SCPコミュニティにおいて禁忌とされている「SCP-173と加藤泉氏の作品"無題 2004"の関係性」、その探求の旅、そして結論を出す。
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クレジット

タイトル: SCPコミュニティにおいて禁忌とされている「SCP-173と加藤泉氏の作品"無題 2004"の関係性」、その探求の旅、そして結論を出す。
著者: tateito tateito
作成年: 2024


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このTaleはフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。


製作者に関する情報

この記事に使用されていた画像は加藤泉氏の作品である"無題 2004"を撮影したものです。写真はKeisuke Yamamoto氏によって撮影されました。これらに関する全ての権利は各著者の方々が有しています。

注意: SCP-173は加藤泉氏の作品である"無題 2004"およびその写真を二次利用して生まれたものです。SCP-173のコンセプトは元作品である"無題 2004"のコンセプトとは全く関係ありません。

この彫刻及び写真はクリエイティブ・コモンズライセンスの元では公開されていません。記事の文章のみがクリエイティブ・コモンズライセンスの元で公開されています。いかなる場合においても、この彫刻および画像を営利目的で利用してはいけません。加藤泉氏は"無題 2004"の画像の利用を、非営利に限るという条件のもとでSCP Foundationおよびそのファンに対してお許しくださいました。これは加藤泉氏のご厚意によるものです。

1.加藤泉氏に "SCP-173"に関連するものは連絡したり、交渉したりしないでください。

2. 「SCP-173画像の商用ライセンス」を交渉しないでください。

3.加藤泉氏との「"無題 2004"商用ライセンス交渉」をSCPwikiに依頼しないでください。

4."無題 2004"の画像はSCP-173に関連して使用するために商業的に利用することはできません。例外はありません。

SCP-173(2024年2月21日更新版)より。

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腰が少し痛い。それほど窮屈ではないが、流石に2時間近く座っているとやや疲れてくる。

東海道新幹線をのぞみで西から乗っていくと名古屋から新横浜までは一眠りできる程に長いのに、新横浜から品川、東京駅となるとかなり慌ただしく停車・発車を繰り返す。もちろんそれが最速列車たるのぞみの意味というもので巨大な都市圏でない場所は飛ばす訳だが、それでいくと東京都市圏の凄まじさがわかるというものかもしれない。品川駅で通路側に座っていた乗客が降りる。なかなかの大荷物だ。帰省だろうか?

私、tateito tateito は東京駅までのぞみで行くつもりだ。私はSCP財団、SCP-JPでTaleを中心に書いて活動している。SCP-JP著者勢の中では私は中の下程度の立ち位置になるだろうか?もっともこの界隈も、裾野は広く頂は高く、自分がどの辺りに位置するのか、著者勢をどう定義するのかも含めて判断するのは困難である。一応、なんとかテレキル記事、Vote+100以上のTaleを一つ持っているので少なくとも中の下より下と言うのはやや問題がある、謙遜が過ぎると考えている。その程度にはこの界隈に身を沈めてしまった。

そして私はSCP-JPにおいて、かねてから秘めていたSCPワールド全体を包括する一つの記事を書くための、着想を得る目的で、取材の目的で、あるいは気晴らしの目的で、東京へ旅行している形だ。何が目当てで行くのか?東京都現代美術館に行く。東京都現代美術館では2024年8月3日から11月10日まで、展覧会「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」が開催される。そこに、加藤泉の"無題 2004"が展示されるのだ。それを見物しに行く旅行である。

