆うローブと言う大衆文化におけるステレオタイプ的な「魔法使い」の服装をしています。また胴体部には腕部としての役割を有する触手状の器官が複数存在していることが判明しています。

SCP-1994-JPはおよそ8日おきに現地時間の18:00から0:00にかけて██████一帯の不特定の住宅地に出現します。SCP-1994-JPの出現パターンに関しては不明な点が多数存在しますが、同じ市街地へ連続して出現する割合が3%以下であることは確認されています。出現したSCP-1994-JPは高い笑い声のような音を発しながら行動を開始しますが、この際直接的にSCP-1994-JPを視覚的ないしは聴覚的に認識した者は以後、SCP-1994-JPとSCP-1994-JPが発する音をそれぞれ「ハロウィーンの仮装をしている子供」と「ハロウィーンの仮装をしている子供の笑い声」と認識すると共にそれに対して一切の違和感を抱かなくなりなります。このことは対象の認識・記憶に不合理な点を生み出すこととなりますが、対象がそれを不審に感じることはありません。市街地においてSCP-1994-JPは0:00になるまで以下の行動を行います。

1 住宅の玄関のドアの前に立つ。
2 住宅の内部に向けて「トリック・オア・トリート」に類似した音を発する。これにより内部に住人が存在していた場合、その人物は高確率でSCP-1994-JPの影響を受け、SCP-1994-JPを「ハロウィーンの仮装をしてお菓子をもらいに来た子供」と認識するようになる。
3 玄関で待機する。内部から住人がSCP-1994-JPへと譲渡することを目的とした菓子類を所持した状態で出てきた場合は、触手状の器官を使用してそれらをローブの内側へと収納する。待機状態が5分以上に達した場合、或いは住人の反応が上記以外であった場合はそのまま4へと移行する。
4 上述の住宅から最も近隣に存在する住宅の玄関のドアの前へと移動する。以後1~4を繰り返す。

午後12時になるとSCP-1994-JPは収集した菓子類と共にその場から消失します。消失以降に関しては現時点では不明です。付記を参照してください。なおSCP-1994-JPの影響はクラスA以上の記憶処理で無力化を、クラスB以上の記憶補強薬で予防をそれぞれ行うことが可能です。

付記1: 以下はSCP-1994-JPの初期収容時に実施された██████一帯の住人たちへのインタビューの記録からの抜粋です。

対象: █████・████████

インタビュアー: エージェント・ハンセン

<録音開始,2014年7月15日>

A.ハンセン: ここ最近変わったことはありませんでしたか?

████████: 変わったこと、ねえ...[顎に手を当てる]

A.ハンセン: どんな些細なことでも構わないのですが?

████████: そう言われても...[数秒間の沈黙]強いて言うならば今からちょうど1週間前にハロウィーンの仮装をした子供がお菓子をもらいに来たぐらいのものよ。

A.ハンセン: 仮装をした子供が、ですか?

████████: ええ、背丈から見てたぶん10歳かそこらぐらいだったと思うわ。魔法使いの恰好をしたジャック・オー・ランタンの仮装をしていたの。

A.ハンセン: あなたはその子供にお菓子をあげたのですか?

████████: ラズベリー入りのスコーンをいくつか、ね。

A.ハンセン: それは何故ですか?

████████: [口に手を当てて笑う]そうねえ、可愛らしいハロウィーンのお化けにいたずらをされたくなかったから、かしら。

A.ハンセン: 成程。ところで今日は何日でしたでしょうか?

████████: 今日は2014年の7月15日よ。

A.ハンセン: ではその子供が来たのは?

████████: 8日のことになるわね。

A.ハンセン: ハロウィーンは毎年10月31日に行われる行事ですよね?

████████: [口に手を当てて笑う]いやねえ、決まってるじゃない。いくら年寄だからってそこまでボケちゃいないわよ![A.ハンセンの肩を片手で軽く叩く]

<録音終了>

住人たちへのインタビューから得られた情報はほぼ同一のものでした。どうやら住人たちにとっては「ハロウィーンの仮装をした子供がお菓子をもらいに家々を回ること」と「その日がハロウィーンの日でないこと」は互いに矛盾するものでなければ何ら不自然なことでもないようです。 - エージェント・ハンセン

付記2: 2014/█/██、SCP-1994-JPの収容任務に当たっていたエージェント・ハンセンが消息を絶ちました。以下はその直前にエージェント・ハンセンと本部との間で交わされていた通信の音声記録です。

<2014/█/██, 0:47>

A.ハンセン: [小声で]ハンセンです。本部、聞こえますか?

