SCP-1562
評価: +130

アイテム番号: SCP-1562

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1562は現在サイト-24の試験施設46-Vに隔離されています。施設の扉は常時施錠された状態とします。試験は現在停止されており、カーバー博士から特定クリアランスを与えられない限り使用許可は下りません。

説明: SCP-1562は高さ2.2メートル、長さ3.4メートルの金属製滑り台です。SCP-1562は███████の█████████郊外にある廃公園から、当地域にて複数人の子供が失踪した後に回収されました。当物体の異常効果は、人が頭を下にして両腕を脇に折り畳み腹這いになって滑り下りた時にのみ発生し、身体や手足の向きを変えて滑った場合その効果は現れず、また人間だけが影響を受けます。

前述の体勢でSCP-1562を滑り下りた際、その人物は滑り台の端から約15cm手前で瞬間的かつ完全に消失します。これまでの所SCP-1562をこのように使用し消失した者は一人も回収されていません。被験者に命綱を繋ぎ引き戻す試みは、被験者が消失する瞬間に綱が切れたために失敗に終わっています。被験者との通信は消失後も引き続き可能であり、その詳細を以下の記録に記します。

序: 実験の観察を行う研究員との無線通信用に、D-2445にはイヤホンマイクが与えられました。当通信はD-2445のSCP-1562からの消失後間もなく開始されました。

<記録開始>

ダリツ博士: D-2445、聞こえるか?

D-2445: ああ、博士、聞こえる。

ダリツ博士: 今どこに居る?

D-2445: 分からない。なんか凄い小さいトンネルの中だ。凄く窮屈だ。すぐ引き出してくれるか?

ダリツ博士: こちらにその場所を説明して貰えるか?

D-2445: 駄目だ、暗過ぎる。何も見えないし、詰まってる。

ダリツ博士: 詰まった?どんな?

D-2445: 俺は頭が下で腹這いのまま、傾いたまんまだ、それでなんか小さいトンネルの中で詰まってる。周りはどこも岩と泥だ。頭を上げるにも腕を動かすにもゆとりが無いし前にも動けない。ホント早くここから出して欲しい。

ダリツ博士: やってみてはいる。何か見えないか?何か他には?

D-2445: いいや、何も見えないって言ったろ。今ちょっとビビってんだけどよ。別に閉所恐怖症って訳じゃないけどここはなんかすっげえ嫌なんだよ。引っ張り出してくれ。

ダリツ博士: 不幸な事に君の命綱は君が消え失せた際に切れてしまっている、だから引き戻せない。回収のために他の方法を模索してみよう。今はただ落ち着いて私と話し続けてくれ。

D-2445: イヤイヤイヤイヤ、早く出してくれよ。これ以上ここに居るとか無理だって。

ダリツ博士: 頼むから落ち着いてくれ。出来るだけ早くそこから出せるようにしよう。

D-2445: 分かったよ、ほんのちょっとだけ前に這ってけたんだけどさ、頭に何か当たるんだ。

ダリツ博士: 何が当たった?

D-2445: 靴だと思う。小さな...クソったれ。

ダリツ博士: どうした?

D-2445: ここから出してくれ博士。すぐにここから出してくれ。

ダリツ博士: 落ち着いてくれ。出来るだけ早くそうしよう。

D-2445: いやだ今すぐにここから出してくれ。靴だ...ちっちゃい靴。

<記録終了>

研究員達が可能な回収方法について議論している間、D-2445との通信は中断されました。別のDクラスに命綱を付け、また映像及び音声記録装置、GPS追跡機、ヘッドランプを身に付けさせた上で新たに送り込む事で意見が纏まりました。この計画をD-2445に知らせるために通信が再度接続されました。

<記録開始>

ダリツ博士: まだそこに居るか?D-2445?

D-2445: 頼むよ。お願いだから、ここにはもう居たくないんだよ。

ダリツ博士: 君を引き出すために別の者を送るつもりだ。

D-2445: 喋り始めたんだ。

ダリツ博士: 何が喋り始めた?

