SCP-038-KO
評価: +5

アイテム番号: SCP-038-KO

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-038-KOはその大きさのために、施設に収容することは事実上不可能です。代わりに、財団がオブジェクトの体内に100km間隔で挿入した位置追跡装置を利用してオブジェクトの位置を把握し、オブジェクトを制御するようにしてください。

現在、機動特務部隊ε-36"フクロモグラ"がSCP-038-KOの制御任務に割り当てられており、ε-36-1からε-36-27の27チームに分かれてオブジェクトが周囲の対象物に与える影響を最小限に抑える任務を遂行しています。通常、SCP-038-KOを制御するための全ての行為はアネリダ-17プロトコルに基づいて人命と財産の消失を最小限に抑え、オブジェクトを最大限刺激しない方向で行ってください。

もしアネリダ-17プロトコルが適用できない緊急事態に直面した場合には、現場指揮官の判断に基づいて以降の取り組みを決定してください。現場指揮官がアネリダ-18プロトコルを発動した場合、全ての収容関連の職員は速やかにオブジェクトの現在地に最も近い都市に移動して規約に記載された手順を実行してください。

説明: SCP-038-KOはメガスコリデス・アウストラリス(Megascolides australis)の変種と推測される非常に巨大な3匹の環形動物個体です。これらの体長は約260〜320km程度であり、直径は約80〜110m程度です。SCP-038-KO個体は繁殖行為を行おうとする兆候を全く見せませんが、1個体を除いて繁殖器官自体は正常に存在していることが確認されました。

SCP-038-KOはオーストラリア西部の砂漠の地下深くに生息しており、地上にはほとんど出てくることはなく、ほとんどの時間を地下で過ごしています。オブジェクトは月に平均で170〜220km程度の移動を行い、1年に3ヶ月程度活動を停止して冬眠期に入ります。オブジェクトは土を掘って進みながら土の内部の成分を一部摂取した後に排出するため、オブジェクトが通り過ぎた場所には高さ5〜10m程度の谷と周辺に比べてかなり肥沃な土壌層が生じます。

SCP-038-KOの移動パターンはかなり個性的であり、オブジェクトは常に直線に近い経路でオーストラリア大陸、正確にはオーストラリア西部砂漠地帯を「横断」しています。海岸線や境界線に全身が到達すると、身体が海水に触れたり砂漠地帯から抜け出したりする前に境界線に沿って移動し、身体をゆっくりと逆方向に回して反対方向に横断を開始します。また、オブジェクトは互いに10km以上近付かないようにしています。オブジェクトがこれらのパターンによって移動を行う理由は明確ではありませんが、少なくともオブジェクトには自分に有害な環境と自分のようなオブジェクトを事前に察知する能力が存在していると推測されます。

SCP-038-KOの身体には未知の種類のタンパク質が相当量含まれており、その組織は全体的に非常に複雑で洗練された構造であり幾重にも結合しています。1個体の筋肉組織標本を通じて調査した結果、オブジェクトの身体組織の総体的な強度は一般的な生物のそれと比較して数十万倍以上強く、エネルギー効率も非常に高いことが明らかになりました。SCP-038-KOの体格が異常なレベルで巨大で、その体長に比べて厚さが非常に薄いにも関わらず、このような特性によってオブジェクトは正常に行動することができるようです。

SCP-038-KOが何を食べて生活しているかは明らかになっていませんでしたが、オブジェクトの行動面から見たとき、他の環形動物と同じように土壌内の有機物や腐敗した生物を餌にしていると推測されます。しかし、SCP-038-KOの消化能力、現地のアボリジニが捧げる[データ削除済]儀式の内容などを総合的に分析したところ、オブジェクトは生きている動物も餌とすることができるものと考えられます。SCP-038-KOが砂漠でどのようにしてその巨体を維持する程度の栄養を摂取しているのかについては、明らかにはなっていません。

SCP-038-KOがいつから存在しているのかは正確には判明していませんが、ウルルの深い所で発見された壁画にオブジェクトであると推測される生物の絵が描かれていることに鑑みると、オーストラリア大陸にはオブジェクトのような種類の巨大なミミズ個体が最低でも約1万年前から存在していたものと推測されます。

SCP-038-KOの存在は、かなりの数のオーストラリア先住民族に神話ないし民話の形態で広く知られており、一部ではオブジェクトのための儀式の一環として[データ削除済]を捧げていたことが確認されました。儀式に関する数回の実験の後、該当する部族の人間はオブジェクトを制御するための現地エージェントとして雇用され、該当する部族の捧げた儀式は改良を経た後にアネリダ-18プロトコルに組み込まれました。

