アイテム番号: SCP-1650
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1650はサイト-19の高価値物品棟にある標準アーティファクト収容室に保管されます。敵対的要注意団体がSCP-1650の取得に特別な関心を示しているため、警備方法の詳細はイプシロン-168防衛/秘匿手順に従ってください。いかなるSCP-1650-1実体を利用する場合でも、プロジェクト監督官のダンソン博士の承認を受けなければなりません。
説明: SCP-1650は陶土製の油壺で、ハスモン朝時代(およそ紀元前170年)に製作されたものと推定されています。SCP-1650の底部にはヘブライ語の刻印がありますが、これは対象の古さによりひどく摩耗しています。
ויאמר ה' ל— סח השמן על בשרך ולך בינות ה— כששם אלוהים על שפתיך, וזעם ה' וחרון אפו ו— דם המכבים יטהר בית מקדשו אחריך, לנצח נצחים
上向きに置かれている間、SCP-1650は空であるように見えます。しかし、特定の角度に傾けて30秒保持すると、様々な種類の油(SCP-1650-1と指定)が溢れ出します。
- 45°(SCP-1650-1-A): バージンオリーブオイル。紀元前2世紀にユダヤで栽培されていたオリーブの品種と製造手法に一致。
- 50°(SCP-1650-1-B): 45°の場合と同一。SCP-1650-1-Bの外見は(香り、肌理、味、分子構造から見て)SCP-1650-1-Aと同一ですが、摂取すると吐き気、腹痛、嘔吐が表れ、続いて不整脈、振戦、痙攣を起こします。被験者の87%は死亡、12%は脳機能の後遺症を負いましたが、1%の被験者は影響を受けませんでした。剖検では重度のオレアンドリン中毒が死因であると判明しましたが、摂取前の油にオレアンドリンやその原料であるセイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)の痕跡はありませんでした。
- 65°(SCP-1650-1-C): 透明な未知の油。SCP-1650-1-Cは燃料または光源として用いた場合に限り異常性を示します。このように用いた場合、SCP-1650-1-Cは24から63時間燃え続けます。この燃焼プロセスは熱を発生させず、酸素が不要です。
- 90°(SCP-1650-1-D): 赤い未知の油。無機物に塗布した場合、SCP-1650-1-Dは保存剤(例として、金属に塗布すると錆を防止する)として機能します。生命のある有機体に塗布すると、SCP-1650-1-Dは軽度の腐食性を示します。生命のない有機体に対してはいかなる作用も示さないため、これを用いて安全に他の材料に塗布することができます。SCP-1650-1-Dの血液への作用は注目すべきです。SCP-1650-1-Dは接触したいかなる血液の痕跡も(油10ccに対し血液500ccの割合で)消し去るようです。このため、SCP-1650-1-Dを大量に摂取または注射した場合、急速な失血によりすぐに死亡することになります。無機物に塗布されなかった場合、SCP-1650-1-DはSCP-1650から流出して30秒以内に異常特性を喪失します。SCP-1650-1-Dの実験では、Helichrysum sanguineumの花の痕跡が発見されています。
SCP-1650は各種の油を一度におよそ2リットル生成することが可能で、これは上向きの状態で28時間静置すると再補充されます。
マーシャル・カーター&ダーク株式会社の███ ████のオフィスに配置されたエージェント████が、MC&Dと「境界線イニシアチブ」を名乗る団体の間で取引が行われることを報告したことが、財団がSCP-1650に気付くきっかけとなりました。この団体に関する財団の知識は限られていますが、複数の主要な宗教が密かにこの組織を支援していることが判明しました。エージェント████は取引現場の特定に成功し、機動部隊アルファ-12("間抜け")がこれを妨害して関係者を勾留するために派遣されました。到着後、機動部隊アルファ-12は問題なく全ての関係者を拘束しました。HIが購入しようとしていた物品であるSCP-1650は回収されました。
補遺SCP-1650-A: 次の尋問記録は█████ ████████神父を自称する、捕獲された境界線イニシアチブの構成員に対するものです。
回答者: █████ ████████
質問者: エージェント ██████
序: █████ ████████はSCP-1650の回収後にサイト-██に移送された。到着後、彼は財団とHIの「双方に有益な協定」について話し合うことを求めた。エージェント██████は情報を得るため、█████ ████████の言葉に対して慎重に対応するように指示された。
<記録開始>エージェント██████: 我々と話し合いたいことがあるそうですが。
█████ ████████: そうだ。私は境界線イニシアチブが提案する条項について議論したい。
エージェント██████: 条項?
█████ ████████: 私の上司は、財団の工作員に取引が妨害されるという不測の事態に備えて私を準備し、条項のリストを渡した。これを受け入れるなら、私はイニシアチブに代わって、将来において全面的な協力がなされることを約束しよう。
エージェント██████: 条項はどのようなものですか?
█████ ████████: まず第一に、あなた方が没収した聖遺物をイニシアチブに返還することが必要だ。我々は危険な現象を収容しようというあなた方の試みを尊重するが、この遺物をあなた方の手の内に置いておくわけにはいかない。これは聖なるオブジェクトで、礼拝所自体の洗浄剤であり供給源なのだ。次に、既にイニシアチブが所有する次の聖遺物を財団が求めないことを望む。[編集済]。これと共に、次の異端的、悪魔的なオブジェクトを直ちに破壊することも望む。[編集済]。これと引き換えに、イニシアチブは全ての資源と、将来の発見に関する全ての情報を財団と共有し、神の素晴らしき地球の破壊を企む異端者共との戦いを支援する用意がある。
エージェント██████: 神父さん、あなたがどれほど我々のことを理解しているかは正確には分かりませんが、私はこれらの条項には極めて問題があるとお伝えできます。
█████ ████████: すまない。条項の内容については交渉不可能だ。このような協定に利益があることは分かるだろう?イニシアチブと財団は敵対する必要はない。つまるところ、我々が目指す場所は同じなのだ。我々は共に、人類が彼方より来る邪悪から守られることを願っている。あなた方は人類の肉体を保護しようとしている。それは称賛されるべきだが、その魂を無視している!頼む。我々を支援してくれ。
エージェント██████: おわかりでしょうが、私も上司と話し合う必要があります。しばらく時間がかかるかもしれません。
█████ ████████: 私は即時の返答のみを受け入れるように言われた。私の上司はあなた方を信頼していない。
エージェント██████: このようなことには時間がかかるものなのですよ。あなたは多くを求め過ぎです。
█████ ████████: [怒って]彼らはそう言った!彼らはこうなるだろうと私に言ったのだ!ただ期待だけを持たせておいて満足させようとすると!こうはならないと思っていたことを認めよう。あなた方はもっとましな存在だと思っていた!おそらく知っておくべきだった。あなた方はおそらく、私が思っていたような存在ではなかったのだ。[自分自身に]信念を貫くのだ、█████。
エージェント██████: 分かってください。あなたの言葉は不合理ですよ。
█████ ████████: こうなってしまって残念だが、私の信念と使命は明確だ。我々の条項を拒否するということは、あなた方は堕落しすぎてしまっているということだ。この場合、語るべき言葉はもはや1つしかない。士師記16章30節。
<記録終了>
結: この時点で█████ ████████は自爆装置を作動させたようで、彼自身とエージェント████████は死亡し、取調室は大きな損傷を受けた。█████ ████████の残骸から、事前スクリーニングで発見できなかった未知の爆発物と音声命令システムの痕跡が発見された。この事件から、█████ ████████が言及したオブジェクトの警備手段は更新された。