クレジット
SCP-1743-JPと同一モデルの車両。
アイテム番号: SCP-1743-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-1743-JPの収容はなされていません。SCP-1743-JPによる事故が引き起こされたと推定される事件についてはカバーストーリー(′′暴走車両′′)を適用し、各種メディアで流布してください。
説明: SCP-1743-JPはフォード社製のパトカーです。動画等から見られる外見は一般的なパトカーと相違ありませんが、運転手はおらず、走行している原理は不明です。また、後述する追尾イベントの最中は影響を受けた車両の乗員を除き、SCP-1743-JPについて大きな関心を抱くことはなく、大抵の場合警察車両による違反行為への追跡であると結論づけられます。
SCP-1743-JPは不定期にアメリカ国内の道路に出現し、追尾イベントを発生させます。SCP-1743-JPはいずれかの車両の後ろに位置取り走行します。この時、SCP-1743-JPの前方にある車両はSCP-1743-JPの異常性を受け、緩やかに加速し始めます。この際、1度SCP-1743-JPが後方についた場合、被影響車両が路線変更などを行っても、SCP-1743-JPが追尾を続けるため、影響から脱することはありません。唯一の脱出方法は被影響車両が障害物などに衝突し完全に停止したときのみです。この速度は二次関数的に加速し、被影響車両がハンドルコントロールを取れなくなり、障害物に衝突する時点の速度はおおよそ███km/hにまで及びます。また、この速度により全ての被影響車両の乗員は衝突による衝撃で死亡します。ただし、被影響車両が他の車両に衝突した例はなく、被影響車両の乗員以外が死亡した例もありません。
追尾イベントの終了までSCP-1743-JPは被影響車両の後続を走行し、被影響車両が衝突した後にSCP-1743-JPは現場から消失します。また、この消失についても目撃者が違和感を抱くことはありません。この特性により、SCP-1743-JPの出現元や所属の特定には至っていません。
追尾イベントの発生数は概ね、自動車が関係する死亡事故の件数と緩やかな反比例にあると推測されています。また、特筆すべき点として対象車両の運転手はいずれも交通違反歴が確認されました。
映像記録1743-JP.4
付記: このログは被影響車両の乗員により撮影されていたカメラより作製されたものです。
<抜粋開始>
[重要度低により編集済]
フレデリック氏: ソイツは最高だね。いつか俺も連れて行ってくれよ。
クリス氏: お前もそう感じるだろう?どうせなら今から行き先を変えちまっても良いんだぜ。
フレデリック氏: まぁそれは今度にしておくよ。......それより、さっきから後ろにパトカーが着いてきてるな。なんだろう。
[ハンディカメラが後ろを走行するSCP-1743-JPに向けられる。]
クリス氏: なんだ?制限速度はきっかり守ってるぞ。
フレデリック氏: わからないな、この車、違法なカスタムでもしてないだろうな?
クリス氏: まさか。
[以後、42秒、SCP-1743-JPについての推測が続けられる。]
フレデリック氏: おい、スピード、上がってないか。
クリス氏: そうか?踏み込み過ぎてんのかな。
フレデリック氏: 後ろにパトカーがいるんだ。目をつけられそうなことするなよ。
クリス氏: 分かってるよ。
[以後、38秒沈黙。]
フレデリック氏: おい、いくらなんでも出し過ぎだ。一般道だぞ。
クリス氏: おかしい。
フレデリック氏: なんだって?
クリス氏: 俺、さっきからおかしいと思ってアクセル踏んでねぇんだよ。なのに止まんねぇ。訳が分からねぇよ。
[SCP-1743-JPのサイレンが鳴らされる。速度は90km/hを示している。]
フレデリック氏: どういうことだよ。壊れてんのか。ブレーキはどうなんだ。おい。
クリス氏: さっきから踏んでる!なんで止まんねぇどころか加速すんだよ!
[カメラが速度メーターを映す。速度メーターは最高速度の180km/hから動かない様子を映している。]
クリス氏: 止まんねぇ!どうして止まんねぇんだよ!
[フレデリック氏がドアを開けようとしている様子が映される。]
フレデリック氏: ドアも開かねぇ!
[SCP-1743-JPからと思われる音声]: 前の暴走車両。止まりなさい。速度を大幅に超過しています。
フレデリック氏: 止まれるならとっくに止まってんだよ!
クリス氏: 避けらんねぇ!誰か![悲鳴]
<抜粋終了>
衝突の直前、前方に向けられたカメラより、推定される車両の速度は[編集済]。
補遺1: パトカーが出現していない地点でSCP-1743-JPと同様の影響であると思われる事件が発生しました。映像より、事故の後続を走っていた車は覆面パトカーである可能性が指摘されています。この事件ではスクールバスの乗員32名が死亡しました。
補遺2: 事案1743-JP.48より、SCP-1743-JPからと思われる無線の傍受がなされました。以下はその内容です。また、一部の用語を平易なものに置き換えています。
SCP-1743-JP: 車両を発見、車両を発見、ナンバーはFAA-████。
[不明瞭な音声]
SCP-1743-JP: ええ、ええ、車種はシェビー、カラーはイエローです。
[不明瞭な音声]
SCP-1743-JP: ダメですか。
[不明瞭な音声]
SCP-1743-JP: どうしても続けますか。
[不明瞭な音声]
SCP-1743-JP: 了解、対象車両を[ノイズ、判別不能]の疑いで追跡します。
[不明瞭な男性の声]: これは先取りにすぎません。
SCP-1743-JP: 対象車両、法定速度を大幅にオーバーし始めました。推定110km/h。警告します。
[不明瞭な男性の声]: いつか起こる物の。
SCP-1743-JP: 前の暴走車両。止まりなさい。速度を大幅に超過しています。
[不明瞭な男性の声]: 私達は嘆きを減らした。
SCP-1743-JP: 繰り返す。速度を大幅に超過しています。止まりな——
[ここで被影響車両が衝突したとみられる音声が聞こえる。イベントが終わった事でSCP-1743-JPは消失し、以後無線の連絡も途絶えた。]