アイテム番号: SCP-1577
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1577-1は試験に使用されないとき、抜弾された状態で、標準収容ロッカーの中に封印されることになっています。本品に特別に割り当てられた財団職員にのみその利用が許可されます。職員には、試験の間回収された全ての試料に加え、SCP-1577-1の試験を全て記録することが要求されます。SCP-1577-1のさらなる事例が発見された場合、それらは個別のロッカーに収容されることになっています。
説明: SCP-1577は2つの物体、呼称SCP-1577-1およびSCP-1577-2を指します。SCP-1577-1は、信号銃(第二次世界大戦の少し前以来英空軍にて使用されているモデルのものと同一)です。オブジェクトには外見の年代に一致する目立たない摩耗と傷が見られます。しかしながらシリアルナンバーは完全にすり減っており、分析結果は意図的な努力の結果であると示しています。この物体は予想通りに作動し、適切なサイズ(25mm径)のあらゆる信号弾を発射することが可能です。SCP-1577-1の特性は発砲時に明らかになります。SCP-1577-1から発射されたどんな信号弾も、より明るくはるかに激しく、予測よりも長く燃え続けます。さらにSCP-1577-1は、装填した弾丸の状態にかかわらず、あらゆる状況で確実に発砲することができます。
SCP-1577-1が照明弾を発射してからちょうど1時間後、アブロ685ヨーク輸送機(SCP-1577-2)が、発射された地点から60km東の高度8,250mに出現し、650km/hで発砲位置へと移動します。この速度は本機の記録上の最高速度よりおよそ200km/h速く、高度は既知の運用上最大高度をおよそ1000m上回ります。
SCP-1577-2が出現あるいは消失する地点のどちらにも、直接かつ明確な空間的変異はありません。しかしながら、予測された進入および離脱地点の付近に設置された計測器具は、SCP-1577-2が両地点に到達するとき、隣接区域の周辺温度が摂氏2〜3度低下することを示しました。有形化に際して、SCP-1577-2は、エンジンを含め霜でほぼ完全に覆われているように見えます。この着氷はしかし、航空機の性能に全く影響を与えているように見えません。また、SCP-1577-2の出現から3分後までにその大部分は溶解、あるいは落下しました。この氷を形成する水の分析では、その異常な特性は解明できません。
SCP-1577-2はSCP-1577-1が発砲された位置に移動し、パラシュートを取り付けられた補給用クレート一つからなる空中投下を行います。空中投下を行ったあと、SCP-1577-2は消失する前に信号弾の地点から西へ60kmの地点まで移動します。その飛行速度により、SCP-1577-2はおよそ10分の間しか発見できません。
×ばつ1mで、主に木材とそれを留める鉄釘で構成されます。クレートとパラシュートの分析では、特に異常な特性は発見されませんでした。クレートの表面にある刻印には、クレートに何がどれくらいの量収められているかが示されています。補給用クレートに物資が満載されることは滅多にありません。物資はすべての場合で異なりましたが、明らかに軍事利用を目的とするものです。クレートの中身はその本来の有用性を妨げる予想外の特徴を示すか、あるいは完全に危険なものです。詳細は試験記録を参照してください。
内容: 100個の「Bメニュー」MRE。
概要: ソーセージ、マッシュポテト、豆およびチョコバーを含む簡易非常食。うち一つを開封したところ、内容物は未調理であると判明しました。ラベルには、このMREは現代のもの同様に加水式加熱剤により調理されていると表示されていました。
補注: 化学的加熱処理は過剰な温度で燃焼するもので、結果食品は焦げて食べられなくなり、ある試験では小規模な化学火災が発生しました。
内容: 100瓶の浄水タブレット、各50粒入り
概要: タブレットは現代のものと同様の成分であると思われます。
補注: これらのタブレットで処理した水は高濃度の塩を含むことが判明しました。人間の飲用には全く適しません。
内容: 30着の「寒夜」レインコート
概要: フードのついたポンチョ型のナイロン製レインコート。
補注: 意外なほどの浸透性があり、着用者をまともに寒さや雨から守ることができませんでした。
内容: 10挺の"ランチェスター・スペシャル"短機関銃と、7.62mm弾を各32発装弾するボックスマガジン50個。
概要: ×ばつ19mmパラベラム弾仕様だけが存在しました。
補注: (大型化した)弾薬によって増加した薬室内圧力に対するコンポーネントの強化が不十分であるため、この武器は、射撃停止、機能不全および破壊的な動作不良の傾向を示しました。
内容: 50個の飲料用水筒
概要: 1.5クォートの水を貯えることができます。容器の断熱性は乏しく、水漏れしがちです。
補注: クレートの横にホチキス留めされた、手書きのメモが見つかりました。「周波数███.███ mHz。コールサイン イカルス・ウィング。交信されたし」報告については、SCP-1577-2無線交信記録を参照してください。
SCP-1577-2 無線交信記録
7/13/20██、SCP-1577-1を発砲した1時間後より開始
<記録開始>
ライオネル ███████博士: イカルス・ウィング、イカルス・ウィングどうぞ、こちらスキッピング・ストーン23、身分を明かせ。
イカルス・ウィング: おう、こんちは、ごきげんよう!しょっちゅう補給をせがんでる奴はあんたか。声が聞けてとっても嬉しいぜ。
ライオネル ███████博士: 直ちに身分を明かせ。さもなくば強制着陸させる。
イカルス・ウィング: 俺はただの生意気な貧民だよ。英空軍軍曹ノーウッド██████、認識番号█████。あんたの方こそ名乗りなよ、旦那?
