アイテム番号: SCP-1258
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1258に関連する全資料はサイト-19の施錠された文書キャビネットに保管し、アクセスはクリアランスレベル4以上に制限されます。SCP-1258実践を目撃したいかなる生物もSCP-1258-1個体と看做し、承認された実験の一環でない限りは即時終了する必要があります。標準的な財団の異常動物活動捜索班は、SCP-1258マーカーと相互参照を行う必要があります。
説明: SCP-1258は起源不明の武道です。現在、財団は初心者教育に用いられる基本的な型を再現するのに十分な量の資料を様々なメディア形式で所持していますが、より高度な型については僅かな情報しか有していません。SCP-1258-1は、独自にSCP-1258を実践する知識と能力を有する生物です。
SCP-1258は、人間に実践された場合、何ら異常性質が観測されません。SCP-1258の異常効果は、非ヒト哺乳動物の視界内で型の動きが実行された際に発現します。これらの生物には、必要不可欠でない活動を止めて型の演者を観察し始める軽度の強迫的効果が発生します。短期間の受動的観察の後、動物は、自らに可能な範囲で動きを真似しようとし始めます。解剖学的な違いのため、一部の動物は他の種族よりもSCP-1258の動きを模倣することが容易ですが、そのスキルに関係なく、動物は急を要する必要性(食事や差し迫った危険など)に気を取られるか、人間の演者がSCP-1258を止めて視界を去るまで練習を続けます。
動物が暫くの間SCP-1258の型を観察・模倣することが出来た場合、人間のような特徴を獲得し始めます。概してプロセスは肉眼解剖学のレベルから開始します:四足歩行生物は脚の筋肉を発達させて二足歩行となり、手または同種の肉体構造に対向する親指を獲得し、サイズと身長は最低でも(二足で)立ち上がった際に約1mになるまで成長します(既にこれより大きな生物は従来のサイズを保ちますが、その他の準人間的特徴は同様に発達します)。加えて、ほぼ全ての生物は脳をより大きく発達させ、殆どの場合は言語に関する部位に拡張が見られます。対象はSCP-1258を、例え講師やSCP-1258関連資料がない状態でも練習し続け、事前に曝露していない型や動きの知識を見せることすらあります。継続的曝露はこの線に沿った更なる拡張と発達を引き起こし、最終的には声帯(または同種の構造)・顎・食道の発達に至ります。十分な曝露の後、対象動物は人語を用いて口頭で意思疎通が可能となります。SCP-1258の型の練習を続けると、対象の知性は明白に上昇し、標準的な財団の実験における測定では通常IQ110〜140を示します。最終的に、実験対象の動物はいかなる才能の人間とも協力することを拒否し、あらゆる手段で収容を突破しようと試みます。
動物実験の部分的なリストについては、実験記録1258を参照してください。
補遺: SCP-1258の起源: SCP-1258発祥の正確な時期と場所は不明です。型の幾つかは表面上、三国時代(57CE)の初めに発展したとされる韓国武術のテッキョンに類似しています。しかしながら、テッキョンが1945年の日本による占領終了後に復古したことや、東アジアの数多くの武道との間で異文化発展が行われた事から、SCP-1258がより近代になってから発展した、あるいは完全に異なる起源である可能性もあり得ます。これ以上の調査は、より多くの資料が発見されなければ不可能です。
回収ログ: SCP-1258はまず、異常なアーティファクト・出来事・人物を検出するための定期的なインターネット検索で発見されました。201█/█/██、"WayFyre91"というユーザー(本名イザーク・ウェイマイヤー)のYouTubeチャンネルが見つかりました。ウェイマイヤーのチャンネルにおける動画37本中、最初の33本は無価値でした。33本目の動画で、ウェイマイヤーは近くの学校で武道のレッスンを受け始めたことに言及します。残る4本の動画は、おおよそ3ヶ月の範囲で撮影されていました。関連する動画の幾つかの転写が以下になります。
動画: 01
<転写開始>
0:00:02: [ウェイマイヤーが、おそらくカメラを起動した後、画面内に入る]
0:00:05-0:00:24: ウェイマイヤー: オッケー、えーと...ドージョーでレッスンを受け始めたんだが...君らにもこれを見てほしいんだ。俺はツェーザルの前で練習してて...まぁ見てくれ。
0:00:25-0:00:38: [ウェイマイヤーは一時カメラの外へと離れ、ツェーザルを腕に抱えて戻って来る。彼はツェーザルを床に下ろす。]
0:00:38-0:02:15: [ウェイマイヤーはSCP-1258の型を演じ、ツェーザルは直ちにウェイマイヤーを観察し始める。0:00:44、ツェーザルは後脚で立ち、ウェイマイヤーの動きを模倣し始める。見たところバランスは悪く、動きの範囲は限られているものの、ツェーザルはウェイマイヤーの型の続きに従おうとしている。練習の〆でウェイマイヤーは笑い始め、ツェーザルにおやつを与え、抱え上げてカメラに向き直る。]
0:02:15-0:02:23: ウェイマイヤー: 俺の小さな戦士くんだよ!
