クレジット
SCP-1689-JP
アイテム番号: SCP-1689-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1689-JPの収容は、その自然消滅性および膨大な質量により無期限に見送られています。
SCP-1689-JPの出現が観測された場合、付近74.08km(40海里)圏内を飛行する航空機は、直近の航空管制設備を有する財団施設によって監視されます。航空機の針路からSCP-1689-JPとの接触が予想される場合、カバーストーリー「乱気流の発生」または「非公開軍事演習」を適用し、当該機を安全圏へ誘導してください。
SCP-1689-JPへの着陸・接触は、サンプル採取の目的に限り許可されます。SCP-1689-JP研究チームには、SCP-1689-JPに対するレベルV精密観測が許可されています。観測により得られた出現-消滅プロセスに関する全データは、研究主任の許可を受けた全職員に対して開示され、精査されるようにしてください。
説明: SCP-1689-JPは、後述する異常性を保持した積乱雲です。通常の積乱雲と同様、SCP-1689-JPは不定な地域の上空に、主に夏季の晴天時など、気温の高い気象条件下で出現します。外見上の異常性は保持しておらず、周囲に与える影響も通常の積乱雲と相違ありません。
SCP-1689-JPの異常性は、通常の雲と同様のふるまいを見せるにも関わらず、その全てが密度の高い氷粒と脂質の混合物から構成されていることです。この混合物には多量の糖分が含まれており、一般的なソフトクリームと同一であることが確認されています。これらの膨大な密度/質量から予想される物理的振る舞いに反し、SCP-1689-JPは常に未知の力により浮遊し、落下や溶解等の事象を経ることなく、安定的に大気中に滞留します。一方、接触および採取は問題なく行うことができ、SCP-1689-JPを通常のソフトクリームと同様に摂食することが可能です。
SCP-1689-JPの出現は不定期かつ突発的です。典型的には、SCP-1689-JPは通常の積乱雲の発生圏である高度5~16kmより上空、高度30km程度の領域に突如出現します。出現後、SCP-1689-JPは地上に向け降下し、通常の積乱雲の発生圏にて押し付けられるような形で静止します。この出現は、当該地域の気温が高いほど発生しやすい傾向が確認されています。
SCP-1689-JPには自然消滅性があり、出現からおよそ30分以内に自発的に消滅します。消滅過程は[編集済み]。この性質により、SCP-1689-JPの存在は容易に秘匿可能です。
補遺: 以下には未確定な情報・仮説が含まれています。これらは研究途上のため、閲覧はSCP-1689-JP研究チーム所属者または3/1689-JPクリアランス保有者に限られます。
SCP-1689-JP研究チーム各位へ
先程、SCP-1689-JPのKeter格上げ申請を受け取りました。これで3度目です。結論から述べますが、現状、これを受理するつもりはありません。
私達は科学者集団です。『99の疑わしきは、1つの事実にもなりえない』。観測・精査・立証。このプロセスを念頭に、引き続き職務に励むようお願い致します。
2019年06月30日 サイト-8129 ██管理官
SCP-1689-JPの消滅プロセスは現在、完全には解明されていません。SCP-1689-JPの膨大な質量がどこに転移しているのか、余剰次元・現実改変・時間異常など様々な面から検証されていますが、依然として行き先は判明していません。
SCP-1689-JPの消滅プロセスは、SCP-1689-JPの出現から5分以内に、頂点を起点として発生します。消滅は段階的であり、上部から順に、ある程度の体積ごとに消滅していきます。この様子は担当職員から"食べられているようだ"と評されていますが、事実関係は不明です。
現在、SCP-1689-JP研究チームでは上記事実を踏まえ、「不可視の捕食者が消滅プロセスの主体である」という仮説が提唱されています。この仮説は、"加工された食品には対応する摂食者がいる"という一般的推論に基づくものです。この仮定上の捕食者を、SCP-1689-JP-PR (Predators)と仮称します。ただし、SCP-1689-JP-PRの存在する証拠は、あらゆる観測データにおいて検出されていません。
またSCP-1689-JPの出現中、近傍の空間にて微弱なラジオ波を傍受した事例が確認されています。この未知のラジオ波は便宜上、SCP-1689-JP-RW (Radio Waves)と仮称されています。
SCP-1689-JP-RWをこれまでに傍受できた例は合計3件と少なく、SCP-1689-JP出現中においても観測されない例が多数を占めます。SCP-1689-JP、ならびにSCP-1689-JP-PRとの関連性は不明であり、精密観測機器による探知の試みと、少数の採取済みデータの解析が進められています。
以下は、音声として復元されたSCP-1689-JP-RW全データの転写です。言語は現代日本語と断定されましたが、発信源は特定されませんでした。
(男性の声)いつも[空電]アイスばっか[空電]太るよ?
(女性の声)[溜息]また残してる。次こそ食べきってね。
(子どもの声)いいなぁ、わたしにもちょうだい。アイス添え青玉。
SCP-1689-JP-PRの存在の証明、または非存在の証明が急がれています。