SCP-1902-JP
評価: +21

クレジット

タイトル: 月とスッポンと締め切りと今の所少々の誤解(予言なんて出来るならもっと別の儲かる仕事やりたいよ)
著者: ShicolorkiNaN ShicolorkiNaN
作成年: 2019

評価: +21
評価: +21

アイテム番号: SCP-1902-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1902-JPはサイト-81██内の小型爬虫類生物収容エリアに収容し、通常の水棲系カメ類と同様の環境・食事を提供して下さい。収容エリア内部に設営した監視カメラにより発生した文字は確認後速やかな記録が推奨されています。

説明: SCP-1902-JPは異常性を有する雄のスッポン(Pelodiscus sinensis)です。全長は約50cmと通常のスッポンと比較して比較的大型な部類であり、後述する甲羅以外は異常性を持たないスッポンとほぼ同様の食性・生態です。
SCP-1902-JPの背面の甲羅表面は、不定期にひび割れる様な音と共に黄色い発光を伴う文字により明確に日本語として判読可能な文章が音の発生から約2時間出現します。

SCP-1902-JPは埼玉県に存在する小学校内で「背中の甲羅に文字が浮かぶカメ」の内容が掲示板上に張り出されていた校内新聞で発見された事及び学校内で頻発していた生徒の異常行動が調査部隊の関心を惹き、2008年9月18日に行われた調査により5年4組で飼育されていたSCP-1902-JPの発見・確保・カバーストーリー「自然回帰」の流布が行われました。
当時のSCP-1902-JPは陸生のカメと類似した水槽を用いた育成環境から軽度の衰弱状態であることが確認されていました。

<インタビューログ-01:2008年09月18日>

対象: 木下 ██。SCP-1902-JPを飼育していた5年4組に在籍していた生徒。

インタビュアー: エージェント・八木水

<録音開始>

エージェント・八木水: 木下君。あの亀について、お話をしても宜しいでしょうか?

木下氏: (俯いていたが、エージェント・八木水の方を見る)はい...2学期に入ってから、赤見君が学校に来る途中拾ったって言ってました。先生からも良いよって言われたので、理科室から水槽を借りてその中に亀を入れたんです。

エージェント・八木水: 赤見君に何か変わった様子は有りませんでしたか?

木下氏: いいえ。その時は普通の亀みたいに飼ってました。そんなに可愛くなかったし、指を噛まれかけた人もいたのでそんなに人気は無かったんですけど......

エージェント・八木水: それで、何が起こったのですか?

木下氏: (約4秒間無言)あの...最初には海賀君が見付けたんです。9月4日にあの亀の表面に文字が浮かび上がっているんだって。その時は「ころんでケガをする」って書いてありました。

エージェント・八木水: 確かに亀の背中の甲羅に、そんな文字が書いてあったのが見えたのだ、と?

木下氏: はい、本当に書いてあって、水槽の中に作っておいた水辺がぼこぼこ泡立って熱くなってるのが見えました。水を足そうとしたらじゅっと音がして...湯気が消えた時には、亀の甲羅には何も無くなってたんで、その時は見間違いだって思ったんです。

エージェント・八木水: その後...9月5日ですね。貴方のクラスの長田さんが体育の授業の後、階段から転んで骨折したのは。

木下氏: (約4秒間無言)それで、あの亀の背中にあったのは予言なんだ、ってみんなで盛り上がって...次に文字が出て来たのは9月8日です。「頭から落ちてくる」って書いてあるのを緑山君が見たって。頭の上にノートを被ったり、上を見ながら歩いたり...半分くらいの生徒が、そんな感じで頭を守ろうとしていたんですけど...(俯く)

エージェント・八木水: 9月6日、お休みの日でしたね。草田君が自宅の階段から転んで、頭を強く打った、と......休み明けにはちゃんと来ていたみたいですが?

木下氏: (俯きながら)2回予言を当てたんだから本物だったんだ、って思いました...僕も、話を聞いて見に来た違う組の人とかも......それで......

エージェント・八木水: 次にどんな文字が浮かびましたか...ええ、辛いかもしれません。答えられないならば、それでも構いません。

木下氏: (約6秒間無言、ズボンの裾を強く握りしめる)9月15日に「血の色にそまる」......だから、僕達はなんとかしなきゃいけない、って思ったんです...

<録音終了>

<インタビューログ-02:2008年09月18日>

対象: 幸田 ██。SCP-1902-JPを飼育していた5年4組を担当していた教師。

インタビュアー: エージェント・八木水

<録音開始>

エージェント・八木水: 貴方が担当しているクラス...5年4組で起こった事件について、お話し頂けますか?

幸田氏: はい...とは言っても、まだどうやって起こってしまったのか、まだ学校側でも把握出来ていないのですが...

エージェント・八木水: 生徒からも話を聞いていますが、まだ上手く話せない様なので...