ゆっくりと新幹線の窓の景色が動き出す。私はスマホで台風情報を調べていた。

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SCP-173(2024年2月21日更新版)より。

"無題 2004"。《無題》2004年。"Untitled 2004"。「無題2004」。ああ、いうまでもなかろうか?あの"無題 2004"だ。

英語圏の匿名画像掲示板4chanの/x/、超常現象を扱う板において、最初のSCP報告書としてMoto42 Moto42 によって原型が書かれたSCP-173、それに添えられた画像。当然のように無断で使われていたその画像は著名な芸術家、加藤泉の作品"無題 2004"をKeisuke Yamamoto氏が撮影した写真であった。当時、というか現在も含め匿名掲示板文化では画像の無断使用は本来当たり前のように行われる行為ではあったが、SCPコミュニティが大きくなるにつれてその事実は問題となった。インターネットにも法律は存在し著作権や意匠権は存在する。その事実が重たかった。幸いにして加藤泉氏の厚意により非営利に限るという条件のもとで利用が許された、が、SCP-173のページには特殊な警告文が付いた。警告文がSCP-173を読む際に没入感を削ぐ結果となった。そして最終的にはその画像は削除された。その"無題 2004"だ。

それだけで終わるならばまだよかった。しかしSCP-173と"無題 2004"は、イメージとして深く深く結びついてしまっていた。SCP財団はCCライセンスで商用利用も可としているのでたまに紹介やグッズなどといった形でコミュニティの外へもSCPオブジェクトなどが見られることもあるのだが、その特異な造形をした"無題 2004"が、SCPオブジェクトの代表SCP-173として、看板として提示される。そのようなことが増えてきた。Youtubeで解説動画を観ているだけなどのライトなファン層、もしくはSCPを概要だけ知っているなどの周辺層にとってはSCP-173=無題2004という認識となってしまっている。それは許されない誤解だ。であればこそ画像が削除されたのだろう。もはやSCPのスタッフ達にとっても、SCP-173と"無題 2004"の関係性についてのコントロールが出来なくなった。それが表れた事件であったとも言えよう。

しかし、SCP-173、及びそれに添えられていた画像の"無題 2004"こそが今日までに巨大なコミュニティとなったSCP財団全体を出発させた原動力だったのではなかろうか?ネットで誰かが放流した無断転載の"無題 2004"こそが怪奇創作サイトSCP財団を作り出した第一原因なのではなかろうか?私はそのようにも考える。許されざる状態ではあったものの、それが作った価値まで否定しても良いのだろうか?

...... 都市の風景が止まった。東京駅だ。

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東京駅で大勢の乗客と一緒に降りる。車窓の外にも多くの人々が見えた。

関東には今年の一月、SCPオンリーイベントである「収容違反 インシデント2024-005」が行われた際に訪れてはいるものの、埼玉県大宮での開催であったため東京駅には降りなかった。そう考えるとおおよそ一年ぶりだろうか。新幹線から降りる列の前方に、ピンク色のプリン髪、とでもいうべき女性がいた。そういえば東京に来たついでに、私も東京都現代美術館の他に寄るイベントがあった。彼女もそれ目当てだろうか?コミックマーケット104、今日はその一日目である。

コミックマーケット、略称コミケ。コミケットという略称もあるが最近だとあまり使われていない印象だ。世界最大の同人誌即売会、以上のものである。まああえてここで詳細を説明するものではないだろう。私はこれまで行く機会が無かった。東京ビッグサイト、正式名称で言うと東京国際展示場には行った事があるがそれは別のイベントの日であった。一応、それに合わせて新幹線の時刻を決めている。...... いや、アーリー入場や午前入場ではなく、会場内でリストバンド型入場券が買える午後入場12:30ぐらいに着くように新幹線の指定席を取った。今年の盆は東海道新幹線の自由席は無いのだ。そういう訳で、先にコミケを見物しに行く。

東京駅。奇妙に天井が低い気もする。レンガ造で有名な丸の内口ではなく、現代風の八重洲口から出て都営バスに乗る。東京ビッグサイト行き。前から乗って先払いで210円支払う。幸運にも座ることが出来た。東京の景色はどことはなく明るく見える。このバスは燃料電池バスらしい。

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象徴的な逆三角形の建物が見えてくる。東京ビッグサイト。ちなみにあの逆三角形の部分はコミックマーケットのイベントでは使われない。会議室などがあるらしいが。