0:02:23-0:02:26: [ウェイマイヤーはカメラの後ろに移動し、記録が終了する]
動画: 02
<転写開始>
0:00:02:-0:03:56 [この動画はSCP-1258を実践するウェイマイヤーとツェーザルの複数の記録を纏めたものである。聞こえる対話は無いが、動画中はドイツ語版の"Eye of the Tiger" が流れている。]
注: 映像がモンタージュ編集されているため、本来の撮影時系列を知ることは不可能である。しかしながら、ツェーザルは見たところ大型化し、前脚と後脚にはより発達した筋組織を有している。一部映像では鼻口部も伸長しているようだが、低解像度のために確認が困難である。
動画: 03
<転写開始>
0:00:02: [ウェイマイヤーの顔の超接写映像。彼は寝室の外にいる。]
0:00:03-0:00:27: ウェイマイヤー: オッケー、あー...ツェーザルが近頃、実に妙な行動を始めた。それで...あいつは...まぁ見てほしい。
0:00:27-0:01:44: [カメラはウェイマイヤーの顔から離れる。寝室のドアは少し開いた状態であり、カメラが寝室内を映すように配置される。SCP-1258の型を練習するツェーザルが見える。財団の武道専門家は、この型が以前の動画で見られたものよりも高度である事に注目した。加えて、ツェーザルは著しく大型化し、はるかに安定した二足歩行姿勢を有している。]
0:01:45-0:01:49: [カメラはウェイマイヤーに戻り、ツェーザルは練習を継続する。]
0:01:50-0:02:12: ウェイマイヤー: 俺...俺には何が起こってるのか全く分からない。あいつから目を離さないつもりだ。
動画: 04
<転写開始>
0:00:00: [動画は、ウェイマイヤーの寝室にいるツェーザルから始まる。ウェイマイヤーは動画中に現れず、カメラを持っていると思われる。ツェーザルは元の2倍のサイズで、四肢は著しく筋肉質になり、おそらくは急速な成長による皮膚線条がある。ツェーザルは基本的なSCP-1258の構えと思われる体制で立っている。]
0:00:01-0:00:11: ウェイマイヤー:お前の名前は何だ?
0:00:13-0:00:29: ツェーザル: 私は...ツェーザル...そう呼ばれている。
0:00:30-0:00:45: ウェイマイヤー (荒い呼吸): なんで...どうやって話してるんだ?
0:00:46-0:01:11: ツェーザル: 私は...学んだのだ。学習を通し...私は...より高みに達した。
0:01:12-0:01:21: ウェイマイヤー (吃りながら): おおぉ...おま、お前は...
0:01:22-0:01:24: ツェーザル: 聞くがよい。
0:01:25-0:01:41: ウェイマイヤー: お前はその...学習、で何をする気なんだ?
0:01:42-0:02:22: ツェーザル: 私は...世を...変える。私たちを...解放...するのだ。私は...マスターを...斃す。
0:02:23-0:02:28: [ツェーザルは話すのを止めるが、カメラを見つめ続ける。ウェイマイヤーの息遣いが聞こえる。]
0:02:29-0:02:31: ウェイマイヤー: そ ― それで十分か? もう俺-
0:02:31: [ツェーザルが脅すように前進。おそらくはウェイマイヤーの後ずさりのため、カメラがガクガクと揺れる。]
0:02:32-0:02:45: ツェーザル: 汝は...聞いては...ならぬ! 汝は...マスターたちに...伝えるのだ。彼らは...知らねばならぬ。
0:02:46-0:02:51: [カメラは動画終了まで固定状態でツェーザルを映し続ける。]
ウェイマイヤーがアップロードに使用していたIPアドレスと動画中の手がかりから、財団はドイツにある█████████の町まで追跡しました。ウェイマイヤーは住んでいたアパートで、死後およそ2日経った状態の死体で発見されました。死因は肉体的な衝突を示す鈍的外傷であると断定されました。ウェイマイヤーの両足・右腕・肋骨7本は折れ、内臓の大部分は激しく損傷または破裂していました。顎は数ヶ所が砕けており、うち2つは明らかに死後に破壊されたものでした。
財団エージェントは、█████████から大雑把に東に位置する森で発生したハイカー襲撃事件と、"直立する狼"や"毛むくじゃらのドワーフ"の目撃情報に関する報告を受け取りました。ウェイマイヤーと同様の傷を負ったハイカー2名の死体が、町から約17kmの地点で見つかりました。彼らの死体は小川の中に引き込まれており、部分的に捕食されていました。現在SCP-1258年1月01日と指定されているツェーザルは、3日間にわたる追跡の後、最終的に発見・捕捉されました。エージェント2名が死亡、さらに4名が負傷し、SCP-1258年1月01日は射殺されました。
補遺:文書1258-RX: 201█年1月、アメリカ合衆国コロラド州██████████の町で、野生動物による人間襲撃事件が複数報告されました。一部の被害者は、複数の種で構成された群れについて報告し、その中には捕食者とその獲物の種が共に構成している例も有りました。財団は調査を行い、SCP-1258の広範な使用を発見しました。町の半径50km以内における全ての野生動物と家畜の駆除が、狂犬病の流行を装って問題なく実行されました。調査は、町に最近オープンした道場へと行き着きましたが、この道場は財団が行動を起こす数日前に全焼しました。道場から非凡な機器は発見されず、多くの文書は復元できないほどに焼失していました。唯一の復元可能だった文書の断片は文書1258-RXと分類されており、別な文書を不完全に翻訳した手書きの英語文書のように見受けられます。オリジナルの文書は、実際に存在したかどうかは不明ですが、発見されませんでした。
マスターの技を学びましょう! 私たちは誰もが人間他の人たちと同じようにしっかりと足で立ち、世界に立ち向かう術を学ぶことが出来るのです!
私たちは貴方を、 (大きく? 強く? より高く?) 教育できます!
私たちは貴方に、人間性 (世界? 社会?) と戦うチャンスを作れ与えられます!
貴方自身をより良くしましょう! (たぶん"自分を改善する"? "自分を変える"?) 新たな道を見出すのです! 私たちは、千年何世紀も繋がって伝承されてきたマスターの秘密を知っているのです!
もし彼らが私たちを対等に見ようとしないのなら、対等になってしまえばいいのです! [この行には二重線が引かれていた]
もし私たちが全て対等ならば、私たちは
[文書の残りは破損している]