アイテム番号: SCP-092
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 3,125枚のSCP-092は特異でない音声コンパクトディスク(CD)を収容するのに適当なケースに個別に収め、サイト37の標準非動的物体ロッカーに保管してください。それぞれにマジックで個別に番号を振ってください。
SCP-092の試験は防音室で行ってください。一度に検査するSCP-092は一枚だけにしてください。以前に検査していないSCP-092を聴くのはDクラス職員だけにしてください。非Dクラス職員がSCP-092を聴くような研究の提案にはサイト指揮官の書面による認可が必要です。
SCP-092-Bの死体は今のところその関連団体を除けば特異なところはないと見做されているため、サイト19の死体安置冷凍庫で保存してください。
説明: SCP-092は3,125枚の音声CDで、どれも『フィフス・ディメンション絶対絶対絶対絶対ベスト!!!!!(The Absolute Absolute Absolute Absolute BEST of The 5th Dimension!!!!!)』とラべリングされており、また、アメリカの歌手グループ『フィフス・ディメンション』に参加していた時期のある31人の演者の名が記されています。SCP-092は、標準的なCDプレイヤーで再生したとき、それぞれで異なる特異な作用を可聴範囲にいる全ての個人に対し及ぼします。特異な現象は74分(標準的な音声CDの長さ)で終わりますが、その間は聴取者は可聴範囲を離れられませんし、CDプレイヤーを止めることも、あるいはその他その機能を邪魔するようなこともできません。さらに、特異現象が終了したとき、全ての生き残った聴取者は揃って『ワオ、マジでクールだった(Wow, that was real cool)』というフレーズの唱和に参加することになります。この唱和が観察されるのは非英語話者、まだ話せない幼児、失神した者、麻痺した者、そして喉頭や舌や口内の損傷により物理的に発声できない者にまで及びます。
SCP-092それぞれの特異な性質は、その主題や概念において、5という数、次元、フィフス・ディメンションのメンバーの内のいずれか又はこれらと結びついている事です。██/██/████現在、871枚のSCP-092が査定済みで、その特異な性質について正式に記述されています。完全なリストについては092-W83を、代表的なサンプルについては下記を見てください。
SCP-092をパーソナル・コンピュータのCDドライブに挿入すれば、その特異な作用を発動することなくファイルにアクセスすることができます。ファイルを検査したところ、CDそれぞれには異なるコンテンツが入っていることが示されました。コンテンツは全て音声素材で、フィフス・ディメンション及びメンバー各個人がパテントを持つものです。既知の商業的に発表された歌に加え、ファイルにはライブ演奏、セッション、オーディション、メディアによるインタビュー、私的な会話が含まれています。
取得記録
████年5月5日、正体不明の男(以下SCP-092-B)が二つのスーツケースを持ってサイト19の門衛に接触、彼自身と彼の特異な創造物を財団の拘留下に引き渡すことを希望したいと述べました。スーツケースの中身は没収され、SCP-092と分類されました。SCP-092-Bは尋問のためサイト37に移送されました。
調査の間にSCP-092-Bは、SCP-092全ての間にはその主題(五、次元、フィフス・ディメンション)において繋がりがあることを明らかにし、それから自殺しました。
SCP-092-Bがサイト19に到着した際の陳述の書き起こし
守衛:もし、ここは私有地ですから、駄目ですよ――
SCP-092-B:ここは秘密の財団のサイト、ですよね?
守衛:入ることはできません、私は――
SCP-092-B:あなたがたはSCP財団だ。そして僕は失敗者だ。
守衛:......それはなんなのですか?
SCP-092-B:あなたがたはSCP財団で、僕は失敗者だ。自分で賢いと思っているのに、でも僕はそうじゃないんだ。僕は馬鹿で退屈なキョウヨウナシの三文文士で金と安い駄洒落が才能と閃きに成り代われると思っている。僕には才能がない。僕は鈍物だ。僕は落伍者で、僕にはスタイルってものがなくて、僕が芸術犯罪者になってない唯一の理由といったら僕が今までに作ったものはどれも芸術に近づけるものですらないからだ。あなたがたは僕を確保できる、僕を収容できる、でも誰も僕を保護はできない。どうか僕と僕のまともじゃないゴミを拘留下に置いてください。
(この時点で守衛は応援を呼んだ。SCP-092-Bは拘留されるまでこの陳述を言葉通りに繰り返した。)
第二回SCP-092-B尋問セッションの書き起こしからの抜粋
インタビュアー:ええ、我々は『五性』については理解しました、どうもありがとう、一番役に立つことです、しかし我々としてはこれらをどうやって作ったのかについてあなたが話してはくれないものかとも思っているのですが。
SCP-092-B:僕はただcoolになりたかったんです、わかります? 僕は本当にやったんだ。僕は考えた......ええと、僕は遺産とそれからコレクションを持っていて、地所があって、廃博物館があって、とてもたくさんのものが一緒くたで、そしてそれは難しいことじゃなくて、そして......見ろ、僕のアイデアはあんたのよりいいぞ! それのことだよ! 知ってたよ、それはな! 違う! それは駄目だ! 馬鹿げた容易い言葉遊びに感動するやつはいない! 上手な言葉遊びですらない、幼稚園レベルの掛詞だ、ああ見ろよ別物な五次元のこと考えられるだろう五たちに来るよ、僕は無価値だ。僕は無価値だ。
インタビュアー:私のアイデアより良い、とは?
SCP-092-B:僕のしたことに深い意味はなにもない、みんなただの皮相なポチョムキン村の肥溜め、人類の達成という河に偽物のクソを汲み出すだけ。スタインのクソオークランドみたいなもの、そして僕はそんなクソ幻滅もクソ理解できやしない。僕は閃きのないワナビーで、僕は退屈で、僕はスゲエイマジネーションなんかない役立たずの三文文士だ。僕は奇跡を無駄遣いして滅ぼした。僕は沢山の生の素材を浪費した、もっと良い人たちならそれで沢山のことをできたかもしれないのに......僕はただ......僕はcoolじゃない。決してなれないでしょう。困らせて本当にごめんなさい。これは僕の腕じゃない。
(この時点で、SCP-092-Bは自分の頭を両手で掴み、首からもぎ取り、直後に自死した)