本部: こちら本部、聞こえている。

A.ハンセン: SCP-1994-JPを発見しました。そして、まだこちらの存在は気取られていません。

本部: SCP-1994-JPは何をしている?

A.ハンセン: こちらの100mほど前方を直進しています。進行方向から推測する限りでは█████集落の北東に位置する森林地帯に向かっているように見えます。

本部: 追跡を行うことは可能か?

A.ハンセン: はい。許可をください。

本部: 許可する。ただし必要以上の深追いはするな。

A.ハンセン: 了解しました。

<追跡を行う過程でエージェント・ハンセンが森林地帯へと侵入する、1:21まで省略>

A.ハンセン: この辺りはまだ自然が殆ど手付かずで残っていますね、少し集落から離れただけであっという間に深い森の中です。...本部、こちらの位置情報は確認できていますか?

本部: ああ。

A.ハンセン: それを聞いて安心しました。どうやら迷子になる心配はしなくて良さそうですね...

本部: こちらとしてもそうであって欲しいものだ。周囲の状況はどうか?

A.ハンセン: 今のところは特に異変は......本部!

本部: どうした?

A.ハンセン: すみません、対象を見失いました。

本部: ...分かった。ある程度まで捜索範囲を狭められたと言うだけでも悪くはない結果だ。一先ず帰還して報告せよ。

A.ハンセン: 了解しまし...

[連続した高い笑い声のような音]

A.ハンセン: なっ?!

[連続した高い笑い声のような音]

本部: ハンセン?!

A.ハンセン: お前は、いや、お前たちは...[悲鳴]

[衝撃音を最後にエージェント・ハンセンの位置情報信号が途絶する]

[複数の連続した高い笑い声のような音]

<2014/█/██, 1:32>

その後位置情報が最後に確認された地点を中心とした捜索が行われましたが、一帯が峻険な山岳森林地帯であったために捜索が難航したこともあり、エージェント・ハンセンの消息の痕跡が発見されることはありませんでした。エージェント・ハンセンの消息は現在も捜索中です。 付記3を参照してください。

付記3: 2014/█/██、エージェント・ハンセンが失踪地点より約12km離れた█████郡で保護されました。その後本人へとインタビューを行ったところ、通信および消息途絶の原因はSCP-1994-JPに気を取られた結果山道を踏み外して滑落し、それによって意識の喪失及び機器の破損が発生したことであったことが判明しました。しかしながら滑落に起因する全身の骨折や打撲、擦過傷などの負傷に関しては、何者かが接骨と薬草類を使用した呪術的治療を施していたために大事には至っていませんでした。またエージェント・ハンセンの装備品の1つであった多目的ポーチからは大量の非異常性のキャンディーと、以下の文章がウェールズ語によって記述された羊皮紙が発見されました。

そこまでするつもりはなかったんです、ごめんなさい。

なおエージェント・ハンセンは失踪中の記憶は保持していませんでした。

付記4: 2014/█/██、██████一帯の住宅全てのポストないしは郵便受けに以下の文書が内包された羊皮紙性の封筒が投入されていることが発見されました。

文書1994-JP-α: ウェールズ語によって以下の文章が記述された羊皮紙です。

お菓子をありがとうございました。おかげで子供たちは元気に育ちました。これまでのお礼にちょっとしたものをいれておきました。

文書1994-JP-β: 未知の線文字によって術式が記述された羊皮紙です。現在呪術部門による解読・研究が進められています。

文書1994-JP-γ: 下記の写真が未知の糊料によって貼付された羊皮紙です。

封筒と文書は全て財団によって回収されましたが、ポストへの投函を行った人物及び時刻の特定を行うことは出来ませんでした。また以後SCP-1994-JPの住宅地への出現は確認されなくなりました。

付記5: 2014/██/██、古代ケルト文化関連の歴史的資料中に時折散見される「甘味を好む隣人たちの言葉」が、文書1994-JP-βに記述に使用されている言語との間に数多くの類似点を有していることが発見されました。しかしながら実在する資料の絶対数の不足から両者の間の関連性についての詳細は不明です。

付記6: 2017/█/██、██████一帯の██████山系の山中で「カボチャ頭のお化け」が登山者によって目撃されると言う事例が発生しました。目撃者によると「最も大きな実体がそれより2回りほど小型の実体2体を連れ歩いていた」とのことです。本件の真偽、及びSCP-1994-JPとの関連性については現在審議中です。

ページリビジョン: 9, 最終更新: 10 Jan 2021 17:00
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