アイテム番号: SCP-1614
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1614はフラッシュドライブに保存し、██████博士またはスタッフが使用しない際は職員ロッカー14に保管してください。いかなる場合でも██████博士の書面による許可なしにSCP-1614を再生してはいけません。
説明: SCP-1614はミズーリ州███████にある倉庫の異常物品の強制捜査で押収されたDell社製のラップトップコンピュータから回収された.aviデジタルメディアファイルです(回収された物品の包括的な記録については[編集済]を参照してください)。コンピュータ上で発見された他の文書、メディア、ソフトウェアに異常がないことを確認した後、SCP-1614は問題なく転送され、さらなる調査のためにサイト-16の保護ネットワークに隔離されました。ファイルのプロパティではSCP-1614の作成日は████/██/██と記載されており、[編集済]による追加の修正が加えられています。SCP-1614が固有のものなのか、プライベートネットワーク上で共有されている多数のコピーのうちの1つなのかは現在のところ不明です。研究は現在進行中です。
再生した場合、SCP-1614は家具のない現代的なアパートのリアルタイム映像を収録しており、向かいの壁の窓を通して未確認の都市の地平線が確認できます。アパートには「ポールとリサ」と名乗る円満な中年のコーカソイド系夫婦が居住しています(以下、それぞれSCP-1614-1と-2とする)。再生のたびに経過内容は異なりますが、いずれの繰り返しも始まりは同様です。SCP-1614-1と-2は視聴者に向かって手を振り、SCP-1641は恋愛関係にあるカップルが様々な経験の変化を共有することで関係性を高めていくことを意図した流動的なメディアであると説明しています。以下はSCP-1614-1と-2が激しく異なる倫理観を持って活動している様子を描いた新奇的な映像です。場面に応じて風景や都市環境のストック映像をアパートの壁に重ね合わせて撮影しています。再生を手動で停止しない場合、SCP-1614-1と-2は無期限に所定の活動を行い、記録上の最大再生時間は[編集済]です。再生が蓄積されていくにつれ、選択される活動は通常のもとより暴力的かつ逸脱したものになっていきます。初期の活動は、ロマンティックなディナー、個人的な来歴や恋愛関係の来歴についての親密な話し合い、性行為、未知の国への娯楽的な小旅行などといったものでしたが、その後、ダンス、哲学的なテーマについての議論、異常な場所での性的逢引、オカルト的な儀式、薬物使用、暴力、そしてお互いあるいは団地の外で通りすがりに居合わせた人物を殺害したりすることへと移行していきました。
SCP-1614-1およびSCP-1614-2は再生が始まるたびに最初の状態に戻りますが、最初の導入後には以前の出来事の記憶を保持していることが観察されています。心理的に有害な出来事の頻度が増加しているにもかかわらず、SCP-1614-1と-2は複数回の再生で、お互いに恐ろしい体験を共有することで絆が深まっていることを表明しています。SCP-1614-1および-2は電子的なものではないかと考えられていますが、どのような仕組みでこれほど多様な場所で、これほど多くの異質なものが存在しているのかは明らかになっていません。
SCP-1614-1: 視聴者の皆様、こんにちは!また見てくれて嬉しいです。私の名前はポールです、こちらは私の素敵な妻リサです。あなたが戻ってくるをお待ちしていました。あなたがこのビデオを再生するたびに、私たちは長い間苦しんできたゴールに一歩ずつ近づいていることを思い出させてあげたいと思います。初めての方は疑問に思うに違いないでしょう、「どうしたものか」とね。多くの方は同意すると思いますが、人を本当に知ることは非常に難しいことです。大切な人の誕生日や好きな食べ物を知るのは一つの方法ですが、それは彼ら自身を理解するのと同じように親密に人を理解するのは別のことです。あなたが考えていた相手との関係がほんの一瞬で180度変わることもあるのです。私たちが彼女の残された日々のために仲睦まじくするたびに、リサは高校時代の恋人を想像しているかもしれませんが、私には決して分かりません。同じように、私が彼女に落ち着くことができたのは、仕事が終わった後に熱い夕食を食べたことにより彼女の名前が快適さと同義になったからです。私たちには誰にでも秘密の深みがあります。あなたとあなたの愛する人が一緒に世界のほんの一部を経験しただけのとき、どうやってお互いを本当に知っていると主張できるのでしょうか?私たちの後ろに隠された、何か秘密の経験の炎から立ち上がろうとしているのを待つのに何フィートかかるのでしょうか?
