SCP-1922
評価: +7

クレジット

ソース: SCP-1922
メタタイトル: 変獄
著者: ignotum per ignotius ignotum per ignotius
作成年: 2012

評価: +7

アイテム番号 SCP-1922

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1922はサイト-17の標準的な人間収容室に収容されています。対象は常に保安職員の監視下に置かれます。自傷行為や健康状態の変化はダロウ博士および/またはイップス-ヒル博士に報告されます。インタビューによる精神医学的評価はダロウ博士が、健康診断はイップス-ヒル博士がそれぞれ担当します。前述の診断は毎月1回、並びに異常活動の発生後に実施されます。SCP-1922は可燃性物品の所持を許可されておらず、収容室外ではそれらの物品と接触しないように監視されます。

説明: SCP-1922はハーバート・████という90歳の白人男性です。SCP-1922は2型糖尿病および末梢血管疾患と診断されています。その健康状態と異常性の影響によって、SCP-1922の下肢では数ヶ所に壊疽が発生し、切断手術が行われています。SCP-1922に関する医学的詳細事項の完全なリストは、文書1922-Medを参照してください。

SCP-1922は自然な要因で死亡するまでは通常の高齢者として振る舞います(最も一般的な死因は心筋梗塞です)。SCP-1922は約45分間臨床死の状態に留まった後、ゆっくりと蘇生します。完全に回復するまでには最大で2時間かかります。蘇生後のSCP-1922は軽く混乱していますが、臨床死の期間中に神経学的な損傷を受けた様子を示していません。IQテストの結果、SCP-1922の知能は低下しておらず、精神的に健康であると確認されています。その高齢と比較して、SCP-1922の知能レベルは良好に保たれています。SCP-1922は異常活動中に発生したとされる体験を詳細に説明することができます。現時点でSCP-1922の主張を裏付ける証拠は存在せず、提供されてもいません。異常性が鮮明な幻覚を誘発しているのか、SCP-1922が故意に偽情報を提供しているのかは不明です。詳細は文書1922-Psyとインタビューログを参照してください。

注記: 2005年07月03日: SCP-1922が臨床死の状態に留まる時間は、死亡するごとに長くなることが確認されています。一方で、蘇生プロセスにかかる時間はより短縮されています。

注記: 2008年05月05日: SCP-1922は自殺傾向を示し始めています。

回収: SCP-1922は1997年06月06日、███████、█████の█████病院から回収されました。専門医たちは、死亡と宣言された約1時間後に遺体安置所で蘇生した男性について通知されました。SCP-1922は財団に拘留され、家族には後ほど偽の遺灰が引き渡されました。クラスC記憶処理がSCP-1922担当の病院スタッフに施されました。SCP-1922はより優秀な別の病院に移送されたと信じ込むように誘導されました。

補遺-1922-1: 部分的インタビューログ

収容後に行われた最初のインタビュー。

<記録開始>

ダロウ博士: どうですか、ハーバートさん? 気分は良くなりましたか?

SCP-1922: 家族は私がここにいると知っているのか、先生? 皆に伝えたか?

ダロウ博士: ええと、その... ハーバートさん...

SCP-1922: ノーという意味だと取るぞ。私は年寄りかもしれないがね、先生、馬鹿じゃないんだ。それで良い。それで良いんだ。つまり、皆はもう喪に服しているんだろう?

ダロウ博士: 私には分かりません。

SCP-1922: まぁそうだろうな、先生。私は... こんな事をもう一度家族に経験してほしくないんだよ。私が居ない方がきっと暮らし向きは良くなる。実は、今回が初めてじゃないんだよ、先生。前にもあった。自宅でだ。でもその時は私一人だった。最初は寝ていたのだと思った。でも何かおかしかった。今回は君たちに見つかってしまったがね。 [対象は笑う] 死神を欺いた爺、か。

ダロウ博士: では、どのようにこれが発生するのですか? 死神を欺く、というのは。

SCP-1922: 分からない。むしろ私こそ教えてほしいね。君は医者だろう、先生。私はただ目を覚ますだけだ。

ダロウ博士: 何が起きたかを教えてくれますか? あなたの体験を説明できますか?

SCP-1922: どうもよく分からない、私から話せる事は何も無いよ。家族には伝えないでもらえないか? この件は秘密にすると約束してくれ。

<記録終了>

対象は、家族に連絡しないことが確約されるまで、インタビューの継続を拒絶した。


SCP-1922が蘇生段階とその後の手術から回復した後、間もなく実施されたインタビュー。異常活動中の経験に関する対象の回想記憶は、蘇生するごとに明確になっているように思われる。

<記録開始>

ダロウ博士: 足の件は申し訳ありません、ハーバートさん。

SCP-1922: 別にいいさ。毎回こんな感じのようだ。どうにもならないな、え?

ダロウ博士: 今回の体験について教えてもらえますか?

SCP-1922: 酷い目に遭った。本当に酷い。思い出せなかったら良いのにと思う、先生。以前のように忘れられたらとね。手に負えない。

ダロウ博士: 教えてください。

SCP-1922: 地獄さ。まるで待合室だった。何か起きそうだという恐ろしい感覚。重圧。

ダロウ博士: 地獄? 死んだら地獄に堕ちるだろうという意味ですか?