会場で降ろされた後、階段を上る。今年の夏は暑すぎるし、それに輪をかけてコミケの熱気が、というよりも大量の人体が作り出す熱量が加わり、おおよそ人間が長時間過ごせる環境ではない。リストバンドを購入し、群衆に溶け込み会場に入る。カタログも買わずに来たのでどこに何があるのかもわからず彷徨っているとコスプレ会場の横に出る。コスプレイヤーが扇情的な肌露出の多い格好をするのは、あるいはコミケの地獄の環境がそうさせるものかもしれない、そうも思った。とはいえ全身タイツやぬいぐるみのような物を着たコスプレイヤーもいたが。大丈夫なのだろうか?まあ、ともかく正気ではあるまい。ここはコミケ、貪婪と混沌の地である。私も含め、みななんらかの狂気に侵されここにいるという事だ。

更にしばらく人間の海を泳ぎ続けると、同人誌の頒布場に出た。同人誌、というものは少なくともコミケの歴史においてその多くは二次創作であった。ああ、そこが今、重要なところだ。無論、個別の作品ごとにガイドラインなどで二次創作についての規定がなされているものは、それなりにある。ではあるものの、無許可、無断で行われる二次創作作品がこの会場内には数えきれないほどある。実際の所、ほとんどの場合は著作権法違反が親告罪であるため、黙認の形となっている。こうしたもので捕まったというのはよほど悪質なもの以外は聞かない。原作者も二次創作者も作品への愛のため弁えて行動している。とはいえそれが健全な状況なのか否か。あるべき姿なのか否か。人と机の間を縫うように歩きながらそのようなことを思う。ガンダムシリーズなどを中心に幾らか同人誌を買った。

SCP関連の二次創作物は例外を除きCCライセンスに基づき商用利用可能だ。しかしSCPジャンルのスペースは二日目、月曜日。東京大学SCP同好会に挨拶に行きたかったが、残念ながら月曜日は東京都現代美術館の閉館日だ。泊まりで行けばよかったと言えばそうだが......

自動販売機でアクエリアスを飲む。全然冷たくない。疲れ果てて会場から出て都営バスに乗り込む。今度は座れなかった。満員、を少し超えていると言って良い。非常に苦しい。会場内と同様、冷房が効いているはずなのに暑い。

また、SCP-173とSCP-111の旧画像、SCP-1926(旧版)のうちいずれかが関わるものは一切販売しないでくださいこれらの問題は、すべての関係者にとって大いに頭痛の種となっています。場合によっては訴訟に巻き込まれるかもしれません。絶対にやめてください。

現在、SCP-173の画像は削除され、SCP-111の画像はライセンス上の問題がない新しいものに変更されています。また、SCP-1926(旧版)は記事自体がSCP財団Wikiから削除されています。通常の検索サイトから、これらの記事のかつての姿を見ることは可能です。しかしながら、商用利用が行えないという点に変わりはありません。

これらの記事についての詳細は、「当サイトにおけるクリエティブ・コモンズ・ライセンス適用の"例外"」を参照してください。

ライセンスガイド(2023年10月1日更新版)より。

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都営バスを豊洲駅前で乗り換え東京都現代美術館前で降りる。この旅行の目的地だ。乗り換える前と後で混み具合が全然違う。涼しいと感じられた。そしてイカしたデザインの大きな美術館、東京都現代美術館がバス降り場のすぐ傍にあった。

現代美術、実際の所、私はそこまで詳しくない。Wikipediaで色々と流し読みしたのと、パピヨン本田氏の漫画で通り一遍の知識を得たぐらいだろうか?とはいえ私は古代ギリシャ時代の写実的な彫刻などのみを良・善とし、モナ・リザや神奈川沖浪裏などのみを褒め称える権威主義者ではないと自負している。むしろ、新しいものの価値を見出したいという性向の方が強い、はずだ。無論、それぞれの時代の傑作にはそれぞれの時代なりに価値を創造したという面もあろうが......