D-2445: 小さな男の子だよ。だけどちっとも話にならねえ。

ダリツ博士: 彼が何を言ったか教えてくれ。

D-2445: そいつは...自分がどこに居るのか訊き続けてきて、そんで俺は分からないって言ったんだ。でも俺は、奴が本当に俺に喋りかけて来たとは思えないんだよ、俺の声には答えなかったし、それに俺がしっかり落ち着いてる時に奴は、もう泣き止んでって言って来たんだ。

ダリツ博士: 他には?その間彼は動いていたか?

D-2445: そうは思わないな。奴が叫び始めたんで黙れって言っても叫び続けて、奴は泣きながら、そいつのママの事を訊いて来たんだ。それであんたが俺に通信をまた始めてすぐに奴の声が止まったんだ。もうここから出してくれよ。

ダリツ博士: 分かった。別の者を送ろう。背後で物音が聞こえたり何か感じたりしても慌てないように。

D-2445: 早くしてくれよ、もう腰が...

<記録終了>

この後すぐにD-8600が前述の装備と共にSCP-1562へ送り込まれました。D-8600は低い身長と細身の体型から、D-2445よりも動きやすいだろうという理由で選ばれました。D-8600を繋ぎ止めるためのロープはD-8600がSCP-1562から消えたと同時に切断され、GPS追跡機の信号は追跡出来なくなりました。以下の音声がD-8600との通信が確立した後に記録されました。

<記録開始>

ダリツ博士: D-8600、聞こえるか?

D-8600: ああ、聞こえるよ博士。

ダリツ博士: そちらの状況はどうなっている?映像が全く得られない。

D-8600: 洞窟かトンネルみたいな所に居る。本当に狭くて暗い。ヘッドランプはここに入ったと同時に点かなくなった。

ダリツ博士: どうにかして動く事は出来そうか?

D-8600: 両腕を前に回す事は出来なさそうだけど、前ににじり寄る事は出来る。待ってくれ、何だこりゃ?おい!アンタ大丈夫か?

ダリツ博士: D-8600?

D-8600: ちょうど誰かの靴にぶつかった。全く動いてない。おい、下に居るアンタ大丈夫か?

ダリツ博士: それはD-2445だろう。デイビス(Davies)、D-2445の無線に合わせてみてくれ。

D-8600: 無線が聞こえたと思う。そっちのデイビスの声が聞こえる。

ダリツ博士: ふーむ、D-2445が応答しないな、それに我々の側では彼の無線越しのデイビスの声が拾えない。

D-2445: ああ、博士、聞こえる。(D-2445の声が、少しくぐもってはいたがD-8600の無線機越しに聞き取れる)

ダリツ博士: デイビス、無線を切れ、D-8600の無線から彼の声が聞こえる!

D-8600: よお旦那、会えて嬉し...

D-2445: 分からない。なんか凄い小さいトンネルの中だ。凄く窮屈だ。すぐ引き出してくれるか?

ダリツ博士: D-2445、聞いてくれ。D-8600が君の後ろに居てそこから出る手助けをしてくれる。

D-2445: 駄目だ、暗過ぎる。何も見えないし、詰まってる。

D-8600: おい旦那、大丈夫だ。詰まってるのも知ってるし、一緒にここから出ようじゃないか。

D-2445: 俺は頭が下で腹這いのまま、傾いたまんまだ、それでなんか小さいトンネルの中で詰まってる。周りはどこも岩と泥だ。頭を上げるにも腕を動かすにもゆとりが無いし前にも動けない。ホント早くここから出して欲しい。

D-8600: 分かってるよ旦那、大丈夫だって。両腕を頭の上の方に回せるかやってみて、アンタの足首を掴んでやるよ。そうしたら向こうの奴等がここから引っ張り出せるって。

D-2445: いいや、何も見えないって言ったろ。今ちょっとビビってんだけどよ。別に閉所恐怖症って訳じゃないけどここはなんかすっげえ嫌なんだよ。引っ張り出してくれ。

D-8600: それを今やってんだよ!まだ何か...

