クレジット
アイテム番号: SCP-1691-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: 全国で、SCP-1691-JP再発の兆候が無いか監視されます。全てのSCP-1691-JP-Aは異常性の再発限の有無を定期的に調査されます。綾女 人也氏に関する調査は継続されます。
全国の監視網を通じて、SCP-1691-JPの対象となる可能性が高いとみられている人員とSCP-1691-JP-Aの出現を監視します。SCP-1691-JPイベントの発生が確認された場合、イベント発生地点の周囲2kmに渡って電磁的な妨害工作を施し、SCP-1691-JP情報がネット上に拡散する事を阻止します。SCP-1691-JP情報の異常性上目撃者への記憶処理は必要ありませんが、以降もWebクローラーによってSCP-1691-JP情報が流出していないか調査し、流出が少数であれば消去と流出元の人物に対する記憶処理、多数であれば当該SCP-1691-JPイベントの対象となった人物の過去の犯罪歴に基づくカバーストーリーを流布する事で、流出中のSCP-1691-JP情報がデマ/誤認であると大衆に認識されるよう誘導します。綾女 人也氏はSCP-1691-JPの起源に関する情報を有している可能性が高いと見られており、その行方を調査中です。
説明: SCP-1691-JPは日本一帯で発生する異常な死亡事故を起点とする一連の現象です。より厳密には以下の順序で進行する異常なイベント群として定義されています。
- SCP-1691-JP-A(後述)が、異常性の対象となる人物または集団の近傍の非観測領域から出現する。
- SCP-1691-JP-Aが対象の近傍で超常的現象によって死亡する。
- SCP-1691-JP-Aの死亡事故、及びその死体を直接視認した人物全てが「SCP-1691-JP-Aは対象によって殺害された」という確信を得る。
多くSCP-1691-JP事象発生後は、対象が事象の目撃者らによって糾弾される、事故内容がSNS等を通じて拡散されるといった混乱が発生しますが、これらの事態そのものは異常ミームなどには由来しない非異常性の社会的反応であると考えられています。上記の異常な確信は任意のクラスの記憶処理によって除去可能な他、記憶媒体を介さず得たSCP-1691-JPイベントに関する知識は平均して██分程度で想起不可能な程に減退する事が判明しています。
SCP-1691-JP-Aは戸籍上は綾女 瑞香(享年14歳)となっている人物の複製と考えられる実体群です。SCP-1691-JPイベントに際して最低1体が出現し、イベント中に必ず死亡します。SCP-1691-JP-Aに対する解剖調査で、上記の異常な確信を発生させる事以外に異常な要素は発見されておらず、出現と死亡の過程を除けばSCP-1691-JP-Aは非異常性の人間である可能性が高いと考えられています。現在までに財団はSCP-1691-JP-Aの遺体██体を収容しており、これらはイベントが終了した後も異常な確信を抱かせる異常性を維持しています。いましたが、20██/██/██のSCP-1691-JPイベントをもって全てが異常性を喪失しました。
SCP-1691-JP-Aの死亡状況は、SCP-1691-JPの対象となった人物が過去に犯した殺人事件に基づくものである事が判明しています。財団はこれを利用し、調査の結果明らかになった対象の殺人事件の詳細をSCP-1691-JPイベントのカバーストーリーとして適用し、オブジェクトの隠蔽を図っています。
SCP-1691-JPは20██/██/██、綾女 瑞香氏の葬儀において発生した事案から財団に捕捉されました。当初本事案は異常現象記録として扱われるに留まりましたが、その後に綾女 瑞香氏を被害者とする複数の異常な事件が発生した事でオブジェクトとして登録されました。
記録経緯: SCP-1691-JPの特異性により、撮影者はその経緯を完全に忘却した状態であった事から詳細は不明。綾女氏の葬儀中に木棺の中からSCP-1691-JP-Aが出現したため咄嗟にスマートフォンを用いて撮影を開始したと推測されている。
<再生開始>
00:00 - 録画開始時点でカメラは木棺内で上体を起こした状態のSCP-1691-JP-Aを捉えている。撮影者含め、周囲の人物は疑問を呈する声を口々に呟いている。00:37 - 画面左の位置で1人の男性が立ち上がる。男性は綾女 瑞香氏の実父である綾女 人也氏(以下区別の為、それぞれを瑞香氏、人也氏と表記する)である事が確かめられている。
00:45 - 人也氏がSCP-1691-JP-Aに対して「瑞香、本当に瑞香なのか」、「まさか、教えてくれるのか」などと発言する。
00:57 - SCP-1691-JP-Aが人也氏へと顔を向け、その後立ち上がる。周囲は変わらず困惑した状況であり、人々は座ったまま人也氏とSCP-1691-JP-Aを交互に見つめる様子が撮影されている。
01:07 - 棺からもう1人瑞香氏の外見をした実体が立ち上がる。死装束を身に付けており、肌に血の気のない様子と事後の調査から、新たなSCP-1691-JP-Aが出現したのではなく元々納棺されていた瑞香氏の遺体が自律的に運動しているものと考えられている。
01:14 - 周囲の混乱が高まるが、詰め寄ろうとする人々を人也氏が抑える様子が捉えられる。
01:32 - 人也氏はSCP-1691-JP-A及び瑞香氏の遺体に向き直り、「教えてくれ瑞香、どうして」と呟く。