チケットを購入し入場し、集められた現代美術を鑑賞していく。日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション。精神科医高橋龍太郎が集めたコレクションの展示であり、年代別に展示品が分けられている。まず最初に目に飛び込んでくるのは草間彌生の作品群。不勉強な私ですら知っている、特徴的な水玉模様や触手めいた構造を多用し、独特な色彩感覚で作られたそれは神経の奥底にまで踏み入ってくる。特に集合恐怖症ならばたまらないだろう。その後、他の作者の作品が続いていく。池田学の繊細過ぎる絵にはもはや驚くしかないし、千葉正也の作品群の騒々しさには心地良さすら覚える。

...... 仕切りの間から、この旅の目的が見えた。"無題 2004"だ。

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フォーラム「【重要】SCP-173と加藤泉氏による「無題2004」に関する再確認」(2024年8月14日確認)より

順路通りに進む。奈良美智の描いた鋭い目を持った子供達を眺めながら、あの彫像への対面のための心の準備を行う。...... いや、もう既にそれは目の前にある。

ここに加藤泉の「無題」、2004年に発表された彫像があった。加藤泉。彼の作品はプリミティブだとか、不思議な有機性を持つとか、幼形成熟だとか、そんな言葉で表されることがある。間近で見ると荒々しく彫られた木製の彫像で、SCP-173の記述ではコンクリートと鉄筋で構成されているとか書かれてあったがそこも違うのか、とは思った。その足元にも別の加藤泉氏による彫像が置かれ、また近くの壁には彼の絵画作品が並べられており、異様な雰囲気を醸し出している。この展覧会で展示されている加藤泉氏の作品群は初期のものに限られ、そこに多くを占めていないがやはり"無題 2004"が出展されると聞いてこの展覧会に赴いたサイトメンバーは多いのではなかろうか?あるいはさほど多くもないのだろうか?結局のところ、SCP-173は"無題 2004"ではなく、"無題 2004"はSCP-173ではないのだから。

...... しかし目の前の彫像を、先ほど仕切りの間から見た私の脳裏に浮かんだ最初の言葉は、

「あ、SCP-173だ」

と、いうものであった。

当サイトにおけるクリエティブ・コモンズ・ライセンス適用の"例外"

彫刻「無題2004」を基にしたSCP-173の画像は営利目的で使用しないでください

SCP-173は最初に執筆されたSCP記事であり、そしてSCPシリーズ全体の起源となった作品でもあるという背景があります。初期のSCP記事で使われていた多くの画像と同じく、この画像もまた出典が分からないままインターネットに出回っていた画像の1つでした。最終的にはサイトスタッフが加藤氏に連絡を取り、「無題2004」の画像をSCP財団Wikiにおいて使用する許可を頂きました。

しかしながら、加藤氏は「無題2004」の肖像をクリエイティブ・コモンズの下で公開したわけではありません。彫刻の著作権とその画像の権利は現在も加藤氏のものです。彫刻およびその肖像を営利目的のために使用することはできません。

加藤氏はSCP財団が彫刻の画像を利用することを許可してくださいました。しかし同時に「誰かが営利目的でこの画像を使用することがあった場合、差止請求などの法的措置を執る」という警告も加えています。加藤氏によるメッセージの全文は、こちらから見ることができます。

また、このフォーラムに記載されている通り、SCP-173の画像を営利目的で利用する行為の問い合わせについて交渉する余地は一切ありません。「SCP-173画像の商用利用」について交渉しないでください。

現在、SCP-173の画像は記事から削除されており、「無題2004」を基にしたSCP-173の画像はサイト上に残っていません。しかし、「無題2004」の画像、およびそこから派生する作品が営利目的で利用できないことに変わりはありません。これらを営利目的で扱った場合、著作権の侵害として法的措置を受ける可能性があります。

ライセンスガイド(2023年10月1日更新版)より。

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その後も現代美術を見て回った。そういえば、子供の頃から私は現代美術の類が好きだった。小学校の図画工作の授業でそれに影響された不可解で稚拙な絵を描いて先生に怒られたものだった。

