SCP-1271-JP
評価: +45

クレジット

タイトル: SCP-1272-JP - 亜航信号拳銃
著者: ©︎indonootoko indonootoko
作成年: 2018

評価: +45
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アイテム番号: SCP-1271-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1271-JPはその異常性を失っており、特別な収容プロセスを必要としません。SCP-1271-JPは研究用資料としてエリア-81JHの小型規格収容ロッカーに収容されます。

特別収容プロトコル: SCP-1271-JPはエリア-81JHの対爆仕様収容ロッカーに収容されます。実験を行う場合は、レベル3以上のセキュリティクリアランスを持つ職員1名の承認が必要です。実験はエリア-81JH内広域実験区画で行ってください。

説明: SCP-1271-JPは別次元に駐留する負号部隊所属亜空間航行隊に火力支援要請と支援物資要請を行うことができた十年式信号拳銃です。外見は大日本帝国で採用されていた一般的な十年式信号拳銃と大きな差異はありませんが、グリップエンド部分には負号部隊と刻印されています。使用する信号弾は、異常性を持たない他の十年式信号拳銃と共有することができます。

異常性が顕在しているSCP-1271-JPは、信号弾を発射数秒後に信号弾上空に裂け目のような外見を持つ時空間ポータルを発生させます。発射された信号弾に向かって、裂け目から露出した別次元より、発射した信号弾に応じた8種類の支援が数秒から数十秒以内に行われます。
信号弾 支援内容 備考
流星(赤) 信号弾を中心に3時方向から9時方向へ帯状に爆弾が投下される。 爆弾が投下される際、裂け目の中を飛ぶ航空機が確認された。
流星(白) 信号弾周辺へ機関砲による攻撃が行われる。 裂け目より垂直降下してくる航空機を確認、撃ち込まれた砲弾は55 mmもの大口径だった。
流星(緑) 信号弾周辺へ、毒ガス弾が投下される。 シアン化水素が使用されている。
吊星(赤) 信号弾を中心に3時方向から9時方向へ帯状に機銃掃射が行われる。 流星(赤)で確認された航空機と同型と思われる航空機が確認された。
吊星(白) 信号弾周辺へ支援物資の入ったコンテナが投下される。 内容は、米240 g、塩30 g、水1 L、包帯3本、向精神薬3本、煙草6本、手榴弾3個 、吊星(白)以外の信号弾7種類
吊星(緑) 信号弾周辺へSCP-███が混入した液体が散布される。 負号部隊が製造したとされる生物兵器が散布された。
龍(黄) 信号弾周辺へ大型の巡航ミサイルが発射される。 半径300 m〜400 mの威力範囲を持つミサイルが投下された。退避のための時間か、要請してから投下まで数十秒を要した。
龍(黒) 信号弾周辺へ超高エネルギーのレーザー光線が広範囲に照射された。 半径150mの範囲の物体は、地下7mまで完全に蒸発した。退避のための時間か、要請してから照射まで数十秒を要した。


補遺1: SCP-1271-JPは、██県██山で発生した爆発事故が起因となり財団に認知されました。児童1名が死亡した事故であり、地元警察の調査によって、死亡した児童がSCP-1271-JPを暴発させたことが判明しています。オブジェクト収容後、捜査関係者へAクラス記憶処理を施し、近隣住民にはカバーストーリー「不発弾の爆発」が流布されました。

補遺2: 財団に収容されている元負号部隊構成員"三木 ██"氏がSCP-1271-JPの制作に関与していることが判明しました。以下は財団が行ったインタビュー記録です。

対象: 三木氏(元負号部隊タタラ班構成員)

インタビュアー: 赤坂博士

付記: 三木氏はトキジク計画による不適切な施術により、収容から現在に至るまで深昏睡状態から回復していません。インタビューでは██████剤を投与し、強制的に自意識を顕在させています。更に三木氏が財団に非協力的な態度を示したため、███薬を投与することで強制的に証言をさせています。

<録音開始, 20██年/█月/20日>

赤坂博士: よし、震えも収まってきたようですね。始めましょう。

赤坂博士: この写真をみてください、これがなんだか知っていますか。

(赤坂博士が三木氏にオブジェクトの写真を見せる。)

