クレジット
PoI-1029-JP
190█/10/31撮影
アイテム番号: SCP-1029-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: イベント発生中のSCP-1029-JP周囲10kmには即席の防護柵を設置し、不適当な人物の侵入可能性を排除します。
非イベント時のSCP-1029-JPは国立公園職員に偽装した駐屯部隊による監視・巡回が継続されています。LoI-1029-JP群を除き民間人の立ち入りや映像・音声記録を制限する必要はありませんが、居住及び大規模な環境変化をもたらす行動に関しては記憶処理を含む適切な対処を行う必要があります。SCP-1029-JP周辺地域の情報は財団のwebクローラーにより常時監視が行われ、異常性に触れる情報が発見され次第検閲とカバーストーリーの流布が実行されます。
LoI-1029-JP群についてはモニタリング監視に加えてそれぞれ以下の処置が継続されています。
各LoI-1029-JPの詳細な位置情報が必要な職員は主任研究員に問い合わせてください。
説明: SCP-1029-JPは英国、ウェールズの████丘陵を中心とした4██ヘクタールの領域です。SCP-1029-JPは後述するLoI-1029-JP群を除き、地形的要素・生態系において同系環境からの逸脱は見られません。LoI-1029-JP群を除くSCP-1029-JPの地下構造及び一定深度と接触する樹木・岩石等は、損傷を受けると非観測下において以前の状態に復元されます。この特性によりSCP-1029-JPは異常性発覚時から一定の地形を概ね維持しており、収容施設の建造や掘削調査は現在行われていません。
SCP-1029-JPは10/31日日没から翌11/1日の日の出までの間イベント状態となり、LoI-1029-JP群を除く地表・水面は黒色の動物繊維構造体へと変化します。この構造体は刺突や裁断に極めて高い耐性を持つためサンプルの採取及び内部調査は成功していません。イベント中のSCP-1029-JP地形は加圧により容易に変形する柔軟性を備えていますが、非干渉下では本来の形状が維持されます。イベント発生以前に生息していた動植物は地表の変化と同時に消失しますが、イベント終了に伴い再出現する事が確認されています。人間及び外部より持ち込まれた人工物は消失する事無く、イベント中もその場に残存します。イベント時の様子を記録した映像・音声はイベント終了と同時に非異常性のものに変化します。
LoI-1029-JP群はSCP-1029-JP内に存在する特異な地形です。LoI-1029-JPはイベント外でも固有の異常性を示し、イベント中は他のSCP-1029-JP内部とは異なる反応を示します。収容以前の地質調査においてLoI-1029-JP群が存在した記録は残されていません。
LoI-1029-JP-M: 地底湖へ繋がる縦穴地形
噴水活動 190█/██/██
平常時: 汚泥、落葉等が一定量堆積すると未知の原理により内部の水・不純物を周囲に噴出する。
イベント時: 唇、歯、舌を備えた幅約6mの人間の口へと変化する。イベント突入時に沈殿していた不純物は咳嗽反射により排出され、食用に適した物品を投下した際は嚥下行動が確認できる。嚥下された物体の行方は未判明。他のLoI-1029-JP群と連動して地鳴りを連想させる反響音を発する。
LoI-1029-JP-LH: 環状列石
190█/██/██
平常時: 先端部が1ヶ月に50cm程度の速度で伸長する。石柱の1つは地上2m地点にアルファベットらしき文字が彫刻されているが、摩耗により判別不可。
イベント時: 各基節骨の半ばまでが埋没した巨大な人間の左手に変化する。石柱の伸張程度と爪の長さには相関関係が見られる。中指には未知の金属から作られた指輪が嵌められており、地表に露出している五指は緩慢に動作する。
LoI-1029-JP-RH: 巨石郡
190█/██/██
平常時: 先端部が1ヶ月に50cm程度の速度で伸長する。
イベント時: 各中手骨の半ばまでが埋没した巨大な人間の右手に変化する。頭頂部の伸張程度と爪の長さには相関関係が見られる。五指はLoI-1029-JP-LHよりも活発に動き、時折周囲を探る様子が見られる。
LoI-1029-JP-E: 洞穴壁面、地下4m