01:42 - 前触れなく瑞香氏の遺体がSCP-1691-JP-Aの喉を掴む。SCP-1691-JP-Aは苦痛の声を漏らすが抵抗しない。周囲は互いに呟き合ってその様子を伺っている。人也氏はSCP-1691-JP-Aの様子を前のめりに見つめている様に見えるが、カメラに対し背を向けた構図である為表情は確認できない。
04:17 - SCP-1691-JP-Aは最早何の反応も見せていない。唐突にカメラ内で観衆の騒ぎ声が大きくなる。多数の会話音声が入り乱れているが、「瑞香氏が瑞香氏を殺した」という内容が大半を占めていた事が確かめられている。人也氏は動きを見せない。
04:30 - SCP-1691-JP-A及び瑞香氏の遺体が崩れ落ちる様に倒れる。人也氏は直ぐ走り寄って両者を支え、そのまま抱きしめる。
04:52 - 参列者の1人が「救急車」と叫ぶ。それを皮切りに人々が動き出し、撮影者もカメラを置いて移動した。以後映像は部屋の天井を映し続ける。
08:44 - 人也氏が「結局俺が、間違ってたのか」と呟く声が記録される。直後に、スマートフォンの容量の問題かビデオ撮影は終了した。
<再生終了>
終了報告書: その後SCP-1691-JP-Aと瑞香氏は病院へと搬送され、搬送先で死亡が確認されました。瑞香氏が2人存在するという超常現象と、後の聴き取り調査で参列者の誰も本事案の記憶を有していなかった事が注目され、財団による事後処理が実施されました。回収されたSCP-1691-JP-Aを視認した場合、「SCP-1691-JP-Aは瑞香氏によって殺害された」という確信が得られますが、財団の調査では、瑞香氏が殺人を犯した事を示す証拠は一切発見されていません。本記録及び、現場で回収された破損した呪術的アイテムに付着した指紋から、人也氏がSCP-1691-JPと何らかの関係があると推測されていますが、人也氏の姿が最後に確認されたのはSCP-1691-JP-██の記録映像が最後であり、その消息は不明です。
発生日時 | 対象 | SCP-1691-JP-A死亡状況 | 関連する対象の殺人 |
---|---|---|---|
20██/██/██ | 綾女 瑞香氏 | 上記の事案記録を参照 | 不明。対象の自殺を示唆しているとする説もあるが未確定。 |
20██/██/██ | ████ ████氏 | 対象が鉄道を利用している中で出現したと考えられる。目撃者らの主張によれば、SCP-1691-JP-Aは対象とすれ違い様に肩をぶつけ、その瞬間一切の慣性を失って車両後部に叩きつけられ死亡したと見られる。 | █年前に発生した██████氏の走行車両への接触事件。当初事件は自殺として処理されていたが、財団独自の調査から被害者は対象によって突き落とされた可能性が浮上した。 |
20██/██/██ | ██████ ████氏等3名 | SCP-1691-JP-Aは信号を無視して横断歩道へ歩み出る形で出現。その直後、対象らの乗った車両がSCP-1691-JP-Aの直上に突然出現し、SCP-1691-JP-Aは車両に押し潰されて死亡した。 | 3時間前に発生した轢き逃げ事件。対象らはイベントの直前まで警察の追跡を受けていたが、イベント発生時には突如として行方をくらませたと報告されていた。 |
20██/██/██ | ██ ████氏 | 対象が、勤務する職場前で迎えの車を待っている所に、路地裏から出現し接近する。SCP-1691-JP-Aは対象の前まで移動すると、鼻腔、眼孔、口腔から多量のコンクリートを噴出させ、その中に埋もれて死亡する様子が監視カメラに記録された。 | 対象は複数の要注意団体含む反社会勢力との繋がりがあった事が判明しており、少なくとも██名の行方不明事件に関連があると推測されている。 |
20██/██/██ | ████ ████氏 | SCP-1691-JPを含む、複数個のオブジェクト/イベントの対象となりうる人物の監視調査中に発生。対象は所属高校の校庭にて友人らと談笑していたが、上空の音に気付いて空を見上げた。それとほぼ同時に、高高度から墜落してきたと思われるSCP-1691-JP-Aが対象の目前の地面へ叩き付けられ死亡した。 | 当該高校では2年前に、女生徒が投身自殺する事件が発生しており、対象は女生徒とクラスメイトであった。これ以上の事実は判明していない。 |
20██/██/██ | D-9643 | 対象は、Dクラス寮食堂で他Dクラス職員と会話しながら食事を行っていた。対象が料理を凡そ半分程を食べた所で、突如料理は開腹され死亡した状態のSCP-1691-JP-Aへと置換された。対象の吐瀉物の調査と内視鏡による消化管調査を実施した所、対象の胃の内容物もSCP-1691-JP-A組織へと置換されている事が判明した。 | D-9643は3件の女児殺害事件から死刑判決を受け、財団に徴発されている。 |
20██/██/██ | SCP-1691-JP-A | SCP-1691-JP-A収容保管室でセンサーが動体を検知し、侵入者、または収容違反の可能性から機動部隊が急行した。部隊は、保管されていたSCP-1691-JP-Aの遺体が全て収容ケースを破り、室内で互いに絡み合った状態でもがいているのを発見したが、間も無くその動きは停止したと報告した。事後調査から、全てのSCP-1691-JP-Aは他のSCP-1691-JP-Aによって強く首を絞められた状態にあり、その異常性を喪失している事が判明した。 | 不明。本事案以降新たなSCP-1691-JPイベントの発生は発見されておらず、事案の5年後SCP-1691-JPの無力化が認定された。 |