SCP-1428-JP
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アイテム番号: SCP-1428-JP
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SCP-1428-JP-Aの画像

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1428-JP-Aの土地権利は現在財団が保有しており、一般人の侵入を阻止しています。SCP-1428-JP-Aの周囲にはセキュリティー担当者を配置し、24時間体制で監視してください。もしSCP-1428-JP-Aに一般人が侵入した場合、対象にはBクラスの記憶処理を行った上で近隣の集落に開放してください。Dクラス職員を起用した実験には事案1428-JP‐093617以降凍結されています。

2011年現在、「有限会社SA」に関連している全ての下請け企業やサイト管理業者は例外なく財団の監視下に置かれています。「有限会社SA」からの接触や何かしらの変化が発生した場合はサイト-81██の管理者に報告してください。

説明: SCP-1428-JPは██県██市の総面積███km2の土地(以下、SCP-1428-JP-A)で確認される現象です。SCP-1428-JP-Aは以前「有限会社SA」という組織が所有しており、企業所有の実験場として国に登録されていました。現在、財団の情報操作により、「有限会社SA」の土地所有権を剥奪、押収する形で現在の管理体制を構築しています。

SCP-1428-JPはSCP-1428-JP-Aで不定期的に人間女性の投身自殺が発生するというイベントです。SCP-1428-JPは毎月水曜日の13時13分に発生し、定刻となった場合SCP-1428-JP-A範囲内に一機のC208Bグランドキャラバンが出現します(機体の型番は既存の物と一致しており、「有限会社SA」の購入履歴も存在しています)。機体はSCP-1428-JP-A範囲内の北東から南西にかけて高度10000mの地点を飛行し、SCP-1428-JP-Aの中心に到達した段階でSCP-1428-JPを発生させます。

現在、機体の出発地点の割り出しや追跡は機体自体が空中で突如出現、消失するという現象により未だ成功していません。

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映画内のメリー・ポピンズ

機体がSCP-1428-JP-Aの中心地点に到達した場合、1名の人間女性が機体から投身し、地上到達時の衝撃により死亡します。現在39名の死亡が確認されており(実験に参加したDクラス職員は除く)、落下中の人間女性を観察した結果、所有している傘の低高度での開傘が確認されています。

落下する女性は全員がメリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュース氏と同様の容姿を有しており、見た目年齢も映画が公開された1964年代の様子と酷似しています。しかし、回収後行われた検死解剖や遺伝子調査により、これらは高度な整形施術による容姿改造である事が判明しており、死亡した女性の身元に関しても全員が日本国内で行方不明となっている人物であると判明しています。

現在、死亡した女性の体内からはおよそ██個におよぶ未知の鉱物であると思われる欠片も発見されており、全てが細胞レベルで臓器、血管等の生体器官との結合が確認されています。なお、これらの技術は現代の文明レベルでは施行不可能な施術であることに留意してください。

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映画内のジョージ・バンクス

SCP-1428-JPは2005年7月12日に行われた一般人の通報により発覚しました。当時、██大学の学生4名が学校外授業の一環としてSCP-1428-JP-A周辺の小集落に停泊し、森林散策の際にSCP-1428-JP-Aに誤って侵入。その結果、発生中のSCP-1428-JPを目撃し、学生等はすぐさま警察に通報しましたが、その時点で死体は既に消失しており学生等に関しては私有地への不法侵入による厳重注意が行われたのみで事態は収束しました。事態発生の3日後、その情報を入手したフィールドエージェントが改めて現地調査を開始し、これによりSCP-1428-JPを観測。また死体を処理する詳細不明の集団の存在も確認された為、サイト-8193へと報告しました。なお、当時エージェントはその集団に対して威嚇射撃を行ったうえでの拘束を試みましたが、未知の原理により何かしらの攻撃を受けた為エージェントは負傷、集団の消失により収容には至りませんでした。

これらの事象が確認された後、財団は最初の目撃者である学生等に接触。インタビューを行った後で記憶処理を行い、カバーストーリー「若気の至り」を適用しました。

エージェントの証言から詳細不明の集団(約10名)に関する調査を進めた結果、全員が映画メリー・ポピンズに出演していた当時のデヴィッド・トムリンソン氏と同様の見た目を有した実体であることが判明しており、バンクス家の父親であるジョージ・バンクスを演じた時と同様の衣装を着用していたことが発覚しました。