幸田氏: (袖で額を拭う)昼休みが終わろうとしていた時の事でした。窓から見た教室が赤く...ええ、赤く見えたので、急いで駆け付けたのです。そしたら教室全体...と、生徒達が真っ赤になっていました。

エージェント・八木水: 真っ赤にですか。

幸田氏: ええ、真っ赤です。よく見たら掃除用のバケツを使って、生徒の内の何人かが赤い絵の具を溶かした水や、インクを撒いていたんです。まだ汚れていない生徒に入念に浴びせているみたいでしたよ。

幸田氏: 何人かの生徒は鼻血を出していました。自分で膝に出来ていたかさぶたを剥がしていた生徒、壁を赤いマジックペンで塗り潰そうとした生徒...そして、教室の中に入って来た私にも絵の具が飛ばされました。

エージェント・八木水: それで、どうしたんですか?

幸田氏: 確か「何をやっているんだ」って叫んで、どうにか止めようとしました。窓にも赤いセロファンが貼られていましたね。蛍光灯にも被せてあって、だから赤く見えたんですよ。そうしたら...

エージェント・八木水: 走って逃げようとした緑山君が、ガラスに突っ込んで頭を切った。続いて教室内の生徒全員がパニックになって、過呼吸が6名、転んだりした軽傷者が5名、複数人に転んでから踏み付けられたり、咄嗟に窓から飛び降りた重傷者が3名。間違いありませんか?

幸田氏: (袖で額を拭う)本当に、何が起こったのか分からなくて...亀が、あの亀が、としきりに生徒は言っていましたが...

エージェント・八木水: あの亀について、飼育を許したのが先生でしたよね?

幸田氏: そうなんです。クラスの赤見君が見付けた時には...あれ、実は8月末に拾ったと連絡を受けて、理科の教師に飼育出来るのか説明を受けていたみたいなんですよ。

エージェント・八木水: そうなのですか。だから亀を飼育しても良いのだ、と許可を出したんですね。

幸田氏: (俯く)そうなんですけど...こんな事になるんだったら、許可なんて出さない方が良かったのかもしれないですね...甲羅にイタズラ書きがされてた亀だ、って言っていたらしいのですけど...

<録音終了>

補遺: 9月16日に発生した事故により、赤見氏は入院中である。

<SCP-1902-JP観察ログ-12:2008年10月29日>

付記: SCP-1902-JP背面の発光が確認された直後より開始された映像記録の書き起こし。収容以降SCP-1902-JP背面に出現する文字数は増加を続けており、同月27日に出現した文字は約200字の文章形式である事が確認されている。

<記録開始>

[00h-00m-10s]: (SCP-1902-JPの背中の発光を確認。収容エリア内に設置した陸地上にSCP-1902-JPが登る)

[00h-01m-47s]: (SCP-1902-JPの背中には文字が浮かび上がらず、背部の甲羅全面が発光している)

SCP-1902-JP: もしもし?本当すいません、9月に入ってからずーっと酷い暮らしだったもので...(野太い男性の声)

SCP-1902-JP: いえ、サボってたんじゃないです。本当に体調悪かったんです。診断書?いやお金もちょっと...

SCP-1902-JP: いえいえいえいえ、前から本当にやる気はあったんですよ。ですけどちょっと環境がその...ねえ。

SCP-1902-JP: 確かにこの身体になってから初めての仕事ですから色々と慣れてないのはあるんですけどねえ...日中子供の声がずっと喧しくて、しかもしきりに私の部屋にちょっかい掛けて来たんですよね。ですから書ける環境には...

SCP-1902-JP: だからサボってはないですよ。本当に調子悪かったですよ、出されていたご飯もまずくて......あー...いえ、書ける環境にもありませんでした。本当です。

SCP-1902-JP: ちょっとした騒ぎもありましたからね...短く区切って細かに送るのもなんか忍びない気分がして...あ、何もやってないです。本当に、今度こそやってないです。誤解です。ちょっと誤解が拗れただけです。子供の想像力って凄いんですね。

SCP-1902-JP: いや、今からは大丈夫ですよ?体調も元通りですし、ですから診断書の提出ってのは今ちょっと...いえ、手当ては欲しい、欲しいですよ。ですからサボってた訳じゃないんですよ。

SCP-1902-JP: その辺について...は、本当すいません。間に合わせます。間に合わせますから。

SCP-1902-JP: いえ、間に合わせますから今からページ増やすのは勘弁して下さいよ、無理です。ですから本当間に合わせますから、もう少しだけ待って下さい。お願いします。

SCP-1902-JP: はい、はい。ありがとうございます。今度は体調崩さないで書きます。はい。すいません。お疲れ様です。はい。はい...

[00h-13m-51s]: (SCP-1902-JPの背面の発光が消失。水中へと帰還する)

<記録終了>

補遺: 発光中の甲羅から、微弱な電波の発信を確認。SCP-1902-JPが移動した方角から月面に対して放たれていた可能性が推察されている。

追加情報: 今記録後、SCP-1902-JPの腹側の甲羅に以下の文字が浮き上がっているのを確認。これまでとは異なり確認以降常に表示されている。

進歩:11/1750000ページ
めざせ1日1ページ 半ページ 1文章 必ず文字を書く

Footnotes
. 2010年11月には27/1750000まで増加しているのが確認されています。
ページリビジョン: 8, 最終更新: 16 Jul 2024 11:34
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