正面より撮影 191█/██/██
平常時: 周囲とは明らかに石質が異なり、一部の形状には加工の痕跡を発見できる。直径2cm程度の穴が二つ空いているが不可視の障壁に阻まれ内部探査は成功していない。視認した人間は軽度の嘔気、腹部・胸部の不快感を覚える。
イベント時: 両目、鼻を備えた女性らしき顔面に変化する。両眼は平常時から問題無く機能しているとみられ、質問文を提示した際にはLoI-1029-JP-Mを通じて返答が行われる。
補遺: SCP-1029-JP関連資料
以下の記録は当初個別の案件として記録・調査が行われていましたが、現在はSCP-1029-JP関連事案として統合・再編され包括的な研究が行われています。
► 未解明領域記録 :: UE-3810██-JP
概要: 地下構造、大型樹木、岩石が異常再生能力を持つ5██ヘクタール以上の領域。
収容日: 190█-05-██
場所: イギリス、ウェールズの████周辺
セキュリティプロトコル: 当該地域の景観事業に介入し、土地管理を財団の専門部隊が引き継ぎました。長期間の滞在は適切な理由を用いて阻止されます。収容前年の調査には記録されていない中規模のクレーターも確認されていますが、こちらは従来から存在したものとして文献等の編纂が行われました。
補遺: 当該地域は収容以前より未確認生物・不審人物の目撃報告が頻発しており、周辺文化圏における妖精・精霊伝承についても何らかの関係性を持つことが推測されています。また収容の前年には「西に飛ぶ巨大な流星」「竜の咆吼と足踏み」といった異常現象が報告されていますが、公的な記録は残されていません。
► Anomalousアイテム :: AO-██████-JP
財団における発光実験では最大6000ルーメンを記録した。
説明: 耕した土壌の肥沃度に反応して発光するピッチフォーク
回収日: 191█/██/██
回収場所: ████丘陵近郊の██████で光源として使用されていた
現状: サイト-46█の中型ロッカーに鍵を掛けて収容中、申請すれば実験使用が可能
備考: 所有者の男性は1900年前後にトフィー1袋2ポンド(約900g)と交換したものであると主張しています。
追記: 調査の結果、同時期の北ヨーロッパ各地で同様の経緯で持ち込まれた低異常物品が多数発見されました。所有者は一様に「商品(食料品・鉱石・書籍等)の代価として丘から来た女性にもらった」と語っています。
► 超常現象記録 :: EE-██████-JP
概要: 10/31日の深夜から11/01日にかけてアメリカ東海岸の多数の自治体で「海へ帰る大きな鬼火を見た」「家禽が金の卵を産んだ」「家畜の足跡が今後一週間の天気を示しているようだ」「パイから魚の頭が生えた」「カボチャが執拗に足先に転がってくる」「家の煙突上空でのみ豪雨が発生している」といった異常現象が███件報告されました。
発生日時: 190█年10月31日および11月01日
場所: アメリカ東海岸の諸地域
追跡調査措置: 大多数の異常現象は同日中に沈静化したため「二日酔い」等のカバーストーリーが問題なく流布されました。異常現象の発生した各家庭は、前日の夜間に菓子類を要求する児童集団の訪問を受けていた事が判明しています。この際、供与を行った家庭には比較的有益な異常現象が、拒絶した家庭には何らかの被害を伴う異常現象が発生したものと推測されています。訪問団は大部分が各共同体の一般的な児童で構成されていた事が調査により判明していますが、全ての集団で中心人物であったと推定される女児の素性は明らかになっていません。
► 要注意人物 :: PoI-████-JP
登録要項: 異常物品の精製、及び異常現象の誘発
関連事例: UE-3810██-JP、AO-██████-JP、EE-██████-JP
外見情報: 黒服、左手中指の指輪、帽子、多くの場合「服装の季節感がズレている」と評される。
補足: 以下の対象を外見・行動の類似性から暫定的に同一のPoIとして扱います。別個対象・GoIとしての再分類の際は関係職員に通達が行われます。
概要: イギリス、ウェールズの████丘陵で目撃された不審人物。他の対象と一致する外見特徴が報告されていた。
年齢: 不明
自称: 不明
