SCP-015-IT。捕獲作戦中、機動部隊-IVによって配置されたカメラの1つで記録された映像。
アイテム番号: SCP-015-IT
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-015-ITはサイト-ヴィットリアの標準的なヒト型生物収容室に収容され、保安カメラと赤外線センサーのシステムで監視されています。この収容室及び隣接する廊下は白く塗装し、明るく照らされた状態に保つ必要があります。1日2回、1頭のブタ(Sus domestica)をSCP-015-ITの餌として収容室に供給します。
SCP-015-ITの担当職員は毎週1回心理評価を受け、3ヶ月ごとに再配属されます。
説明: SCP-015-ITは身長およそ1.9mのヒト型実体であり、入射光の98%を吸収できる無毛の皮膚を有します。顔面には鼻も外耳も無く、虹彩の発光器によって目から光を放出することが可能です。口は上下の顎に8本ずつ尖った歯が生えており、舌(長さ28cm)は二股に分岐して、両方の先端に食道と直接繋がっている2本の中空の針があります。SCP-015-ITの腕は胴体と比較して不釣り合いに長く、手には4本の鉤爪を備えた指があります。肉体的には筋肉量がごく僅かにも拘らず、SCP-015-ITには驚くほどの膂力があり、成人した人間を容易に鎮圧できます。SCP-015-ITは肉体的な損傷に対して高い耐性を発揮し、傷痕や内臓損傷を急速に回復します。
SCP-015-ITは専ら夜行性で、哺乳類が産生するアドレナリンとノルアドレナリンのみを餌とし、とりわけ人間のそれを好みます。これらを得るために、SCP-015-ITは獲物を可能な限り恐怖させることを目的とした狩猟方法を発展させました。通常、SCP-015-ITは暗い場所に身を潜め、目撃されないようにしながら獲物を追跡します。そのまま発見されずにいると、SCP-015-ITは獲物の注意が逸れるのを待って静かに接近し、脇腹を掴んで噛み付きます。噛み付きは殺害を意図したものではありません — SCP-015-ITは大きな歯を固定具として用いつつ、舌を突き出して副腎に直接刺し込みます。片方の針はアドレナリンを豊富に含む血液を吸引し、もう一方は軽度の鎮静剤を加えた血液を獲物の体内に再排出します。これによって、SCP-015-ITは体力をあまり浪費せずに獲物を身動きできない状態に保ち、摂食後はそのまま立ち去ることができます。
SCP-015-ITの長期的な観察は、曝露者の精神状態を悪化させ、幻聴や幻覚、パニック発作、そして特に繊細な人物の場合は心血管系の損傷を引き起こします。最初の症状が表出するには2週間かかりますが、この期間はSCP-015-ITが定期的に摂食していなければ短縮されます。この現象の原因は現在も不明ですが、強すぎる/攻撃的すぎる獲物を弱体化させる手段だと仮定されています。
回収ログ: SCP-015-ITは2012年05月22日、カゼルタ県[データ削除済]の警察が"吸血鬼"の攻撃に関する多数の通報を受けた後に捕獲されました。サイト-ヴィットリアは機動部隊-IV (" 鉄拳制裁 "プニュス・フェールリ)をこの脅威の対処に派遣しました。意外な俊敏さや、暗い場所に隠れることが可能な体色により、SCP-015-ITは発信機を打ち込まれて財団に居場所を追跡されるようになるまで捕獲を逃れ続けました。包囲されたSCP-015-ITは予期せず暴力的に反応し、鎮圧されるまでに兵士█名を殺害、██名を負傷させました。
補遺SCP-015-IT-a: SCP-015-IT発見場所での潜入調査中、エージェント███████は聖ジョルジオ騎士信心会(以下CCSG)の構成員から接触を受けました。エージェント2名の対話において、SCP-015-ITは過去にCCSGに捕獲されたものの、財団の収容下に入る約2ヶ月前に逃走したことが判明しました。この情報を受けて、サイト-ヴィットリアの管理官はSCP-015-ITに関するCCSG側の文書開示を要請し、入手しました。以下は最も関連性の高い節です。
悪魔種: 影の悪魔
脅威度: 中 低
身体的特性: […]
既知の能力: Dia-212は我々の世界では極めて不安定であり、生存するうえで不要にも拘らず、血液を飲むことによって犠牲者の恐怖心を吸収する。このようにしてDia-212は生者の世界が課す限界に適合した物理形態を保っている。
対象はまた、特筆に値する体力と、人間のそれに匹敵する知性を有し、それらの特性を狩猟や外敵からの逃走に利用する。もう一つの重要な特徴は祝福を受けた兵器への耐性であり、それらの兵器は最大性能と比較してもごく軽微な損害を与えるに留まる。
イラルディ神父による注釈、2011年04月14日: 私は捕獲したこの生物に次第に惹かれている。一目見るだけであらゆる限界を超越した嫌悪感を感じるが、その魂がごく善良だと信じ始めている。Dia-212の咆哮は苦痛の叫びにも似ており、私が宥めるような口調で話しかけると静まることに気付いた。邪悪なる者から怪物の姿に変えられるまでは、人間の魂だったのではないだろうか。意思疎通の手段を見つける必要がある。全ての迷える魂を主の下へ返すのが私の義務だ。
イラルディ神父による注釈、2011年06月24日: 私はDia-212が完全な悪ではないと断言できる。Dia-212は目にする全ての事物に大いに興味を示し、神聖物への憎しみや恐れを抱いていない。始めのうちは非常に疑い深く、私が近付けば必ず後ずさりしたが、実際に襲ってきたことは一度も無いばかりか、今では私や弟子たちになついてしまった。しかし悲しいかな、我々信心会の制服を着た者たちへの恐怖心がまだ残っているのは認めざるを得ない。恐らく捕獲に際して傷を負ったせいだろう。Dia-212を緊張させないように、違う服を着用し、より穏やかに接することを全ての者に推奨する。
███████枢機卿への手紙、2012年03月18日付:
崇高なる猊下へ
残念ながら、今月15日から16日にかけての夜に発生した、重大な事案をお伝えしなければなりません。午後9時頃、"オカルトファシスト評議会"の名称で知られるテロリスト組織の兵士の一団が、我々の施設を襲い、会員12名を殺害しました。混乱の中、我々が収容していた悪魔のDia-212は、攻撃が引き起こした無秩序状態に怯えて逃走しました。よって僭越ながら、猊下に施設再建のための資金と、逃走した生物を再捕獲するための人員を要請させていただきます。
必ずや介入していただけると信じ、返答をお待ちしております。ドメニコ・イラルディ神父より。