現在、何故「有限会社SA」が映画メリー・ポピンズをモチーフとした異常を発生させているのかは未だ明らかとなっていません。

補遺: 「有限会社SA」はインターネットを活動拠点としている存在であり、自殺願望を抱く女性をターゲットにした自殺者支援活動を行っています。形式はウェブ上で自殺希望者を募集し、その希望者が指定した日時にそれを実行すると掲載しています。なお、Dクラス職員を起用した実験により、これが実行されるであろう日時には希望者の待機地点で重度の電波障害と高濃度の霧(半径300mの範囲に発生)が確認され、その後希望者がその場から消失するという事象が発生します。そして、この消失が発生した約2週間後、SCP-1428-JP-Aにて消失した希望者によるSCP-1428-JPが発生します。

「有限会社SA」は死亡した女性の身辺調査を行った際に、当時その任務を担当していたエージェント・パーズが女性の自宅にあったノートPCのインターネット履歴に着目したことによりその存在が明らかとなりました。結果、女性が頻繁にアクセスしていたウェブサイトを発見し、他の女性の所有していたPC、携帯電話等の履歴と照らし合わせたところ同様のウェブサイトにアクセスしていたことが判明しました。この報告を受け財団はこれらのサイトを運営している業者の捜索を開始。しかし、サイトを運営していた事務所や関係者等の拘束には成功しましたが、全員が「有限会社SA」と契約した代理社員であったことが判明し、直接的な接触はありませんでした。現在も本来の「有限会社SA」の所在地の割り出しや追跡等は難攻しており、収入源等を含めた全貌は明らかとなっていません。

2006年11月4日、このウェブサイトは財団により隔離され一般人の閲覧を規制しています。また、不定期的にDクラス職員を起用した実験を行うことで現状の確認を行っています。

追記1: 2010年、SCP-1428-JPを担当していた小延研究助手による報告が行われました。

以下はその報告内容の抜粋です。

先日行われたSCP-1428-JPの実験に関して、幾つか気になる点が見られたためここに報告します。
まず有限会社SAのサイトを利用した際の電波障害と霧の発生に関してですが、影響範囲外からの計測の結果あれらは計器類の妨害及び破壊が目的などではなく、希望者の誘拐を行った際の副次的な影響、または現象なのではないかと私達は予想しています。

根拠として、イベント発生時に電波系観測器、カント計数機、放射線測定器等を用いた観測を行った際に以前財団がGOCから回収した「転送装置」等を用いた実験およびそれを使用した時と同様の数値が観測された事と、Dクラス職員の消失が確認された地点にて微量ながらの原子崩壊と再構築の痕跡が確認された事の2点が挙げられます。なお、これらの痕跡は転送を行った際の肉体の再構築を行った時に確認される痕跡であり、このことからも私たち研究チームはSCP-1428-JPにおけるDクラス職員の消失イベントは超常的現象などでは決してなく、あくまで何らかの実体による人為的かつ技術的な誘拐であると推測しています。

また上記の根拠以外にも確認されている霧に関する考察ですが、霧自体の採取、成分の分析こそ成功はしていませんが、影響範囲外から視認した霧の挙動と消失終了後に調査した消失地点の大気分析を行ったところ、微量ではありますが、こちらでも████理論に基づくA-99376粒子の発生が確認されました。お分かりだと思いますが、これらは転送を行う際の再構成の範囲指定を可能にする現在財団が研究中の新技術です。

これらの理由から、あれらは何者かが大規模な物体転送を用いる事であれらの誘拐を実現していると我々は予想します。なお、これらの転送先に関してですが、霧の形状と消失時の影響の指向性、消失後に発見された痕跡の濃度分析の結果、おそらく上空数千mに限定されていると思われます。-小延 正治

この報告により、財団は消失実験時の上空監視作戦を決行しました。

以下は事案1428-JP‐093617の際に記録された音声記録です。

対象: 堂塔 健吾(空挺部隊:メビウス所属機動部隊員 以下T)

インタビュアー: 駮馬 聡一郎(空挺部隊:メビウス第4機動部隊大隊長)

付記: この記録はSCP-1428-JP誘拐イベントの上空監視作戦時に録音された物です。以下の会話は当時監視用の戦闘機を操縦していた堂塔隊員とメビウス第4機動部隊大隊長駮馬 聡一郎隊長の間で交わされました。

<録音開始>

インタビュアー: こちら本部。現在の状況を報告しろ。オーバー。

T: こちら偵察機E001。今のところ上空に何かしらの変化は見られない。オーバー。

インタビュアー: 了解。引き続き監視を継続しろ。消失予想時刻まで残り10分。オーバー。

T: 了解。何らかの異常が発生した場合は再度通信を行います。アウト。

[以下、変化が見られなかったため編集]

インタビュアー: こちら本部。定刻だ。何か変化はあるか。オーバー。

T: こちら偵察機E001。先程と同様目立った変化は...