概要: 長期に渡り南ウェールズ██████を特定の時期に訪問していた人物。収穫祭にも度々参加し、同共同体では不信感を抱かれる事無く認知されていた。後年には他地方の名産品や菓子類を持ち込んでいた事が確認されている。写真が現存(別途添付)。
年齢: 現地住民の証言は13歳程度から40歳前後まで分散している。
自称: Ghofoul Knananmnakoldle(記帳・サインで確認)
概要: 北ヨーロッパ各地域において食品・書籍・鉱物・地図等の取引を行い、代価として低異常性物品を譲渡していた人物。目撃地域は南ウェールズを中心に後年になるほど広域に及んでいる。
年齢: 目撃者の証言は5歳程度から60歳前後まで分散している。
自称: Ginger Killers、Goira knotton、Ginhiro Kovan、Gym Kylley等(記帳・サインで確認)
概要: アメリカ東海岸の複数地域において現地の児童集団を率いていた人物。
年齢: 目撃者の証言は3歳から14歳まで分散している。
自称: Gee Kaak(同集団の構成員から聴取)
追記: イベント時のLoI-1029-JP-Eと対象βの現存資料に形質的な一致が確認されました。これに伴い対象は暫定的にPoI-1029-JPと再分類されます。
補遺2: SCP-1029-JP実験記録
LoI-1029-JP-Mへの物品投下実験記録
実験内容: イベント中のLoI-1029-JP-Mに各種物品を投入し、反応を確認する
投下物品 反応石灰岩1kg 咳嗽反応による噴射泥土2kg 数時間に及ぶ咳嗽反応80°Cの水約25リットル 嚥下反応D-980 咳嗽反応により地上15mまで噴射、軽傷羊肉10kg 嚥下反応リンゴ5個 嚥下反応ライ麦パン500g 嚥下反応鮭3尾 嚥下反応、後に不可食部位を咳嗽反応で噴射カスタードプディング2kg 急速な嚥下反応トフィー5kg 急速な嚥下反応ケーキ類10kg相当 急速な嚥下反応、LoI-1029-JP-Eの活動が活性化考察: 嚥下反応が確認された後、SCP-1029-JPの領域拡大が確認されました。以降の物品投下実験は原則的に禁止とします。
LoI-1029-JP-LH、RH接触調査記録
実験内容: イベント時のLoI-1029-JP-LHに油圧ジャッキを用いて指輪の回収を試みる
実験結果: 指輪に対する過大な指のサイズにより失敗、双方の破壊耐性も確認された
補足: 僅かな隙間より、内径に彫金された「G・K」の文字を確認しました。
実験内容: LoI-1029-JP-RHの伸長を放置し、イベント時の反応を確認する
実験結果: 他のLoI-1029-JP群及びイベント内容に変化なし、爪部分の接触で一部機器が破損
補足: 平常時の外観も考慮すると、伸長の放置は推奨されません。
実験内容: ウレタンゲルを用いてLoI-1029-JP-LH、親指の指紋採取を行う
実験結果: 三重の環状構造が含まれる変体紋を採取、データーベースに一致無し
LoI-1029-JP-E実験記録
実験内容: LoI-1029-JP-Eの正面に質問文を掲示し、瞬きを用いての交流を試みる
実験結果: 瞬きの速度が非常に緩慢であるため検証失敗
実験内容: AO-██████-JPを所有していた███氏にLoI-1029-JP-Eを確認させ、PoI-1029-JPとの関連を調査する
実験結果: 「目元の印象はよく似ているが、記憶より若く肉付きが良い印象」との証言が得られた
補足: ███氏には問題無く記憶処理が行われました。
追記:197█/11/██ 記録機器の性能向上に伴い、LoI-1029-JP-Mの発する反響音は極めて緩慢に発声されたウェールズ語であることが判明しました。これを受け平常時のLoI-1029-JP-Eの視界に質問・伝達事項を掲示し、イベント中のLoI-1029-JP-Eからの返答を分析する形で会話実験が実施されています。
追記: 2017年11月14日 現在SCP-1029-JP領域は最大時より1██ヘクタールの縮小が確認され、同時にLoI-1029-JP-Mの発声速度にも高速化の傾向が見られました。本事例は19██年以降LoI-1029-JP-Mへの物品投下実験を凍結した事との関連性が指摘されています。これを受けてキリツ博士より収容コストの削減、及び調査の円滑化を目的としたフィットネス・プロトコルの実施が提言されました。