三木氏: これは……、十年式信号拳銃です。

赤坂博士: そうじゃない、そんな事なら貴方を叩き起こしてまで聞いたりしませんから。

三木氏: (数秒沈黙)あっ、もしかして亜航信号拳銃かもしれない。でもあれは██山に埋めたはず……。

赤坂博士: あー、それだ、間違いない。これは██山で収容したものです。何故か子供が所持していましてね。なるほどそういう事か。

(三木氏が頭を抱える。)

赤坂博士: それで、これ……、亜航信号拳銃でしたっけ? これはなんなのですか?

三木氏: これは前線の歩兵が使用することを想定に作られた物で。(数秒沈黙)亜空間航行隊という、この世界では無い別の次元に駐留している特殊部隊へ支援要請をすることができる信号拳銃です。

赤坂博士: 亜空間航行隊……、略して亜航か。なるほど。それでは亜空間航行隊とはどのような部隊なのですか?

三木氏: はい。亜航隊(亜空間航行隊の略だと思われる。)は、トキジク計画の施術で良好な結果が出た者の中から志願者を募り、それらで構成された隊です。その任務は別次元へ駐留し、味方の地上戦を支援することでした。

赤坂博士: その任務には様々な兵器が使われていますね、我々も実験の過程で航空機やミサイルなどを確認しています。また、それらは第二次大戦時の技術ではいささかオーバーテクノロジーなものが多いです。これについても教えてもらえますか?

三木氏: アレらは……、(数秒沈黙)タタラ班の火雲先生が改造、開発した兵器群です。攻撃方法は勿論、燃料や耐久性にも彼の天才的技術力が使用されています。その技術力は我々末端の科学者にはどのような技術なのか理解できないものばかりでした。

赤坂博士: うーん、つまりよくわからないと。その火雲という人物はどのような方で?

三木氏: 火雲先生、タタラ班の科学者です。彼は四方田同志からの信頼も熱い優秀な科学者でした。亜航隊が駐留している別次元と、別次元への通路を開く技術を発見したのも火雲先生です。そして、彼自身も亜航隊の構成員です。

赤坂博士: 火雲氏自身も亜航隊に……、ということは別次元にいるのですか?

三木氏: はい、指揮官待遇で別次元に駐留しているはずで ──

(三木氏が白目を剥き、椅子から倒れ落ちる。)

赤坂博士: もう限界ですか、ここまでですね。

<録音終了,20██年/█月/20日>

終了報告書: 三木氏には██████剤の拮抗阻害剤を投与、再び深昏睡状態に戻りました。オブジェクトの製造方法など、このインタビューで取得しておきたかった情報を得ることができませんでしたので、火雲氏へ直接コンタクトを取ります。


補遺3: 流星(赤)を使用した実験を行い、支援攻撃に現れた航空機へ多次元性現実拡張機能を持つ無線機の入ったスティッキーガムを発射。約16時間後、亜空間航行隊隊員と思われる人物より通信がありました。以下、通信記録です。

付記: 赤坂博士が通信に応じる。"元負号部隊隊員を支援する会"という架空の団体を名乗ります。

<録音開始,20██年/█月/28日>

(数人の忍び声らしき音声が無線先より聞こえる。)

赤坂博士: 私は"元負号部隊隊員を支援する会"の赤坂と申します、聞こえているでしょうか?

不明: (数秒沈黙)日本語……、日本人か?

赤坂博士: はい、私は日本人です。

(数人の歓声とらしき音声が無線先より聞こえる。)

赤坂博士: 少しお聞きしたい事があるのですがよろしいですか?

不明: おお、我々も聞きたい事があるんだ、戦争はどうなったんだ。勝ったのか? 70年あまり要請が無かったのに、最近になってまた要請が増えた。外はどうなっているんだ。教えてくれ。

赤坂博士: (数秒沈黙)いや、その質問には答え兼ね ──

不明: いや、よく考えたら日本人がいる時点で、日本が今も存在している証左ではないか。なぁ、そうなんだろ? 勝ったんだろ?