ライオネル ███████博士: 細かくは明かせない、機密なのだ。私のことはライオネル博士と呼べ。
イカルス・ウィング: なら俺のことはノーウッドって呼びな、ライオネル博士。階級と認識番号なんてどうでもいいさ。なんだってあんたはしこたま物資を欲しがるんだ?俺が二回以上同じとこに来るなんて滅多にないことだぜ、おい。
ライオネル ███████博士: 我々は方法を解明しようとしている。これはどのような仕組みなのだ。
イカルス・ウィング: 『これはどのような仕組みなのだ』?ライオネル博士さんよ、あんたが信号弾を撃てば、俺が物資を運んで落っことす。それが俺のいつもの任務だ。一体全体ほかに何を解明するってんだ、旦那?
ライオネル ███████博士: 君はどれくらいの間物資の配送をしているんだ、軍曹?
イカルス・ウィング: 俺のことはノーウッドって呼びな、ライオネル博士。階級と認識番号なんてどうでもいいさ。どれくらい、なんてのもどうだっていい。信号弾が撃たれたら。そしたら俺は答えるのさ、旦那。俺はそりゃあたくさんの物資を運んだよ。
ライオネル ███████博士: 軍曹、こちらには事態が容易に理解できない。君の機体の異常な特性に気づいているか。
イカルス・ウィング: いんや。おかしなものなんて何もねえよ、旦那。
ライオネル ███████博士: 君の積荷についてはどうだ。それについて私に話してくれないか。
イカルス・ウィング: いんや。おかしなものなんて何もねえよ、旦那。
ライオネル ███████博士: 1942年の6月█日、任務中に死亡したノーウッド██████を知っているか?
イカルス・ウィング: おう。
ライオネル ███████博士: では、君は誰なんだ。
イカルス・ウィング: 俺のことはノーウッドって呼びな、ライオネル博士。
ライオネル ███████博士: 君は興味深い物資をいくつも投下してくれたな、軍曹。それらがどこから来るものか、私に話してくれないか。君はどこに飛行機を降ろし、物資と燃料を補給するんだ?
イカルス・ウィング: ダメだね。それは機密だよ、旦那。
ライオネル ███████博士: 個人的な好意で考えてみてくれないか。
イカルス・ウィング: ダメだね。それは機密だよ、旦那。じゃあな、もういいかい。
ライオネル ███████博士: ならば、なぜ君が運んだ物資がすべて欠陥品や無用なものなのか、話してくれないか?
イカルス・ウィング: そりゃな、あんたが補給物資を必要としてないってことだよ、ライオネル博士。あんたには機能的で実用品質の非常物資は必要ないって、俺の上官殿が決めたのさ。ライオネルの旦那。
ライオネル ███████博士: その、その「上官」とは誰なんだ?
イカルス・ウィング: ダメだね。それは機密だよ、旦那。じゃあな、もういいかい。とんでもねえな。
ライオネル ███████博士:それは残念だ。我々の計測機器は、君が出口地点に到達しつつあると示しているようだ。
イカルス・ウィング: そうともさ。まったく、ここは寒い。ライオネル博士さんよ、俺にゃ、あんたが信号装置を使うのを止めらんねえ。同じ英国人として、あんたが俺の時間をムダにしないでくれるよう丁重にお願いしとくぜ。俺は、物資を運ばにゃならねえんだ。
イカルス・ウィング、無線交信を終了
SCP-1577-2は予測された位置で消失
<記録終了>