クレジット
発見時のSCP-1824-JP
アイテム番号: SCP-1824-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-1824-JPはNeutralizedに指定され、現在はサイト-8197の標準収容室に保管されています。
アーカイブ済特別収容プロトコル: SCP-1824-JPはサイト-8197の標準収容室に収容されています。SCP-1824-JPを許可なく利用することは禁止されており、実験にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要となります。
SCP-1824-JP-Aの出現/消失箇所はその特性を調査するため全て記録する必要があります。
説明: SCP-1824-JPは株式会社ナムコ (現: 株式会社バンダイナムコアミューズメント) より発売された「ワニワニパニック」の筐体です。製造番号から、1991年に生産された筐体であることが判明しています。ただし、SCP-1824-JPは通常の「ワニワニパニック」の筐体と比べてワニのデザインに差異が見られます。オブジェクトの最も左に配置されている"サングラスを掛けたワニ"は破損しており、叩いても反応しないことがあります。SCP-1824-JPは電源が接続されていないにもかかわらず常に稼働しており、この原因は判明していません。SCP-1824-JPの側面には鋭利な刃物で擦ったような傷が多く付いています。
SCP-1824-JPを20歳以上の人物がプレイした場合 (以下、オブジェクトをプレイした人物を"プレイヤー"と表記) 、ゲーム後半で「もう怒ったぞ!」という音声が流れた後、すぐさま筐体の電源が落ちます。その後10分以内に、プレイヤーの近くに存在する物品同士の隙間やマンホール等の穴から全長約3.2mのアメリカワニ (学名: Crocodylus acutus) に酷似した実体が5体出現します。これらの実体は総じてSCP-1824-JP-Aに指定されています。
SCP-1824-JP-Aはプレイヤーのみを狙って噛みつこうとし、それ以外の人物からの物理的接触は全て透過します。SCP-1824-JP-Aの噛みつきはオブジェクトの頭部を何らかの方法で殴打することで防ぐことができます。殴打に失敗した場合、SCP-1824-JP-Aはプレイヤーの身体の一部に噛みつき、自身の体を素早く捻ることで噛み付いた部位を噛み千切った後出現箇所へ戻り消失します。この時点でSCP-1824-JPの電源が再び入り、新たにプレイが可能となります。
Neutralized指定に至るまでの過程は補遺1824-JP.2を参照してください。
発見: SCP-1824-JPは2015年11月15日、北海道洞爺湖町のホテル██████のゲームコーナーで発見されました。当時SCP-1824-JPをプレイし、ゲーム後半で筐体が動かなくなったことを報告していた石川██氏が、宿泊していた室内において出現したSCP-1824-JP-Aに右腕を噛み千切られたことを通報し、財団の調査の結果SCP-1824-JPの収容に至りました。この事案以前にSCP-1824-JPによるものと思われる異常事案の報告はなかったため、オブジェクトはこの時点から異常性を発揮し始めたものと推測されています。SCP-1824-JP-Aを目撃した石川氏の家族とホテルの従業員はインタビューの後記憶処理を施し、カバーストーリー「エレベーターの故障による右腕の圧断事故」を流布しました。
補遺1824-JP.1 インタビュー記録
インタビュー記録1824-JP.4
日付: 2015年11月17日
対象: 石川██氏 (以下"石川氏")
インタビュアー: 廿酒交渉人
<記録開始>
廿酒交渉人: それで石川さん。ワニたちはどこから出てきましたか。
石川氏: 確か……冷蔵庫と、ベッドの下だったと思います。
廿酒交渉人: わかりました。ワニたちはどんな風に襲ってきましたか。
石川氏: はい、はい。
[石川氏が俯き震え始めたため、氏が落ち着くまでインタビューが中断される]
廿酒交渉人: 石川さん、大丈夫ですか。無理のない範囲で結構ですので。
石川氏: ええ……。信じていただけないでしょうけど、ワニたちは家族をすり抜けて、私だけに襲い掛かってきました。
廿酒交渉人: なるほど。腕を噛み千切られたときの状況を教えていただけますか。
石川氏: ええと、確か、サングラスを掛けたワニがいたんです。アドレナリン出てたんですかね、ヤケに冷静だったんです私。なので、こう、奴らと距離を取って、近づいてきた奴らの頭をビール瓶で殴ってたんですけど、あのワニだけは別で殴ってもすり抜けるんです。それで右腕を……。
