SCP-140-JP-J
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クレジット

タイトル: SCP-140-JP-J - ミカンの年代記
著者: ©︎OwlCat OwlCat
作成年: 2025


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滅亡直前のエヒーメイト文明の姿。未解明のミカン・エネルギーで空が橙色に輝いている

アイテム番号: SCP-140-JP-J

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-140-JP-Jの15m以内に標準的なインク、柑橘類の果汁、その他の筆記に適するいかなる種類の液体も近づけてはなりません。果汁またはインクによる汚染が起きた場合には即座に報告してください。初版時に印刷されたSCP-140-JP-Jの残存する冊子は可能な限り早期に発見し、破壊しなくてはなりません。SCP-140-JP-Jのみ、早期警戒、新しい栽培方法の研究、分類を目的として保管されます。現時点ではオリジナルのSCP-140-JP-Jを用いた研究は行われていません。生産者の顔表示がないコピーを用意してあるので研究者はそれを用いてください。

度重なるインシデントにより、エヒーメイト文明の滅亡時期は2023年に変化しています。このため、エヒーメイト文明と人類文明との接触はヴェールの領域を超えたレベルに達しており、ヴェール崩壊宣言の発令について現在審議が続けられています。

説明: SCP-140-JP-Jはみずみずしいオレンジ色の表紙と無数の白いページで構成された本です。本のカバーは欠落していますが、タイトルの"エヒーメ年代記"ははっきりと読み取れます。見返しの部分には「生産者の顔」と題されたアジア人の顔写真がありますが、この人物の詳細は不明です。この本は19██年に農山漁村文化協会から出版されていますが、当該出版社がSCP-140-JP-Jを出版した記録はありません。

SCP-140-JP-Jを読んでいる間、読者は喉の渇き、食欲、柑橘系の香りを感じます。これは本の材質に関係しているかもしれません。頻繁に登場する柑橘類への言及、愛媛地域への異常な愛情により、いまやSCP-140-JP-Jを読み終えた職員の半数が愛媛FCの熱狂的サポーターとなっています。なお、もう半数はFC今治サポーターとして愛媛FC側の職員とアツきサッカー談義を繰り広げています。

SCP-140-JP-Jは現在の愛媛県南部に起源を持つ、エヒーメイトと認識されている古代文明の詳細な記録です。他の全ての文明と同様にエヒーメイト文明もまた時と共に進化し、変化を続けましたが、彼らは異常な一貫性を保ちました。エヒーメイト文化は全ての時代において、柑橘類至上主義、他種果物への徹底的な憎悪、和歌山地域への強い執着及び対抗意識、柑橘類の栽培に特化した超常的な技術、アーティファクト、先進的な水道設備技術といった特徴を持ち続けました。この記述が信用できるとすれば、エヒーメイト文明の残したミカン研究の成果は有益である一方、日本国内の果実消費傾向に異常な変化をもたらすと考えられ、それだけで十分に封じ込めに値します。

SCP-140-JP-Jが筆記に適した液体または柑橘系の果汁に接触した場合、エヒーメイト文明の歴史の記述が拡大します。温州みかんの場合が最も"強力"であるようですが、いかなる場合においても液体の量は記述の量と関係しません。新しいページには、未知の柑橘系品種の説明や愛媛地域の気候に適した栽培方法、「エヒーメもじのけいこ」という学習用ページなどが確認されています。大抵の場合、より最近のエヒーメイト文明の歴史の続きが追加されたりします。過去の決定的敗北は新しい人物や出来事が追加された上でやり直されます。財団の考古学者は対応するエヒーメイト文明の痕跡を、記述通りの場所、地層、松山城付近、坊っちゃん列車ミュージアム、エミフルMASAKI、イオンモール新居浜などで発見しました。都内の財団サイトから派遣されてきた調査チームによって、愛媛の主要観光地である道後温泉エリアも調べられましたが、エヒーメイト人はあまり道後温泉に近寄っていなかったことが判明しています。

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エミフルMASAKI。巨大な駐車場を有しているが、愛媛県民が大集合していたため財団車両を停めるスペースが見つからず調査は難航した。

エヒーメイト文明は、四国の他のエリアに比べると都市が集合していたにも関わらず、彼らは一貫して柑橘類を中心とした農耕活動に注力していたように見えます。初め財団の研究員は、異常能力を持つエヒーメイト人は一部の特権階級であると考えていました。しかしSCP-140-JP-Jの記録拡大イベントにより、エヒーメイト人全体が何らかの超常技術によって超自然的寿命を有していたと判明しました。なお、一部のエヒーメイトはミカンを食すことで高度な芸術性を開花させており、詩文の分野で著名な作品を残しています。

財団の考古学者たちは宇和島、新居浜、今治の各地でエヒーメイト文明のものと想定される様々な遺跡を発見しています。異文明間の接触の跡は、西は大分地域から東は香川、北は広島地域まで広がっています。特に現在の広島の地域では日本国内の様々な情報を収集していたとみられ、1990年代以前まで広島ホームテレビを受信していたことが確認されています。

補遺:
財団の知る限り、エヒーメイト文明の中心的思想は「柑橘類の果実消費量の拡大」であると推定されています。また、複数の関連アノマリーの調査から、日本国内における柑橘類のシェアが他の果物を圧倒した場合、エヒーメイト文明の拡大規模が急速に増加することが推測されています。実際に、過去に柑橘類が日本国内でシェアを確立すると同時に本州から多数のエヒーメイト関連アノマリーが発見されています。そのため、財団は日本各地にフロント農園を多数設立しみかんに対抗できる果物の生産及び普及に努めてきました。その結果、現在日本国内における果実の収穫量トップはりんごとなっています。また、財団はこれと並行して日本国内のみかん収穫量の減少を引き起こしています。しかしながら、異常・非異常を問わず多数のインシデントが積み重なった結果、エヒーメイト文明の顕現は目前に迫っており、現在財団司令部による最終的戦略、もしくはヴェール崩壊の宣言が協議されています。

Footnotes
. 元農林水産省所管。主に農業分野の書籍・雑誌・DVDを発行している。
. 鏡餅に載せるミカンは元々「橙」っていう果物だったけど、これは「家が代々続きますように」っていう願いを込めてるかららしい。へぇ〜。
. J2所属のプロサッカークラブ。
. 同じくJ2所属のプロサッカークラブ。
. 居住区に張り巡らされた水道設備が、潤沢なみかん果汁の輸送を実現していた。
. 東京ドーム5個分の広さを持つ愛媛県松前町のショッピングセンター。
. 詳細は現在不明だが、どうせ異常なミカンを食べたとかだと思われる。
ページリビジョン: 6, 最終更新: 10 Jun 2025 09:47
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