上の空ではあったものの、それぞれの現代美術作品は私の脳裏をガンガンと揺さぶるものであった。凄まじい執念が見られるものあり、心の盲点を突くものあり、不謹慎すぎて痺れるものあり。なんならば加藤泉の作品は何度となくネット上で見たことがあり既視感があったので、それよりも強く響いたかもしれない。確かに、"無題 2004"は私にインスピレーションを与えた、というか、感動させるものではあった、というか、結局自分の中にしか思うものは無かった、というか。結局、ネットで、SCP-173を知ったからこそ、私にとって"無題 2004"は特別なのだ。実際の所この展覧会で展示されているような強烈な現代美術作品を画像として使えるならば、それはSCP作品として強力無比な武器となりうるだろう。逆に言えば、"無題 2004"を伴ったSCP-173は反則というかインチキというか、そりゃあ人気になるだろうという話だ。

だが、「SCP-173=無題2004」という構図はSCPコミュニティにおいてもはや禁忌だ。決して同一視されてよいものではない。歴史的経緯から、加藤泉氏の寛大な許可により、彫刻の作者名と二次創作であることを明記し、現作品のコンセプトと無関係であることに留意し、非商用に限ることを条件として、非積極的な容認を与えられた、に、すぎない。誰にとっても不都合な真実であり、消したい黒歴史でありながら、イメージばかり膨れ上がったもの。

SCP-173=無題2004。SCP-173≠無題2004。SCP-173=無題2004、SCP-173≠無題2004。SCP-173=無題2004≠SCP-173。無題2004≠SCP-173=無題2004。SCP-173=無題2004≠SCP-173=無題2004。無題2004=SCP-173≠無題2004=SCP-173。SCP-173=無題2004≠SCP-173=無題2004、無題2004=SCP-173≠無題2004=SCP-173......

違うが同じ、同じが違う。それが、あの彫像なのだ。私にとっては。

私以外にとってもそうであるのかもしれない。そうであるのだろう。まさにSCPの原点、オリジナルなのだ。言うなれば"無題 2004"はオリジナルオリジナル?ただし、違う。同じであってはいけない。しかし、SCP-173は究極的な意味では"無題 2004"の何らかを含みうる......

考えているうちに美術館から出ていた。現代美術館前のハンバーガー屋で遅い昼食か早い夕食か、そのようなものをとる。気もそぞろで味がしないなどと書きたいが、妙に美味い。人気店のようだ。

Dear <staff member>,

I read your email.

First of all, I wanted you to contact me, the artist, to confirm my decision on the use of image of "Untitled 2004" as SCP173 before you and member of SCP foundation use it.

I will reluctantly permit this secondary use of the image of " Untitled 2004" as SCP173 unless SCP foundation use it for commercial reasons, because there is a situation that many people have recognized SCP173.

But I have a certain concept and making purpose about this sculpture. I made a drawing of "Untitled 2004" before I created this sculpture. Of course, the concept of SCP173, which SCP foundation set, is significantly different from concept of " Untitled 2004".

Accordingly, I want SCP foundation to add a note of caution; SCP 173 is a secondary use of the image of "Untitled 2004", which was created by Izumi Kato. The concept of SCP173 does not have any relationship with the artist’s original concept of "Untitled 2004".

I won’t complain about you and SCP foundation using my sculpture's image unless it is used for commercial purposes. However, I plan to take legal measures to demand an injunction if someone uses this image for commercial purposes.

I hope that you and SCP foundation will please kindly heed about my feelings about " Untitled 2004" and SCP173.