[4秒間の沈黙]

インタビュアー: どうしたE001。応答しろ。

T: 訂正します。実体自体の確認はできませんが、雲の妙な動きを確認しました。あれは...雲が一部欠けています。オーバー。

インタビュアー: 雲...? 不可視の実体か。オーバー。

T: 現時点では確認できません。ですが、確実に何かがいます。目測での報告となりますが、およそ直径2kmの何かしらの物体が空中を移動していると思われます。オーバー。

インタビュアー: ...なるほど。では

[警報音が鳴る]

インタビュアー: どうした。何が起きた。

T: 分かりません! 現在、機体操縦不能! 操縦不能! す、吸い込まれています! 何かに、何かに機体が引っ張られています!

インタビュアー: おい。地上偵察部隊からの報告は。

オペレーター: 依然、変化はありません。

インタビュアー: 全機体の現状を再度確認。常に通信をつなげておけ。E001。現状を報告しろ。

T: こ、こちらE001! 依然...依然機体は操縦不能! 計器も正常に動作しません!

インタビュアー: 現在全機体の状況を確認している。E001、目標は目視できるか。

T: い、いえ! な、何も...何も見えません! ですが[ノイズ音]

インタビュアー: E001。 応答しろ。E001!

[全ての通信機器に大きなノイズ音が発生する]

[映像機器類に映画「メリー・ポピンズ」のワンシーンが放映される]

インタビュアー: おい! どうなっている!

オペレーター: 強引な通信の介入だと思われます。こちらの操作に一切応答しません。

インタビュアー: くそ...!

[偵察機E001からの通信が入る]

インタビュアー: E001! 無事なのか! 応答しろ!

T: [未知の言語が発せられる]

インタビュアー: な、なんだこれは...。

T: [英語版のメリー・ポピンズの音声が発せられる]

[放映されてからおよそ5分後、映し出されているメリー・ポピンズの登場人物たちが一斉に動きを止めカメラを見つめだす]

映像内のメリー・ポピンズ: [未知の言語]...私たちは彼女から夢を貰ったわ。でも、それでも最後のピースが足りないの。

[地上にて消失イベントが発生する]

[全偵察機との通信と信号が消失する]

映像内のメリー・ポピンズ: これに懲りたら、もう私たちの邪魔はしないで頂戴ね? 私たちだって争いたくはないの。私たちはあくまで利害関係の一致を確認した上で事に及んでいるわ。そちら側の損害も考慮して、社会的に何の影響もない人物の協力を募っているだけなの。 だから、そちら側もいい子にしていてね? それじゃあ、今後とも宜しくお願い。よい週末を![映像の終わり際、映像全体が乱れ一瞬だけ映画内の登場人物全員が複数の未確認な形状をした人型に近い実体に置換される]

<録音終了>

終了報告書: この通信終了後、偵察を行っていた全機体および実験に参加していたDクラス職員、地上部隊、研究員、総勢12名が消失しました。そして、その2週間後、SCP-1428-JP-Aにて、顔、腕、内臓等に映画メリー・ポピンズに出演していた子役(カレン・ドートリスとマシュウ・ガーバー)と同様の見た目を有した実体を移植された財団職員が高高度からの投身自殺を行いました。

2010年現在、SCP-1428-JPの完全な抑制には成功していません。また、事案終了時に上空を監視していた地上部隊の報告から、巨大な円盤型の飛行物体が高度上空へと飛翔していく様子が確認されました。

追記2: Dクラス職員を起用した実験が凍結された2011年現在もSCP-1428-JPは確認されています。

また、SCP-1428-JPの発生回数が増加するごとに投身自殺を図った人間女性の落下速度が低下していることが判明しました。なお、この速度低下は開傘の際に発生すると思われ、研究員の見解では「映画内の描写に近づいて来ている。」と予想されています。

Footnotes
. 現時点でこれが個人なのか集団であるかは明確化されていないが、発覚している範囲内での運営体制などから便宜上ここでは「組織」と明記する。
. スカイダイビング等で利用されるセスナ機体
ページリビジョン: 25, 最終更新: 17 Apr 2021 04:19
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