アイテム番号: SCP-1948
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1948は標準サイズの鳥籠に入れ、最小限のセキュリティを施した動物収容施設に収容します。異常性の無い同種の鳥以上の特別な措置や保安を必要とはしていません。標本の性質上、鳥籠は天候に関連する損傷の兆候を定期的にチェックする必要があります。健康状態を維持するため、標本は常駐の鳥類学者エリン博士と気象学者アンダーソン博士の監督の下で、毎日1時間、籠の外に出るのが認められています。籠から放つのはエリン博士が指定した屋内研究エリアの範囲内に限定されます。
説明: SCP-1948はTurdus merula、通称クロウタドリの雄の成鳥です。その異常性質は、意志の力で約75kmの範囲内の気温や風の流れを変化させる能力を有するという点にあります。この能力の影響は中心部、すなわち標本自身の近くで最も強くなります。SCP-1948の気象制御能力はかなり大人しいものであり、大規模な熱波や突然の嵐といった極端な状況を作り出すことはできません。標本は摂氏約27度の穏やかな暖かい気候を好んでいるようであり、通常はこの好みに合わせて天気を変えます。
SCP-1948は██████にある、観光産業と、領域全体で目立って晴天が多いことで知られる███████ █████の町から回収されました。SCP-1948の重要性に関する地元の言い伝えが原因で、回収には問題が伴い、地元住民の武力抵抗に直面しました。
財団は、サイト-██の新たな気象観測所が町の全域における異常気象パターンを検出した際に、SCP-1948の存在に関する最初の警告を受けました。エージェント█████と███が調査のために派遣されました。
2███/██/██に町へ到着した後、エージェントは町の住民たちに、今の季節にしては異常に天気が良く温かい事について質問を始めました。当初、町民たちは質問に対して丁重かつ気さくに答えていましたが、エージェントが続く数日間も調査を続けたところ、徐々に落ち着きを失い、エージェントに対して敵対的になりました。最終的にエージェント到着から2週間が経過した2███/██/██の夜、エージェントは町の長老たちの秘密会合を盗聴し、SCP-1948の存在を発見しました。司令部に連絡を取ろうとしている最中にエージェントは発見され、結果的に町民たちは彼らの殺害を試みました。その後の銃撃戦で町民5名とエージェント█████が死亡し、中規模の負傷を負ったエージェント███は辛くも逃走しました。機動部隊████████が町の住民を制圧してSCP-1948を捕獲するべく派遣されました。機動部隊構成員は速やかに、致死的な攻撃を最小限に絞って町民を圧倒し、同様にSCP-1948を捕獲しました。尋問の後、ほとんどの捕縛された町民はクラスA記憶処理を施されて解放されましたが、直接エージェント█████の死に関与していた残り数名は財団の勾留下に留まり[編集済]されました。
SCP-1948の実験では、気象制御能力と町民たちの増大した敵意の間に、関連性は見出されませんでした。
補遺: 以下は、機動部隊████████による攻撃直後に行われた、███████ █████の地元保安官である████ █████(これ以降INT-5)へのインタビューです。
回答者: INT-5
質問者: ██████博士
序: INT-5は機動部隊████████との戦闘で様々な軽傷を負っているが、落ち着いており取り乱している様子は無い。対象は、SCP-1948は町の基礎が築かれた時から存在していたと述べているが、クロウタドリの平均寿命を考慮するとSCP-1948が生きていることは不可能である。<記録開始>
██████博士: INT-5、何故エージェント█████と███を襲ったのですか?
INT-5: あいつらは知りすぎた。聞かれた事を広めさせる訳にはいかなかったんだ。もしそうなったら███████ █████の町は滅びることになるかもしれない。どうなるのか誰にも分からなかった。
██████博士: 何を以て、SCP-1948の発見が███████ █████にそのような影響を与えると考えたのです?
INT-5: それだけじゃないんだ。あいつらは、俺たちが御鳥様を喜ばせるために何をしたかを聞いた。あいつらはそれを理解できなかった。でも、これは███████ █████が最初に築かれて以来ずっと続いてきた事なんだ。御鳥様は俺たちを守り、俺たちは繁栄した。だが、たまにはそうでない時もある。天気が変わり、人々が来なくなるような時が。何とかして御鳥様を喜ばせなきゃならんと分かってた。あらゆる事を試したが、何も上手くいかなかった。だから、古いやり方に頼ったんだ。
██████博士: 人身御供ですか。INT-5: そうさ。それほど頻繁にやってたわけじゃない、必要な時だけだ。御鳥様が俺たちに春を下さらない時だけ。その時だけなんだ。俺たちはやらなきゃいけなかったんだ。御鳥様はそれを求め、俺たちは与えた。静かに事を進めたよ、居なくなっても誰も悲しまないような奴を町から選んでな。大抵は流れ者や無宿人だった。
██████博士: SCP-1948は、これまで直接、犠牲を要求しましたか? 犠牲が功を奏したのだと分かるような証拠は有ったのですか?
INT-5: (首を振る) 御鳥様は何も言わなかったよ。だが俺たちが犠牲を捧げれば、最後には春が戻って来た。犠牲は受け入れられ、俺たちの町は栄えたんだ。古いやり方に頼る必要があると分かってた。
<記録終了>
結: 対象はエージェント█████の死には直接関与しておらず、インタビューの終了後間もなくクラスA記憶処理を施され、解放された。
補遺SCP-1948-1: 飼育下でのSCP-1948の気象操作の更なる観察により、一定のパターンが見つかりました。およそ5年ごと、"エル・ニーニョ"として知られる準周期気候パターンが太平洋で発生している時、SCP-1948にとって好ましい温度は、3ヶ月間、通常の27度から5度低下します。これは███████ █████の住民たちによる人身御供の儀式が行われていた期間と一致しますが、パターンは地元住民が実践していた犠牲無しでも定期的に発生するものであり、犠牲を捧げても天候の変化には影響を及ぼさないようです。
補遺SCP-1948-2: SCP-1948が町の創立時から存在したという住民たちの主張は、単純に現在のSCP-1948の祖先の事だったのではないかという可能性を確認するため、SCP-1948と異常性の無い同種を交配させる要求が提出されました。承認は保留中です。