クレジット
アイテム番号: SCP-1674-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1674-JPの近隣に住む人物には記憶処理措置が施され、アクセス経路となる███████事務所は財団フロント企業の管理下に置かれ、カバーストーリー「老朽化」を理由に封鎖されます。
SCP-1674-JP内部の更なる探索計画は不用意な人員の損失を避けるため凍結されていますが、発見経緯から未知の異常性の存在が推測される事から当該アノマリーの観測は継続されます。
説明: SCP-1674-JPは東京都██区に存在する███████事務所の1階にのみ設置されているエレベーター機構です。
███████事務所は3階建ての構造を持つにも関わらず、1階と2階を繋ぐ階段が存在していません。これは建設に携わった████社の建築データには見られない構造である事から、建築後に撤去された物と推測されます。2階と3階は長らく放置されていた形跡以外に特筆すべき点は見られないものの、1階では常に上階が発生源と思われる腐敗臭が漂っています。なお、███████事務所の運営者は建築の開始と同じ時期から同様の名義で恵比寿町の賃貸物件を利用しており、この建造物の存在を認知していませんでした。
SCP-1674-JPに取り付けられている階層ボタンは4階、6階であり、その他の階層に停まることはありません。例外として、SCP-1674-JPは一定時間作動しない状態が続くと自動的に1階へと降下します。SCP-1674-JPの4階または6階のボタンを押すと扉が閉まり、数秒間の上昇の後、存在しない階層(以下、SCP-1674-JPを介してのみ到達可能な階層をSCP-1674-JP-F"対応する階層の数字"と表記)へと到着します。SCP-1674-JP-F群は共通して███████事務所と同様の面積を有しており、壁面の破壊の試みは実行者、あるいは使用道具が1階へと転移する形で失敗します。
SCP-1674-JP-F4とSCP-1674-JP-F6の構造は一般的なカラオケ店と酷似しており、カウンター、ドリンクバー、音響設備、モニター等が備え付けられています。これらの設備は外部からの電力供給を受けていないにも関わらず自律的に稼働しています。廊下には計8つのスピーカーが設置されており、最新の流行曲が繰り返し再生されています。しかしながら、音源には見られない僅かな音程のズレやポップスクリーンに物が触れる事で発生するノイズ、明らかに不自然なタイミングでの息継ぎ等細かな差異が散見されます。
SCP-1674-JP-F4階とSCP-1674-JP-F6には計26個の個室が存在しています。内部に繋がる扉は一つを除いて開閉不可能となっているものの、扉の中心にはめ込まれたすりガラスから個室内の大まかな状態を観察する事が可能です。ほとんどの個室は内部の照明が消灯しており特筆すべき異常は見られませんが、点灯している以下の部屋では様々な異常現象が確認されています。
部屋番号: 3
発生している事象: 扉の表面はほのかに温かく、隙間からはハニートーストを連想させる甘い匂いが漂っています。この匂いを感じた人物は48時間にわたって軽度の吐き気、嗅覚不全を訴えています。
部屋番号: 7
発生している事象: 扉下部の隙間からは吐瀉物が絶え間なく流れ出ています。吐瀉物には主にピザ、ポテトフライ、たこ焼き等の咀嚼された食品が混在しており、水分量が極端に少ないために半固形状態となっています。これらの吐瀉物は不自然に床を伝いトイレの排水溝へと流れ、外部へと排出される過程で不明な要因により消失しています。
部屋番号: 13
発生している事象: 人影と思わしき複数のシルエットが活動する様子が確認できるが、他の個室と比べ内部の光量が強く、観察は困難です。時折、シルエット像が蜃気楼のようにぼやけ一名のシルエットに混ざるように重なる様子が見られます。
部屋番号: 15
発生している事象: 平均して1時間に4回程、個室内部側の扉のすりガラス部分にコップ7杯程の液体が浴びせられています。極稀に、流れ落ちる液体に炭酸飲料のものと思わしき気泡が確認されます。扉下部から液体が漏れ出る様子は観察されません。
部屋番号: 21
