SCP-1361-JP-2
アイテム番号: SCP-1361-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1361-JPは改修工事の後サイト-81NSに指定されました。SCP-1361-JP-1からSCP-1361-JP-7はサイト-81NSの他、SCP-1361-JP-2はサイト-8161、SCP-1361-JP-4はサイト-8182を始めとした各地の研究サイトに移送され生態の研究が行われます。サイト-81NS内では主に1361-JPオブジェクト群の繁殖と生存に重点を置いた研究が行われます。
1361-JPオブジェクト群と他のオブジェクトとのクロステストに関する複数の研究員からの提言が存在しますが、現在それらの提言は却下されています。
説明: SCP-1361-JPは兵庫県六甲山中に存在する、日本生類創研のビオトープ施設です。同施設は7種の日本生類創研由来の人工生命を自然環境へ放つ研究を行っていたと思われます。施設内から多数回収された人工生命に関する資料には、元となった生物の遺伝子情報が記載されていたほか、適当に殴り書きされたと思われる"通称名"が確認されています。(以下、7種の人工生命は各種SCP-1361-JP-1から‐7にナンバリングし、1361-JPオブジェクト群と呼称されます。)研究施設はオブジェクトの収容を目的とした補修工事を加えたうえで収容サイト‐81NSとされました。
以下に1361-JPオブジェクト群に関する説明を記載します。それぞれの人工生命が設計された意図に繋がる可能性から、資料に殴り書きされた"通称名"も併せて記載しています。
- SCP-1361-JP-1はタカ科(Accipitridae)の特徴を有する生物です。SCP-1361-JP-1の成長および繁殖は異常な速さで進行します。24時間で第4世代が誕生することが確認されています。また、繁殖を行った個体は老衰前に消失します。回収された資料には「日本生類創研 T-015 "オロスタカ"」の記載が確認されています。
- SCP-1361-JP-2はギンリョウソウ(Monotropastrum humile)に酷似した植物です。ギンリョウソウは本来光合成を行わず菌類との共生によって生活する腐生植物ですが、SCP-1361-JP-2は光合成を行い、さらに酸素の代わりにガソリンが気化した際の臭気に似た気体を発します。この気体は非可燃性で、発生から30分程度で同量の二酸化炭素に変換されます。また、SCP-1361-JP-2は遅効性かつ強力な毒を有し、万が一摂取した生物は2時間から3時間の間に死亡します。回収された資料には「日本生類創研 K-303 "ガソリンユウレイタケ"」の記載が確認されています。
- SCP-1361-JP-3は異常な生命力を有するシマリス(Tamias)です。四肢欠損、頭部破壊、内臓の70%摘出などを経ても生存する個体が確認されており、その生命力の際限はいまだ判明していません。SCP-1361-JPが財団の管理下に置かれた時点で73体が存在しましたが、その全てが雄個体であり、現在もクローンによる雌の育成は成功しておらず、繁殖手段がありません。2017年6月時点での個体数は73体です。回収された資料には「日本生類創研 R-427 "ソウジリス"」の記載が確認されています。
- SCP-1361-JP-4は身体に異常が見られるイエネコ(Felis silvestris catus)です。主に脚部と眼球の肥大、体毛の喪失、尾骨と胸骨が地面に対して垂直に変形していることが確認されるほか、呼気に二酸化炭素が含まれておらず、代わりに強度のアンモニアを有しています。アンモニアは本来空気よりも軽い物質ですが、SCP-1361-JP-4の呼気は二酸化炭素が含まれている呼気と同様空気よりも重い反応を見せ、実際に空気中では降下します。回収された資料には「日本生類創研 A-040 "[データ削除済み]"」の記載が確認されています。
- SCP-1361-JP-5は[データ削除済み]
- SCP-1361-JP-6はカブトムシ(Trypoxylus dichotomus)が元になったとされる、薬缶に昆虫の羽が生えたような外観の生物です。特徴として非常に堅強な構造の外皮を持つことが確認されています。SCP-1361-JP-6がどのように生命活動を維持しているのかは不明ですが、内部の空洞には麦茶と同じ成分の液体が毎時9mlずつ生成され、さらに2日に一度、注ぎ口らしき部位から対外へ排出する行動が確認されています。回収された資料には「日本生類創研 M-082 "ジョウロムシ"」の記載が確認されています。