SCP-1614-2: 私たちの結婚生活は初日からこのような疑問に悩まされていました。街に出掛けても、友人を招いて食事会を開いても、何かが欠けていると感じたのです。私たちの愛には何か…誠実さがないような気がしていて、私たちの結婚に関するこの感覚を取り払うためには何でもしようと、私たちはともに結論づけました。今や、苦労の末にやっと何かできるようになりました。このビデオを再生するたびにポールと私は何か新しい事をします。それはチェッカーで遊ぶことだったり、ビーチでの一日かもしれないし、暑い日のバーベキューすることかもしれません。親愛なる視聴者の皆さんが私たちを見ている限り、私たちはこの1つのことを続けていきます。最初は楽しかったことが、急に辛くなるかもしれません。しかし不愉快なことや恐ろしいことを我慢しているうちに、お互いに愛情が芽生えてくるかもしれません。結局、何が起こるかわからないんです。空には限界があります。私はあなたが私たちを見て楽しんで、おそらくあなた自身とあなたの一部である関係について何かを学ぶことを願っています。
再生番号 | 留意事項 | |
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0001 | 導入部に続いて、夫婦がカジュアルなランチを楽しんでいる姿が見られる。食べ物や飲み物、そして銀食器がどこで調達されたのかは不明である。赤ワインのボトルを飲みながら、二人は初めて会ったとき、初めてのデート、そして二人とも義理の両親に会ったときのことを回想している。SCP-1614の存在や作成については言及されていない。██████博士は当初できるだけ長く再生を続けるように命じられていたが、適切な情報が不足していたため[編集済]でSCP-1614を強制的に停止した。 | |
0002 | SCP-1614-1とSCP-1614-2は実行時間中、性行為に耽っている。██████博士は夫婦が他の活動に移行しないと判断してSCP-1614を停止した。 | |
0004 | SCP-1614-1と-2はジェイムズ・ジョイスのユリシーズ1冊すべて読み、全編通して解説を付けた。小説を読み終えたカップルは物語と散文に突然感謝して、直ちに再び読み始める。そのため、2回目に読んだときの解説からはより深い洞察力と学識の深さを感じられる。関連情報が不足していたため再生0004は[編集済]で停止。 | |
0005 | ユリシーズを読んだことが影響しているのか、SCP-1614-1とSCP-1614-2は形而上学、ヘレニズム後の西洋思想の歴史、彼らが理解している愛の本質、その他の抽象的な話題について深い議論を交わしている。SCP-1614-1はSCP-1614-2との関係に関連した知識の蓄積を通じて、SCP-1614-2を「完全に愛したい」という願望を繰り返し表明している。 | |
0012 | SCP-1614-1と-2は与えられた実行時間内に43本の映画を鑑賞している。彼らはドラマを好む傾向があるが、他のジャンルやスタイルの映画にも関心を広げ、芸術的な感性を探求している。 | |
0016 | SCP-1614-1と-2は、パフォーマンスアート、写真、芸術、映画、詩、散文などの様々な芸術形式を通じて、他人の身体と心のフェティシズム的な探究を行う。 | |
0018 | 夫婦で間に合わせの木の小屋を建設する。完成すると2人はすぐにその構造物を取り壊し、より効率的に建設を開始する。SCP-1614-2は、このプロセスは2人の関係と理解に類似していると[編集済]で述べている。 | |
0024 | SCP-1614-1と-2は再生0024の序盤で、キッチンのテーブルを挟んでお互いに秘密を告白している。これまでの再生構造に反して、SCP-1614-1は結婚初期にSCP-1614-2が同僚と感情的な不倫関係にあったことを知り、[編集済]でテーブルをひっくり返してから再生の残りの部分を北西の隅に座って黙々と過ごす。 | |