発生している事象: 内部からは常時ハウリングによって発生するノイズ音が漏れ出ています。このノイズ音声を聞いた人物の一部は約2ヶ月間に渡って音楽や歌声を知覚した際、音源と重なるようなノイズ音を経験しています。
部屋番号: 24
発生している事象: 直接的に視認している観察者が存在する場合、すりガラスの奥に観察者と酷似した外見的特徴を有するシルエットが映し出されます。シルエットは扉を激しく叩く、手を合わせて祈る等の動きを見せるものの、扉への物理的な負荷は見られません。
部屋番号: 25
発生している事象: 内部には性別不明の1名の人物が常駐しており、アカペラでの歌唱、あるいは楽器の演奏が行われています。演奏される曲は流行中の物であり、音程には一切のズレが見られません。しかしながらこの演奏を聴いた人物は共通して「人間味が感じられない」「長時間聴いていたくない」と証言しており、その後不定期に自身の意思と身体の動きが一致しない不安感を訴えています。この症状は記憶処理療法の他に、アルコール飲料の摂取でも回復する事が判明しています。
部屋番号: 26
発生している事象: 後述。
SCP-1674-JP-F4とSCP-1674-JP-F6からは階段によって5階に当たる空間への移動が可能です。しかしながらSCP-1674-JP-F5は発見当初内部空間のほとんどがコンクリートが敷き詰められた状態で発見されており、この時点で階段を用いたSCP-1674-JP-F4とSCP-1674-JP-F6間の移動は不可能でした。現在コンクリートは調査の一環で解体されており、内部からは机、コピー機、観葉植物等の物品が回収されました。これらの物品は全て長年使用され続けた形跡が見られ、何らかの要因で破損した状態で発見されています。
SCP-1674-JP-F4に存在する部屋番号26は唯一扉の開閉が可能であり、内部には生物の体内を想起させる肉壁で覆われています。肉壁からは常に消化液が分泌されており、生身での侵入は不可能です。無機物を内部に入れた場合、床にめり込むようにして徐々に沈んで行き、3階に当たる空間へと出ます。
SCP-1674-JP-F3は部屋番号26を拡張したような空間であり、カメラからの映像からは軟組織が完全に失われた、計68名のヒトの骨格の存在が確認されています。SCP-1674-JP-F3には一部床面に肉が爛れたような区間があり、衝撃を加え崩壊させる事で2階に当たる空間への移動が可能です。
SCP-1674-JP-F2は1階と酷似した内装の空間で、コンデンサーマイクやICレコーダーといった録音機器やギター、ピアノ、フルートといった楽器群が雑多に置かれています。SCP-1674-JP-F2全体からは多量のホコリや虫の発生など長らく放置されている形跡が見られますが、楽器自体は定期的なメンテナンスが行われているような様子であり、常に演奏が可能な状態を維持しています。
SCP-1674-JP-F2内部の床面に衝撃を与えると、███████事務所1階の天井から対応する位置に対応した規模の衝撃が確認されます。このような現象は2階の床面を始めとした他の階層では見られませんでした。SCP-1674-JP-F2の隅にはSCP-1674-JP-F5と同様にコンクリートで埋め立てられた窪みが存在しますが、これを撤去する試みは壁面の破壊と同じ要因により成功していません。
発見経緯: SCP-1674-JPは周囲の住民による「不定期で行われるコンサートの音がうるさい」との通報が近隣を調査していた財団エージェントの目に止まり発見されました。特筆すべき点として、調査を行った財団職員からは誰一人としてSCP-1674-JPから発せられたいかなる音の報告も上がっておらず、長期間に渡って聞いてきたと主張する周辺区域の人物からの報告も調査が開始されて3日目を境に途絶えています。
発見経緯となった発生源不明の音について、記憶処理措置の直前に行われたインタビュー調査では通報内容に加え「統一感のない不規則な演奏だった」「決して上手くはないが、個々の演奏はどこか印象に残っている」といった旨の証言が共通して確認されました。インタビュー内容の詳細については補足文書: SCP-1674-JP初期調査報告から閲覧が可能です。