- SCP-1361-JP-7は人型魚類です。外観は著しく個体差があり、既存の魚類を二息歩行できる骨格へ変形させた容貌のものが多く、日本海周辺で頻繁に確認される既存のエリファスモデル型霊素生命体、特に魚人種(Oannes mermanian)の外観に酷似しています。また、SCP-1361-JP-7は粘土板や木版を作成し、そこに"両腕が翼に置き換わった人型のシンボル"を描く様子が確認されたことから、SCP-777-JPおよびSCP-020-JPとの関連が指摘されています。回収された資料には「日本生類創研 Z-007 "サカナオバケ"」の記載が確認されています。
補遺: SCP-1361-JPは1999年に日本生類創研の研究施設を制圧する任務についていた機動部隊によって財団の管理下に入りました。この時日本生類創研側の武力的抵抗及び逃亡した研究員による情報の持ち出しが極端に杜撰であったことが報告されました。後に、施設制圧時に捕縛した日本生類創研の研究員にインタビューを実施したところ、ビオトープ施設は組織上層部、特に"教授"と呼称される人物の指示を受けて研究することが徹底されており、知識探求を好む研究員の間では僻地扱いされていたことがわかりました。尚、SCP-1361-JPは財団に制圧されることを想定とした捨て駒であった可能性も指摘されたことから、結果2001年に収容するまで度重なる慎重な調査が繰り返されました。
0916事件、通称"嘆きの水曜日"事件の際、サイト-8182でSCP-163-JPが収容を脱した時刻に、同サイトで生態の研究が行われていたSCP-1361-JP-4が興奮状態になり、遭遇したSCP-163-JP個体に噛みつきました。この時SCP-1361-JP-4の呼気に含まれるアンモニアがSCP-163-JPに何らかの影響を及ぼし、およそ3分間疑似的な非活性状態に入ったことが確認されました。なおSCP-163-JPは噛みついてきたSCP-1361-JP-4個体に怒ったような素振りを見せ、対象を撲殺しました。
さらに同日、サイト-8161に大量のSCP-1361-JP-2の種子が民間企業によって配送されました。差出人は日本生類創研-外来連絡調整担当室となっており、同梱された手紙にはSCP-030-JPの収容違反を警戒する旨の内容が記載されていました。
対象: D-1361-JP[元日本生類創研の研究員であり、SCP-1361-JPで勤務していた経歴がある。問われた日本生類創研に関する情報を全て明け渡す契約の上で身柄を拘束している。]
インタビュアー: 塚原博士
<録音開始, 2009年09月20日]>
塚原博士: SCP-030-JP、君たちが「ポリクイガ」と呼称していたオブジェクトについてだが、いまさら対抗措置を用意してくるなんてね。君たちの組織はあのオブジェクトが野に放たれたことをどう考えていたんだ?
D-1361-JP: あー、正直に言えば、どうなっても知らないねって感じかな。少なくとも研究員達は「ごめん」で済ませてたし、事務方の顔色伺ってちゃ研究なんか出来やしないだろ? まぁ蒼い顔してた連中もいなくはないけど。
塚原博士: つまり、気にしなかった連中と、気にした連中がいるわけか。SCP-1361-JP、例のビオトープ施設の指揮を執っていた"教授"という人物は後者かな?
D-1361-JP: あー、確かにあの人はかなり気を揉んでたな。あれだろ? ポリクイガに対抗っていったら、ユウレイダケの検体について聞きたいんじゃないのか? 多分財団諸君が考えてる通りだ。"教授"殿が指揮を執って作らせた7つの検体は、ひょっとして他の異常存在に関わりがあるものとして設計されたものじゃないかってことだろ?
塚原博士: そうだな、答えてもらおう。
D-1361-JP: 俺たち研究員にはとてつもなく気の乗らない研究だったよ。ガソリンユウレイダケもそうだが、上から指示を受けた物を作らされる。"作らされる"!! なんとも気の乗らない仕事だったさ。なんたって作る動機、コンセプトは上からの指示にしかなくて、俺たちは上の連中の手先でしかない。研究者やってんのに自分の思考を挟む余地のない仕事なんか楽しかないだろ? 外部から注文受けることはたまにあるが、そりゃ互いに作りたい物と欲しい物が一致した時だけ受け入れてる仕事だしな。やっぱ自分たちのやりたいことやらなきゃ研究員やってる意味ないだろ。あの女もわかってると思うんだがねぇ。
塚原博士: 女?