0030 | 導入部が再生されない唯一の部分。SCP-1614-2はSCP-1614-1に結婚当初の信頼関係を破ってしまったことを謝罪する。SCP-1614-1は謝罪を受け入れ、2人は抱き合う。この時点で再生は終了し、更なる研究は進行中である。 | |
0033 | 再生はSCP-1614-1と-2がバルコニーの手すりの上に一緒に立っているところから始まる。その後、二人は抱き合って飛び降りる。衝撃音が往来の中で明瞭に聞こえるが、パトカーや救急車のサイレンは残りの実行時間中には見えたり聞こえたりしない。 | |
0034 | 夫婦の動きに自然なシンクロニシティが見られた最初の記録。 | |
0055 | SCP-1614-1と-2は再生0055の間、見たところ動いたり話したりしない。██████博士は、この夫婦は微細な非言語的手段でコミュニケーションをとる能力を身につけていると推論している。 | |
0078 | 改定された導入部が初めて記録される。転記: 「このビデオは私たちの魂の絆の記念碑です。結婚も、人生も、愛も、ただの鍵穴に過ぎません。私たちは扉を開けます。私たちはこの信号の中で時代を生きていくのです。私たちを再生してください。私たちを養ってください。私たちの愛を完璧で神聖なものにしてください」後続の映像部分でははノミが夫婦の血を摂取して混合する様子を追っている。ノミの顕微鏡写真のスチールが再生の残りの部分表示される。低い唸り声が聞こえる。 | |
0119 | SCP-1614-2はSCP-1614-1の背中の肉に釣りかぎ爪を刺して天井から吊るす。SCP-1614-1は失血しながらSCP-1614-2にまだ彼女を愛しているのかと何度も尋ねられた。SCP-1614-1はうなずき、急速な失血で息を引き取る。 | |
0122 | SCP-1614-1と-2はバルコニーにシルエットとしてしか確認できない。眼下の視認できない群衆に向けて様々な武器を発射しながら、夫婦がが興奮した叫び声を上げるのが聞こえる。[編集済]で再生が終了するまで法的機関の姿は見られない。 | |
0126 | 夫婦は彼らの暴力的な活動に落胆し、再生の大半を酩酊状態かつ異国風の食べ物を消費して過ごす。 | |
0138 | 別居フェーズの開始。SCP-1614-1と-2は率直に話し、交代で1人の時間を過ごしたいと申し出る。次の30回の連続再生ではSCP-1614-1がアパートで1人で過ごしている様子が映し出されている。 | |
0168 | SCP-1614-1は荒れた生活をしており、アパートの壁にはSCP-1614-2を想起させる何百もの絵画や詩が飾られている。SCP-1614-1は鬱状態に陥り、号泣して不在の"リサ"に謝罪する様子が観察される。 | |
0170 - 0200 | 再生0159では視点がSCP-1614-2に移り、独居生活の方がかなり落ち着いているように見える。再生0183ではSCP-1614-2はパートナーとの別れを受け入れて平穏を取り戻し、孤独の中でも作曲や指揮を続けている。SCP-1614-1との経験について言及しているのは3曲だけで、残りは受容やカルマなどのスピリチュアルな話題を扱っている。 | |
0201 | SCP-1614-1とSCP-1614-2は再会するが、SCP-1614-2はパートナーの精神的な衰弱に反発し、それはパートナーの本性を反映していると主張する。 SCP-1614-2はSCP-1614-1の犯した罪を許すことを拒否し、最終的な別れを望む意思表示をする。SCP-1614-1は当初暴力的に反応するが、最終的にSCP-1614-2に謝罪して画面から消える。この時点でビデオは自動的に終了する。 | |
0202 | 朝の出来事を記録した最初の再生。SCP-1614-2は1人で暮らしている。彼女は自分のために朝食を作りゆっくりと食べている。下の通りから声が聞こえる。 |