SCP-1065-JPの間取り図
アイテム番号: SCP-1065-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1065-JPの存在する集合住宅は財団のフロント企業によって買収、閉鎖されています。SCP-1065-JPへ入室する際はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員による許可が必要です。
説明: SCP-1065-JPは██県██町に存在する集合住宅の一室です。一部屋あたりの床面積は25m2であり、天井までの高さは2m35cmです。内部には照明設備と扉が存在していますが、窓や家具は確認されていません。SCP-1065-JPはフラクタル次元構造空間であると考えられており、扉の先には同様の部屋が存在します。
補遺1: SCP-1065-JP内部の詳細な調査のため、Dクラス職員を用いた侵入探査が実施されています。以下は過去に行われた5回の探査の記録です。
探査記録 2001年6月2日
探査人員: D-12245
装備: 高精度GPS発信機、ボディカメラ、携行食料。
結果: D-12245は約6時間を要して1821部屋目へと到達した。全ての部屋の内部には目立った差異が認められなかった。GPS信号は当初D-12245が内部を渦をまくように移動している事を示したが、11部屋目以降は正確な位置を補足できなくなった。
探査記録 2001年6月3日
探査人員: D-12245
装備: ボディカメラ、携行食料、寝袋。
結果: D-12245は約31時間を要して6093部屋目へと到達した。6090部屋目において壁紙の一部が茶褐色に変色しているのが確認されたため壁面からサンプルを採取させた。調査の結果、茶褐色の物質はヒトの血液であることが判明。サンプルの状態からかなりの時間経過が推測された。また6093部屋目においてD-12245が頭痛を報告。SCP-1065-JPによる未確認の影響を鑑み、D-12245を撤収させた。帰投後、D-12245に対し検査が実施されたが頭痛の原因は不明であった。
探査記録 2001年6月8日
探査人員: D-12167
装備: ボディカメラ、栄養糧食、生活用品、鎮痛剤。
結果: D-12167は約68時間を要して12001部屋目に到達した。D-12245と同じく6093部屋目にて頭痛を訴えた為、鎮痛剤の服用を指示。それ以降、頭痛の報告は無かった。6094〜6134部屋目にかけて床面に茶褐色の染みが確認された。後のサンプル解析の結果、前回の探査で採取された血液と同様のものであることが判明した。また、10032部屋目において大量の黒色の土状の物質が確認された。成分解析の結果、土状の物質は乾燥した排泄物であった。
探査記録 2001年6月19日
探査人員: D-12167
装備: ボディカメラ、鎮痛剤、栄養糧食、生活用品。
結果: D-12167は約86時間を要して17314部屋目に到達した。前回の調査終了地点へと移動する途中、6093部屋目で再び頭痛が報告された。12002部屋目以降、不規則に部屋の内部に排泄物と思われる土状の物質が確認されるようになった。12531、14527、15387、16222部屋目において多量の血痕を確認。サンプルとして回収された血液は以前の探査で確認された血液を含む複数のヒトのものであることが判明した。
探査記録 2001年6月28日
探査人員: D-12167
装備: ボディカメラ、鎮痛剤、栄養糧食、生活用品。
結果: D-12167は約127時間を要して28336部屋目に到達した。28336部屋目において4体の白骨化した遺体が発見された。遺体の骨片と毛髪の採取が命じられたがD-12167が嘔吐したため作業は中止され、代替措置として遺留品の回収が行われた。
補遺2: 2001年6月28日の探査で発見された遺留品を解析した結果、遺留品はいずれも██県と██県で1996/█/██を境に行方不明となった人物のものでした。彼らは共通して国立██大学に在籍しており、地元警察では当初より事件性が疑われていました。財団による関係者への聴取の結果、以前から彼らがSCP-1065-JPの存在を認知していた事が判明しました。彼らがSCP-1065-JPの存在をどのようにして知り得たのかは不明であり、関係者への更なる調査が必要とされています。
補遺3: 探査に動員されたD-12245、D-12167の両名が様々な自己相似図形に対して恐怖症を発症しました。D-12245の症状は軽微なものですが、D-12167は重篤な症状を示しました。以下はD-12167に対して行われた聴取の記録です。
インタビュー記録-1065-JP-1
対象: D-12167 (以下対象)
インタビュアー: 泥濘研究員 (以下インタビュアー)
付記: D-12167は発作的な自傷行為によって両眼球を損傷しました。その為、インタビューはサイト-2114の医療区画で行われました。
<記録開始>
インタビュアー: D-12167。あなたに何が起きたのか伺います。
対象: えーと...。何って何?
インタビュアー: あなたが両目を抉り出すことに至った経緯についてです。
対象: あー、えーと...あれだよ。ちょっとまって思い出すから。
[対象は19秒間悩む様子を見せる。]
対象: あれだ、昼飯に食ったカリフラワーの入ってたスープ。
インタビュアー: カリフラワーですか?
対象: うん。カリフラワー。アレの模様っつうかなんつうか、アレを見た時にさ。 なんか猛烈に気持ち悪くなったわけ。
インタビュアー: そのような事は今回が初めてでしたか?
対象: そうそう。今までカリフラワーを気持ち悪いなんて思ったことは無かった。だけど、なんだろう、アレさ、ほら、どこまでも続いてるんだよ。
対象: どこまでもどこまでも、同じ形が小さくなりながら無限にどこまでもどこまでもどこまでもどこまでも永遠に続いてんだよ。ぐるぐるぐる渦なんか巻いてさ、ずっとずっとずっとずっとずっと終わりなんかなく続いててさ。
インタビュアー: 落ち着いて下さい。D-12167。
対象: あの部屋と同じでさ、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと終わらないんだよ。無限に続いてて終わりなんてないんだよあれはほんとに無限なんだ小さくなってるように見せて本当は小さくなんてなってないんだ。
[インタビューは一時的に中断された。医療スタッフの指示によりD-12167に鎮静剤が投与され、インタビューは9分後に再開された。]
インタビュアー: 落ち着きましたか。
対象: えーと。なんだっけ。何の話してたっけ?
インタビュアー: あなたに何が起こったのかです。
対象: あー、それはさ、ほら、カリフラワーのスープ。
インタビュアー: 何故、カリフラワーの形に恐怖を抱いたのですか?
対象: あのカリフラワーはさ、あの部屋と同じだったんだよ。
インタビュアー: どの様なところがですか?
対象: 同じ形が無限に続いてて。
インタビュアー: では、あなたはカリフラワーとSCP-1065-JPが似ていると思ったということですか?
対象: 似てる訳じゃない、同じなんだよ。アレは。どっちも同じ。どっちも無限に続いてる。
インタビュアー: カリフラワーは有限です。無限ではありませんよ。
対象: そんなの先生に見えてる範囲のことだろ。違う違う。無限だよ。俺には分かるんだ。ほら、この目で俺は見たんだ。
[D-12167が包帯を剥ぎ取り、医療スタッフの制止を振り切って両眼窩に指を突き入れる。]
対象: あそこに行ってからずっと見えてる。
[医療スタッフによって鎮静剤が注射され、D-12167が意識を失う。]
<記録終了>
補遺4: D-12245とD-12167の症状はSCP-1065-JPが両名に対して何らかの影響を与えたものであると考えられています。6093部屋目に侵入することが影響を及ぼすきっかけであると推測されており、検証実験の実施が予定されています。