SCP-1922: 君が考えてるような地獄じゃない。確かに地獄のように感じるが、そんなもんじゃない。

ダロウ博士: 他には?

SCP-1922: いつも通りだ。何も変わってない、先生。いいかい? もし何かあったら私から言う、だから毎回訊ねなくてもいい、分かったね? あのバラバラの... すまない、先生、今は酷く吐き気がするんだ、少し休憩を貰えないか?

<記録終了>

対象が臨床死の期間中に見る夢は、差し迫った死と手術の感覚を反映しているように思われる。


SCP-1922が蘇生段階とその後の手術から回復した後、間もなく実施されたインタビュー。

<記録開始>

SCP-1922: どうして私は普通に死ねないんだ、先生?

ダロウ博士: 我々にも分かりません、ハーバートさん。分からないのです。力を貸していただければ幸いです。

SCP-1922: 力を貸す? 君たちに力を貸す? 力を貸してほしいのは私だ、なのに私は手の施しようがない!

ダロウ博士: 善処しています、ハーバートさん。

SCP-1922: 善処しているだって? もう何年も私はここで死にかけだが、君たちにできる事は何も無いじゃないか。私はどうすればいい? 誰も死を逃れられないはずなのに、私からは死が逃げていく! 私が何を望んでいるか分かるか、先生?

ダロウ博士: 何ですか?

SCP-1922: 今度私が死んだら、燃やしてほしいんだ。いいか? ただ燃やすだけでいい。

ダロウ博士: ここでは安楽死をやっていません、ハーバートさん。

SCP-1922: ああ、ああ、前にも聞いたとも。

<記録終了>

対象は、次回の臨床死の間に火葬されるとの確約が得られない限り、インタビューの継続を拒絶した。対象の要請は認可されなかった。


SCP-1922が蘇生段階とその後の手術から回復した後に実施されたインタビュー。対象は泣きながら蘇生した。対象の右膝から下の部位が切除された。

<記録開始>

SCP-1922: タバコを吸わせてくれないか、先生?

ダロウ博士: 無論いけません。その容体で喫煙は認められませんし、ライターの所持を許可されていないのはお分かりのはずです。どうか、教えてください...

SCP-1922: 何を教えろって? 100万回でも同じ事を言うぞ! 君に話すような物など何も無い! あれはただの悪臭と湯気を放つ断片の山だ!

<記録終了>

対象は自傷行為を試み始めたために鎮静されなければならなかった。


SCP-1922が蘇生段階とその後の手術から回復した後に実施されたインタビュー。対象は叫びながら蘇生した。対象の両脚と右手指3本が切除された。

<記録開始>

SCP-1922: 燃やさなきゃダメだと言ったじゃないか! 燃やしてくれ! 次に私が死んだら、君は私を燃やさなきゃならない!

ダロウ博士: ハーバートさん...

SCP-1922: いいや! 何度も言ったはずだ! そうしなきゃならない! 君はまだ分かってないんだろう?

ダロウ博士: 聞いてください...

SCP-1922: 断る! もう十分に聞いた! 君は分かってない、何も分かっていない! 奴らが私を取っていく! 一欠片一欠片ずつ取っていくんだ! 皆を! 私たち皆を!

<記録終了>

対象は攻撃的な挙動のために鎮静されなければならなかった。

補遺1922-3: 心理評価:

[抜粋]

数年間の尋問[1998年02月08日に中止]と進行中のインタビューにも拘らず、SCP-1922は寿命の延長を実現している手段についての情報提供に消極的です。SCP-1922は蘇生の裏にあるプロセスを完全に認識していると思われますが、協力を拒否しています。SCP-1922から重要な情報が得られておらず、医学的診査と実験の結果も決定的ではないため、蘇生能力のメカニズムは現在も不明のままです。SCP-1922は自殺願望の高まりと協調性の低下を示し続けており、毎月のインタビューは無益になりました。

診査によると[文書1922-Medを参照]、臨床死状態のSCP-1922は脳活動を示しません。しかしながら、蘇生したSCP-1922は臨床死の間に発生したとされる体験を説明できます。対象が実際にそのような出来事を経験しているのか、研究者を欺くことだけを意図した説明なのかは断定されていません。SCP-1922は死亡している間、自ら(またはその意識)が詳細不明の空間に転送されていると主張します。SCP-1922によると、この空間は人間の身体部位、主に毛髪と四肢らしき物体によって占められています。SCP-1922は時折、皮膚、内臓、歯にも言及します。SCP-1922は激しい恐怖心と吐き気を報告し、しばしばこれらの光景についての議論を拒絶します。これを基に、SCP-1922は臨床死の間でも夢を見ることが可能だという仮説が提唱されましたが、後に否定されました。脳活動の完全な欠如は、原因が他の何かであることを示しています。SCP-1922は自らの肉体こそが転送現象の要因であり、現在の状態を"逃れる"手段は火葬しかないと信じています。対象の懸念は無視されます。

[抜粋終了]

ページリビジョン: 4, 最終更新: 21 Feb 2024 12:27
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