Best,

Izumi Kato

SCP-EN、SCP-173ディスカッション内の、SCP-ENスタッフメンバーへの加藤氏によるメッセージ全文

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東京は夕方にはボンヤリと曇り、気温はややマシだが湿気は強く感じる。新幹線の指定席を取った時間まで、東京駅近くの日本橋をうろついて過ごす。

"無題 2004"、それを目的とした今回の旅行は衝撃的だった。だったが、ともかく次に進まなければならない。すなわち、私は何をすればいいのか、何をすべきなのか、何をしてはならないのか。著作権だとかライセンスだとかそういう類の問題は、そもそも曖昧かつ微妙で、まるで地雷原を歩むがごとくである。しかし、SCPを真に奥底まで語るのならば、SCP-173に踏み込まなければならない。それは、"無題 2004"に踏み込むことと同義ではないのか。SCP-173と"無題 2004"の関係性だ。

"無題 2004"の画像を使わなければ、SCP-173=無題2004だと言わなければ、"無題 2004"とSCPについての関係性を標榜しなければ、問題ない?そうかもしれないし、そうではないのかもしれない。読者はどう思うのか。禁忌というものは共同認識によって作られる。あえて黒歴史に踏み込むのは不遜であり傲慢である。そのように思う人もいるだろう。こうした事は私一人の問題に留まらず、SCP-JP、国境を越えたSCPコミュニティ全体の問題となりうるかもしれない。しかし、黒歴史を地雷や不発弾としてそのままにしておくことが正解なのだろうか?

ほとんど車の通らない横断歩道に設置された歩行者用信号機を見る。これもそうだが、東京の歩行者用信号機は青の残り時間や赤の待ち時間が表示されるものが多い。私含め、多くの人が赤信号で止まって待ち時間を眺めて信号無視をしない。別に警察がいる訳でもないのに。...... なるほど。天啓、を得たかもしれない。つまり、二次創作とは、リスペクトなのだ。法律は重要だ、しかしそれを一つ上回って重要なのは愛であり慈しみでありリスペクトなのだ。加藤泉氏が制限を課しつつも画像利用を許したのもそこに"無題 2004"への愛を汲み取ったからであろう。コミックマーケットが第100回を超えて行われているのも原作者と二次創作者達の関係性があるからだろう。ルールと共に、リスペクトを込めて創作することこそが、唯一の正解なのだ。

丸善書店でガブリエル・ガルシア=マルケスの百年の孤独を買う。そういえば読んだことが無かった。

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その他色々と駅周辺や東京駅の広い駅構内を歩き回って足が棒になってきたところで日が沈み、お土産に東京ばな奈を買って帰りの新幹線に乗った。

指定席の横側は空き席であり、車両の最後席であったのでリクライニングを躊躇なく最大まで倒した。夜の新幹線の車窓から見える闇、そこを照らす電灯がビルや家屋の形象を作る。その景色はトンネルで遮られ、そして出てまた見えてくる。

東京はやはり、当たり前だが一度二度の旅行では全てを見尽くせない。東京駅の時点で余りの人の多さにクラクラしたが、コミックマーケットは別格だった。その参加者達の熱量と愛はコミケという場を特別なものとして、二次創作文化そのものを作り上げている。

そして東京都現代美術館、「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」。創作の最前線の一つ、荒野を切り開いて構築された現代美術の数々は私の精神を圧倒し、そして創作の志というものを刻み込んでくれた。また、"無題 2004"の実物を見たという経験は私の中にあった実感を自覚させた。

最後に東京、日本橋の横断歩道で得た天啓......

今日の所は本当に疲れたが、理解は深まった。SCPコミュニティの原型、原点。そこにある禁忌、矛盾、現実。SCP-173と"無題 2004"の関係性、SCP-173と"無題 2004"と私自身の経験の関係性。そしてSCP創作において、二次創作において、創作全般において何を考え何を見据え何をするべきか。

この旅で得た着想をもって、あの記事を書き始めよう。

私、tateito tateito がかねてから秘めていたSCPワールド全体を包括する一つの記事。私の全能力を費やすべき、最も能力が活かされる記事。SCPの原点から最前線までを網羅する記事。私のSCPコミュニティへの最大限のリスペクトの証としての記事。財団世界究極の謎を解き明かすGoI-F記事......

すなわち、「闇寿司ファイルNo.2004 "無題"」を。

ページリビジョン: 4, 最終更新: 15 Mar 2025 11:23
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