廿酒交渉人: わかりました。インタビューはこれで終了です。お疲れさまでした。
<記録終了>
終了報告: SCP-1824-JP-Aの内、サングラスを掛けた個体は物理的干渉が図れない可能性があります。実験する際には注意が必要になると考えます。- 廿酒交渉人
補遺1824-JP.2: 実験記録抜粋
実験記録1824-JP.1
対象: D-1765
内容: D-1765にSCP-1824-JPをプレイさせ、その後の経過を観察する。
結果: SCP-1824-JPプレイ後、D-1765の自室のトイレからSCP-1824-JP-Aが出現。D-1765は左脇腹を噛み千切られ、すぐさまSCP-1824-JP-Aはトイレの中へ消失した。D-1765はその後失血多量でショック死した。
研究者メモ: 初期報告通りの結果となりました。- 北海棠博士
実験記録1824-JP.3
対象: D-1876
内容: D-1876にSCP-1824-JPをプレイさせるが、ワニを一切叩かないよう指示する。
結果: ゲームは後半へ移行せず終了し、SCP-1824-JP-Aは出現しなかった。
研究者メモ: これもまだ予想範囲内の結果ですね。- 北海棠博士
実験記録1824-JP.5
対象: D-1989
内容: D-1989にSCP-1824-JPをプレイさせ、その後出現するSCP-1824-JP-Aに対処できるような装備をさせ、オブジェクトに攻撃を防ぐように指示する。
結果: ロッカーから出現したSCP-1824-JP-AにD-1989は対抗し、合計13回オブジェクトの殴打に成功するも、サングラスを掛けたSCP-1824-JP-A個体がD-1989の殴打をすり抜け左腕を噛み千切った。すぐさまSCP-1824-JP-Aは出現したロッカーへと戻り消失した。D-1989の装備は通常のアメリカワニの噛み付きに耐え得るものであったものの、対象の左腕を含めて完全に噛み千切られたことは特筆に値する。
研究者メモ: 通常のアメリカワニより顎の力が遥かに強いようで、石川氏の供述通り、サングラスを掛けた個体はこちらの攻撃を透過するようです。どう対処すれば安全なのでしょうか。- 北海棠博士
実験記録1824-JP.6
対象: D-2000
内容: D-2000にSCP-1824-JPをプレイさせ、前回と同様の装備を施しSCP-1824-JP-Aへ対処させる。
結果: 立ち合いの████研究員が所持していたペットボトルの口からSCP-1824-JP-Aが出現したが、同時に██研究員の右耳から外見上カニに見える実体 (以下"SCP-1824-JP-B") が5体出現した。SCP-1824-JP-BはD-2000に攻撃することはせず、SCP-1824-JP-Aを自身の鉗脚を用いて殴打することにより応戦しており、結果としてSCP-1824-JP-Aを計47回殴打した時点でSCP-1824-JP-Aは出現箇所へ戻り消失、SCP-1824-JP-BはD-2000を数度小突くように殴打してから出現箇所へと戻り消失した。全オブジェクトの消失後、SCP-1824-JPの電源が点き「参った、降参だ!」という音声が流れ、すぐさま電源が落ちた。
研究者メモ: その後、D-2000が完全にSCP-1824-JP-Aに対処したことでゲームに"勝利"した判定となったためか、筐体の電源が落ちて再び点けることが出来なくなりました。恐らく既に異常性を失っているものと思われます。しばらくオブジェクトの様子を見て、異常が見られなければNeutralizedへの指定を申請します。しかし、新たに現れたカニたちは何だったのでしょうか。行動を見る限りでは敵意はないようですが……。- 北海棠博士
追記: SCP-1824-JPは当実験を以てNeutralizedに指定されましたが、その後SCP-1824-JPの収容室内に5体のSCP-1824-JP-Bが出現し、筐体を破壊する事案が発生しています。このときSCP-1824-JP-Bの捕獲には失敗しており、この事案を鑑みてSCP-1824-JPをSafeに再指定することが検討されています。
補遺1824-JP.3: 回収された文書
文書1824-JP
概要: 以下は事案発生後に収容室内で回収された文書です。内容から、SCP-1824-JP-Bが作成したものであると考えられていますが、現在のところ詳細は不明です。
みんななんでワニワニパニックでばっかりあそんでたの?
ワニワニパニックなんかより、カニカニパニックのほうがおもしろいから
つぎはそっちであそんでくれないかな
たのむよ
ワニワニパニックに叛逆の鉄槌を
The Scissors Punching Crocodiles