クレジット
アイテム番号: SCP-1000-JP-J
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 補遺2以降、SCP-1000-JP-Jは全体として沈静傾向にあるものの、フットサルやアメリカンフットボールでの再戦を求める集団がコミュニティ内部に生じています。人類の敗北はSCP-1000-JP-Jを勢いづけ、ヴェール下への進出に乗り出す恐れがあることから、競争心が発芽しにくい文化的趣味の普及を試みています。
ゴール直後、報道陣のカメラにサインするSCP-1000-JP-Jのオラン・ペンデク選手。
説明: SCP-1000-JP-Jは蹴行性の類人猿で、成体は全長1.5から3メートル、体重90から270キログラムです。ユニフォームカラーは灰・茶(ホーム)/黒・赤(アウェイ)で、優れた視力を持つ大きな目、引き締まった大腿四頭筋、ネドベドを彷彿とさせる無尽蔵のスタミナを持ちます。ナイトゲームに強く、自分達を「夜闇の子ら」と称します。知性はクレバーです。
SCP-1000-JP-Jは他の種族とともにサッカースキルを磨いていき、10,000-15,000年前までは盛んに試合に興じていましたが、ある悲劇的イベントで非異常なスランプに陥り、サッカー人口が1-5%まで激減しました。SCP-1000-JP-Jの個体群密度が最も高い場所として、アイルランド沖のハイ・ブラジル奥地が知られています。この他、南北アメリカや欧州、中国、日本などにも一部の個体群が遠征しています。
19██年、財団はドラガン・S███████博士を通じて、蛇の足SCの退団者が立ち上げたクラブ「太陽の神童ら」と接触、SCP-1000-JP-Jの存在に気付きました。当クラブは1試合につき平均12.5回のハンドを繰り出すため炎上し、のちに蛇の手ハンドボールクラブに改組しました。
== 要LEVEL3クリアランス ==
その通り、SCP-1000-JP-Jはサッカーのやたら上手いビッグフットです。
待って、鼻で笑わないでください。彼らは引退後の食い扶持を見込んで、高度な有機テクノロジーをも学んでいるインテリ集団です。なめてかかると、ナパーム弾に相当するヤシの実が飛んできますので、言動にはくれぐれもお気をつけくださいませ。
ひとつ、彼らの歴史についてお話しましょう。人類がまだ、ゴリラのような容姿だった頃。地球は妖精が支配していたのはご存知ですね?あら、初耳?当時、妖精はグレート・ブリテン島を中心に、世界の隅々で繁栄していたわけですが、その頃の地球のスポーツ界は、サッカーが隆盛を極めていたんです。獲物の生首を蹴る遊びから発展したサッカーは、上流階級の間で瞬く間に流行り、他の種族を巻き込んだプレミアリーグが出来るまでに至りました。
ある時期より、妖精ではない種族がリーグを席巻するようになりました。それはホモ・サピエンスでもホモ・ネアンデルターレンシスでもなく、SCP-1000-JP-Jでした。彼らは自然を操る能力に長けており、芝の生えたフィールドはたいへん有利に働いたのです。あまりにも圧倒的なので、ゴシップ系の粘土板から「"ビッグ"フットボール」なんて揶揄されるほどでした。我々の祖先も、妖精女王のお情けで参加を許されていたものの、スローインしか取り柄のなかった人類は、万年リーグ8部に沈む有り様でした。
しかしながら、ビジョン・アシスタント・レフェリー(VAR)の導入で、事態は一変しました。バルカン半島から招かれた厳しいレフェリーの目は、芝を異常生長させて相手を転ばせるSCP-1000-JP-Jの手口をことごとく見破り、退場や勝ち点剥奪の連続で、1部下位にまで失墜させたのです。
この間、ホモ・サピエンスは泥臭くも勝ち点を積み上げ、リーグ4部にまで浮上。第2000回ワールドカップ決勝において、SCP-1000-JP-Jを7-1で打ち倒すジャイアントキリングを成し遂げました。ご先祖様の躍進には、ンガイの森のトリックスターとして名高い、ナイアー・ラトテップ監督の冒涜的指導が背景にありました。
武陵桃源スタジアムでの虐殺劇は、桃花の日(The Day of Peach Flowers)として強烈なインパクトをもたらしました。1日でSCP-1000-JP-Jの70%がサッカーを辞め、生物兵器でホームスタジアムを破壊し、サッカーと関わりの薄かったハイ・ブラジルに移住しました。妖精族の輝ける都市群は、フーリガンと化した残り30%に焼き討ちされ、灰燼に帰してしまいました。
