SCP-1622
評価: +10

クレジット

ソース: SCP-1622
メタタイトル: お高いお味のチーズ
著者: Bryx Bryx
作成年: 2014

評価: +10
評価: +10

アイテム番号: SCP-1622

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本稿執筆現在、7kgのSCP-1622が、外見上は日光取り込み型の木造パントリーに似せたサイト-██冷蔵保管チャンバーに収容されています。SCP-1622は単独で棚に置かなければいけません ― 同じチャンバー内にある他の棚には、様々な量のプール、ゴールド・スティルトン、カチョカバロ・ポドリコ銘柄のチーズを乗せておきます。どの程度の量であれ、SCP-1622のチャンバーから他銘柄のチーズを取り出すことは許可されません。実験前後の輸送は、金メッキを施した純銀の大皿に同じ素材のカバーを添えて、Dクラス職員のみが担当します。実験そのものは、ミシュランで三ツ星評価を得ているレストランに似せた指定の部屋で行われます。

全てのBalaenoptera musculusの回遊ルートは、異常な活動が見られないかを監視します。Balaenoptera musculusの搾乳を試みる人物はその目的を尋問し、クラスB記憶処理を施します。

説明: SCP-1622はBalaenoptera musculus(一般にシロナガスクジラとして知られる生物)の乳から作られた半硬質チーズです。色は白く、滑らかで、僅かにきめの粗い質感を有します。Dクラス職員を用いた味覚検査によって、SCP-1622は普遍的に美味であり、あらゆる主要な風味の料理を補完するものとして知覚されることが明らかになりました。実験に携わった全ての被験者はSCP-1622の風味を"美味しい"、"完璧だ"などと評しましたが、その正確な味をしっかりと定義することは出来ませんでした。実験でSCP-1622の化学構造には異常がないことが明らかにされており、現時点では製造工程こそが異常効果の源だと考えられています。収容下に█年間置かれていますが、SCP-1622は腐敗を示していません。

SCP-1622の異常効果は、風味を別とすれば、その保管・調理・消費の方法を中心とするものであり、SCP-1622を含有する/SCP-1622で構成される食事の準備に使われた総額が97,250米ドルを上回る場合は発現しません。この"総額"には食材の平均コスト、対象料理が提供される環境内の全ての調度品、調理と消費に使用される道具、SCP-1622が使用された料理の平均レストラン価格が含まれています。このようにしてSCP-1622を摂取した被験者は、他銘柄のチーズに対する強い嫌悪感を除いて、異常な行動を示しません。この反応はSCP-1622の優れた風味が原因と考えられており、異常とは見做されません。

SCP-1622の異常な効果は、97,250米ドルよりも安い価格で準備が行われた際に発現します。SCP-1622を一口消費した時点で、被験者はあたかも頬を平手で叩かれたかのような反応を示します。これにも拘らず、殆どの被験者は料理を食べ続けます。この最初の一撃の後、被験者は知性の著しい低下、自己意識の減退、言語能力障害、社会規範への無理解を示します。この効果の強さは準備に使われた総額に反比例します。最初の一撃以降の消費量は、効果の強さを増大させることはありません。

補遺1622-1: 回収ログ

████/██/██、アメリカ合衆国北東部にある一部の町の住民が非常に奇妙な行動をしているという幾つかの通報が、標準データ走査を通して財団の注目を集めました。尋問の結果、全ての影響された民間人は当該地域にある幾つかのレストランで食事をしていたことが判明しました。地域内の捜索により、言及された全てのレストランと、その他にも3つの店舗からSCP-1622の在庫が発見されました。SCP-1622の効果を引き起こす現在の費用上限は、SCP-1622を消費した全民間人の購入記録、ならびにレストランの家具の総費用から推定されたものです。レストランの経営者たちは、█████フーズ社から試験的調査の一環としてSCP-1622を受け取ったと主張しました。クラスA記憶処理が行われ、水銀中毒に関するカバーストーリーが広められました。

下記の全ての試験は、別段の記載がない限り、収容プロトコルに従って家具調度が整えられた実験室で行われています。家具の総費用は56,280米ドルです。

対象: D-1622-1
実験手順: SCP-1622はフルーツタルトとして焼かれた。特筆すべき材料としては、最高級の夕張メロンと食用金箔。アンティークチャイナの皿に金メッキ銀製食器を添えて提供。
総額: 98,623.85米ドル
結果: 対象はタルトを"今まで食べた中で一番美味しいもの"だと語った。SCP-1622の正確な風味を説明するように指示された対象は、"美味しい"以上のことを詳述できなかった。より多くSCP-1622を食べることへの欲求を表明すると共に、提供された他のチーズを拒絶した。これ以外の影響は観察されていない。
注記: この実験結果を対象例として、料理のコストをゆっくりと下げていきました。 ― ライアン研究員

対象: D-1622-1
実験手順: 前回実験と同一のレシピ。汎用のセラミック皿にステンレス製の食器を添えて提供。
総額: 95,175.95米ドル
結果: 対象は最初の一口目で呻き声を上げ、質問を受けると、一瞬だけ軽く頬を叩かれる感覚があったと語った。頬を叩いた手について説明するように指示された対象は、問題の手は細く、柔らかい素材の手袋を付けていたと述べた。タルトについては"前回と同じぐらい美味い"と証言。その後、対象は実験室の空気は"息が詰まりそうだ"と述べると、椅子から立ち上がって部屋を出ようと試み、入口に詰めていた警備員から拘束されると驚きを表明した。実験前に行われたIQテストの平均値は125だったが、食事後のテストでは平均値111だった。

[過剰なログを編集で除去]

対象: D-1622-22
実験手順: 一切れのSCP-1622がチーズバーガーに使用された。肉とバンズはどちらもスーパーマーケット製品。汎用のセラミック皿で提供。
総額: 56,296.99米ドル
結果: 最初の一口目で、対象の頭部は、椅子を転倒させるのに十分な勢いを伴いつつ片側に張り倒された。対象は床の上でチーズバーガーを食べ続けた。その後、対象はシャツを脱ぎ捨ててバーガーが乗っていた皿を舐め始め、強制的に拘束して実験室から退去させる必要が生じた。その後のIQテスト結果は54点まで低下しており、インタビューにおいて、対象は名詞や動詞ではない言葉を使うのに非常な困難を伴った。

[過剰なログを編集で除去]

対象: D-1622-47
実験手順: 対象は冷蔵室内のSCP-1622を素手で一掴み分だけ千切り、廊下で食べることを許可された。
総額: 95米ドル (廊下の照明とタイル込み)
結果: 消費に際し、対象は不可視の力で宙に浮きあがり、背中から廊下に叩き付けられた。死亡を確認。死因は顔面に対する極度の鈍的外傷であると断定された。被験者には顕著に目立つ太い眉、背骨の湾曲、腕部および胸部における筋肉量の増大といった生理学的な変化が見られた。

Footnotes
. SCP-1622が料理の平均レストラン価格をどのように断定しているのかは不明ですが、これまでのところ、財団の見積もりとは一致しています。SCP-1622がSCP-759と類似した原理によって周辺環境からこれらの情報を取得しているとの仮説が立てられ、検証が進められています。
. █████フーズは如何なる試験調査の知識も有していません。
ページリビジョン: 4, 最終更新: 07 Oct 2022 16:18
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