補遺:

不定期レポート17-046: ε-36-17-036KN4
日付: [編集済]
受信者: 遺跡研究サイト-██のサイト管理官 李震浩博士
送信者: ε-36-17副隊長 ロドリック・O・ピーターソン

要約: SCP-038-KOの生息地付近で、オブジェクトと同種の個体と推測される巨大生物の遺体を発見。

内容: 不定期レポート17-042で報告したように、最近不定期指令17-026で言及された最新5年間のSCP-038-KOの行動パターンデータの分析が終了した。分析の結果、以前の研究では気付かれていなかった新たな習性を発見。オブジェクトが南緯24°42′71′′、東経122°55′85′′の座標を中心としたかなりの広さのエリアの近くを常に経由しながらもエリア自体には全く進入せず、その周辺を通る際には通常のような直線移動とは異なる、巡回するような経路で移動することが確認された。

調査のため定期レポート136において適切な規模の確保チームを要請。その結果、当該エリアの地下地層からオブジェクトと同種の個体と推測される巨大な環形動物の大部分が損傷している遺体を確保した。この個体の大きさは現在活動中のSCP-038-KOよりも約3〜4倍以上は巨大であると推測され、環帯が非常に厚く皮膚に赤色の柄があったと考えられる。また、個体の環帯から用途不明の多数の外分泌腺を発見。既知の生物の組織の中では膜翅類昆虫のフェロモン分泌腺に似ている。

この個体に関するより多くの情報を得るため、詳細な高生物学的アプローチが必要になると考えられる。発見された遺体の標本資料を添付する。

定期レポート138: ε-36-036KRC13
日付: [編集済]
受信者: 遺跡研究サイト-██のサイト管理官 李震浩博士
発信者: ε-36総指揮官 ローレン・G・スミス

要約: 現地壁画のための追加調査が行われた。

内容: 不定期指令012に応じて、その一環として現地壁画の追加調査が行われた。

ε-36-8部隊がウルルを調査した際にSCP-038-KOに関連すると思われる新たな壁画を発見した。壁画には、赤い柄の巨大な棒状の生物の周りを3匹の少し小さく柄のない生物が円形になって囲んでいる姿、そして人々が彼らに敬意を捧げる姿が描かれている。少し離れたところには柄のない生物が赤い柄の生物の前に餌を差し出しているような描写も発見された。それら以外にも多数の二種の生物間の上下関係を描写する壁画を発見。

その後、ε-36-11部隊が担当区域の遺跡を調査したところ、例の遺跡でε-36-8部隊が発見したものとほぼ同じであるが、柄のない生物だけが円形を成している壁画と赤い柄の生物の"死"を描写するような壁画、そして半分に切断された赤い柄の生物の体組織の間に、その個体の"卵"と推測される多数の薄黄色の丸が描かれた壁画を発見した。

オブジェクトが、過去に存在していた他の異常オブジェクトを中心に小規模な社会を作り上げていたという仮説が有力である。最後の壁画に関しては、念のため追加の調査が必要になると考えられる。調査の過程で撮影した全ての写真資料を添付する。

受信者: 遺跡研究サイト-██のサイト管理官 李震浩博士
送信者: ε-36-17副隊長 ロドリック・O・ピーターソン

内容: 遺体を調査した際、3つの高さ数十mにも及ぶ、赤の縦縞が入った、半透明の黄色の楕円形をした物体を発見。これは無力化されたオブジェクトの卵であると推測される。保有している全ての機器を動員して破壊しようとしたが、失敗した。これらの卵がこれら以上に数が存在しているのかは不明。速やかに卵を破壊するか、収容するための人員と装備の派遣を要請する。卵に対する力学的な調査結果と座標を添付する。

██████部族のシャーマン████: 兵士たちが本当に守っていたのは何なのだろうか?

ε-36-17隊員████: 何ですって?

██████部族のシャーマン████: 古き兵士たちが本当に守ろうとしていたのは本当に女王の遺体だったのか?

ε-36-17隊員████: 理解ができませんが。

██████部族のシャーマン████: ともすれば、彼らが守ろうとしていたのは、死んだ過去ではなく、生きている未来だったのかもしれんな。

ε-36-17隊員████: <沈黙>

ページリビジョン: 3, 最終更新: 21 Feb 2024 12:25
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