D-1361-JP: "教授"だよ。あの人は欧州出身で、元々は研究もしてたらしいからな。
<録音終了>
SCP-1361-JP-2、-4は他のオブジェクトへの抑止力として設計されたとみてまず間違いないでしょう。またSCP-1361-JP-7が作成された意図にも他の異常存在の関連が疑われています。SCP-1361-JP-1、-3、-5、-6も同様に、他の異常存在との関連する可能性があります。SafeおよびAnomalousクラスのオブジェクトに限定してでも、他のオブジェクトとのクロステストを実施する価値は十分であると提言します。-塚原博士
現在複数の研究員から同様の提言がなされていますが、全て却下されています。また、日本生類創研内で複数の異常存在、収容済みのSCPオブジェクトに関する知識を有しているとされる"教授"と呼ばれる人物については現在調査中です。
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Project・Carding
アイテム番号: SCP-1361-JP
オブジェクトクラス: Thaumiel
追加説明: 2009年09月16日、SCP-777-JPの心拍障害により777-JP事象が発生し、SCP-777-JP-Aが収容施設に侵攻する事案が発生しました。同時刻、SCP-1361-JPビオトープ施設内のSCP-1361-JP-7個体が興奮状態に陥り、儀式手順777に酷似した行動をとりました。さらにこの時、SCP-1361-JP-7の"鶴役"らしき個体が日本語を発声したことが確認されました。現在、SCP-1361-JP-7の発声を記録した唯一のケースです。
以下は録音記録です。
<再生開始>
[2009年09月16日,02:37:09]
[事象777発生より4分経過、海域777では海底に霊素の物質化現象によって出現した鳥居が肉眼で確認できる程度まで存在確立がなされる]SCP-1361-JP-7: [呻き声]ア、アマノウ[呻き声]
[02:45:22]
[事象777発生より12分経過、海域777では大量のSCP-777-JP-A-1が出現]SCP-1361-JP-7: [不明瞭な呟き、咆哮]
[02:50:01]
SCP-1361-JP-7: [咆哮]オオオオオ、ジョオオオ! ジョ、上帝姫! 上帝公姫! 古の盟約、翁に因りて反故にされど! 陸世は我らの領分と成らずが定め! 鎮まり給え! 鎮まり給え! オウキの、王子の怒りに触れる前に!
[事象777収束時まで省略]
SCP-1361-JP-7: [唸り声]イイイ、引き給え、姫の怒り。すでにその意、思は、骸。風に飛ぶ塵が如きこと。されどその御心を慰むは、アア。
SCP-1361-JP-7: オオオオオ[サイト-8141の方角へ向け五体投地]ツルノミコヲムカエヨ
<再生終了>
同時刻、サイト-8141に収容されていたSCP-020-JPが恐慌状態に陥り、収容室内で暴れ両翼を骨折しました。鎮静剤投与後の容体は安定していますが、錯乱した原因については不明です。
この事案の後、財団は日本生類創研との接触を試みました。
財団は日本生類創研-外来連絡調整担当と会合し、日本生類創研がSCP-777-JP、およびSCP-777-JP-A群の存在を認知しており、それに対抗すべくSCP-1361-JP-7、SCP-020-JPが設計されていたことを確認しました。これらの指示は全て日本生類創研上層部、特に"教授"と呼ばれる女性からのものであり、また多くの研究員、事務員は上層部へのアクセス権限を持たず、組織の方針を認知していないことが発覚、さらにSCP-1361-JPを財団が管理下に置いた際に拘束が出来なかった研究員の大半が、他の日本生類創研の研究員、事務員との接触が途絶えており、所在不明になっていたこと、これにより日本生類創研の研究員内においても1361-JPオブジェクト群の作成意図を知る人物が存在しないことが判明しました。
財団と外来連絡調整担当室は日本生類創研の組織清浄化と1361-JPオブジェクト群の研究を目的とした合同チームの発足で意見が一致。プロジェクト・カーディングが起こされました。サイト-81NSには毎月、客員研究員として外来連絡調整担当から紹介され、財団の人格テストにクリアした日本生類創研の研究員がプロジェクトに参加しています。
補遺1361-1/1500: SCP-1361-JP-1が食用、特に焼き鳥に適していることが日本生類創研から出向してきた海藤研究員によって報告されました。さらの同日深夜サイト-8181で発生したSCP-1500-JPの屋台エリアにおいて日本生類創研の焼き鳥屋台が全て臨時休業の看板を出していたことから、SCP-1361-JP-1は消失後SCP-1500-JPへ転移していたと思われます。
補遺1361-4/1361-3:-Thaumiel: SCP-1361-JP確保時に回収された資料において、イエネコを元に作成したとされるSCP-1361-JP-4が、イエネコに酷似しながらもまったく別の生物の遺伝子が元になっていたことが判明しました。この遺伝子型は時空物理学において認識災害及びミーム災害の発生を誘発する性質を持つとされ、SCP-1361-JP-4の起源になった生物は元々異常な性質を持つ生物である可能性が指摘されています。それに対し、SCP-1361-JP-3は強力な生命力に加え、精神汚染及びミーム災害への強い抗体を有していることが判明しました。このことから財団は1361-JPオブジェクト群が他の複数の異常存在を収容する上で有効な影響を及ぼすと正式に認定、SCP-1361-JPはオブジェクトクラスThaumielに再指定されました。