SCP-1592
評価: +13

アイテム番号: SCP-1592

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1592のあらゆる放送は、一般による閲覧から隔離され、防がれなければなりません。隔離された放送はサイト-██のビデオアーカイブに保管されます。SCP-1592の効果により身体的に変化した市民は直ちに収容施設に移送され、この変化を目撃した者はクラスAの記憶処理がなされます。

SCP-1592の閲覧は最低でも3人のレベル3アクセスクリアランスをもつ人員によって許可されなければなりません。SCP-1592の視聴はDクラス職員に対してのみ許可されます。

説明: SCP-1592は精神および身体的異常をもたらす能力を発揮する、「楽園テレビ」とタイトルが付けられたテレビ番組です。SCP-1592はごく一般的な、聖書のメッセージを伝えるテレビ番組の形式をとっていますが、そうした番組にはそぐわない価値観や概念について取り上げています。SCP-1592の進行役はコーカソイド系の中年男性で、自らを「ハリス牧師」と称しています。SCP-1592は、1回15分間で複数回放送されており、今のところ放送回数が何回あるのかは不明ですが、すべての放送でハリス牧師がアームチェアに腰掛け、カメラに向かって説話を伝える形式をとっています。

SCP-1592の放送を1回視聴した人間は、これまでにどういった宗教や道徳的な志向を有していたかに関わらず、SCP-1592が取り上げている価値観や概念に興味を惹かれるようになります。SCP-1592を更に視聴した人間は、徐々にSCP-1592に固執するようになり、視聴を継続するため、社会的な義務を無視するようになります。影響を受けた人間は、しばしばSCP-1592の放送を録画し、複数回視聴することがあります。

SCP-1592の被影響者が20〜30回放送を視聴した段階から、身体的な変化が始まります。この変化は1、2週間ほどかけて行われます。被影響者がこの段階でSCP-1592の視聴を中止した場合、これらの変化は止まりますが、すでに生じた変化は残存し続けます。初期段階でみられる身体変化:

  • 身体の様々な箇所における感覚器官(眼、鼻等)の発生
  • 皮膚色素の急激な変色
  • 声帯の変化による、通常のヒトの言葉を発する能力の喪失
  • 四肢の延長ないし短縮
  • 身体の癒合(指や爪先等)
  • ヒトのものでない身体部分の形成(嘴、鋏等)

この身体的変化はしばしばヒト型でない形態への移行を伴い、また多くの場合移動する能力の喪失をもたらします。被影響者に意思疎通を試みても反応した例がなく、従って彼らがこの変化を感知しているかは判明していません。

インタビュアー: █████博士
被面談者: D-20122

序文: D-20122はインタビュー時点でSCP-1592の番組映像を22回視聴しています。左腕及び左脚の重度の延長が見られました。口の構造が変化したことによって、発話がいくらか困難になっています。

<インタビュー開始>

█████博士: こんにちは、D-20122。

D-20122: やあ、ドクター。今は...(不明瞭)...今は何時だったっけ?

█████博士: 6時5分ですが、それが何か?

D-20122: 何でもないよ。ただちょっと...そう、あの、い...いつもだったら実験の時間だなぁと思ってさ。知ってんだろ、どこでビデオを見てそれの(不明瞭)書くのかさ。放送の内容を記録するよ。

█████博士: もうしばらく辛抱できる筈です、D-20122。テープはどこにも行きませんよ。

D-20122: いや、そんな、(不明瞭)!今すぐビデオを見なきゃならないんだ、彼のおっしゃることを知るために!

█████博士: あなたがほんの少し落ち着きさえすれば、我々はインタビューを切り上げて実験を続行できます。あなたはご自分の身体的変化について、どのように感じていますか?

D-20122: えっと、始めは...始めは心配だったさ、だけどその変化はビデオでハリス牧師がおっしゃってた通りで、つまりかの御方の苦痛を俺らで分かち合ってるってことだろ?それでもやっぱり痛いんだけどさ、骨が変化した時とか。

█████博士: それなのに、どうしてハリス牧師の説法に強い関心を示すのですか?

D-20122: (不明瞭)そのことについては正直分かんないよ。その内容が正しいって事なんじゃないの?まあ、個人的には全面的に正しいと感じるけど。

█████博士: それならば、あなたはSCP-1592があなたに及ぼす効果について満足しているのですか?

D-20122: 大いにね。

<インタビュー終了>

最終陳述: このインタビューの一週間後、D-20122の身体は末期的な変化を始めました。

SCP-1592説話からの抜粋:

以下はSCP-1592の視聴が許可されたDクラス職員による、SCP-1592の放送の書き写し記録である。

今時の人々というのは、一体どうなっているのでしょうか?犠牲というものを理解せず、彼ら自身に注がれたあの御方の視線に気づきもしません。私は視聴者の皆様が犠牲を理解していることを望み、皆様がそうあられるように、毎晩あの御方に祈りを捧げております。皆様と、皆様の魂に幸あれ。もしも皆様がペットをお飼いでしたら、皆様のペットが犠牲を為すための役割を全うするでしょう。皆様は来たる日にあの御方の空腹を分かち合い、ペットは皆様にその身を捧げるのです。もしも皆様に犠牲にすべきもの、その身を捧げるものがおりませんでしたら ― わが子らよ、案ずるなかれ、案ずるなかれ。あの御方がお与え下さるでしょう!

信心篤き子、コロラド州のジェニーからメッセージが届いております。彼女はあの御方の福音を毎晩視聴し、甲羅が成長しています。ジェニーの言葉をお伝えしましょう。「ハリス牧師、時折私はあの御方が下さる苦痛に悲鳴をあげるのです。脚の感覚がありません」ジェニー、一言お伝えしましょう。貴方が感じている苦しみは、あの御方が暗闇の中、私達のため被っている苦しみなのです。貴方は信心篤き子です、ジェニー。それ故に、貴方はあの御方の御姿を写しとるに値するのです。この苦痛は単純なる犠牲であり、同じくあの御方も貴方のために御身を犠牲にしているのです。強くあるのですよ、ジェニー!

私は社会の灰の上に立ち、死した惑星の骨の上を歩んで参りました。皆様はそういったものをご覧になったことがありますでしょうか?あの御方は、既に皆様にこうした喜びはもたらされたのだと、満足しておられるのでしょうか?まだです。未だ為されていないのです。しかし、姿形は変わりつつあります。おそらく皆様は床の上をナメクジのごとく這いずり、(解読不能)のごとく体を引きずりまわっておられるのでしょう。いずれすぐに、あの御方は慈愛に満ちた視線を皆様に注がれます。篤き心は必ず報いられるのです。聖域において、皆様はあの御方の御姿にまみえるのです。あの御方は多くの顔と多くの開けた口を持ち、皆様を裁き、待ち望み、愛されながら見下ろしておいでなのです。それでは、お休みなさい。

ページリビジョン: 8, 最終更新: 29 Aug 2021 16:44
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