妖精が壊滅し、SCP-1000-JP-Jも引き籠もったので、ホモ・サピエンスはなし崩し的にサッカーの頂点に立ったものの、栄光はそう長くは持ちませんでした。東方より、ダエーワ族による野球ブームが吹き荒れたため、サッカーは急速に廃れてしまったのです。
その後のスポーツ史については、SCP-140報告書の「メカニト帝国よりモーター・クリケットが伝来」に譲るとして......今、SCP-1000-JP-J担当となった貴方には伝えなければならないことがあります。
SCP-1000-JP-Jの社会で、サッカー熱が再発しています。
そして先日、つた...発展途上の英語で、頭骨製のサッカーボールとともに、下記のようなメッセージが送られてきました。
ゆるすよ
いまはえらべる、ずっとはまたない
やりなおそう解釈しがたい文章ですが、言語部門による慎重な議論を重ねた末、我々はこれを、次のように読み取りました。
(ホモ・サピエンスがこれまで取ってきた乱暴狼藉は)ゆるすよ
いま(、貴様ら)は(対応を)えらべる(立場にあるが)、ずっとはまたない(。不遜な態度を取れば、我が高度な有機テクノロジーによって、貴様らは再び狩猟採集民に戻ることとなるだろう)
(さあ、あの日の決勝戦を)やりなおそう
上記書状を受け、財団は国際超サッカー連盟(Fédération Internationale de Football Paranormal, FIFP)に所属するヒト系クラブ代表者を集め、緊急会合を実施。O5-11事務総長はSCP-1000-JP-Jとの対戦相手として、各クラブの優れた選手を選抜した「人類代表チーム」の組織を提起しました。しかしながら、D.C. アルフィーネ会長が拒否権を発動し、カルキスト・イオン、ロバート・ブマロ両副会長もこれに賛同。大会で最強のクラブを決め、人類代表とする案が採用されました。
補遺1 人類最強クラブ決定戦 試合結果:
グループA | グループB | グループC | グループD | |
---|---|---|---|---|
1 | スリーアローズ | 世界オカルチョ連合 | 蛇の足SC | 歯車仕込正教 |
2 | 筋骨隆隆しきもの | ボーリング・ボーラーズ | 蹴々院 | サメ蹴りセンター |
3 | バックパス・ソーホー | 日生DNAマイスターズ | Are We Malicia Yet? | アラモゴード・アルカディア |
4 | Tohei FC | ポートランド・トライデント | ユーテック・ユニオン | シカゴ・スペクター |
5 | サーキュラー・ペンタゴン |
スリーアローズ 3-1 蛇の足SC
世界オカルチョ連合 5-6 歯車仕込正教
スリーアローズ 3-0 歯車仕込正教
(歯車仕込正教の不正行為発覚につき、没収試合)
結果に基づき、財団率いるスリーアローズが人類代表として選出されました。なお、SCP-1000-JP-Jとの事前協議により、対戦場所は夕方が長時間続き、なおかつ人工芝である恋昏崎市民球技場で行われることとなりました。
補遺2 地球最強サッカー種族決定戦 タイムライン:
夜闇の子ら スリーアローズ
4-5
試合終了
サスクワッチ 1'
マピングアリ 6'
22' SCP-076-2
24' [█ OUT SCP-076-2]
パティ 24'
[█ ヨーウィー] 33'
37' 神山 メッシ蔵
[IN ヒバゴン] 45'
[IN イエティ] 45'
[OUT サスカッチ] 45'
[OUT サスクワッチ] 45'
オラン・ペンデク 55'
82' 許 山華
90' 霧甲水 直常
[█ アイスマン] 90'
[█ バッツカッチ] 90+2'
90+4' SCP-357-JP-J
[█ OUT ショウジョウ] 90+10'
[█ OUT グリズリー] 90+10'
90+11' [█ OUT 監督者]
[█ OUT ギガント・ピテクス] 90+12'
90+13' [█ OUT アルト・クレフ]
後半アディショナルタイム5分、SCP-1000-JP-Jは特殊な発声法を用いて犬様の生物兵器を呼び寄せ、10数匹をグラウンドに乱入させました。これにより、反発した財団側選手との間で乱闘が発生。止めに入ったアラガッダの主審に対し、SCP-1000-JP-Jはロンドン下町訛りの英語で以下の弁解を行いました。
ゆるせよ
いまのぐうぜん、いたしかたない
やりなおそうや
反省の色が見られないとして、財団側選手の一部がさらに反発。SCP-1000-JP-Jのサッカー熱を沈静化させることに成功するも、多数の退場者を出す結果となり、フェアプレー精神に欠けた見苦しい試合となりました。