[データ削除済]を迎え入れるエージェント██████
アイテム番号: SCP-105-FR
脅威レベル: 青 ●くろまる
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル : SCP-105-FRはサイト-Alephの50c×ばつ50c×ばつ50cm以下の標準安全容器に保管してください。関連する全ての実験は、カーター博士の承認を得なければならず、また毎週1回に限られ、セキュリティクリアランスレベル2の職員によって構成されていなければなりません。
19██/██/██更新: 現在、SCP-105-FRをSCP-088-FRに曝露させる実験は禁止されています。
説明: SCP-105-FRは手作業で作られたように見えるセラミックマスクです。また、アメジスト、ガーネット、トパーズ、トルマリンが埋め込まれており、上部には数個の真珠で作られたペンダントが飾られています。SCP-105-FRの製造日は未だ明らかになっていません。さらに、摩耗の兆候もなく、あらゆる劣化の影響を受けません。SCP-105-FRには、ゴムに似た性質を持つ黒い絹のリボンが装着されています。この絹のリボンは顔に取り付けられた着用者の頭蓋骨の周りに結びつきます。
SCP-105-FRは着用者(SCP-105-FR-A)の現実と知覚を大幅に変化させます。これは生きているか不活性であるかに関わらず、環境に直接的な危険を齎す要素を覆い隠し、SCP-105-FR-Aに対して無害だと認識させます。一例として、銃でSCP-105-FR-Aを脅かす敵対的な人間は、手を差し出して迎え入れるフレンドリーな人物として見えるでしょう。同様に、手榴弾の爆発は花火の爆発として聞こえます。このようにSCP-105-FR-Aは見る、聞く、感じるというような認識に影響を受けます。上記の例を説明するために、花火の爆発は手榴弾の爆発ではなく、上記の音と燃焼固有の煙の匂いに加えて、被験者が現実に見ることができます。
SCP-105-FR-Aは、攻撃が直接的か間接的かを問わず、SCP-105-FR自体と同じように、すべての形の傷害に対して鈍感で不死身です。SCP-105-FR-AはSCP-105-FRの性質上、これらの危険性を単独で理解することができないため、物理的(撃たれるなど)、または間接的(爆風など)な脅威によって肉体または衣服の損傷が引き起こされます。液体による脅威の場合、SCP-105-FR-Aは液体に浸されず、あたかも固体であるかのようにその表面を移動します。バクテリアやウイルスによる感染はSCP-105-FR-Aに影響を及ぼさず、効果がありません。さらに、時間も停止されているようです。SCP-105-FR-AはSCP-105-FRを着用していれば、老化(および成長)することはありません。従って、事実上不死身であると考えられます。
しかし、財団の利益のためにSCP-105-FRを使用することは絶対に不可能であることが証明されています。SCP-105-FRは性質を知っている人物が保持すると全ての保護特性を失います。SCP-105-FR(実験など)の性質を知っていない限り、その着用者が知っている第三者による命令で着用されたとしても、その効果は生じません。SCP-105-FRの特異性を利用しようとすることは、保護性を無効にしますが、現実の認識を変えても影響を取り除きません。従って、実験以外の目的で危険な状況において使用する必要はありません。
序文: SCP-088-FRに曝露された場合、SCP-105-FR着用者に何が起こるかを調査する。
日付: 19██/03/07
監督者: H.カーター博士、エージェント██████
実験概要:
カメラとマイクは、SCP-088-FRの周辺に配置されています。防護柵は半径10m以内に配置されています。Dクラス職員3人はセキュリティ担当職員の9人が監督します。
記録開始:
H.カーター博士: D-6863、よろしくお願いします。SCP-105-FRを持ち、あなたの顔にそれを着用してください。
D-6863 : 嫌だ。嫌だ...あいつがこの光線で燃えたとき、俺はそこにいたんだ。俺はできない。無理だ。
H.カーター博士: 恐れることは何もありません。私が保証します。マスクを着けて、あなたの目の前にある右の障壁に進んでください。
D-6863 : 俺は...出来ない。嫌だ。俺は死にたくない。俺は...死ぬようなことはしたくない!お前にも分かるだろ!いや、お前は分からなきゃいけないんだ!
明らかに洞窟からの脱出を求めてD-6863が動く。セキュリティ担当職員2人がそれを捕らえる。
エージェント██████: 2回の拒否。君は死の契約書にサインした。行ってらっしゃい。
エージェント██████がジャケットを開き、武器を取り出す。彼は近距離でD-6863を撃った。
H.カーター博士: あなたのやり方は嫌いです、██████。
エージェント██████: 私はこの業務を行うために理事会から派遣されました。あなたの意見は重要ではありません。あなたはあなたの役割を果たす。私は残った役割を果たす。
H.カーター博士はこの瞬間から動揺しているように見える。
H.カーター博士: D-7540、来てください。このマスクを取ってください。D-7540?
D-7540は動かず、顔を伏せている。
H.カーター博士: D-7540?私に従いなさい!
D-7540が急に泣き出す。
エージェント██████: (怒りを示す解読不能な囁きと溜息)
突然の発砲音
エージェント██████: ...無力だ。
Dr. H. Carter. : 私はこれを報告します...
エージェント██████ (言葉を遮る) : 脅しですか? 職務に歯向うんですか?これは...「反乱」ですか?
H.カーター博士は顔を顰める。
エージェント██████ (D-8842へ向けて) : あなた!こっちに来なさい!
D-8842は6秒間、平然としている。
エージェント██████: 来なければここで終了されます。来なさい。
D-8842はSCP-105-FRに向かって歩き、顔に取り付ける。H.カーター博士: SCP-088-FRに入ってください。そして安全距離を越えてください。
D-8842はSCP-088-FRから10mの位置で4秒間迷った後、5mの位置で急激に停止する。
H.カーター博士: どうして止まるのですか?進み続けてください。
D-8842は12秒間も平然として停止している。さらに、SCP-105-FRを顔から取り除いて膝から崩れ落ち、SCP-088-FRの光源を9秒間観察する(注記: D-8842は高い光量にも関わらず、一度も瞬きをしない)。突然の発砲音。D-8842が崩れ落ちる。
エージェント██████: あなたの職員は私をイライラさせる、カーター博士。反乱は苦しみに値する。
エージェント██████はSCP-105-FRまで歩き、拾い上げる。
エージェント██████: あなたの職員たちは化物、その写しであるカーターを恐れている。彼らは弱い。
エージェント██████はSCP-105-FRを顔に取り付ける。
エージェント██████: 彼らは臆病で卑劣な者たちだ...
H.カーター博士: ██████?何をやっているのですか?戻ってきなさい!
エージェント██████が突然停止し、彼の視線は光源を12秒間観察した。これはSCP-088-FRから3mの場所である。それから、頭を少し傾けて右手を心臓に当てる動作が観察された。これが約5秒続く。(注記: スローモーションビデオは心臓の位置にエージェント██████を突き刺すような短い光線が射しているのを示した。しかし、カメラの角度によってその起点を特定することが出来なかった)。
エージェント██████: 心より...
8秒が経過する。
エージェント██████: 許してくれ。
エージェント██████はSCP-088-FRの前で膝から崩れ落ち、目を離すことなく、両手でSCP-105-FRをゆっくりと取り出し、両手から落としてから崩れ落ちる。そして、光線の中心を原点とした光が洞窟内を伝播し、[データ削除済]となった。
記録終了