赤坂博士: (数秒沈黙)お言葉ですが、裂け目から直接ご覧になるなり、裂け目から外に出るなりすれば解るのでは?

不明: そうはいかないんだ、こちらからは外が見えないし、脱走対策がされていて、裂け目を通り抜けることはできないんだ。

不明: なぁ教えてくれよ、なんで教えてくれないんだ? もったいぶる理由なんかないじゃないか。

赤坂博士: (数秒沈黙)それについては指揮官の方とお話がしたいと思いまして、火雲博士はいらっしゃいませんか?

不明: 火雲? アイツと話すのは無理だな。もう40年近く眠ったままだ。

赤坂博士: 眠ったまま? 40年もですか? 亜空間航行隊はトキジク計画の成功事例で構成された隊だと聞いていましたが。

不明: (大きなため息)俺らも最初はそう思ったよ、でも10年目あたりから目を覚まさない仲間が増えてきて。もうほとんどの仲間が目を覚まさないんだ。(数秒沈黙)結局俺らも"出来損ない"だったんだよ。

不明: だから火雲と話すのは無理だ、話せるなら俺も話したい。俺たちはどうなるのか、このまま永遠にこの何もない世界を漂わないといけないのか、他の仲間のように眠りにつくことができるのか。それともアイツが最初説明した通り、いつか外に帰れるのか。

不明: なぁいいだろ? 教えてくれよ! 戦争はどうなったんだ! せめてそれだけでも教えてくれ!

赤坂博士: しかし……、いいでしょう。(数秒沈黙)日本は戦争に敗れました。1945年、もう70年近く前の事です。

不明: (数秒沈黙)あ……? ハァ? 負けた……?いやいや……、じゃあなんでアンタは日本語を話しているんだ? 私は日本人です、と言ったじゃないか!

赤坂博士: 無条件降伏を条件に委任統治が許され、ソビエトと対立する米国に利用される形で独立したのです。結果的に北海道、本州、四国、九州、沖縄以外のすべての領土を失いましたが、現在ではGDP第3位の経済大国に ──

不明: 何を言っているかサッパリ理解できんわ! 無条件降伏? 領土を失った? (数秒沈黙)俺は….、俺たちは……、何のために……、こんな……、こんな場所で……。

(無線先から慟哭が聞こえる。)

不明(先の人物とは別の人物): あんた、赤坂さん……だっけ? 俺たちを支援する会の。

赤坂博士: はい。

不明: アンタ、俺らを助けにこれないのか? もし俺たちの中に計画の成功検体がいたら。そいつは自殺もできず、何もないこの世界を永遠に漂うハメになるんだ。施術を受けて80年経っても異常の出ていない俺たちは成功検体の可能性が高い。火雲がいない今、外の世界にいるアンタが頼みの綱なんだ。どうにかならないか?

赤坂博士: どうでしょうか……、お約束はできません……。

(数十秒無言、銃声と共に通信が終了。無線機が破壊されたと思われる。)

<録音終了, 20██年/█月/28日>

終了報告書: 火雲氏へのコンタクトは失敗に終わりました。しかし彼らがトキジク計画の成功検体である可能性が高いという情報を入手できました。亜空間航行隊の隊員の収容作戦を立案し、稟議書を提出します。

追記: "作戦地から帰還に成功する可能性が低い"という理由から、却下されました。(20██/█/30)

追記: 通信記録以降、SCP-1271-JPは異常性を喪失しています。SCP-1271-JPのオブジェクトクラスをNeutralizedに変更する決議が行われ、承認されました。

Footnotes
. インタビューにより存在が発覚。隊員はトキジク計画の被検体で構成されている。詳しくはインタビュー記事参照。
. 財団の存在する宇宙とは異なる宇宙を指す。この別次元には陸地や建物は存在しません。ドローンを使用した内部調査を行いましたが、即座に航空機によって撃墜されました。
. 負号部隊による、不死の兵士を作り出す計画。計画は失敗に終わっている。
ページリビジョン: 8, 最終更新: 10 Jan 2021 17:02
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