ダリツ博士: D-8600、話すのを止めてくれ。何かおかしい、D-2445は最初に無線通信を行った際に言った事を全て繰り返しているだけだ。

D-2445: イヤイヤイヤイヤ、早く出してくれよ。これ以上ここに居るとか無理だって。

D-8600: 大丈夫だって、ちょっと落ち着いてくれよ。博士、彼は今怖がってるんだよ。俺の方は両腕をもうほとんど前に出せてる。

D-2445: 分かったよ、ほんのちょっとだけ前に這ってけたんだけどさ、頭に何か当たるんだ。

ダリツ博士: いや、彼は通信時の会話を一言一句そのまま繰り返している。先ほど、前に動いたと言っていたが、彼は本当に動いたか?

D-8600: ...そうは思えないな。分かった、ちょっと気味が悪くなってきたな、でも彼の足首を掴んだぞ。今なら引っ張り出せるんじゃないか、試してみてくれ。

D-2445: 靴だと思う。小さな...クソったれ。

D-8600: 博士、コイツ何言ってるんだ?ここから俺達を引っ張り出せるか?

D-2445: ここから出してくれ博士。すぐにここから出してくれ。

ダリツ博士: 引っ張り出せない、すまない。

D-2445: いやだ今すぐにここから出してくれ。靴だ...ちっちゃい靴。

D-8600: だから何言ってんだテメエは?俺達を引っ張り出してくれよ。コイツの言うちっちゃい靴って何なんだ?一体何が起きてんだ博士?!

D-2445: 頼むよ。お願いだから、ここにはもう居たくないんだよ。

ダリツ博士: D-8600、残念ながら、君を繋いでいたロープは君が消失した瞬間に切断されてしまった。このような事態は予測できていなかった。

D-2445: 喋り始めたんだ。

D-8600: クソが。分かったよ、後ろにちょっとずつ行けるか試してみる。さすがにコイツを運んでくのは無理だろうけどな。

D-2445: 小さな男の子だよ。だけどちっとも話にならねえ。

ダリツ博士: 健闘を祈るよD-8600。当面の間、通信を繋いだままにしておこう。

D-2445: そいつは...自分がどこに居るのか訊き続けてきて、そんで俺は分からないって言ったんだ。でも俺は、奴が本当に俺に喋りかけて来たとは思えないんだよ、俺の声には答えなかったし、それに俺がしっかり落ち着いてる時に奴は、もう泣き止んでって言って来たんだ。

D-8600: コイツがさっさと黙りやがればもっと楽なんだろうけどな。

D-2445: そうは思わないな。奴が叫び始めたんで黙れって言っても叫び続けて、奴は泣きながら、そいつのママの事を訊いて来たんだ。それであんたが俺に通信をまた始めてすぐに奴の声が止まったんだ。もうここから出してくれよ。

D-8600: 黙れっつってんだろうが!気味悪いんだよ馬鹿!

D-2445: 早くしてくれよ、もう腰がホント痛み始めてるんだ。

ダリツ博士: そちらは進めているか、D-8600?

D-8600: 少しはな。簡単じゃないがやってるよ。ここの空気はだんだん澱んできてる気がする。無事に戻れるだけの空気があるといいんだけどな。おい、アイツやっと黙ったのか?

ダリツ博士: こちらでも彼の声が聞こえなくなった。

D-8600: そいつは神に感謝だな、こっちはもう...だな、って...

ダリツ博士: 何をだ?もう何だって?

ダリツ博士: D-8600?聞こえているか?何が起きた?

<記録終了>

D-8600からのこれ以降の応答は記録されませんでした。D-8600及びD-2445への無線通信を復旧する試みは失敗しました。試験は無期限に停止されています。

ページリビジョン: 6, 最終更新: 04 Aug 2024 16:03
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